「たばこ」「2Good」
カメタ「ねえ、おとうさん。」
カメオ「んん?どうした?」
カメタ「ぼく、、あのたばこをすっちゃだめ?」
カメオ「何言っているんだ!カメタはまだ子どもだから、、」
カメタ「おとうさんみたいにかっこよくなりたいんだ」
カメオ「、、(-。-)y-゜゜゜あのな、、お前にはまだ未来があるんだ。絶対にだめだ。」
カメタ「じゃあぼくがおとなになったら?」
カメオ「だめだ。」
何故?
カメオ「んん?どうした?」
カメタ「ぼく、、あのたばこをすっちゃだめ?」
カメオ「何言っているんだ!カメタはまだ子どもだから、、」
カメタ「おとうさんみたいにかっこよくなりたいんだ」
カメオ「、、(-。-)y-゜゜゜あのな、、お前にはまだ未来があるんだ。絶対にだめだ。」
カメタ「じゃあぼくがおとなになったら?」
カメオ「だめだ。」
何故?
15年05月20日 23:55
【ウミガメのスープ】 [driving]
【ウミガメのスープ】 [driving]
解説を見る
カメタ「でもぼくおとうさんみたいに#red#ぷろのすり#/red#になりたいんだ!ぼく、#red#あのひとのぽっけにはいっているたばこすれる#/red#よ!」
カメオ「だめだ!お前を俺と同じ#red#犯罪者#/red#にするわけにはいかないんだよ、、」
カメタ「そんなこといってすりかたおしえたじゃないか。」
カメオ「、、カメタ、、俺はもう母さんにお前を幸せにするって約束してるんだよ、、言う事聞いてくれるか?」
カメオ「だめだ!お前を俺と同じ#red#犯罪者#/red#にするわけにはいかないんだよ、、」
カメタ「そんなこといってすりかたおしえたじゃないか。」
カメオ「、、カメタ、、俺はもう母さんにお前を幸せにするって約束してるんだよ、、言う事聞いてくれるか?」
「【NO ONE】」「2Good」
夏休みも終盤なのに、夏休みの宿題がまだのこっているから大丈夫だと言う少年。
宿題を一気にやらなければ間に合わない状況だというのに、
少年は一体なぜ大丈夫などと言ったのだろうか?
宿題を一気にやらなければ間に合わない状況だというのに、
少年は一体なぜ大丈夫などと言ったのだろうか?
15年08月17日 22:49
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
解説を見る
少年が言った【大丈夫】とは、
宿題が間に合うかどうかの話ではない。
少年『夏休みの宿題がまだの子っていっぱいいるから大丈夫だよ!
僕だけがやってない訳じゃないもん!!!』
クラスメイトとの現状比較の話である。
宿題が間に合うかどうかの話ではない。
少年『夏休みの宿題がまだの子っていっぱいいるから大丈夫だよ!
僕だけがやってない訳じゃないもん!!!』
クラスメイトとの現状比較の話である。
「蛮勇親知らず」「2Good」
銀行強盗の人質の一人・神原が、脅しのためのモデルガンに屈せず反撃に出ることができたのは、彼が直前に親知らずを抜いていたおかげだという。
いったいどういうことだろう?
いったいどういうことだろう?
17年04月06日 02:54
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
解説を見る
歯科で親知らずを抜いてもらった帰り道、神原は銀行にふらりと立ち寄った。
番号札が呼ばれるのを待っているとき、
#big5#「お前ら大人しくしろ! 強盗だ!」#/big5#
男の叫ぶ声が聞こえた。
見ると、ヘルメットを被った男が拳銃を構えて立っている。
騒然とする市民たち。銃を向けられ、皆、血相を変えて押し黙る。
神原は思った。
こんなドラマみたいな状況に巻き込まれるなんて、#red#夢じゃないだろうか#/red#。
#red#彼は頬をつねってみた。痛みは全く無かった。#/red#
そうか、これは夢なんだ。
夢であれば何も怖がることなんてない。
神原は犯人の方へ近づいていく。
「お、おい、てめえ! 状況わかってんのか!?」
「わかってるさ」
神原は自分に向けられた銃口を叩き落とした。
「なっ……」
予想外の展開に怯んだのか、強盗に隙ができた。
背後にいた行員の一人が、その隙を見逃さなかった。
果敢に飛び掛ると、犯人を押し倒し、馬乗りになった。
数分後、警察官が到着する頃には、犯人はロープでぐるぐる巻きにされていた。
神原はその時に至って、#red#抜歯の際の麻酔で自分の頬の感覚が麻痺している#/red#ということに気付き、失禁した。
