「そこに山があるから」「7ブックマーク」
あなたはある日、山を登っていた。
頂上まで登り切ったと思ったら、実はそこは頂上ではなく、本当の頂上は更に登ったところにあるらしかった。
さて、あなたはこの後どうする?
男はこんな質問を投げかけ、相手の反応を見るのだった。
どういうことなの?
頂上まで登り切ったと思ったら、実はそこは頂上ではなく、本当の頂上は更に登ったところにあるらしかった。
さて、あなたはこの後どうする?
男はこんな質問を投げかけ、相手の反応を見るのだった。
どういうことなの?
14年10月10日 22:41
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

頂上でスープを飲みましょう
解説を見る
緊張した面持ちがズラリと並ぶ様子を見るのは、あまり心地よくはない。
おまけに全員が全員、似たようなスーツを着込み、似たような髪型に揃え、地味で無難なネクタイを締めている光景は、もう見飽きていた。
しかしこれが私の仕事だ。仕方ない。
「これから、集団面接を始めます。質問には、答えられる準備ができた人から答えてください。順番は特に決めません」
私と、他にもう2人。
この3人で、就職試験を受けに来た若者を10名ずつ面接していく。
筆記試験は既に終えており、次の個人面接に進めるかどうかは、この集団面接をパスできるかどうかにかかっている。
そう。私は、就職面接を担当する、人事部の人間なのだ。
他の面接官が、当たり障りのない、面接マニュアルに載っているような質問をしていく。この業界への志望動機、なぜ我が社なのか、我が社でどんな仕事をしたいのか、学生時代に頑張っていたことは何か……
もちろん、こういった質問に対しては、就活生の方も準備をしてきている。出来不出来の違いは多少あるが、全員がそれなりの答え――つまり、間違ってはいないが、面白みのない答え――を用意できていた。
基本的な質問が済み、他の2人が私の方をちらりと見る。軽く頷いて、私は就活生に対して、初めて口を開いた。
「あなたはある日、山を登っていた。
頂上まで登り切ったと思ったら、実はそこは頂上ではなく、本当の頂上は更に登ったところにあるらしかった。
さて、あなたはこの後どうする?」
一瞬、彼らの頭上に疑問符が見えた。
どういった類の質問か、困っているのだろう。
しばらくすると、ポツポツと手が上がり始める。
「私はその新たな頂上を目指して登ります! 目標というのは、常に同じとは限りません。目標を達成したからこそ、新たな目標が現れるのです!」
「私なら、その山に登る価値があるかどうか考えます。とにかくやみくもに登ればいいというわけではないと思います。価値のありそうな山であれば、もちろん全力で登ります」
案の定、彼らは勘違いをしている。
山を高い目標の比喩と捉えてしまうのだ。
9人が似たり寄ったりの回答を済ませた。最後の10人目は、腕を組んでまだ悩んでいる。どうにか、他の人とかぶらない回答を出そうとしているのだろうか。
「あなたはどうですか?」
話しかけて見ると、ぱっと顔を上げ、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「あの……すみません」
「どうしましたか? 思いつきませんか?」
「いえ、そうではなくて、その……」
するりと組んでいた腕をほどき、私の方をじっと見つめる。
「あの、質問をしてもよろしいでしょうか?」
「どういった質問でしょうか」
「その……たくさんあるのですが……」
他の就活生9人が、ぱっと彼の方に視線をやった。
「……ほう。どういうことでしょうか?」
「いえ、状況が全然わからないので。その新しい頂上までどれくらいの距離がありそうなのか、そのとき私は疲れ切っている状態なのか、誰かと一緒に登っているのか、もう夜になりそうなのか、次の日は休日なのか、そもそも登山が好きな人を想定すればいいのか、どういった経緯でその山に登ることになったのか……」
「なるほど。わかりました。では私からの質問は終わりにします」
10人の表情はわかりやすかった。
