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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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カメコの家の玄関には、ペットボトルにさした花が飾ってある。
その隣には、何もささっていない花瓶がある。

いったいどういうことだろうか?


※ラテクエ65問題決定戦より、ごがつあめ涼花ちゃんの問題文をお借りしました。
http://sui-hei.net/mondai/show/23846
※ラテクエ65本戦は、本日6月25日(土)、26日(日)20時頃より開催されます。
16年06月25日 18:39
【ウミガメのスープ】 [ムク]

ごがつあめ涼花さんの問題文です




解説を見る
目立って美しい花瓶には、差し押さえの札が貼られていた。


道楽しか知らぬ父親が借金を重ねた末―借金という自覚もなく、軽いツケのつもりだったのかもしれない―
カメコの家は誰も気付かない内に、億を超える負債を抱えていた。
些細なきっかけでその事が知れ渡ったとたんに債権者が押し寄せ、最後に現れた執行官は家内の値打ち物を片っ端から差し押さえていった。

数日中にも全ての財産を失うことになり皆が打ち沈む中、カメコは花を飾る心を忘れず、庭で丹精していた百合を拾ったペットボトルに活けた。
使えない花瓶ならばいっそ片づけて花だけ置く方がすっきりすると思うものの、差し押さえられた家財は一切触ることも動かすことも禁じられている。

カメコは、夜になると戸口から見て花瓶から生えているかの様な角度に花を据え、朝には上がり框から花瓶と重なる位置にずらした。
最後の金策に駆け回る父母の目を少しでも慰められるように。
たんおめ!「3ブックマーク」
今日は待ちに待ったカメオの誕生日。
友人からはたくさんのプレゼントや、お祝いのメッセージが送られてきました。
カメオはとても喜びましたが、

【     カメオ 】
【  誕生日おめ】

というメッセージを見た途端、悲しそうな顔をしてしまいました。

いったいなぜでしょう?

【愛莉@京都love様にspをして頂きました。】
16年06月09日 23:28
【ウミガメのスープ】 [ごがつあめ涼花]



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カメオの誕生日。
友達の多かったカメオは誕生日プレゼントや【誕生日おめでとう‼】などのメールを多く受け取りました。
カメオもそれにとても喜び、プレゼントやメッセージをくれた人に感謝しました。

そして、その夜。

カメオの家では、カメオの誕生日を祝うために#b#誕生日ケーキ#/b#が買い、蝋燭を立てて既に祝い終え、カメオは今にもケーキを食べようとしています。

中でもカメオが食べたかったのは、

#b#【 カメオ    くん 】#/b#
#b#【  誕生日おめでとう! 】#/b#


という誕生日を祝うメッセージが書かれた#red#チョコレート#/red#でした。

カメオはチョコレートに手を伸ばします。

しかしその時。

「ママー僕あのチョコ食べたい!」

まだ幼いカメオの弟が、チョコを指差してこう言います。
当然、カメオの誕生日ですから、母親もそれを止めます。


「だめよーカメオの誕生日なんだから。」


しかし、弟は言うことを聞かず、駄々をこねます。

「いやだ食べたい食べたいー!!」

そしてついには母親もこれを見かね、

「しょうがないわね………カメオ、#red#チョコ半分分けてあげなさい。#/red#」

「えっ………」

カメオもこれには逆らえず、仕方なく弟にチョコを半分渡します。

カメオの手に残ったのは

【      カメオ 】
【   誕生日おめ】


という半分のみ。

カメオは(誕生日なのに………)と思い、悲しむのでした。



海亀骨董店【届かない銃弾】「3ブックマーク」
ここは海亀骨董店。

少しくすんだ骨董品が、ほこりのかぶったままに、雑然と並んでいる。

浮かない浮き輪、まばたきする絵、謎の毛玉、泡立った赤い液体の小瓶……などなど。

曰く付きの品からガラクタまで、所狭しとひしめいていた。

今日登場するのは【届かない銃弾】。

この銃弾を手にした男は、恨んでいた女を射殺したが、同じ銃弾に貫かれた瞬間、絶命したそうな。

いったい何があったのかねぇ?
16年06月07日 21:36
【ウミガメのスープ】 [風木守人]