#big5#【要約解説】#/big5#
#b#銀行強盗に巻き込まれた神原は、夢かどうか確かめるため頬をつねった。#/b#
#b#その頬は直前の抜歯の際の麻酔の影響で麻痺しており、痛みは全く無かった。#/b#
#b#痛みを感じなかったため夢であると誤解し、無茶な行動を取ることができたのである。#/b#
番号札が呼ばれるのを待っているとき、
#big5#「お前ら大人しくしろ! 強盗だ!」#/big5#
男の叫ぶ声が聞こえた。
見ると、ヘルメットを被った男が拳銃を構えて立っている。
騒然とする市民たち。銃を向けられ、皆、血相を変えて押し黙る。
神原は思った。
こんなドラマみたいな状況に巻き込まれるなんて、#red#夢じゃないだろうか#/red#。
#red#彼は頬をつねってみた。痛みは全く無かった。#/red#
そうか、これは夢なんだ。
夢であれば何も怖がることなんてない。
神原は犯人の方へ近づいていく。
「お、おい、てめえ! 状況わかってんのか!?」
「わかってるさ」
神原は自分に向けられた銃口を叩き落とした。
「なっ……」
予想外の展開に怯んだのか、強盗に隙ができた。
背後にいた行員の一人が、その隙を見逃さなかった。
果敢に飛び掛ると、犯人を押し倒し、馬乗りになった。
数分後、警察官が到着する頃には、犯人はロープでぐるぐる巻きにされていた。
神原はその時に至って、#red#抜歯の際の麻酔で自分の頬の感覚が麻痺している#/red#ということに気付き、失禁した。
#big5#【要約解説】#/big5#
#b#銀行強盗に巻き込まれた神原は、夢かどうか確かめるため頬をつねった。#/b#
#b#その頬は直前の抜歯の際の麻酔の影響で麻痺しており、痛みは全く無かった。#/b#
#b#痛みを感じなかったため夢であると誤解し、無茶な行動を取ることができたのである。#/b#
「つまらない映画」「2Good」
ここはとある映画館。
試験的に行われた短編フィルムの映像がスクリーンに映し出されている。
日常と題名されたそのフィルムの内容は
一日の中でそれぞれが過ごす日常を描いたものだった。
(朝)カバン片手に通勤するサラリーマン
(昼)公園のベンチに座り日向ぼっこするお爺さん
(夕)夕焼けの草原で犬と遊ぶ少女
(夜)本を読むメガネのおばさん
このフィルムを見せられた観客の感想は
「朝の通勤ラッシュはもっと大変でリアリティがない」
「もっとアクション性があったほうがいい」
「若い女の子のピチピチの肌が羨ましい」
「普通すぎてつまらない」
といったものばかりだった。
監督はこの感想を映像の後編につけて公開した。
このフィルムは後に大きな評価を貰い有名な賞を取った。
状況を整理してください。
試験的に行われた短編フィルムの映像がスクリーンに映し出されている。
日常と題名されたそのフィルムの内容は
一日の中でそれぞれが過ごす日常を描いたものだった。
(朝)カバン片手に通勤するサラリーマン
(昼)公園のベンチに座り日向ぼっこするお爺さん
(夕)夕焼けの草原で犬と遊ぶ少女
(夜)本を読むメガネのおばさん
このフィルムを見せられた観客の感想は
「朝の通勤ラッシュはもっと大変でリアリティがない」
「もっとアクション性があったほうがいい」
「若い女の子のピチピチの肌が羨ましい」
「普通すぎてつまらない」
といったものばかりだった。
監督はこの感想を映像の後編につけて公開した。
このフィルムは後に大きな評価を貰い有名な賞を取った。
状況を整理してください。
13年01月24日 22:38
【ウミガメのスープ】 [真央]
【ウミガメのスープ】 [真央]

こりずにもう1皿
解説を見る
ここはとある映画館。
映画が始まる前に短編のCMが流れ始める。
日常と題名されたそのフィルムの内容は
一日の中でそれぞれが過ごす日常を描いたものだった。
(朝)生まれつき片腕の無いサラリーマン
(昼)地雷で足を失ったお爺さん
(夕)火事で体を人工皮膚で補っている少女
(夜)目を患って片目を失ったおばさん
これは彼らの日常を見た方々の感想です。
「朝の通勤ラッシュはもっと大変でリアリティがない」
「もっとアクション性があったほうがいい」
「若い女の子のピチピチの肌が羨ましい」
「普通すぎてつまらない」
感想の映像が終わると出演者の4人が出てきてこう続く
「みんな彼らの共通点には気が付きませんでした。」
出演者の4人は一斉にそれぞれの義手を、義足を、人工皮膚を、義眼を取り外すとカメラに向かって微笑んだ。
