「夢を照らすは天の日」「3ブックマーク」
少女はお願いごとをした。
たくさん、たくさんの願いごと。
大勢の人に不気味がられた。
でも少女にはそんなこと知る由もなかった。
しばらくが経ちました。
少女はお願いごとを忘れてしまったでしょうか。
それとも全てしっかり覚えていて、日々邁進しているでしょうか。
私にはわかりません。
でも確かに一つだけ、少なくともその一つだけは実現できませんでした。
その実現できなかったことは、一体なんなのでしょう。状況も合わせてお答えください。
たくさん、たくさんの願いごと。
大勢の人に不気味がられた。
でも少女にはそんなこと知る由もなかった。
しばらくが経ちました。
少女はお願いごとを忘れてしまったでしょうか。
それとも全てしっかり覚えていて、日々邁進しているでしょうか。
私にはわかりません。
でも確かに一つだけ、少なくともその一つだけは実現できませんでした。
その実現できなかったことは、一体なんなのでしょう。状況も合わせてお答えください。
15年07月31日 02:04
【ウミガメのスープ】 [カッパコ]
【ウミガメのスープ】 [カッパコ]
解説を見る
「なんでこのダルマさん、片目なの?」
「これは「願掛け」と言ってね、お願いごとしながらまずダルマの『左目』を描くんだ。
そしてこのダルマを見ながら、よし絶対叶えてやるぞ、って毎日頑張るんだよ。
そして最後に、願いごとが叶ったらお礼として『右目』を描いてあげるんだ」
「わたしもやる!」
では準備だ!
帽子よし
手袋よし
ブーツよし
ジャンパーよし
忘れちゃいけない、カイロよし
準備万端、防寒対策、小春日和の達磨日和!
公園に向かう少女。
もちろん彼女は今から『雪ダルマ』製造機と化す。公園は工場で工房です。
たくさん願いごとしながら雪玉を転がす少女。
たくさん雪ダルマ、できました。
にっこり微笑み、左目だけ。
バケツ帽子に、左目だけ。
腕四本に、左目だけ。
アメリカンでも、左目だけ。
ギョロ目、左目。
数、多め。
こんなに像ばかり作るとは北からやって来た将軍様もびっくり。
「参った、こちらも爆弾を作れ。とびきりの低気圧だ。
できなかった奴はシベリア送りだ」
そんなこんなでしばらく経ったら、雪に埋もれたり溶けたりで、雪ダルマは無くなった。ついに『右目』を入れることだけはなかったのだ。
@この雪ダルマ群が不気味すぎる。なんで片目しかないの イイね137
@めっちゃ近所だ…まぢ怖すぎ、引っ越そ… イイね52
@行ってみたww超ブリザードwww イイね43
少女はSNSアカウントなど持ってない。
要約:
ダルマではなく雪ダルマで願掛けをした。それも大量に。
装飾してあるのになぜか片目のみなので、不気味がられた。
所詮は雪ダルマ、願いが叶う前に消えてしまった。
『ダルマに右目を入れること』は実現できなかった。
「これは「願掛け」と言ってね、お願いごとしながらまずダルマの『左目』を描くんだ。
そしてこのダルマを見ながら、よし絶対叶えてやるぞ、って毎日頑張るんだよ。
そして最後に、願いごとが叶ったらお礼として『右目』を描いてあげるんだ」
「わたしもやる!」
では準備だ!
帽子よし
手袋よし
ブーツよし
ジャンパーよし
忘れちゃいけない、カイロよし
準備万端、防寒対策、小春日和の達磨日和!
公園に向かう少女。
もちろん彼女は今から『雪ダルマ』製造機と化す。公園は工場で工房です。
たくさん願いごとしながら雪玉を転がす少女。
たくさん雪ダルマ、できました。
にっこり微笑み、左目だけ。
バケツ帽子に、左目だけ。
腕四本に、左目だけ。
アメリカンでも、左目だけ。
ギョロ目、左目。
数、多め。
こんなに像ばかり作るとは北からやって来た将軍様もびっくり。
「参った、こちらも爆弾を作れ。とびきりの低気圧だ。
できなかった奴はシベリア送りだ」
そんなこんなでしばらく経ったら、雪に埋もれたり溶けたりで、雪ダルマは無くなった。ついに『右目』を入れることだけはなかったのだ。
@この雪ダルマ群が不気味すぎる。なんで片目しかないの イイね137
@めっちゃ近所だ…まぢ怖すぎ、引っ越そ… イイね52
@行ってみたww超ブリザードwww イイね43
少女はSNSアカウントなど持ってない。
要約:
ダルマではなく雪ダルマで願掛けをした。それも大量に。
装飾してあるのになぜか片目のみなので、不気味がられた。
所詮は雪ダルマ、願いが叶う前に消えてしまった。
『ダルマに右目を入れること』は実現できなかった。
「雑音」「3ブックマーク」
HAL2000は耳障りな音を聞いたので、身なりを整えようと思った。
いったいどういうことか?
