「【解説はY●】」「3ブックマーク」
「死亡しないフラグ」「3ブックマーク」
孤島の古い洋館で、殺人事件が起きた。電波が通じないため助けも呼べず、迎えの船が来るまで島から出ることもできない。訪れていた人々は、身の安全を考え、全員で洋館の大広間に寝ることにした。
そんな中、1人の男が「犯人がこの中にいるかもしれないのに、一緒にいられるか! 俺は部屋に戻る!」と大広間から出て行ってしまった。
男以外の全員が、あの男は死なないなと確信したのはなぜ?
そんな中、1人の男が「犯人がこの中にいるかもしれないのに、一緒にいられるか! 俺は部屋に戻る!」と大広間から出て行ってしまった。
男以外の全員が、あの男は死なないなと確信したのはなぜ?
16年10月15日 20:40
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

そしてスープもなくなった
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軽い気持ちだった。電波の届かない孤島、今は誰も住んでいない古い洋館、1週間隔絶される10名――雰囲気を楽しむにはうってつけの場所で、ちょっと変わった合宿くらいの気持ちで遊びに来た。
まさか、こんな悲劇が待ち受けているだなんて、誰が想像しただろうか?
あ、ああ、嫌、誰か――――――――――――!
第一発見者の女性の悲鳴を聞きつけ、思い思いの場所でのんびり過ごしていた8名は、慌てて現場に駆け付けた。
悲鳴を引きずりつっかえながらも、女性は説明する。なかなか起きてこないから、部屋を覗いてみたの、そうしたら……
全員に嫌な予感がよぎる。勇敢な一人がドアを開けた。起きてこなかった理由は明白だった。昨日まで何事もなく笑って話していた仲間が、無残な死体に変わり果てていた。頭は古めかしく重たそうなタンスに押しつぶされており、おびただしい量の血液をベッドが吸い切れず、床にまで滴っている。
何かあるかもしれない、という期待は、何も起こらないのがわかっているからこそ楽しめるのだ。何かが起こってしまったら、楽しんでいる余裕などない。まさかの事態に、全員が凍り付いた。10名が9名になってしまった。
連絡が取れない孤島、住人のいない古い洋館。今やそれは危険な場所であることは明らかだった。
死に慣れない若者たちは、犠牲者の部屋をそのままに、ひとまず自分達の身の安全を考えることにした。
このままでは危険だ。昨日のように、各自が個室に入って就寝するのは良くない。いっそのこと、布団を持ってきて大広間に全員で寝るのはどうだろうか? 自然とそういう話の流れになった。大広間はこの洋館の中で一番広い場所だし、仲間を押しつぶしたタンスのような凶器も置いていない。迎えが来るまでの数日間、なるべく大広間にいるようにすればいい。
全員がその案に賛成しかけたそのとき、一人の男が焦ったように、騒ぎ出した。
「みんな、それでいいのか? よく考えてみろ、あいつは死んだんだぞ!?」
男が何を言いたいのか測りかねて、残りの8名は男の次の言葉を待つ。
「俺は嫌だ! ここだって危険に決まってる! なんでみんな、そんな平気な顔をしていられるんだ!」
必死の訴えにも、8名は首をかしげるしかできない。彼は何が言いたいのだろうか?