そして最後のテロップが流れる
「日常を取り戻したい方へ、まずはご相談ください。」
『医療福祉施設 ウミガメ工房』
映画が始まる前に短編のCMが流れ始める。
日常と題名されたそのフィルムの内容は
一日の中でそれぞれが過ごす日常を描いたものだった。
(朝)生まれつき片腕の無いサラリーマン
(昼)地雷で足を失ったお爺さん
(夕)火事で体を人工皮膚で補っている少女
(夜)目を患って片目を失ったおばさん
これは彼らの日常を見た方々の感想です。
「朝の通勤ラッシュはもっと大変でリアリティがない」
「もっとアクション性があったほうがいい」
「若い女の子のピチピチの肌が羨ましい」
「普通すぎてつまらない」
感想の映像が終わると出演者の4人が出てきてこう続く
「みんな彼らの共通点には気が付きませんでした。」
出演者の4人は一斉にそれぞれの義手を、義足を、人工皮膚を、義眼を取り外すとカメラに向かって微笑んだ。
そして最後のテロップが流れる
「日常を取り戻したい方へ、まずはご相談ください。」
『医療福祉施設 ウミガメ工房』
「11人いた」「2Good」
宇宙船には10人分の食糧が積み込まれていたが、乗っていたのは11人。途中で食糧が足りなくなり、仕方なく、誰が死ぬかを決めるためにくじを引くことにした。
たった1人、当たりを引いてしまったのは、男が愛する女だった。泣きわめいて嫌がる彼女を、男は自らの手で殺した。
彼女を愛するがゆえに。
どういうことだろう?
たった1人、当たりを引いてしまったのは、男が愛する女だった。泣きわめいて嫌がる彼女を、男は自らの手で殺した。
彼女を愛するがゆえに。
どういうことだろう?
15年11月11日 22:47
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

宇宙食スープ
解説を見る
思えば、この旅はそもそもスクランブルから始まった。
10人乗りの宇宙船による、冒険旅行。必要な生活用品や食糧は宇宙船に積み込まれているし、客室やキッチン、娯楽スペース、重力装置などの設備は整っているが、旅行会社のスタッフは添乗しない。コンピュータによる自動操縦のため、パイロットすらいない。
10人の乗客達が共同生活をしながら、約1ヶ月宇宙空間を漂う、今注目のツアーだ。
有名な観光衛星をいくつも眺められるコースでありながら、人件費がかからないという理由で旅費自体は比較的安価であるため、特に若い世代に人気だった。ちょっとしたサバイバル感覚を楽しめるというのも売りにしていた。
とはいえ、やはり一番予約が殺到するのは長期間休みが取りやすい盆暮れ正月の時期で、シーズンオフのその日――11月11日に出発するのは「スペース・ウォーク11号」だけだった。
むしろこの時期によく実施可能人数まで集まったなと感心していたくらいなので、時間通り無事に打ち上げられた「スペース・ウォーク11号」のロビーで初めて顔を合わせたとき、その場にいる人数の多さに驚いた。
10人どころか、11人いたのだ。
しかし、全員のチケットに「スペース・ウォーク11号」の名と正確な日時が記されていた。第一、宇宙船への搭乗は機械で管理されている。書類を偽造しても入れるはずがないのだ。
すぐに11人はお互いを疑うことをやめ、これは旅行会社の手配ミスか、あるいは11人のために2台の宇宙船を用意する経費と手間をケチったのであろうと結論づけた。
部屋はもともと予備として1部屋余分にあったため、全員が1人部屋を使えたし、食糧や衣類などは11人で分け合えば問題なさそうだった。
事前の説明で、もし何か不測の事態――スクランブルが発生したら、非常ボタンを押すように言われていた。10人乗りのはずの宇宙船に11人乗っているのは、まさにそんな非常事態ではあったが、非常ボタンを押すことには全員が反対した。非常ボタンを押せば、「スペース・ウォーク11号」は最悪自動操縦で地球に戻ってしまう。同じ旅行をもう1度頼むには、また休みの調整をしなくてはいけなくなるし、何より集まった11人は自然とすぐに打ち解けていた。このメンバーでまた同じ旅行するのは不可能だろうから、1人多かったくらいで旅行が中止になるのは勿体なく思えたのだ。
次のスクランブルはすぐに発生した。
この事態を一応旅行会社に伝えておくべきだろうという話が出て、出発から3日後、通信機器を使ってみることになったのだが、何度通信を試みても、雑音を拾うばかりで交信ができない。備え付けの通信機器だったので、取り外して修理するわけにもいかず、この旅行を終えるまでは、外部と連絡が取れないことが確定した。