いったいどういうことか?
15年07月27日 21:38
【ウミガメのスープ】 [HAL2000]
【ウミガメのスープ】 [HAL2000]

皆さんお久しぶりです。実話でございます。
解説を見る
HAL2000がピアノを弾いていると、伸びていた爪が鍵盤に当たって「カツカツ」という音を立てたので耳障りに思い、爪を切ろうと思ったのである。
「「今日、親居ないんだ」」「3ブックマーク」
「今日、親居ないんだ」
と言う彼女の家に上がった僕は親に会った。
一体何故?
※ノーネームさんのです。
※本戦は7月25日(土)、7月26日(日)
詳しくは
http://sui-hei.net/mondai/show/17299
と言う彼女の家に上がった僕は親に会った。
一体何故?
※ノーネームさんのです。
※本戦は7月25日(土)、7月26日(日)
詳しくは
http://sui-hei.net/mondai/show/17299
15年07月23日 23:09
【ウミガメのスープ】 [Ratter]
【ウミガメのスープ】 [Ratter]

一言コメント欄
解説を見る
僕カメオ。
高校を卒業し、地元から離れての大学生活を4年過ごし、
地元の幼稚園に保父として就職して戻ってきた22歳だ。
今日からまた実家ぐらし。
高校生当時少し憧れていたカメコもまだ近所の家で実家ぐらしを続けているらしい。
明日からはまたご近所になるということで、今日は戻ってきた挨拶がてらカメコの家を訪れていた。
ちょっとドキドキしながら、インターフォンのボタンを押すと
懐かしい声が聞こえ始めた。
「あれ~カメオ?こっち戻ってきたの?」
「あ、うん。こっちで保育園に勤めることになって。で今日は挨拶に」
「へ~そうなんだ。あ、そうだ、今日、親居ないんだ。ちょうどいいからあがってよ」
ドキン、胸が高鳴る。
親が・・いない・・だと?
「え・・」
「いいからいいから、いまドア開けるね~」
こうして、挨拶だけのつもりが彼女の家の居間にあげられた僕が見たものは・・
「ま~~ま~~」
三歳児くらいと思われるちっちゃな子供が一人。
「え?」
「あれ?言ってなかったっけ?これ・・あたしの娘。高校卒業してすぐ羅輝原先生と結婚して産んだんだよねぇ」
「え~~~~!?!?!」
「まあ、すぐ別れて今はシングルマザーなんだけどね。」
「え?じゃあ親が居ないてねのは・・この子の父おy・・」
「んにゃ、あたしの親のことね。今日親いないの忘れてて、遊びに行く約束しちゃったんだよね~、いつもは親にこいつ預けて遊びに行ってんだけどね?さすがに一人で留守番させるのはまずいかなーと」
「え・・え・??」
「いや、本職の保父さんが訪ねて来るなんて、グッドタイミングだね!じゃ、留守番よろしく!まさか本職が子供無視してバックレるとかしないよね~~?」
抗議するまもなく彼女は出かけていった。
こうして、地元に帰ってきた僕は、当時憧れていた同級生女子の娘を子守をしつつ留守番をすることになった。我ながら情けない。
・・・しばらくして・・・
ピンポーン♪
げ・・家の人誰も居ないのに来客かよ・・
仕方なく玄関に向かうと・・そこには羅輝原先生が突っ立っていた・・
「え・・?」
「え??」
「ぱ~~ぱ~~」
話を聞いてみると・・
別れてからこの方、カメコは羅輝原先生を遠ざけているようで娘にも会うことができていないらしい。
そこで、いつもは元教え子のカメコの元クラスメートにたのんでカメコを遊びに連れ出してもらい、
カメコの居ない間だけ娘とあっているのだそうな・・
(いつもならカメコの親が留守番・子守をしてるのだが、先生は義父・義母とは別に仲が悪くないそうで・・いつもは快く受け入れられているのだそうな)
と、いうわけで、
カメコの親がたまたま不在で留守番&子守を押し付けられた僕は
カメコの娘の親(父)と、家主が居ない家の玄関で対面することになったのであった。
おわり
高校を卒業し、地元から離れての大学生活を4年過ごし、
地元の幼稚園に保父として就職して戻ってきた22歳だ。
今日からまた実家ぐらし。
高校生当時少し憧れていたカメコもまだ近所の家で実家ぐらしを続けているらしい。
明日からはまたご近所になるということで、今日は戻ってきた挨拶がてらカメコの家を訪れていた。
ちょっとドキドキしながら、インターフォンのボタンを押すと
懐かしい声が聞こえ始めた。
「あれ~カメオ?こっち戻ってきたの?」
「あ、うん。こっちで保育園に勤めることになって。で今日は挨拶に」
「へ~そうなんだ。あ、そうだ、今日、親居ないんだ。ちょうどいいからあがってよ」
ドキン、胸が高鳴る。
親が・・いない・・だと?