他の9人は、しめた、という顔をしていた。ライバルが1人減ったと思ったのだろう。
最後に答えた彼は、少し残念そうな顔でこちらを見ていたが、それ以上話すつもりはないらしく、「はい」とだけ答えた。
私は結局、その質問しかしなかった。それまでの彼らの回答なぞほとんど覚えていなかったが、それで十分だった。
面接試験が終わり、10人の就活生が部屋を出てから、他の2人の面接官が、私の方をちらりと見た。
「意地が悪いですね、あれだと落ちたと思うでしょう」
「まあ、もっと可哀そうなのは他の9人ですがね」
私のやり方を知っている2人は、そうは言いつつも、どこか楽しげだ。
「あらゆる事態を想定できること、状況に応じて臨機応変な対応を想像できること、そして何より……固定概念に囚われないこと。我が社に必要なのは、そんな人間だ」
「仰る通りで」
「ごもっとも」
最後に質問を返してきた彼の名前にだけ○をつけた私達は、すぐに次の就活生の面接準備に取り掛かった。
END
#b#男は就職面接の面接官。水平思考ができる人間かどうかを見極めるために、その質問を投げかけていたのだった#/b#
おまけに全員が全員、似たようなスーツを着込み、似たような髪型に揃え、地味で無難なネクタイを締めている光景は、もう見飽きていた。
しかしこれが私の仕事だ。仕方ない。
「これから、集団面接を始めます。質問には、答えられる準備ができた人から答えてください。順番は特に決めません」
私と、他にもう2人。
この3人で、就職試験を受けに来た若者を10名ずつ面接していく。
筆記試験は既に終えており、次の個人面接に進めるかどうかは、この集団面接をパスできるかどうかにかかっている。
そう。私は、就職面接を担当する、人事部の人間なのだ。
他の面接官が、当たり障りのない、面接マニュアルに載っているような質問をしていく。この業界への志望動機、なぜ我が社なのか、我が社でどんな仕事をしたいのか、学生時代に頑張っていたことは何か……
もちろん、こういった質問に対しては、就活生の方も準備をしてきている。出来不出来の違いは多少あるが、全員がそれなりの答え――つまり、間違ってはいないが、面白みのない答え――を用意できていた。
基本的な質問が済み、他の2人が私の方をちらりと見る。軽く頷いて、私は就活生に対して、初めて口を開いた。
「あなたはある日、山を登っていた。
頂上まで登り切ったと思ったら、実はそこは頂上ではなく、本当の頂上は更に登ったところにあるらしかった。
さて、あなたはこの後どうする?」
一瞬、彼らの頭上に疑問符が見えた。
どういった類の質問か、困っているのだろう。
しばらくすると、ポツポツと手が上がり始める。
「私はその新たな頂上を目指して登ります! 目標というのは、常に同じとは限りません。目標を達成したからこそ、新たな目標が現れるのです!」
「私なら、その山に登る価値があるかどうか考えます。とにかくやみくもに登ればいいというわけではないと思います。価値のありそうな山であれば、もちろん全力で登ります」
案の定、彼らは勘違いをしている。
山を高い目標の比喩と捉えてしまうのだ。
9人が似たり寄ったりの回答を済ませた。最後の10人目は、腕を組んでまだ悩んでいる。どうにか、他の人とかぶらない回答を出そうとしているのだろうか。
「あなたはどうですか?」
話しかけて見ると、ぱっと顔を上げ、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「あの……すみません」
「どうしましたか? 思いつきませんか?」
「いえ、そうではなくて、その……」
するりと組んでいた腕をほどき、私の方をじっと見つめる。
「あの、質問をしてもよろしいでしょうか?」
「どういった質問でしょうか」
「その……たくさんあるのですが……」
他の就活生9人が、ぱっと彼の方に視線をやった。
「……ほう。どういうことでしょうか?」
「いえ、状況が全然わからないので。その新しい頂上までどれくらいの距離がありそうなのか、そのとき私は疲れ切っている状態なのか、誰かと一緒に登っているのか、もう夜になりそうなのか、次の日は休日なのか、そもそも登山が好きな人を想定すればいいのか、どういった経緯でその山に登ることになったのか……」
