「出題?というより質問です。」「7ブックマーク」
肌寒ぅなってきました。みなさん、お元気ですか?
今日はちぃとばかしうちの悩みを聞いてください。
最近うちの娘の様子がおかしいんですわ。
こないだ夜中に物音がしよって目が覚めて、居間に降りたら、娘が学校の制服来て立っとんです。
「何しよん?」って聞いたら、慌てた様子で「眠れなかったから勉強してたの」って言い張りよんです。
でもわざわざ制服着るなんておかしないですか? そん時後ろにデジカメ隠しよるの見えとったし…。
それからしばらく、なんかよそよそしいんですわ。
皆さんどう思われます?
    
今日はちぃとばかしうちの悩みを聞いてください。
最近うちの娘の様子がおかしいんですわ。
こないだ夜中に物音がしよって目が覚めて、居間に降りたら、娘が学校の制服来て立っとんです。
「何しよん?」って聞いたら、慌てた様子で「眠れなかったから勉強してたの」って言い張りよんです。
でもわざわざ制服着るなんておかしないですか? そん時後ろにデジカメ隠しよるの見えとったし…。
それからしばらく、なんかよそよそしいんですわ。
皆さんどう思われます?
15年01月14日 21:43
【亀夫君問題】 [まぴばゆ]
【亀夫君問題】 [まぴばゆ]

16問目 SP牛削りさん
解説を見る
11月18日
あの子は誕生日プレゼントなんていらないと言うんだけど、どうせませてきて照れてるだけだし、何もないのもあれだから、ケーキを用意しておいた。
夕飯後、あの子はいつも通り自分の部屋に上がって行った。
紅茶を淹れて呼ぶと、今日はばかに素直に降りてきた。テーブルの上のケーキに、「もう、いらないって言ったのに」と膨れている。
ローソクに火をつけてハッピーバースデーを歌って、吹き消すよう促した。
でもあの子は少し躊躇ってから、ケーキを回転させた。
私の方に、おめでとうのプレートが向いた。
私が戸惑っていると、あの子はとびきりの笑顔で言った。
「お母さん、出産記念日、おめでとう!」手渡されたアルバムには、あの子の子供の頃からの写真がたくさん、貼り付けてあった。
初めてハイハイした日、遊園地に連れて行った日、大きすぎるランドセルを背負ってのドヤ顔、運動会で一番になった写真、中学校で委員会活動を頑張っている様子、高校で友達と撮った写真、そして数日前の自撮り写真。
「春から離れて暮らすことになって、すごくさみしかったんだ。でもお母さんが夜中に泣いているのを見て、ああお母さんもさみしがってくれてるんだって、ちょっと嬉しくなった。昔教えてくれたよね、私を生む時苦労したって。私ね、お母さんに産んでもらって、育ててもらって、本当に幸せだったよ。すっごく感謝してる。でもその気持ち以上に、私はおめでとうって言いたいって、思ったんだ。お母さん、18年前、無事出産できて、本当におめでとう。自惚れみたいだけど、私と会えて良かったね。ねえこんなに、大きく育ったよ。これからしばらく離れることになるけど、ずっと私のこと見守っててね」
あの子は照れ臭そうにそう言った。途中から声が震えてしまって、聞き取り辛かった。
でも一言たりとも聞き逃すまいと、私は神経を尖らせた。
嘘みたいだけど、自分が泣いてしまっていることにしばらく気付かなかった。
18年前、いろんな人に祝ってもらったけど、今、一番嬉しい「おめでとう」を言われた。私はあの子を呼び寄せて、抱きしめた。
彼女は恥ずかしがらず、素直にそれを受け入れた。「あの頃は片手で持ち上げられたのにね」と言うと、「ダイエットしなきゃね」とあの子は笑った。私も笑った。
暖かい、暖かい冬の夜だった。
(母の日記より抜粋)
SP 兼 問題作成 by牛削りさん
今回の問題はほとんど牛削りさんが作った問題です。