誰からも賛同が得られそうにないことに耐えかねたのか、男は絞り出すように叫んだ。
「犯人がこの中にいるかもしれないのに、一緒にいられるか! 俺は部屋に戻る!」
そして男は本当に、8名が見守る中足音を立てて大広間を横切り、扉を乱暴に閉めて出て行ってしまった。
しばし、沈黙。
男が出て行った扉やお互いの顔に視線をやり。
そして――
「……犯人?」
一人の呟きを皮切りに、男をポカンと見送っていた8名が次々に疑問を口にし出した。
「どういうことだ?」
「この洋館が古すぎて、タンスの立て付けが悪かったんじゃないの? え? そう思ってたの私だけ?」
「いや、みんなそのつもりで周りに家具が少ない大広間に集まろうって言ってたんだし……」
「あの部屋じゃ、棚やら照明やらが落ちてきたらどこに寝てても危ないからな」
「一人で部屋に寝てると、いざというときに助けも呼べないしね」
「寝ている間にタンスに押しつぶされてしまうなんて、彼も随分運が悪かったと思っていたんだけど……」
「事故死だよな。事故死だと思ってた。けどあいつは犯人って……え、殺されたの? これ、殺人事件なの?」
「えーと、つまり……?」
顔を見合わせる8名。
8名は8名とも、事故死だと思っていた。素人目には、殺人だと言えるような手がかりは何もないと思える。警察が来て調べれば何かわかるのかもしれないが、今の段階で殺人などという非日常な出来事にすぐさま結び付けるなんて、しかもそれを本気で警戒するだなんて、普通じゃない。そんなことに思い至るのは、身に覚えがある人間くらいだろう。
黙って考えていた9名は同時にその結論を導き出し、男が出て行った扉を振り向く。
誰かが全員を代表して言った。
「……つまり、あいつは死なないってことだ」
END
#b#被害者は部屋のタンスに押し潰されて死んでいたので、事故だと思われていた。男が犯人などと言い出したため、皆、犯人はあいつかと気づいたのだ。#/b#
まさか、こんな悲劇が待ち受けているだなんて、誰が想像しただろうか?
あ、ああ、嫌、誰か――――――――――――!
第一発見者の女性の悲鳴を聞きつけ、思い思いの場所でのんびり過ごしていた8名は、慌てて現場に駆け付けた。
悲鳴を引きずりつっかえながらも、女性は説明する。なかなか起きてこないから、部屋を覗いてみたの、そうしたら……
全員に嫌な予感がよぎる。勇敢な一人がドアを開けた。起きてこなかった理由は明白だった。昨日まで何事もなく笑って話していた仲間が、無残な死体に変わり果てていた。頭は古めかしく重たそうなタンスに押しつぶされており、おびただしい量の血液をベッドが吸い切れず、床にまで滴っている。
何かあるかもしれない、という期待は、何も起こらないのがわかっているからこそ楽しめるのだ。何かが起こってしまったら、楽しんでいる余裕などない。まさかの事態に、全員が凍り付いた。10名が9名になってしまった。
連絡が取れない孤島、住人のいない古い洋館。今やそれは危険な場所であることは明らかだった。
死に慣れない若者たちは、犠牲者の部屋をそのままに、ひとまず自分達の身の安全を考えることにした。
このままでは危険だ。昨日のように、各自が個室に入って就寝するのは良くない。いっそのこと、布団を持ってきて大広間に全員で寝るのはどうだろうか? 自然とそういう話の流れになった。大広間はこの洋館の中で一番広い場所だし、仲間を押しつぶしたタンスのような凶器も置いていない。迎えが来るまでの数日間、なるべく大広間にいるようにすればいい。
全員がその案に賛成しかけたそのとき、一人の男が焦ったように、騒ぎ出した。
「みんな、それでいいのか? よく考えてみろ、あいつは死んだんだぞ!?」
男が何を言いたいのか測りかねて、残りの8名は男の次の言葉を待つ。
「俺は嫌だ! ここだって危険に決まってる! なんでみんな、そんな平気な顔をしていられるんだ!」
必死の訴えにも、8名は首をかしげるしかできない。彼は何が言いたいのだろうか?