「本当に、サバイバルのようだ」
ソラ――11人は初日から、お互いにコードネームをつけて呼び合っていた――はそんなイレギュラーを聞いても、快活に笑い飛ばした。彼はよく喋り、よく笑い、よく食べた。新人ながら成績優秀な営業マンという話も頷ける。自然と人を引き付ける好青年だった。
「1人多い上に連絡も取れないなんて。こんな経験、なかなかないぞ。もちろん旅行会社にはきっちりクレームを入れるが、話のネタとしては面白い」
皮肉屋のリクも、よくそんなことを口にして、手帳に日記のようなものをつけていた。帰ったら、所属している劇団の仲間に自慢するのだそうだ。次の芝居のネタにもなると言っていた。
この段階になっても、11人は実に楽観的であった。
調理師専門学校に通うウミが手掛けた美味しい料理を食べながら、地球上のあらゆる国を旅しているクモの話に耳を傾けるのは心地よかった。宇宙しか描かないと言い張っていたダイチが、こっそり皆の顔のデッサンをしていたことに笑い、アメのつくったでたらめで陽気な唄を大声で合唱するのも楽しかった。この11人で過ごす毎日があまりに充実していて、1人多いなんてことも、通信機器が使えないことも、些末なことに思えたのだ。
3つ目のスクランブルに気付いたのは、博識なカゼだった。彼は宇宙航空学を学んでいる大学院生だそうで、毎日熱心に観測をしていた。観測の結果、当初の予定とは宇宙船の軌道がずれていると気付いたのだ。
それを聞いた宇宙船オタクのタイヨウは、早速自動操縦になっているコックピットを調べてくれた。通信機器の不調の影響で微調整が効かず、軌道がずれたようだということだった。
ここに来てようやく、皆は不安を感じ始めた。皆の前では「なんとかなるって!」と言っていたナミですら、時折ふっと表情が暗くなったし、一人でトレーニングルームにこもることが増えた。
毎日お互いの好きな本について語り合っていたユキも、徐々に元気がなくなってきた。日本文学が好きなユキと、SFをこよなく愛する僕は、初日に竹取物語が最古のSFであることについての話題で盛り上がり、意気投合していた。けれど二人とも、このSF的展開を純粋に楽しむことはできそうになかった。
カゼとタイヨウのおかげで、この宇宙船は予定通りの観光はおろか、残念ながら地球に戻ることすらできないことが判明するのに時間はかからなかった。
さすがにもう、非常ボタンを押すことにためらいはなかった。この時点で既に半月ほど経っていた。11人はもう十年来の付き合いがある友人のような仲になっていた。地球に戻っても絶対に連絡を取り合おう、またこのメンバーで予定を合わせて再会しよう、と約束を交わし、全員でコックピット内の非常ボタンの前に集まった。
代表して、ソラがボタンを押す。
チカチカと非常灯が点滅し、非常ボタンの上に据えられたディスプレイには、「非常事態発生」という文字が現れる。その下に次々と、プログラム名らしき英数字が踊った。読み取れるのは「ERROR」という嫌な言葉だけだ。
しばらく英数字と「ERROR」を交互に表示し続けたのち、ようやく現れた日本語は、「非常事態応急対応11」だった。
「11? 11ってなんだ。その前の1から10は何だったんだ?」
アメが首をひねる。
「事前にデータで送られてたよ。ええと……1が地球本部への連絡、2が自動操縦による地球帰還……あれ、おかしいな。10までしか載ってない」
タブレットでデータを確認しながら、クモも困惑した表情を浮かべた。
「ねえ、これは……」
控え目に、一番奥で静かに見守っていたユキが声を上げる。ユキが指差すのは、それまでただの壁だった場所――どうも非常ボタンに呼応して自動的に扉のように開き、収納スペースが現れたのだ。
「瓶が……10本。何が入っているの?」
興味深そうに手を伸ばしたナミは、しかしすぐにさっと顔色を変えた。落としそうになったところをリクが慌ててキャッチし、そしてアメも瓶のラベルを見て目を見開く。
「……毒だ」
その言葉自身が毒であったかのように、しんと静まり返った。
それまでタブレットを見ていたクモが、静寂を無理やり引き裂いて、苦しげに告げる。
「非常事態の対応として、書かれているのは10個だけだ。その中には、手動運転で地球に戻ることや、近くの星に不時着することも含まれている。……その10個が、全部ダメだったんだろう。11番目はおそらく、本当の最終手段だ。表向きには載せられないような。だから、その……」