こんな素敵な問題が出来上がるとは…本当にありがとうございました。
あの子は誕生日プレゼントなんていらないと言うんだけど、どうせませてきて照れてるだけだし、何もないのもあれだから、ケーキを用意しておいた。
夕飯後、あの子はいつも通り自分の部屋に上がって行った。
紅茶を淹れて呼ぶと、今日はばかに素直に降りてきた。テーブルの上のケーキに、「もう、いらないって言ったのに」と膨れている。
ローソクに火をつけてハッピーバースデーを歌って、吹き消すよう促した。
でもあの子は少し躊躇ってから、ケーキを回転させた。
私の方に、おめでとうのプレートが向いた。
私が戸惑っていると、あの子はとびきりの笑顔で言った。
「お母さん、出産記念日、おめでとう!」手渡されたアルバムには、あの子の子供の頃からの写真がたくさん、貼り付けてあった。
初めてハイハイした日、遊園地に連れて行った日、大きすぎるランドセルを背負ってのドヤ顔、運動会で一番になった写真、中学校で委員会活動を頑張っている様子、高校で友達と撮った写真、そして数日前の自撮り写真。
「春から離れて暮らすことになって、すごくさみしかったんだ。でもお母さんが夜中に泣いているのを見て、ああお母さんもさみしがってくれてるんだって、ちょっと嬉しくなった。昔教えてくれたよね、私を生む時苦労したって。私ね、お母さんに産んでもらって、育ててもらって、本当に幸せだったよ。すっごく感謝してる。でもその気持ち以上に、私はおめでとうって言いたいって、思ったんだ。お母さん、18年前、無事出産できて、本当におめでとう。自惚れみたいだけど、私と会えて良かったね。ねえこんなに、大きく育ったよ。これからしばらく離れることになるけど、ずっと私のこと見守っててね」
あの子は照れ臭そうにそう言った。途中から声が震えてしまって、聞き取り辛かった。
でも一言たりとも聞き逃すまいと、私は神経を尖らせた。
嘘みたいだけど、自分が泣いてしまっていることにしばらく気付かなかった。
18年前、いろんな人に祝ってもらったけど、今、一番嬉しい「おめでとう」を言われた。私はあの子を呼び寄せて、抱きしめた。
彼女は恥ずかしがらず、素直にそれを受け入れた。「あの頃は片手で持ち上げられたのにね」と言うと、「ダイエットしなきゃね」とあの子は笑った。私も笑った。
暖かい、暖かい冬の夜だった。
(母の日記より抜粋)
SP 兼 問題作成 by牛削りさん
今回の問題はほとんど牛削りさんが作った問題です。
こんな素敵な問題が出来上がるとは…本当にありがとうございました。
「【1on1】 お手紙着いた、読まずに……?」「7ブックマーク」
牛削りさんの元へ、芽訪れさんから手紙が届いた。
しかし、牛削りさんは中身を見ずにすぐさまとかげさんに電話をかけた。
なんでだろう?
※ この問題は#b#牛削りさんとの1on1(1対1勝負)#/b#です。
※ 質問・推理に牛削りさん以外が参加されますともれなく牛削りさんが爆発しますのでご注意ください。
※ 牛削りさんを応援したい方は、牛削り×とかげ 1on1観戦チャット
http://chat.kanichat.com/chat?roomid=ushikage
にてお願いいたします!
しかし、牛削りさんは中身を見ずにすぐさまとかげさんに電話をかけた。
なんでだろう?
※ この問題は#b#牛削りさんとの1on1(1対1勝負)#/b#です。
※ 質問・推理に牛削りさん以外が参加されますともれなく牛削りさんが爆発しますのでご注意ください。
※ 牛削りさんを応援したい方は、牛削り×とかげ 1on1観戦チャット
http://chat.kanichat.com/chat?roomid=ushikage
にてお願いいたします!