誰からも賛同が得られそうにないことに耐えかねたのか、男は絞り出すように叫んだ。
「犯人がこの中にいるかもしれないのに、一緒にいられるか! 俺は部屋に戻る!」
そして男は本当に、8名が見守る中足音を立てて大広間を横切り、扉を乱暴に閉めて出て行ってしまった。
しばし、沈黙。
男が出て行った扉やお互いの顔に視線をやり。
そして――
「……犯人?」
一人の呟きを皮切りに、男をポカンと見送っていた8名が次々に疑問を口にし出した。
「どういうことだ?」
「この洋館が古すぎて、タンスの立て付けが悪かったんじゃないの? え? そう思ってたの私だけ?」
「いや、みんなそのつもりで周りに家具が少ない大広間に集まろうって言ってたんだし……」
「あの部屋じゃ、棚やら照明やらが落ちてきたらどこに寝てても危ないからな」
「一人で部屋に寝てると、いざというときに助けも呼べないしね」
「寝ている間にタンスに押しつぶされてしまうなんて、彼も随分運が悪かったと思っていたんだけど……」
「事故死だよな。事故死だと思ってた。けどあいつは犯人って……え、殺されたの? これ、殺人事件なの?」
「えーと、つまり……?」
顔を見合わせる8名。
8名は8名とも、事故死だと思っていた。素人目には、殺人だと言えるような手がかりは何もないと思える。警察が来て調べれば何かわかるのかもしれないが、今の段階で殺人などという非日常な出来事にすぐさま結び付けるなんて、しかもそれを本気で警戒するだなんて、普通じゃない。そんなことに思い至るのは、身に覚えがある人間くらいだろう。
黙って考えていた9名は同時にその結論を導き出し、男が出て行った扉を振り向く。
誰かが全員を代表して言った。
「……つまり、あいつは死なないってことだ」
END
#b#被害者は部屋のタンスに押し潰されて死んでいたので、事故だと思われていた。男が犯人などと言い出したため、皆、犯人はあいつかと気づいたのだ。#/b#
「【疑問を抱く女】」「3ブックマーク」
ある曇った日、青い傘を片手に黄色い服を着て散歩をしていた男。
男は通りかかった公園の隅で女が血を流して倒れているのを発見し、すぐに駆け寄った。
『おい、しっかりしろ!大夫丈か!?』
女には意識があったが、自分の顔を心配そうに覗き込む男に 対し疑問を抱いた。
女が疑問を抱いたのは何故だろう?
男は通りかかった公園の隅で女が血を流して倒れているのを発見し、すぐに駆け寄った。
『おい、しっかりしろ!大夫丈か!?』
女には意識があったが、自分の顔を心配そうに覗き込む男に 対し疑問を抱いた。
女が疑問を抱いたのは何故だろう?
16年10月10日 19:03
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
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ダイブジョウなんて言葉は初めて聴いたからだ。
「ルンペルシュティルツキンを知ってるかい?」「3ブックマーク」
みんな大好きなおとぎ話!!!
今日のおとぎ話は『妖精ラミオゾティス!!』
おや?妖精ラミオゾティスを知らない?
それは大変だ!!ちゃんと覚えないと危ないよ!?
これを聞いてよぉーく、よぉーく覚えよう!!
むかーし、むかし、―――――以下略
色々あって、昔取引した妖精の名前を当てないとお腹の子供を奪われることになった王妃が居ました。
期限はお腹から子供が出てくるまで、王妃は困り賢者に助言を頼みました。
話を聞いた賢者は王妃に長い鉄の鎖のついた鉄の手枷を渡し、王妃に助言を与えました。
「夏至の日に、まだ陽があるうちに妖精にこの手枷をはめなさい。そして、妖精を逃がさぬように手枷についた鎖をしっかりと握り、一晩妖精と共に過ごしなさい。そうすれば、 #b#王妃の御子を妖精に絶対に渡さずに済みます#/b#」
王妃は賢者の言葉を信じ、夏至の日の夕暮れに妖精を呼び出しました。
呼び出した妖精に王妃は素早く手枷をはめ、鎖を握りしめ妖精と共に過ごしました。
手枷をはめられ逃げられない妖精は夜が明けるその間際、妖精は大声で叫びました。
「#b#おいらはラミオゾティス!おいらしか知らない、おいらの名前!!#/b#」
それを聞いた王妃はすかさず答えました。
「 #b#ラミオゾティス!貴方しか知らない。貴方の名前!!約束よ、子供は諦めて!#/b#」
こうして、一晩共に過ごしたことで王妃は妖精の名前を知りました。
王妃は見事妖精の名前を当て、王妃は妖精に子供を渡さずに済みました。
妖精は悔しそうに地団駄を踏みながらどこかへ消えてしまいました。
めでたし、めでたし
おや?なんだか不可解そうな顔をしているね?