「つまり、苦しまないうちに死ねと」
ダイチが言いにくい部分を引き継いだ。
「スペース・ウォーク11号」が、ただの棺となった瞬間だった。
それからは、正直なところ、記憶が薄い。
すごいことが起こってしまったと、頭ではわかっているつもりなのだが、不思議と現実味はなかった。11人は暗黙のうちに、なるべくそれまでと同じように過ごしていた。何か手立てはないかと船内の設備や道具を探す人もいたが、大した収穫は得られなかった。ウミは意識して食糧を節約してくれたが、それでも食糧庫の中は日に日に寂しくなっていった。
僕はなるべくユキと共に過ごすようにしていた。宇宙でお気に入りのSF小説を読むことが夢だったが、それはもう叶った。平凡で何の取り柄もない僕には、他に思い残すことと言えばユキのことしかなかった。
非常ボタンを押してから更に1ヶ月が経ち、ソラから全員集まって欲しいという呼びかけがあったとき、全員がその意図を理解していた。
「本当に楽しい旅だった。こんなに楽しい経験は人生で初めてだった。皆もそうであることを願う。……率直に言おう、食糧がもう足りない」
ソラはいつものように笑顔で、そう言った。
「燃料と酸素も、残り僅かだ」
タイヨウが付け加えた。最後まで、何か方法はないかと探してくれていた彼だったが、今は実にあっけらかんとした表情をして続ける。
「食糧がなくて飢えるか、燃料が足りなくなって墜落するか、あるいは呼吸ができなくなるか……何が先にやってくるかはわからないけれど、でも俺達は確実に、死ぬ」
そして例のごとく、ダイチが一番言いにくい部分をこともなげに言い放った。
「苦しまずに死ぬなら、毒を飲むしかない。毒は、10人分だ」
毒の瓶は10本だった。僕たちは11人いた。
もしかしたら10本を11人で等分すれば、致死量に足りるかもしれない。しかしそれでは最悪、11人全員が苦しみながらも死ねない状態になるかもしれない。
もはや死ぬことは仕方ないとは言え、自分1人が孤独の中苦しみながら死ぬことを進んで請け負う者はいなかった。
「俺は、くじ引きを提案したい。本当は誰にも苦しんで欲しくないし、俺だって苦しみたくないけれど、仕方ない。誰が毒を飲んで死ぬか、決めよう」
リクの発案が残酷なことは承知で、しかし誰も反対しなかった。その展開を読んでいたのか、ウミは食糧庫からチューブ型のスープを持ってきた。それが最後のメニューらしい。毒を入れやすく、そして見分けがつかない。
毒の入った10杯のスープと、たった1杯の普通のスープ。
全員が1杯ずつ受け取り、いつものように「おやすみ」と挨拶をして、スープを手にそれぞれの部屋へ帰って行った。それが永遠の別れであることをあえて誰も口に出さず、しかし互いに固い握手を交わして、11人は別れた。
僕が次の日に目を覚ましたとき、聞こえてきたのは泣き叫ぶ声だけだった。いつもの明るい騒がしさはない。嫌だ、嫌だという悲痛な叫びがただ響く。
泣き声はドアの前からするらしかった。声は、ユキのものだ。時計は日本時間で午前11時。毒を飲んでいれば、既に死んでいるはずの時間。
彼女は、死ななかった。
当たりを引いたのだ。
鍵を開けてドアをスライドさせると、泣きわめいていた声がやみ、しゃがみこんだユキの姿が現れた。
「え……?」
呆気にとられたような表情を浮かべるユキから、聞かれる前に、答える。
「飲んでいなかったんだ」
スープのチューブを見せて、思わず涙も止まったユキに差し出した。
「君が飲め」
彼女は答えない。状況が理解できていないのか、口を開けてただ僕を見上げる。
「君が飲め。君の分が毒薬でなかったのだから、僕のこれは毒薬に間違いない。これで確実に死ねる」
「でも、でもそれだとあなたが」
「僕はいいんだ」
決めていた。もし、万が一ユキが当たりを引いてしまったら――
「まさか、最初から――」
止まっていた涙が、また湧きあがるようにポロポロと彼女の双眸からこぼれ落ちる。
僕は大馬鹿者だと思う。決意が揺らがないように、僕は彼女へきちんと理由を告げる。
「――愛しているから」
弱々しく抵抗する彼女を押さえつけ、その口にチューブを差し込んだ。泣きながら、彼女は少しずつ最後のスープを飲んだ。
飲み終わった後も、僕達2人は一緒にくだらない話をした。地球での生活のこと、他の9人の仲間のこと、それから、2人に待ち受けていたかもしれない未来について。
涙は止まらなかったが、時折見せるユキの笑顔は、相変わらず控え目で大人しくて、けれどこの世で一番愛くるしかった。