15年01月13日 22:10
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

うしかげスープ
解説を見る
芽訪れさんという人から手紙が送られてきて、牛削りさんは不思議に思った。全く知らない人だったからだ。
しかし、宛名が「午削り」となっていることを見て、即座に、誰が自分の住所を教えたのか理解した。
牛削りさんは先日、爬虫類カフェのポイントカードをつくる際、店主のとかげさんに住所と名前を教えたのだが、そのときわざと「午削り」という名前で登録しておいた。日々送られてくるダイレクトメールに嫌気がさしていた牛削りさんは、個人情報を求められる際にはこうしてあえて間違えた名前を書くようにしていたのだ。
「午削り」の名前で登録したのはあの爬虫類カフェだけだ。ということは、とかげさんが情報を漏らしたに違いない!
牛削りさんは、すぐさまとかげさんに電話をかけ、勝手に客の情報を漏らしたことについて、問いただした。
なぜ自分が教えてやったとすぐにバレたのだろう、と驚きつつも、とかげさんは謝り、そして理由を話した。
「中身はあなたの落とした手帳なんです。常連の芽訪れさんが、店の目の前で拾ったそうで……どうしてもあなたに直接渡したい、と頼まれましてね。ほら、何度か店で話したことがあるかと思いますよ。一人で来ている、若い女性の……」
思い返してみると、確かにそんな人と会ったような気はする。
女性一人で来るなんて、変わっているなあと、なんとなく眺めていた記憶はある。一人で来ている者同士、ちょっとした会話くらいならした。あの人が、芽訪れさんか。
「すみません、本当はよくないの、わかっているんです。でも、彼女が本当に真剣で…店主としては間違っています。でも……せめて、封筒の中を見てあげてくださいませんか……?」
電話を切った後も、勝手に個人情報を流した店主への怒りはまだ残っていた。けれど、これ以上彼を責めようという気持ちは生まれてこない。
そういえば手帳をなくした。店の外で落としていたのか。それをわざわざ拾って、店で連絡先を聞いて……。
改めて見直してみれば、宛名は端正な文字で書かれており、封筒はほのかに桃色に染まる可愛らしいものだった。
とりあえず、見てみるか。
牛削りさんは、記憶の中の芽訪れさんを掘り起こしながら、封筒を丁寧に開いていった。
うしけずりのはつこいのはなし~あなざーすとーりー~END
#b#個人情報流出の可能性を考え、わざと名前を間違えて書いていた牛削りさんは、知らない人である芽訪れさんからの手紙の宛名が「午削り様」とあるのを見て、その名前を教えたとかげさんが情報を漏らしたと気づいたのだった#/b#
しかし、宛名が「午削り」となっていることを見て、即座に、誰が自分の住所を教えたのか理解した。
牛削りさんは先日、爬虫類カフェのポイントカードをつくる際、店主のとかげさんに住所と名前を教えたのだが、そのときわざと「午削り」という名前で登録しておいた。日々送られてくるダイレクトメールに嫌気がさしていた牛削りさんは、個人情報を求められる際にはこうしてあえて間違えた名前を書くようにしていたのだ。
「午削り」の名前で登録したのはあの爬虫類カフェだけだ。ということは、とかげさんが情報を漏らしたに違いない!
牛削りさんは、すぐさまとかげさんに電話をかけ、勝手に客の情報を漏らしたことについて、問いただした。
なぜ自分が教えてやったとすぐにバレたのだろう、と驚きつつも、とかげさんは謝り、そして理由を話した。
「中身はあなたの落とした手帳なんです。常連の芽訪れさんが、店の目の前で拾ったそうで……どうしてもあなたに直接渡したい、と頼まれましてね。ほら、何度か店で話したことがあるかと思いますよ。一人で来ている、若い女性の……」
思い返してみると、確かにそんな人と会ったような気はする。
女性一人で来るなんて、変わっているなあと、なんとなく眺めていた記憶はある。一人で来ている者同士、ちょっとした会話くらいならした。あの人が、芽訪れさんか。
「すみません、本当はよくないの、わかっているんです。でも、彼女が本当に真剣で…店主としては間違っています。でも……せめて、封筒の中を見てあげてくださいませんか……?」
電話を切った後も、勝手に個人情報を流した店主への怒りはまだ残っていた。けれど、これ以上彼を責めようという気持ちは生まれてこない。
そういえば手帳をなくした。店の外で落としていたのか。それをわざわざ拾って、店で連絡先を聞いて……。
改めて見直してみれば、宛名は端正な文字で書かれており、封筒はほのかに桃色に染まる可愛らしいものだった。
とりあえず、見てみるか。
牛削りさんは、記憶の中の芽訪れさんを掘り起こしながら、封筒を丁寧に開いていった。
うしけずりのはつこいのはなし~あなざーすとーりー~END
#b#個人情報流出の可能性を考え、わざと名前を間違えて書いていた牛削りさんは、知らない人である芽訪れさんからの手紙の宛名が「午削り様」とあるのを見て、その名前を教えたとかげさんが情報を漏らしたと気づいたのだった#/b#
「科学者の憂鬱」「7ブックマーク」
ある科学者が、世紀の発見を成し遂げた。
しかしその科学者は、今後のことを考えると、
少し暗い気持ちになった。
なぜだろうか?