なんで、#big5#妖精ラミオゾティスは自分の名前を叫んだのかって?#/big5#
それは―――――、どうしてだろうね?
さあ、さあ、みんな、頭を揺らして考えてごらん。
なぜ、ラミオゾティスは叫んだのか。
分かった子供には黄金の飴をあげよう。
おや、飴では足りないかい?
じゃあ、ちょっとヒントを上げようか。
賢者の教えた方法では『#red#絶対にラミオゾティスが名前を叫ぶ#/red#』とは限らない
今日のおとぎ話は『妖精ラミオゾティス!!』
おや?妖精ラミオゾティスを知らない?
それは大変だ!!ちゃんと覚えないと危ないよ!?
これを聞いてよぉーく、よぉーく覚えよう!!
むかーし、むかし、―――――以下略
色々あって、昔取引した妖精の名前を当てないとお腹の子供を奪われることになった王妃が居ました。
期限はお腹から子供が出てくるまで、王妃は困り賢者に助言を頼みました。
話を聞いた賢者は王妃に長い鉄の鎖のついた鉄の手枷を渡し、王妃に助言を与えました。
「夏至の日に、まだ陽があるうちに妖精にこの手枷をはめなさい。そして、妖精を逃がさぬように手枷についた鎖をしっかりと握り、一晩妖精と共に過ごしなさい。そうすれば、 #b#王妃の御子を妖精に絶対に渡さずに済みます#/b#」
王妃は賢者の言葉を信じ、夏至の日の夕暮れに妖精を呼び出しました。
呼び出した妖精に王妃は素早く手枷をはめ、鎖を握りしめ妖精と共に過ごしました。
手枷をはめられ逃げられない妖精は夜が明けるその間際、妖精は大声で叫びました。
「#b#おいらはラミオゾティス!おいらしか知らない、おいらの名前!!#/b#」
それを聞いた王妃はすかさず答えました。
「 #b#ラミオゾティス!貴方しか知らない。貴方の名前!!約束よ、子供は諦めて!#/b#」
こうして、一晩共に過ごしたことで王妃は妖精の名前を知りました。
王妃は見事妖精の名前を当て、王妃は妖精に子供を渡さずに済みました。
妖精は悔しそうに地団駄を踏みながらどこかへ消えてしまいました。
めでたし、めでたし
おや?なんだか不可解そうな顔をしているね?
なんで、#big5#妖精ラミオゾティスは自分の名前を叫んだのかって?#/big5#
それは―――――、どうしてだろうね?
さあ、さあ、みんな、頭を揺らして考えてごらん。
なぜ、ラミオゾティスは叫んだのか。
分かった子供には黄金の飴をあげよう。
おや、飴では足りないかい?
じゃあ、ちょっとヒントを上げようか。
賢者の教えた方法では『#red#絶対にラミオゾティスが名前を叫ぶ#/red#』とは限らない
16年09月12日 22:10
【ウミガメのスープ】 [花鳥]
【ウミガメのスープ】 [花鳥]
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正解
#b#夏至の日の晩にラミオゾティスは自分の名前を叫ばないと自分の名前を忘れてしまうから#/b#
賢者は王妃に言いました。
「名前のない妖精、取引を持ち掛け相手から対価を求める妖精のことは知っています。その妖精は誰にも名前を教えず、どこにも残しません。けれど、一年に一度、夏至の日の晩に自分の名前を叫ばないと自分の名前を忘れてしまうのです。ですから、夏至の日に逃がさぬように鉄の手枷をはめ、一晩妖精と過ごしなさい。そうすれば、妖精は自分の名前を叫ぶでしょう」
王妃は賢者に問いました。
もしも、妖精が名前を叫ばないときはどうすればいいのか。
賢者は言いました。
「その時は、適当名前を言いなさい。正しい名前を忘れた妖精は、それが違う名前であると言えません。妖精が沈黙すれば、取引は成立しません。そうなれば、妖精は御子を諦めるしかなくなります。妖精の取引は妖精自身も破れぬもの。だからこそ付けこむ隙があるのです」