4時間経ったところで、彼女の呂律が怪しくなってきた。意識も朦朧としてきたようだ。それでも懸命に抗って、最後まで僕に話しかけようとしてくれていた。
「ありがとう、ツキ」
その言葉が、彼女の最後の言葉になった。
宇宙船は静かになった。
ここには11人いた。にぎやかだった。
ここから先は、死にたくても死ねない、辛い時間がただ流れるのだ。餓死か墜落死か窒息死か……わからないけれど、絶対に楽には死ねないということしか確実ではないこの状況で、僕はたった1人になってしまった。ユキの動かなくなった身体は、ベッドに横たえておいた。他の9人の姿も確認した。皆、穏やかな表情を浮かべて、眠るように死んでいた。
心の底から、良かったと思う。
こんな孤独、彼女に与えてしまわなくて、本当に良かったと。
静まり返った「スペース・ウォーク11号」が、10人の死体と1人の生き残りを乗せて、宇宙を行く。
ここには、11人いた。
11人、いたんだ。
END
#b#助かる見込みのない状況で、むごい死に方よりも毒を飲んで死ぬことを決意したが、その毒が1人分足りない。くじで生き残ることが決まってしまった女のために、男は自分の毒を彼女に飲ませて殺した。彼女を愛するがゆえに。#/b#
10人乗りの宇宙船による、冒険旅行。必要な生活用品や食糧は宇宙船に積み込まれているし、客室やキッチン、娯楽スペース、重力装置などの設備は整っているが、旅行会社のスタッフは添乗しない。コンピュータによる自動操縦のため、パイロットすらいない。
10人の乗客達が共同生活をしながら、約1ヶ月宇宙空間を漂う、今注目のツアーだ。
有名な観光衛星をいくつも眺められるコースでありながら、人件費がかからないという理由で旅費自体は比較的安価であるため、特に若い世代に人気だった。ちょっとしたサバイバル感覚を楽しめるというのも売りにしていた。
とはいえ、やはり一番予約が殺到するのは長期間休みが取りやすい盆暮れ正月の時期で、シーズンオフのその日――11月11日に出発するのは「スペース・ウォーク11号」だけだった。
むしろこの時期によく実施可能人数まで集まったなと感心していたくらいなので、時間通り無事に打ち上げられた「スペース・ウォーク11号」のロビーで初めて顔を合わせたとき、その場にいる人数の多さに驚いた。
10人どころか、11人いたのだ。
しかし、全員のチケットに「スペース・ウォーク11号」の名と正確な日時が記されていた。第一、宇宙船への搭乗は機械で管理されている。書類を偽造しても入れるはずがないのだ。
すぐに11人はお互いを疑うことをやめ、これは旅行会社の手配ミスか、あるいは11人のために2台の宇宙船を用意する経費と手間をケチったのであろうと結論づけた。
部屋はもともと予備として1部屋余分にあったため、全員が1人部屋を使えたし、食糧や衣類などは11人で分け合えば問題なさそうだった。
事前の説明で、もし何か不測の事態――スクランブルが発生したら、非常ボタンを押すように言われていた。10人乗りのはずの宇宙船に11人乗っているのは、まさにそんな非常事態ではあったが、非常ボタンを押すことには全員が反対した。非常ボタンを押せば、「スペース・ウォーク11号」は最悪自動操縦で地球に戻ってしまう。同じ旅行をもう1度頼むには、また休みの調整をしなくてはいけなくなるし、何より集まった11人は自然とすぐに打ち解けていた。このメンバーでまた同じ旅行するのは不可能だろうから、1人多かったくらいで旅行が中止になるのは勿体なく思えたのだ。
次のスクランブルはすぐに発生した。
この事態を一応旅行会社に伝えておくべきだろうという話が出て、出発から3日後、通信機器を使ってみることになったのだが、何度通信を試みても、雑音を拾うばかりで交信ができない。備え付けの通信機器だったので、取り外して修理するわけにもいかず、この旅行を終えるまでは、外部と連絡が取れないことが確定した。
「本当に、サバイバルのようだ」
ソラ――11人は初日から、お互いにコードネームをつけて呼び合っていた――はそんなイレギュラーを聞いても、快活に笑い飛ばした。彼はよく喋り、よく笑い、よく食べた。新人ながら成績優秀な営業マンという話も頷ける。自然と人を引き付ける好青年だった。
「1人多い上に連絡も取れないなんて。こんな経験、なかなかないぞ。もちろん旅行会社にはきっちりクレームを入れるが、話のネタとしては面白い」