しかしその科学者は、今後のことを考えると、
少し暗い気持ちになった。
なぜだろうか?
14年08月18日 22:20
【ウミガメのスープ】 [低空飛行便]
【ウミガメのスープ】 [低空飛行便]

11杯目。またしてもグダグダ進行申し訳ないです。
解説を見る
その科学者は、ある原因不明の難病を初めて症例として取り上げ、
学会で発表した。
そしてその難病の原因である物質の特定に成功した。
この物質をより詳しく調べていけば、
難病の治療法も分かるかもしれない。
ところで、この難病にはまだ正式な病名がついていない。
おそらくは、#red#自分の名前が病名となる#/red#のだろう。
後世の人々は自分の名前を聞くたびに
ネガティブな反応を起こすかもしれない。
この病気にかかった人やその家族の表情が想像できてしまう。
それに、自分と同じ名字を持つ親族や
自分の名字を受け継ぐ子孫に迷惑をかける可能性もある。
ドクター・アルツハイマーもあるいはこんな気持ちだったのだろうかと、
科学者はため息をついた。
学会で発表した。
そしてその難病の原因である物質の特定に成功した。
この物質をより詳しく調べていけば、
難病の治療法も分かるかもしれない。
ところで、この難病にはまだ正式な病名がついていない。
おそらくは、#red#自分の名前が病名となる#/red#のだろう。
後世の人々は自分の名前を聞くたびに
ネガティブな反応を起こすかもしれない。
この病気にかかった人やその家族の表情が想像できてしまう。
それに、自分と同じ名字を持つ親族や
自分の名字を受け継ぐ子孫に迷惑をかける可能性もある。
ドクター・アルツハイマーもあるいはこんな気持ちだったのだろうかと、
科学者はため息をついた。
「動機」「7ブックマーク」
男が幼児を殴り、死亡させる事件が起こった。
躊躇も何も無い、あまりに悲惨な痕跡。
極悪非道の事件のようにも思われた。
しかし警察が駆けつけた時、男は幼児を抱きかかえ泣いていた。
さて、その隠された動機は何だろう?
躊躇も何も無い、あまりに悲惨な痕跡。
極悪非道の事件のようにも思われた。
しかし警察が駆けつけた時、男は幼児を抱きかかえ泣いていた。
さて、その隠された動機は何だろう?