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#red#残酷な描写あり。苦手な方は解説最下部の要約をお読みください#/red#


男は浮浪者だった。事業に失敗して大きな借金を背負い、気づけば、落ちるところまで落ちていた。

今日食うものにも困る身であったが、死ぬ勇気もなかった。何かこう、スパッと死ねるのなら死んでもいいか、という無気力な気持ちはあったが、踏ん切りがつかないでいた。

ある日男は雨をしのぐため、古い商店の軒先に座っていた。最近よく世話になっている商店だ。

店主らしい老婆は不気味だが、何も文句は言わないため、よく雨宿りさせてもらっている。男は暇つぶしに、商店の中を覗いた。

浮かない浮き輪、まばたきする絵、謎の毛玉、泡立った赤い液体の小瓶……不気味なものばかり売っている。

「【届かない銃弾】?」

その中でも、ひとつの銃弾が男の目にとまった。長さは8センチほどか。ライフルの弾のように見える。

「……実弾じゃねーか!」

男は事業に失敗する前に、あまりよろしくない筋の者と懇意にしていたこともあり、それが実弾であることを見抜いた。

男は店の奥を見た。丁度、店主らしい老婆は奥に行ったらしく、姿が見えなかった。

「仕方ねぇな」

男は悪いと思いながらも、それを盗むことにした。男はこんな身になっても、義理というものを重んじる性分であった。
一宿の恩とでも言うべきか。男は勝手にではあるが、雨宿りさせてもらっている身である。

これだけ堂々と売っているということは、老婆はこれが実弾だと気付いていないのだろう。見つかれば、逮捕されてしまうかもしれない。買ってやれれば一番だが、さすがにお金がなかった。

男は雨が上がるのを見計らって、【届かない銃弾】を盗み、何食わぬ顔で店を後にした。

それからしばらくして。
生活に窮した男は、本当に死ぬことにした。その時、弾丸のことを思い出して、利用することを思いついた。
浮浪者仲間に頼んで、【届かない銃弾】を撃ってもらうことにしたのだ。なけなしの全財産を報酬にして。

使うのは金槌だ。撃鉄の代わりに、コンクリートの隙間に固定した銃弾の後ろを叩く。
パン、と乾いた音とともに、雷管が破裂して銃弾が発射された。男の額に向かって一直線に。

「な、に……!?」

しかし、銃弾は男に届かなかった。発射された銃弾は、男の目の前、50センチほど離れた場所で静止していた。

まさしく、【届かない銃弾】だ。男はニヒルに笑った。
そして、約束通り浮浪者仲間に全財産を支払って、途方にくれた。服だけは勘弁してもらった。

男はそれから、銃弾を観察してみた。銃弾はどうやら回転しているようだが、こちらに向かってこない。男が一歩近づくとそれだけ離れ、一歩離れるとその分近づいてくる。一定の距離を保っているのだ。

男は次に銃弾に触れてみた。

「うぺぎょ!?」

すごい声が出た。指から血がほとばしった。威力は残っているらしい。

「くそったれ! おっと、待てよ。これを利用すれば……!」

男はある計画を思いついた。

男には恨んでいる女がいた。そいつに騙されたために、男はこんな明日もわからぬ身になってしまったのだ。

恨んでいる女が行きつけのバーに、男は張り込んだ。2日も待った頃、女が現れた。

男に気づいた女はヘラヘラ笑いながら、男に近づいた。

「まあ! まあまあまあ! 誰かと思えば貴方、どうしたんです? お金をせびりにでも来ましたか?」

酔っ払っているのだろう。無駄にテンションが高い女に、男は両手を広げて近づいた。抱擁のためではない。何も持っていないアピールだった。

「あれれぇー?」

女は何かが、男の目の前に飛んでいることに気づいたが、虫か何かだと思ったのだろう。すぐに目を男に移した。

その隙に、男は銃弾を女の背後に回すと、女から距離をとった。
銃弾に貫かれた女の頭が、弾け飛んだ。周囲が急に騒がしくなった。すぐに警察が来た。男は警察署に連れて行かれた。