「なるほど。わかりました。では私からの質問は終わりにします」
10人の表情はわかりやすかった。
他の9人は、しめた、という顔をしていた。ライバルが1人減ったと思ったのだろう。
最後に答えた彼は、少し残念そうな顔でこちらを見ていたが、それ以上話すつもりはないらしく、「はい」とだけ答えた。
私は結局、その質問しかしなかった。それまでの彼らの回答なぞほとんど覚えていなかったが、それで十分だった。
面接試験が終わり、10人の就活生が部屋を出てから、他の2人の面接官が、私の方をちらりと見た。
「意地が悪いですね、あれだと落ちたと思うでしょう」
「まあ、もっと可哀そうなのは他の9人ですがね」
私のやり方を知っている2人は、そうは言いつつも、どこか楽しげだ。
「あらゆる事態を想定できること、状況に応じて臨機応変な対応を想像できること、そして何より……固定概念に囚われないこと。我が社に必要なのは、そんな人間だ」
「仰る通りで」
「ごもっとも」
最後に質問を返してきた彼の名前にだけ○をつけた私達は、すぐに次の就活生の面接準備に取り掛かった。
END
#b#男は就職面接の面接官。水平思考ができる人間かどうかを見極めるために、その質問を投げかけていたのだった#/b#
「気に入った本を破る男」「7ブックマーク」
太郎は本を読み終え、内容が気に入ると、その本を破る。
なぜ?
なぜ?
14年07月21日 11:53
【ウミガメのスープ】 [3000才]
【ウミガメのスープ】 [3000才]
解説を見る
太郎の部屋には、本の置き場所があまりない。
気に入った本だと、ページをきれいに破ってスキャナーで連続取り込みを行い、PCに保存する。
気に入らない本は中古屋に売る。
気に入った本だと、ページをきれいに破ってスキャナーで連続取り込みを行い、PCに保存する。
気に入らない本は中古屋に売る。
「一杯の酒」「7ブックマーク」
とある街に、小さいけれど地元の人間が集う酒場があり、そこには人々に慕われるマスターがいた。
ある日、マスターは、「おう、あんたはこの酒だったな。」と、静かに一杯の酒を置いた。
ところが、その酒は一口も飲まれることなく、マスターは突然相手に水をかけた。
しばらくの沈黙を経た後、「またな。」と一言残し、マスターは外へ出ていった。
いったいは何が起こったのだろうか?
ある日、マスターは、「おう、あんたはこの酒だったな。」と、静かに一杯の酒を置いた。
ところが、その酒は一口も飲まれることなく、マスターは突然相手に水をかけた。
しばらくの沈黙を経た後、「またな。」と一言残し、マスターは外へ出ていった。
いったいは何が起こったのだろうか?
10年09月11日 20:02
【ウミガメのスープ】 [ディダムズ]
【ウミガメのスープ】 [ディダムズ]
解説を見る
ある日、マスターはとある墓地を訪れます。
この墓地には酒場の常連であり、マスターの親友であった男が眠っていました。
マスターは彼の墓の前まで行くと、生前彼の好きだった酒を取り出し、杯に注いで墓前に供えました。
墓石に水をかけ、手を合わせて目を閉じると、彼との思い出が蘇ります。
やがてマスターはゆっくりと目を開き、親友に別れを告げると、静かに墓地から去って行きました。
そう、これは"酒場"ではなく、"墓場"での物語だったのです。
この墓地には酒場の常連であり、マスターの親友であった男が眠っていました。
マスターは彼の墓の前まで行くと、生前彼の好きだった酒を取り出し、杯に注いで墓前に供えました。
墓石に水をかけ、手を合わせて目を閉じると、彼との思い出が蘇ります。
やがてマスターはゆっくりと目を開き、親友に別れを告げると、静かに墓地から去って行きました。
そう、これは"酒場"ではなく、"墓場"での物語だったのです。
「克服は難しい」「7ブックマーク」
自分にコンプレックスを感じていた男は、それを克服することを決意した。
しかし、そのせいで男は殺人犯に間違われてしまう。
一体何があったのだろう?
