みんなのブックマーク

「先生、締め切り過ぎていますよ！　早く世間をアッと言わせられる作品を書いてください！」
　編集者が急かしてくる。　
　――そうだ、とカメオの脳裏に一筋の光が差し込む。
　ミステリの禁忌、多重人格である。同時に双子トリックにして、主人公を犯人にすれば、一気に「世間をアッと言わせる作品」の出来上がりだ。そうだ、超能力で殺したことにしよう。
　――Amaz○n民が大激怒して、カメオは☆１評価をたくさん手に入れた。
　もちろん絶版になり、亀田カメオの名前は世の中から消えた。

【ポイント】
　カメオはミステリ界で禁忌とされている犯人を用意した。そのせいで悪評価を得て、出版社から干された。

とある海の見えるレストランでウミガメのスープを

飲もうと店を訪れたカメオ。


こじんまりとした店で、手書きのメニュー看板がいい味を出していた。
ふと看板の横を見ると小さなベビーカーが一つ。


店内を覗くと若い夫婦と幼い赤ん坊が一人


特に禁止されているわけではないが
カメオは回れ右をして

「火を付けたばかりのタバコ」を口に咥え


時間つぶしに海岸を散歩する為
通ってきた一本道を少し引き返すことにした。

ある館で行われるパーティーに招待された探偵の『az QQS　しおまる』

猛吹雪の為、期日までに館へたどり着けず
結局到着したのは数日が過ぎてからだった。

一人遅れて会場のロビーへと進んだ探偵　はそこで
館の主であるカメオが遺体となっているのを発見する。

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吹雪に見舞われ数日

寒さ、飢え、ストレスが館の住人達を襲う。

空腹に限界を感じたカメオは遂に言ってはいけない一言を発した

「誰か一人を殺して食料にしよう」

その後はただひたすらに罵詈雑言が続いた、

お前となんか結婚しなければよかった
お前たち夫婦が吹雪を連れてきたんだろ
お前が死んだところで代わりは沢山いる
お前が生き延びれば人肉シェフとして一生を過ごしてもらう
お前はそもそもなんで生きているんだ、食べられない草しか扱えないくせに

「お前ら全員俺の為に死ねばいいんだ！」

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『最後にひとつ聞かせてください、カメオさんは最低の人間でしたか？』

その質問には全員YESと答えた。

えっ？お客さんはカメコのこと見てたわけじゃない？
カメコのショーを見て喜んでたわけじゃないの？
えっ？えっ？？だからショーを降ろされたって？


以下、イルカの権兵衛（10歳オス）の話

あぁ、あの新入りの姉ちゃんね。
悪い奴じゃないんだろうけどさぁ。
かわい子ぶってるのか手の振りが小さいし、笛の音も「ピュィ〜…」みたいな間抜けな音しか出さないし、観客の方ばっかり見てて俺と目を合わそうとしないし、
とにかく指示がわかりにくいんだよな。
なーんか、舞い上がって自分が主役だと勘違いしてんじゃないかなぁ。
俺もまぁ？プロだから？
指示がテキトーでもそれなりのパフォーマンスは出来るよ？
でもモチベーションが下がっちゃうんだよね。どうしても。

その点、昔から一緒にやってたカメ代さんは抜群だよね。
指示も的確、アイコンタクトもバッチリ。
俺もガンガン気合い入れてジャンプしちゃうわけよ。
ホント、カメ代さんが戻ってきてくれて良かったよ〜。

ま、あの新入りも反省してるみたいだけどな。
どうやらガツンとダメ出しした奴がいたらしいぜ…。

目立って美しい花瓶には、差し押さえの札が貼られていた。


道楽しか知らぬ父親が借金を重ねた末―借金という自覚もなく、軽いツケのつもりだったのかもしれない―
カメコの家は誰も気付かない内に、億を超える負債を抱えていた。
些細なきっかけでその事が知れ渡ったとたんに債権者が押し寄せ、最後に現れた執行官は家内の値打ち物を片っ端から差し押さえていった。

数日中にも全ての財産を失うことになり皆が打ち沈む中、カメコは花を飾る心を忘れず、庭で丹精していた百合を拾ったペットボトルに活けた。
使えない花瓶ならばいっそ片づけて花だけ置く方がすっきりすると思うものの、差し押さえられた家財は一切触ることも動かすことも禁じられている。

カメコは、夜になると戸口から見て花瓶から生えているかの様な角度に花を据え、朝には上がり框から花瓶と重なる位置にずらした。
最後の金策に駆け回る父母の目を少しでも慰められるように。