しかし、程なくして釈放された。
そもそも、この銃弾は男が撃ったものではない。硝煙反応でそれが証明できた。また、どういう原理かわからないのだから、男が意図的に女を殺したとも証明できなかった。男に向かって誰かが撃った銃弾が、偶然女に当たったとも考えられた。

極め付けに、これが凶器だという証拠もなかった。何せ、どうやっても男から離れず、銃弾としての殺傷能力はあるため、調べられないのだ。

男はそのあともしばらく無気力に生きていた。恨みが晴れたかどうかはなんとも言えなかったが、晴れやかな気分ではなかった。
それに男は最近、銃弾が近づいてきていることに気がついていた。もう、あと20センチ程で、男の頭に命中する。

そして、男には【届かない銃弾】の本当の意味が、なんとなく理解できていた。












生きている間には【届かない銃弾】。おそらく、銃弾との距離は男の……。





要約

男は【届かない銃弾】を使って自殺しようとした。しかし、銃弾は途中で静止し、それ以上進もうとしない。
男はその銃弾に殺傷能力があることに気がついて、静止した弾丸にかねてから恨んでいる女を当てて、射殺した。しかし、弾丸は男の近くで静止したまま、どうしても取り除けず、凶器として提出できない。また、男が撃ったものでもなく、男が意図的に殺したことも証明できないため、男は逮捕されなかった。
しかし、ある日その銃弾が自分に近づいてきていることに男は気づいた。
その銃弾は、男が死ぬ瞬間に、男を射抜く、生きている間には届かない銃弾だったのだ。
女心はうつろうもの「3ブックマーク」
ある手術を受けた女は、麻酔から目覚めてほどなくして、手術にまつわる説明を受けた。
#red#すると女は、「私はもう死ぬ!」と叫んで暴れた。#/red#

しかし数日を経て平静に戻った後は、二度と死ぬとは言いださなかった。
そして、一月もしないうちに退院していった……健康体で。

なぜ女は「私は死ぬ」と叫び暴れたのか。なお、病気や薬で精神状態が一時的に異常だったわけではない。
16年06月05日 21:28
【ウミガメのスープ】 [ゴトーレーベル]

心は揺れる。29問目。




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その初老に近い婦人は、退院後、経過を確認するために外来を訪れる。


「その後心臓の調子はどうですか」

「はい。……息子の心臓は問題ありません」

「そうですか。……移植待ちのあなたに心臓を提供したのが事故にあった息子さんというのは悲劇でしたが、息子さんもあなたを守ってくれているのでしょう」

「そうなのでしょうか……そうなのでしょうね。ところで先生、臓器の提供元を知らせるのは規則違反だったのでしょう?」

「……ええ。ご内密に願いますよ。ただ、最愛の息子さんが亡くなったということを聞いて、あなたが絶望することは目に見えていましたので……あなたが死んだら息子さんの心臓まで死んでしまうことはお知らせしなければと思ったのです」


そして診療を終えた婦人は帰っていく。胸の中にいる息子と二人で。
王将一駒 vs 飛車角金銀「3ブックマーク」
勝負というのは、戦って初めて白と黒が分かれるものだが、
私の場合は、勝負が始まる前から負けが確定していた。
友人が居れば変わっていたかもしれないのに………

なぜ負けが確定していたのか?
16年02月02日 22:40
【ウミガメのスープ】 [ごがつあめ涼花]



解説を見る
受験当日のとこである。
満を持して会場に来た筈だった涼花は、だがリュックの中を見て驚愕した。

「ふ で ば こ が な い 」

#red#受験に筆箱を忘れる#/red#。痛恨のミスである。
しかも周辺には、#b#鉛筆を貸してくれるであろう友人の一人もいない。#/b#

まさに始まる前から負けが確定していた涼花は、試験監督に土下座をしに行くのであった。

受験というのはテスト単位の勝負ではなく、自分との勝負なのだとしみじみ思った。


#red#この物語はフィクションではありません。#/red#