「え・・」
「いいからいいから、いまドア開けるね~」
こうして、挨拶だけのつもりが彼女の家の居間にあげられた僕が見たものは・・
「ま~~ま~~」
三歳児くらいと思われるちっちゃな子供が一人。
「え?」
「あれ?言ってなかったっけ?これ・・あたしの娘。高校卒業してすぐ羅輝原先生と結婚して産んだんだよねぇ」
「え~~~~!?!?!」
「まあ、すぐ別れて今はシングルマザーなんだけどね。」
「え?じゃあ親が居ないてねのは・・この子の父おy・・」
「んにゃ、あたしの親のことね。今日親いないの忘れてて、遊びに行く約束しちゃったんだよね~、いつもは親にこいつ預けて遊びに行ってんだけどね?さすがに一人で留守番させるのはまずいかなーと」
「え・・え・??」
「いや、本職の保父さんが訪ねて来るなんて、グッドタイミングだね!じゃ、留守番よろしく!まさか本職が子供無視してバックレるとかしないよね~~?」
抗議するまもなく彼女は出かけていった。
こうして、地元に帰ってきた僕は、当時憧れていた同級生女子の娘を子守をしつつ留守番をすることになった。我ながら情けない。
・・・しばらくして・・・
ピンポーン♪
げ・・家の人誰も居ないのに来客かよ・・
仕方なく玄関に向かうと・・そこには羅輝原先生が突っ立っていた・・
「え・・?」
「え??」
「ぱ~~ぱ~~」
話を聞いてみると・・
別れてからこの方、カメコは羅輝原先生を遠ざけているようで娘にも会うことができていないらしい。
そこで、いつもは元教え子のカメコの元クラスメートにたのんでカメコを遊びに連れ出してもらい、
カメコの居ない間だけ娘とあっているのだそうな・・
(いつもならカメコの親が留守番・子守をしてるのだが、先生は義父・義母とは別に仲が悪くないそうで・・いつもは快く受け入れられているのだそうな)
と、いうわけで、
カメコの親がたまたま不在で留守番&子守を押し付けられた僕は
カメコの娘の親(父)と、家主が居ない家の玄関で対面することになったのであった。
おわり
「人それぞれに」「3ブックマーク」
カメコは必ず男物の靴を買う。
何故なら靴のデザインに不満があるかららしい。
と、いう割にはカメコはカメミやラテコの靴を羨ましがる。
一体何故?
何故なら靴のデザインに不満があるかららしい。
と、いう割にはカメコはカメミやラテコの靴を羨ましがる。
一体何故?
15年06月26日 12:57
【ウミガメのスープ】 [佐山]
【ウミガメのスープ】 [佐山]
解説を見る
カメコの足が小さいから。
21.5cmの運動靴とか、ジュニア向けしかおいてないのよ!
仕方がないのでカメコは男児向けの、P○MAの黒い靴を買う。
何で女児向けの運動靴って、キラキラカラフルラメの如何にもなお子様向けしか無いの!?
あー、普通にレディースサイズの靴が履ける他のみんなが羨ましい。
(実話)
21.5cmの運動靴とか、ジュニア向けしかおいてないのよ!
仕方がないのでカメコは男児向けの、P○MAの黒い靴を買う。
何で女児向けの運動靴って、キラキラカラフルラメの如何にもなお子様向けしか無いの!?