しかし、そのせいで男は殺人犯に間違われてしまう。
一体何があったのだろう?
15年08月20日 00:05
【ウミガメのスープ】 [みたらし]
【ウミガメのスープ】 [みたらし]
解説を見る
男は太っている自分にコンプレックスを感じ、
#big5#ダイエット#/big5#を決意した。
その一環として、会社では
いつも使っているエレベーターではなく、#big5#階段#/big5#を使うことにした。
しかし、ダイエットを始めたその日に、
会社の#big5#エレベーターに爆弾#/big5#が仕掛けられ、
多数の死者が出るという事件が発生した。
男がその日だけ階段を使っていたという事実は、
警察の目には、エレベーターの爆弾を回避するためにやった行動だとうつってしまったのだ。
#big5#ダイエット#/big5#を決意した。
その一環として、会社では
いつも使っているエレベーターではなく、#big5#階段#/big5#を使うことにした。
しかし、ダイエットを始めたその日に、
会社の#big5#エレベーターに爆弾#/big5#が仕掛けられ、
多数の死者が出るという事件が発生した。
男がその日だけ階段を使っていたという事実は、
警察の目には、エレベーターの爆弾を回避するためにやった行動だとうつってしまったのだ。
「【変化なき11と4割】」「7ブックマーク」
何故だ………夜が明ければもう11と6割になるというのに、
未だに奴らは変わらぬままだと………?
おかしい………過去3回とも同じだったんだ………そんな筈はない。
村の医療施設が突如として多忙になってから数えて11と4割。
奴らが信用出来なくなる筈なんだが………
これは一体どういう事だ………?
未だに奴らは変わらぬままだと………?
おかしい………過去3回とも同じだったんだ………そんな筈はない。
村の医療施設が突如として多忙になってから数えて11と4割。
奴らが信用出来なくなる筈なんだが………
これは一体どういう事だ………?
15年07月20日 22:51
【亀夫君問題】 [のりっこ。]
【亀夫君問題】 [のりっこ。]
解説を見る
閏年というのか……………
なるほど、人間界には4年毎にそういう“ズレ”が生じるのか……………
我々【鬼】にはな、突如として人間どもから物を投げつけられる時がある。
その夜は人間界から負傷して戻ってくる仲間の治療の為に
我々の村の医療施設が多忙になるのだが、
不思議な事に、人間が使っている【正】という文字を用いたカウント方法で【夜明けの数を数えていく】と、
その夜から数えて【11と4割】、
正正正正正正正正正正正T
この数だけ夜明けを経た時、
突如として【人間は嘘をつく様になる】
という報告を、人間界を訪れ観察していた多数の鬼から受けていた。
……………そうか……………という事は今回は【閏年】にあたるというのだな?
つまり今回、人間が嘘をつくのはもうじき、
【村の医療施設が多忙になってから数えて正の字が11と6割を経た時】、
次の夜明けの後だという事か。
人間とは色々と不可解な生き物だな。
なるほど、人間界には4年毎にそういう“ズレ”が生じるのか……………
我々【鬼】にはな、突如として人間どもから物を投げつけられる時がある。
その夜は人間界から負傷して戻ってくる仲間の治療の為に
我々の村の医療施設が多忙になるのだが、
不思議な事に、人間が使っている【正】という文字を用いたカウント方法で【夜明けの数を数えていく】と、
その夜から数えて【11と4割】、
正正正正正正正正正正正T
この数だけ夜明けを経た時、
突如として【人間は嘘をつく様になる】
という報告を、人間界を訪れ観察していた多数の鬼から受けていた。
……………そうか……………という事は今回は【閏年】にあたるというのだな?
つまり今回、人間が嘘をつくのはもうじき、
【村の医療施設が多忙になってから数えて正の字が11と6割を経た時】、
次の夜明けの後だという事か。
人間とは色々と不可解な生き物だな。