11年05月09日 23:22
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]
解説を見る
 男は人生の岐路に立たされていた。
夢を追い続けるか、家族を守るか、道はただひとつ。
その岐路で男はバットを振り続ける。
弱小野球部の4番、そのマネージャー。
男がその妻と出逢う、ささやかではないきっかけ。
二人の原点。
男も女も夢は同じ。
だがお互いの夢のために、3年間汗を流し続けた。
夢は甲子園、そしてメジャーリーグ。
努力は実り、三年目に甲子園出場。
そしてもう一粒、実る。
「赤ちゃんが……出来たの」
男は女と、もう一粒の命のため、女もまた同じ。
ひたすら一本の細長い道を、4本の脚でがしがし駆け登る。
優勝は逃した。
だが功績が認められ、男はプロの道へ。
二人は喜びに満ち溢れていた。
細長い道の先に、眩い光が差し込んだ。
そんな気がしていた。
女が病に倒れる。
そして男は一度目の岐路に立たされた。
子供の誕生か、女の延命か。
男が決断することはなかった。
女の即答、その強い思い。
男はそれに委ねてしまった。
男は選ぶことが出来なかった。
女は死ぬ。
男は4本の頼りない脚で、そろそろと歩み出す。
不幸は続く。
早産を理由に、子供に脳障害が。
一人では生きてゆけない。
男は二本の腕で子供を抱きかかえ、二本の脚でのそりのそりと歩み出す。
そして男はこの岐路へとたどり着いた。
女の夢、メジャーリーグへの道。
男の歩み続けた努力が、ついに形になった。
だが、男は躊躇う。
子供を慣れない環境へ連れまわす。
考えられない。
施設に預けるなどありえない。
だが、だが、メジャーは男だけの夢ではないのだ。
失ってしまうには、惜しい。
男は子供を連れ、公園へと足を運ぶ。
無心にバットを降り続ける。
目線はうつろ。
手応えのない素振り。
男は見えないボールを捉えようとしていた。
そんな父親をじっと観察していた子供は、すでに何かを捉えていたようだ。
父親の元へ、ゆっくりと歩みよる。
大好きだった女の夢か、守らなければならない息子か。
始めはあてもなくふらついていたスイングも、少しづつ何かにむかって鋭くなりつつある。
振るたびに蘇る女との思い出。
二人で必死で積み上げたもの。
その結晶。
結晶?それはどっちだ?
その時ふいに、女の言葉を思い出す。
「赤ちゃんが……出来たの」
「本当か……やったあああああああ!!」
「クスクスクス」
「これからは生まれてくるこいつのためにも、二人で頑張らなきゃな!」
「うん。"三人"でがんばろーねー」
「僕は……お前が大事だ。お前に死んで欲しくない。……でも、いや……うん」
「……今まで一緒にいてくれて、ありがとね。最後まで夢を追いかけられなかったのは辛いけれど。でも、でも、この子を最後に残せたのは、私にとって最高に幸せなことなんだよ」
「ああ、そっか。うん」
「この二人の"結晶"。絶対守ってね。約束だよ」
結晶。
二人の汗の結晶は、夢、じゃないのかもな。
子供を守ろう。
そしてでっかい奴に育ててやろう。
メジャーは……こいつに託せばいいじゃないか。
男の目に、歩むべき道が光と共に向かってくるような、そんな気がした。
目指すものは見えた。
しっかり見据えながらテイクバック。
やっと確かなものが見えたんだ。
俺はこれからはこれを捉えて離さない。
絶対にだ。
そして男は、それを真芯に捉え……振り切った。
ぱきん
手応えは充分だった。
充分すぎた。
骨の砕ける音がした。
何故だろう。
男の守るべきものが、男のその手によって、壊された。
男自身も混乱している。
何故、何故?