その話に納得し、王妃は賢者の言う通りに行動しました。
結果、王妃は見事に妖精ラミオゾティスの名前を言い当て子供を守ったのです。
王妃は賢者に問いました。
なぜ、ラミオゾティスが夏至の晩に名前を叫ぶのか知っているのかと。
賢者は言いました。
「むかし、むかし、―――――細かいことは省略しますが、ラミオゾティスの名前が知りたくて、ラミオゾティスを酔いつぶしたことがあるのです。結局、名前は分かりませんでしたが、彼が酔って『夏至の日に名前を叫ばないと忘れる』ことを話してくれたのですよ」
そう言うと賢者は悪戯っぽく笑った。
#b#夏至の日の晩にラミオゾティスは自分の名前を叫ばないと自分の名前を忘れてしまうから#/b#
賢者は王妃に言いました。
「名前のない妖精、取引を持ち掛け相手から対価を求める妖精のことは知っています。その妖精は誰にも名前を教えず、どこにも残しません。けれど、一年に一度、夏至の日の晩に自分の名前を叫ばないと自分の名前を忘れてしまうのです。ですから、夏至の日に逃がさぬように鉄の手枷をはめ、一晩妖精と過ごしなさい。そうすれば、妖精は自分の名前を叫ぶでしょう」
王妃は賢者に問いました。
もしも、妖精が名前を叫ばないときはどうすればいいのか。
賢者は言いました。
「その時は、適当名前を言いなさい。正しい名前を忘れた妖精は、それが違う名前であると言えません。妖精が沈黙すれば、取引は成立しません。そうなれば、妖精は御子を諦めるしかなくなります。妖精の取引は妖精自身も破れぬもの。だからこそ付けこむ隙があるのです」
その話に納得し、王妃は賢者の言う通りに行動しました。
結果、王妃は見事に妖精ラミオゾティスの名前を言い当て子供を守ったのです。
王妃は賢者に問いました。
なぜ、ラミオゾティスが夏至の晩に名前を叫ぶのか知っているのかと。
賢者は言いました。
「むかし、むかし、―――――細かいことは省略しますが、ラミオゾティスの名前が知りたくて、ラミオゾティスを酔いつぶしたことがあるのです。結局、名前は分かりませんでしたが、彼が酔って『夏至の日に名前を叫ばないと忘れる』ことを話してくれたのですよ」
そう言うと賢者は悪戯っぽく笑った。
「大好きだったから」「3ブックマーク」
いつの間にか使えなくなっていた時計。
それを見て私は感激した。
何故?
それを見て私は感激した。
何故?
16年07月19日 22:17
【ウミガメのスープ】 [焼け石に油]
【ウミガメのスープ】 [焼け石に油]
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私には共に宇宙飛行士を志した友がいた。
彼の夢は#b#<宇宙から地球を眺めること>#/b#だった。
しかし彼に不慮の事故が起こってしまった。
私が病院に駆けつけた頃には既に息を引き取っていた。
呆然とする私に彼の父から遺言が伝えられた。
「俺はもうダメらしい。お前だけでも夢を叶えるんだぞ。一緒に地球見たかったよ。」
私はその場に崩れ落ちた。
少し落ち着きを取り戻してから、私は彼の両親に頼み込み、彼の遺灰で砂時計を作らせてもらった。
#red#それから数年のちに私は夢の宇宙飛行士になることができた。#/red#
初任務の日、宇宙船に乗り込んだ私の傍には友の砂時計が留められていた。
共に宇宙へ行く夢を叶えるために。
そして、彼をそこで散骨してやるために。
打ち上げは無事成功した。
大気圏を越え地球が遠ざかる。
#red#気付けば砂時計の流れは止まり、中の遺灰がふわふわと浮かんでいた。#/red#
#red#「ついに…来たんだ」#/red#
#red#私は感激のあまり涙ぐんでいた。#/red#
思えばここまで長い道のりだった。