皮肉屋のリクも、よくそんなことを口にして、手帳に日記のようなものをつけていた。帰ったら、所属している劇団の仲間に自慢するのだそうだ。次の芝居のネタにもなると言っていた。
この段階になっても、11人は実に楽観的であった。
調理師専門学校に通うウミが手掛けた美味しい料理を食べながら、地球上のあらゆる国を旅しているクモの話に耳を傾けるのは心地よかった。宇宙しか描かないと言い張っていたダイチが、こっそり皆の顔のデッサンをしていたことに笑い、アメのつくったでたらめで陽気な唄を大声で合唱するのも楽しかった。この11人で過ごす毎日があまりに充実していて、1人多いなんてことも、通信機器が使えないことも、些末なことに思えたのだ。
3つ目のスクランブルに気付いたのは、博識なカゼだった。彼は宇宙航空学を学んでいる大学院生だそうで、毎日熱心に観測をしていた。観測の結果、当初の予定とは宇宙船の軌道がずれていると気付いたのだ。
それを聞いた宇宙船オタクのタイヨウは、早速自動操縦になっているコックピットを調べてくれた。通信機器の不調の影響で微調整が効かず、軌道がずれたようだということだった。
ここに来てようやく、皆は不安を感じ始めた。皆の前では「なんとかなるって!」と言っていたナミですら、時折ふっと表情が暗くなったし、一人でトレーニングルームにこもることが増えた。
毎日お互いの好きな本について語り合っていたユキも、徐々に元気がなくなってきた。日本文学が好きなユキと、SFをこよなく愛する僕は、初日に竹取物語が最古のSFであることについての話題で盛り上がり、意気投合していた。けれど二人とも、このSF的展開を純粋に楽しむことはできそうになかった。
カゼとタイヨウのおかげで、この宇宙船は予定通りの観光はおろか、残念ながら地球に戻ることすらできないことが判明するのに時間はかからなかった。
さすがにもう、非常ボタンを押すことにためらいはなかった。この時点で既に半月ほど経っていた。11人はもう十年来の付き合いがある友人のような仲になっていた。地球に戻っても絶対に連絡を取り合おう、またこのメンバーで予定を合わせて再会しよう、と約束を交わし、全員でコックピット内の非常ボタンの前に集まった。
代表して、ソラがボタンを押す。
チカチカと非常灯が点滅し、非常ボタンの上に据えられたディスプレイには、「非常事態発生」という文字が現れる。その下に次々と、プログラム名らしき英数字が踊った。読み取れるのは「ERROR」という嫌な言葉だけだ。
しばらく英数字と「ERROR」を交互に表示し続けたのち、ようやく現れた日本語は、「非常事態応急対応11」だった。
「11? 11ってなんだ。その前の1から10は何だったんだ?」
アメが首をひねる。
「事前にデータで送られてたよ。ええと……1が地球本部への連絡、2が自動操縦による地球帰還……あれ、おかしいな。10までしか載ってない」
タブレットでデータを確認しながら、クモも困惑した表情を浮かべた。
「ねえ、これは……」
控え目に、一番奥で静かに見守っていたユキが声を上げる。ユキが指差すのは、それまでただの壁だった場所――どうも非常ボタンに呼応して自動的に扉のように開き、収納スペースが現れたのだ。
「瓶が……10本。何が入っているの?」
興味深そうに手を伸ばしたナミは、しかしすぐにさっと顔色を変えた。落としそうになったところをリクが慌ててキャッチし、そしてアメも瓶のラベルを見て目を見開く。
「……毒だ」
その言葉自身が毒であったかのように、しんと静まり返った。
それまでタブレットを見ていたクモが、静寂を無理やり引き裂いて、苦しげに告げる。
「非常事態の対応として、書かれているのは10個だけだ。その中には、手動運転で地球に戻ることや、近くの星に不時着することも含まれている。……その10個が、全部ダメだったんだろう。11番目はおそらく、本当の最終手段だ。表向きには載せられないような。だから、その……」
「つまり、苦しまないうちに死ねと」
ダイチが言いにくい部分を引き継いだ。
「スペース・ウォーク11号」が、ただの棺となった瞬間だった。
それからは、正直なところ、記憶が薄い。
すごいことが起こってしまったと、頭ではわかっているつもりなのだが、不思議と現実味はなかった。11人は暗黙のうちに、なるべくそれまでと同じように過ごしていた。何か手立てはないかと船内の設備や道具を探す人もいたが、大した収穫は得られなかった。ウミは意識して食糧を節約してくれたが、それでも食糧庫の中は日に日に寂しくなっていった。