確かに捉えたはずの道、何故まったく逆の選択に繋がったのか。
何故、息子が目の前にいたのか。
息子に駆け寄る男。
「なんで、なんで……、どうしてなんだ!」
「おとー、さん。がんばれー、がん、ばれー……」
男は理解した。
息子は自ら選んだのだ。
家族が進むべき道を。
自らの命よりも、大好きなお父さんの夢を。
優しい子供。
お母さんにそっくりだ。
「お前を守ると決めたのに!!……なんでお前らはそんなに優しすぎるんだ。俺を置いて行かないでくれ。頼む、頼む」
「が、ばれ、おと……」
警察と病院が駆けつけると、子供の悲惨な死体と、血塗れでそれを抱きかかえる男の姿があった。
男はまた選ぶことが出来なかった。
今回の事件によって、白紙になったメジャー行き。
球界に残ることが出来るかさえ危ぶまれた男。
しかし追随を許さない努力と実力で、再び手に入れる。
異国の地で数々の実績や賞をものにし、世界一のプレーヤーとなる。
男は笑わない。
二歩の脚でズンズン進む光の道は、そこでもう行き止まり。
一人ぼっちで歩むのは、その虚しさに追いつかれ、喰われてしまいそうだから。
もうこの道で、逃げ続けるしかないのだから。
夢を追い続けるか、家族を守るか、道はただひとつ。
その岐路で男はバットを振り続ける。
弱小野球部の4番、そのマネージャー。
男がその妻と出逢う、ささやかではないきっかけ。
二人の原点。
男も女も夢は同じ。
だがお互いの夢のために、3年間汗を流し続けた。
夢は甲子園、そしてメジャーリーグ。
努力は実り、三年目に甲子園出場。
そしてもう一粒、実る。
「赤ちゃんが……出来たの」
男は女と、もう一粒の命のため、女もまた同じ。
ひたすら一本の細長い道を、4本の脚でがしがし駆け登る。
優勝は逃した。
だが功績が認められ、男はプロの道へ。
二人は喜びに満ち溢れていた。
細長い道の先に、眩い光が差し込んだ。
そんな気がしていた。
女が病に倒れる。
そして男は一度目の岐路に立たされた。
子供の誕生か、女の延命か。
男が決断することはなかった。
女の即答、その強い思い。
男はそれに委ねてしまった。
男は選ぶことが出来なかった。
女は死ぬ。
男は4本の頼りない脚で、そろそろと歩み出す。
不幸は続く。
早産を理由に、子供に脳障害が。
一人では生きてゆけない。
男は二本の腕で子供を抱きかかえ、二本の脚でのそりのそりと歩み出す。
そして男はこの岐路へとたどり着いた。
女の夢、メジャーリーグへの道。
男の歩み続けた努力が、ついに形になった。
だが、男は躊躇う。
子供を慣れない環境へ連れまわす。
考えられない。
施設に預けるなどありえない。
だが、だが、メジャーは男だけの夢ではないのだ。
失ってしまうには、惜しい。
男は子供を連れ、公園へと足を運ぶ。
無心にバットを降り続ける。
目線はうつろ。
手応えのない素振り。
男は見えないボールを捉えようとしていた。
そんな父親をじっと観察していた子供は、すでに何かを捉えていたようだ。
父親の元へ、ゆっくりと歩みよる。
大好きだった女の夢か、守らなければならない息子か。
始めはあてもなくふらついていたスイングも、少しづつ何かにむかって鋭くなりつつある。
振るたびに蘇る女との思い出。
二人で必死で積み上げたもの。
その結晶。
結晶?それはどっちだ?
その時ふいに、女の言葉を思い出す。
「赤ちゃんが……出来たの」
「本当か……やったあああああああ!!」
「クスクスクス」
「これからは生まれてくるこいつのためにも、二人で頑張らなきゃな!」
「うん。"三人"でがんばろーねー」
「僕は……お前が大事だ。お前に死んで欲しくない。……でも、いや……うん」
「……今まで一緒にいてくれて、ありがとね。最後まで夢を追いかけられなかったのは辛いけれど。でも、でも、この子を最後に残せたのは、私にとって最高に幸せなことなんだよ」
「ああ、そっか。うん」
「この二人の"結晶"。絶対守ってね。約束だよ」
結晶。
二人の汗の結晶は、夢、じゃないのかもな。
子供を守ろう。
そしてでっかい奴に育ててやろう。
メジャーは……こいつに託せばいいじゃないか。
男の目に、歩むべき道が光と共に向かってくるような、そんな気がした。
目指すものは見えた。
しっかり見据えながらテイクバック。
やっと確かなものが見えたんだ。
俺はこれからはこれを捉えて離さない。
絶対にだ。
そして男は、それを真芯に捉え……振り切った。
ぱきん
手応えは充分だった。
充分すぎた。
骨の砕ける音がした。
何故だろう。
男の守るべきものが、男のその手によって、壊された。
男自身も混乱している。
何故、何故?