沢山の人に支えられてここまで来ることができた。
心残りがあるとすれば共に喜びを分かち合う者が一人少ないことか。
感慨にふけっていると、なんとなく違和感を感じ辺りを見回す。
するとさっきまで砂時計の中を漂っていた遺灰が、ピタリと静止していた。
「な、なんだ?」
困惑する私。
ふと後ろに気配を感じ振り返ると、宇宙船の窓際に見覚えのある人影があった。
ありえない。
しかし、共に夢を語ったその顔を見間違える筈はなかった。
彼は窓からただひたすらに地球を見ていた。
その瞳を見た時、ハッと気が付いた。
私は大きな間違いを犯すところだったのかもしれない。
「ああ、そうだよな。悪かった。」
私がそう呟くと彼は微かに笑みを浮かべ、霧のように消えていった。
再び砂時計に目を移すと、遺灰は何事もなかったようにその中を漂っていた。
宇宙での任務を終えた私は、大きな問題もなく地球へ帰還することができた。
そして今、この地平線を見渡せる丘に立っている。
私が気付いたこと。
それは、彼の望みとは#b#<宇宙へ行くこと>#/b#ではなく#b#<地球を眺めること>#/b#だったのではないか。
砂時計の蓋を開ける。
大きく深呼吸をしてから、中の遺灰を優しく撒く。
宇宙船での出来事は、夢か幻だったのかもしれない。
それでもきっと、私の親友はこの星が大好きだったから。
彼の夢は#b#<宇宙から地球を眺めること>#/b#だった。
しかし彼に不慮の事故が起こってしまった。
私が病院に駆けつけた頃には既に息を引き取っていた。
呆然とする私に彼の父から遺言が伝えられた。
「俺はもうダメらしい。お前だけでも夢を叶えるんだぞ。一緒に地球見たかったよ。」
私はその場に崩れ落ちた。
少し落ち着きを取り戻してから、私は彼の両親に頼み込み、彼の遺灰で砂時計を作らせてもらった。
#red#それから数年のちに私は夢の宇宙飛行士になることができた。#/red#
初任務の日、宇宙船に乗り込んだ私の傍には友の砂時計が留められていた。
共に宇宙へ行く夢を叶えるために。
そして、彼をそこで散骨してやるために。
打ち上げは無事成功した。
大気圏を越え地球が遠ざかる。
#red#気付けば砂時計の流れは止まり、中の遺灰がふわふわと浮かんでいた。#/red#
#red#「ついに…来たんだ」#/red#
#red#私は感激のあまり涙ぐんでいた。#/red#
思えばここまで長い道のりだった。
沢山の人に支えられてここまで来ることができた。
心残りがあるとすれば共に喜びを分かち合う者が一人少ないことか。
感慨にふけっていると、なんとなく違和感を感じ辺りを見回す。
するとさっきまで砂時計の中を漂っていた遺灰が、ピタリと静止していた。
「な、なんだ?」
困惑する私。
ふと後ろに気配を感じ振り返ると、宇宙船の窓際に見覚えのある人影があった。
ありえない。
しかし、共に夢を語ったその顔を見間違える筈はなかった。
彼は窓からただひたすらに地球を見ていた。
その瞳を見た時、ハッと気が付いた。
私は大きな間違いを犯すところだったのかもしれない。
「ああ、そうだよな。悪かった。」
私がそう呟くと彼は微かに笑みを浮かべ、霧のように消えていった。
再び砂時計に目を移すと、遺灰は何事もなかったようにその中を漂っていた。
宇宙での任務を終えた私は、大きな問題もなく地球へ帰還することができた。
そして今、この地平線を見渡せる丘に立っている。
私が気付いたこと。
それは、彼の望みとは#b#<宇宙へ行くこと>#/b#ではなく#b#<地球を眺めること>#/b#だったのではないか。
砂時計の蓋を開ける。
大きく深呼吸をしてから、中の遺灰を優しく撒く。
宇宙船での出来事は、夢か幻だったのかもしれない。
それでもきっと、私の親友はこの星が大好きだったから。