あー、普通にレディースサイズの靴が履ける他のみんなが羨ましい。
(実話)
「【無茶振り三題噺15】だから気づかなかった 海の終わり」「3ブックマーク」
カメオは、飯屋の裏の穴場スポットでつりをしていた。
その日はゴミばかりつり革の財布も針にかかった。
臭いは酷いが、財布の中には現金が入っていた。
魔がさしたカメオは消臭剤をふりかけて財布を持ち帰ったが、
結局、考え直して交番に財布を届ける事にした。
知らせを受けて駆けつけた男は、財布を手に取り確認した後、自殺した。
一体、どういう事だろう?
------------------------------------ーー--ー
※この問題は「飯屋の裏」「つり革」「消臭剤」のお題をもとに作られた三題噺の問題です。
~無茶振り三題噺とは?~
「三つのキーワードから問題を作ろう」という企画です。
詳しくは、掲示板『ラテシンチャットルーム』の『無茶振り三題噺』をご覧ください。
------------------------------------ーー--ー
その日はゴミばかりつり革の財布も針にかかった。
臭いは酷いが、財布の中には現金が入っていた。
魔がさしたカメオは消臭剤をふりかけて財布を持ち帰ったが、
結局、考え直して交番に財布を届ける事にした。
知らせを受けて駆けつけた男は、財布を手に取り確認した後、自殺した。
一体、どういう事だろう?
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※この問題は「飯屋の裏」「つり革」「消臭剤」のお題をもとに作られた三題噺の問題です。
~無茶振り三題噺とは?~
「三つのキーワードから問題を作ろう」という企画です。
詳しくは、掲示板『ラテシンチャットルーム』の『無茶振り三題噺』をご覧ください。
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14年10月14日 12:44
【ウミガメのスープ】 [みん]
【ウミガメのスープ】 [みん]

ocean view
解説を見る
男は、1ヶ月前に失踪した友人の船場を探していた。
ある日、船場の親戚から「彼の財布が見つかった」と連絡が入った。
免許証から船場の財布とわかったのだが、彼の行方はわからないままだった。
財布の中には、レストランのレシートが入っていた。
財布が見つかった海の近くのレストランだ。
レシートの日付も、行方不明になった日だった。
男は、手がかりを得る為にレストランに向かった。
船場の写真を見せると、ウエイターはよく覚えていると頷いた。
注文したスープを飲んだ船場は、シェフを呼んで、
「これは本当にウミガメのスープか?」と何度も確認していたそうだ。
シェフが間違いないと答えると、彼は蒼白になって帰って行ったという。
男には、それで全てわかった。
船場はあの事に気づいてしまったのだと。
船場夫婦と男は、数ヶ月前に一緒に船旅に出た。
嵐に巻き込まれ、気づいた時には無人島に漂流していた。
一緒に流れ着いた乗客は数名のみ。
食べる物もなく助けが来る見込みもない。
絶望感漂う中で、船場の妻の海子は亡くなってしまった。
妻を失った船場も気力を失い、どんどん衰弱していった。
船場まで死なせてなるものか。
男は、震える手で海子の遺体を調理した。
海子には申し訳ないが、船場の為だ。許してくれ…
海子を食べるくらいなら、船場は迷わず死を選ぶだろう。
それは男にもよくわかっていたが、それでも生きていて欲しかった。
男はウミガメのスープと言って、船場に海子のスープを飲ませた。
なんとか生き延びた二人は、後に無事救助された。
療養生活を経て、やっと日常へ戻れたはずだった。
だが、船場は気づいてしまった。
あの時のスープが何でできていたのかを。
その事実に耐えられなくなって、彼は自殺したのだろう。
友人を恨み、自分を呪って最期まで苦しんだに違いない。
男のした事は、結局エゴでしかなかったのだ。
嘘をつくのなら、最後まで責任を持つべきだった。
後悔した男は船場と海子に詫び、崖下に身を投じた。
その様子を見守っていた船場は、強張った肩を弛緩させた。
カメオに金を握らせ、交番に財布を届けさせたのは船場だ。
船場の思惑通り、友人は自殺した。
ほっとしたのと同時に、言い知れぬ虚無感が襲う。