確かに捉えたはずの道、何故まったく逆の選択に繋がったのか。
何故、息子が目の前にいたのか。
息子に駆け寄る男。
「なんで、なんで……、どうしてなんだ!」
「おとー、さん。がんばれー、がん、ばれー……」
男は理解した。
息子は自ら選んだのだ。
家族が進むべき道を。
自らの命よりも、大好きなお父さんの夢を。
優しい子供。
お母さんにそっくりだ。
「お前を守ると決めたのに!!……なんでお前らはそんなに優しすぎるんだ。俺を置いて行かないでくれ。頼む、頼む」
「が、ばれ、おと……」
警察と病院が駆けつけると、子供の悲惨な死体と、血塗れでそれを抱きかかえる男の姿があった。
男はまた選ぶことが出来なかった。
今回の事件によって、白紙になったメジャー行き。
球界に残ることが出来るかさえ危ぶまれた男。
しかし追随を許さない努力と実力で、再び手に入れる。
異国の地で数々の実績や賞をものにし、世界一のプレーヤーとなる。
男は笑わない。
二歩の脚でズンズン進む光の道は、そこでもう行き止まり。
一人ぼっちで歩むのは、その虚しさに追いつかれ、喰われてしまいそうだから。
もうこの道で、逃げ続けるしかないのだから。
「AT THE BAR」「7ブックマーク」
じ
ゃあ、そろそろ帰るよ。」
旅先のバーで長居しすぎた。
ポケットから紙幣を取り出し席をたつ。
その時目の前に見慣れないカクテルが置かれた。
「新作だ。感想を聞かせてくれ。」
帰り際に新しい酒を出すとは、俺を帰す気がないようだ。
グラスを洗うわけでもなく、音楽に耳を傾けている。
勘定をしてくれる気配も全くない。
いったいなぜだか考えてくれないか?
これは亀夫君問題です。
Yes/Noで答えられるもの以外の質問もOKです。
ただし、回答するのは問題文の「俺」です。
彼は答えを知りません。回答もわかるところまでになります。
行動を指示することもできます。
因みに「THE BEACH FAMOUS FOR」の続きです。
ゃあ、そろそろ帰るよ。」
旅先のバーで長居しすぎた。
ポケットから紙幣を取り出し席をたつ。
その時目の前に見慣れないカクテルが置かれた。
「新作だ。感想を聞かせてくれ。」
帰り際に新しい酒を出すとは、俺を帰す気がないようだ。
グラスを洗うわけでもなく、音楽に耳を傾けている。
勘定をしてくれる気配も全くない。
いったいなぜだか考えてくれないか?
これは亀夫君問題です。
Yes/Noで答えられるもの以外の質問もOKです。
ただし、回答するのは問題文の「俺」です。
彼は答えを知りません。回答もわかるところまでになります。
行動を指示することもできます。
因みに「THE BEACH FAMOUS FOR」の続きです。
13年11月29日 21:56
【亀夫君問題】 [ikoano]
【亀夫君問題】 [ikoano]

ご参加ありがとうございました。
解説を見る
目
が見えないのか。」
うなずくマスターの目はよく見れば微かに濁っていた。
「以前外国人に目が見えないことを言ったら、100ドルと言われて10ドル札を出されたことがあったんだ。」
そりゃ俺が疑われても仕方ないよな。
しかし、よくこんな美味い酒が出せるものだ。
ドアの向こう側から足音が聞こえる。
マスターの奥さんだろう。
これでやっと帰れるな。
Special Thanks : tsuna様
が見えないのか。」
うなずくマスターの目はよく見れば微かに濁っていた。
「以前外国人に目が見えないことを言ったら、100ドルと言われて10ドル札を出されたことがあったんだ。」
そりゃ俺が疑われても仕方ないよな。
しかし、よくこんな美味い酒が出せるものだ。
ドアの向こう側から足音が聞こえる。
マスターの奥さんだろう。
これでやっと帰れるな。
Special Thanks : tsuna様