友人は責任感の強い男だった。
それは船場もよく知っている。
だからこそ、船場の計画は成功したのだ。
だからこそ、友人は船場の命を救った。
一生、重い秘密を抱える事も厭わずに。
だが船場は、どうしても許せなかった。
何も知らずに、海子を食べてしまった自分。
助かって良かったと、少しでも思ってしまった自分を。
命と引き換えに、耐え難い苦痛を自分に与えた友人を。
救ってくれなんて頼んだ覚えはない。
あの時、死なせてくれれば良かったんだ。
そうすれば、こんな事せずにすんだのに…
船場は、静かに目を閉じた。
波の音を聞きながら、大きく息を吐く。
ーー海子、待たせてすまない…
彼の体は宙を舞い、飛沫と共に海へ消えていった。
【要約】
失踪した友人の財布の中のレシートを見て、男は友人の足取りを追った。
遭難時に、男は友人にウミガメのスープと偽り、彼の妻のスープを食べさせた事がある。
友人は、本物のウミガメのスープを食べて真実に気づき自殺した。
そう思った男は、友人の死に責任を感じて自らも友人の後を追った。
ある日、船場の親戚から「彼の財布が見つかった」と連絡が入った。
免許証から船場の財布とわかったのだが、彼の行方はわからないままだった。
財布の中には、レストランのレシートが入っていた。
財布が見つかった海の近くのレストランだ。
レシートの日付も、行方不明になった日だった。
男は、手がかりを得る為にレストランに向かった。
船場の写真を見せると、ウエイターはよく覚えていると頷いた。
注文したスープを飲んだ船場は、シェフを呼んで、
「これは本当にウミガメのスープか?」と何度も確認していたそうだ。
シェフが間違いないと答えると、彼は蒼白になって帰って行ったという。
男には、それで全てわかった。
船場はあの事に気づいてしまったのだと。
船場夫婦と男は、数ヶ月前に一緒に船旅に出た。
嵐に巻き込まれ、気づいた時には無人島に漂流していた。
一緒に流れ着いた乗客は数名のみ。
食べる物もなく助けが来る見込みもない。
絶望感漂う中で、船場の妻の海子は亡くなってしまった。
妻を失った船場も気力を失い、どんどん衰弱していった。
船場まで死なせてなるものか。
男は、震える手で海子の遺体を調理した。
海子には申し訳ないが、船場の為だ。許してくれ…
海子を食べるくらいなら、船場は迷わず死を選ぶだろう。
それは男にもよくわかっていたが、それでも生きていて欲しかった。
男はウミガメのスープと言って、船場に海子のスープを飲ませた。
なんとか生き延びた二人は、後に無事救助された。
療養生活を経て、やっと日常へ戻れたはずだった。
だが、船場は気づいてしまった。
あの時のスープが何でできていたのかを。
その事実に耐えられなくなって、彼は自殺したのだろう。
友人を恨み、自分を呪って最期まで苦しんだに違いない。
男のした事は、結局エゴでしかなかったのだ。
嘘をつくのなら、最後まで責任を持つべきだった。
後悔した男は船場と海子に詫び、崖下に身を投じた。
その様子を見守っていた船場は、強張った肩を弛緩させた。
カメオに金を握らせ、交番に財布を届けさせたのは船場だ。
船場の思惑通り、友人は自殺した。
ほっとしたのと同時に、言い知れぬ虚無感が襲う。
友人は責任感の強い男だった。
それは船場もよく知っている。
だからこそ、船場の計画は成功したのだ。
だからこそ、友人は船場の命を救った。
一生、重い秘密を抱える事も厭わずに。
だが船場は、どうしても許せなかった。
何も知らずに、海子を食べてしまった自分。
助かって良かったと、少しでも思ってしまった自分を。
命と引き換えに、耐え難い苦痛を自分に与えた友人を。
救ってくれなんて頼んだ覚えはない。
あの時、死なせてくれれば良かったんだ。
そうすれば、こんな事せずにすんだのに…
船場は、静かに目を閉じた。
波の音を聞きながら、大きく息を吐く。
ーー海子、待たせてすまない…
彼の体は宙を舞い、飛沫と共に海へ消えていった。
【要約】
失踪した友人の財布の中のレシートを見て、男は友人の足取りを追った。
遭難時に、男は友人にウミガメのスープと偽り、彼の妻のスープを食べさせた事がある。
友人は、本物のウミガメのスープを食べて真実に気づき自殺した。
そう思った男は、友人の死に責任を感じて自らも友人の後を追った。