僕はなるべくユキと共に過ごすようにしていた。宇宙でお気に入りのSF小説を読むことが夢だったが、それはもう叶った。平凡で何の取り柄もない僕には、他に思い残すことと言えばユキのことしかなかった。
非常ボタンを押してから更に1ヶ月が経ち、ソラから全員集まって欲しいという呼びかけがあったとき、全員がその意図を理解していた。
「本当に楽しい旅だった。こんなに楽しい経験は人生で初めてだった。皆もそうであることを願う。……率直に言おう、食糧がもう足りない」
ソラはいつものように笑顔で、そう言った。
「燃料と酸素も、残り僅かだ」
タイヨウが付け加えた。最後まで、何か方法はないかと探してくれていた彼だったが、今は実にあっけらかんとした表情をして続ける。
「食糧がなくて飢えるか、燃料が足りなくなって墜落するか、あるいは呼吸ができなくなるか……何が先にやってくるかはわからないけれど、でも俺達は確実に、死ぬ」
そして例のごとく、ダイチが一番言いにくい部分をこともなげに言い放った。
「苦しまずに死ぬなら、毒を飲むしかない。毒は、10人分だ」
毒の瓶は10本だった。僕たちは11人いた。
もしかしたら10本を11人で等分すれば、致死量に足りるかもしれない。しかしそれでは最悪、11人全員が苦しみながらも死ねない状態になるかもしれない。
もはや死ぬことは仕方ないとは言え、自分1人が孤独の中苦しみながら死ぬことを進んで請け負う者はいなかった。
「俺は、くじ引きを提案したい。本当は誰にも苦しんで欲しくないし、俺だって苦しみたくないけれど、仕方ない。誰が毒を飲んで死ぬか、決めよう」
リクの発案が残酷なことは承知で、しかし誰も反対しなかった。その展開を読んでいたのか、ウミは食糧庫からチューブ型のスープを持ってきた。それが最後のメニューらしい。毒を入れやすく、そして見分けがつかない。
毒の入った10杯のスープと、たった1杯の普通のスープ。
全員が1杯ずつ受け取り、いつものように「おやすみ」と挨拶をして、スープを手にそれぞれの部屋へ帰って行った。それが永遠の別れであることをあえて誰も口に出さず、しかし互いに固い握手を交わして、11人は別れた。
僕が次の日に目を覚ましたとき、聞こえてきたのは泣き叫ぶ声だけだった。いつもの明るい騒がしさはない。嫌だ、嫌だという悲痛な叫びがただ響く。
泣き声はドアの前からするらしかった。声は、ユキのものだ。時計は日本時間で午前11時。毒を飲んでいれば、既に死んでいるはずの時間。
彼女は、死ななかった。
当たりを引いたのだ。
鍵を開けてドアをスライドさせると、泣きわめいていた声がやみ、しゃがみこんだユキの姿が現れた。
「え……?」
呆気にとられたような表情を浮かべるユキから、聞かれる前に、答える。
「飲んでいなかったんだ」
スープのチューブを見せて、思わず涙も止まったユキに差し出した。
「君が飲め」
彼女は答えない。状況が理解できていないのか、口を開けてただ僕を見上げる。
「君が飲め。君の分が毒薬でなかったのだから、僕のこれは毒薬に間違いない。これで確実に死ねる」
「でも、でもそれだとあなたが」
「僕はいいんだ」
決めていた。もし、万が一ユキが当たりを引いてしまったら――
「まさか、最初から――」
止まっていた涙が、また湧きあがるようにポロポロと彼女の双眸からこぼれ落ちる。
僕は大馬鹿者だと思う。決意が揺らがないように、僕は彼女へきちんと理由を告げる。
「――愛しているから」
弱々しく抵抗する彼女を押さえつけ、その口にチューブを差し込んだ。泣きながら、彼女は少しずつ最後のスープを飲んだ。
飲み終わった後も、僕達2人は一緒にくだらない話をした。地球での生活のこと、他の9人の仲間のこと、それから、2人に待ち受けていたかもしれない未来について。
涙は止まらなかったが、時折見せるユキの笑顔は、相変わらず控え目で大人しくて、けれどこの世で一番愛くるしかった。
4時間経ったところで、彼女の呂律が怪しくなってきた。意識も朦朧としてきたようだ。それでも懸命に抗って、最後まで僕に話しかけようとしてくれていた。
「ありがとう、ツキ」
その言葉が、彼女の最後の言葉になった。
宇宙船は静かになった。
ここには11人いた。にぎやかだった。
ここから先は、死にたくても死ねない、辛い時間がただ流れるのだ。餓死か墜落死か窒息死か……わからないけれど、絶対に楽には死ねないということしか確実ではないこの状況で、僕はたった1人になってしまった。ユキの動かなくなった身体は、ベッドに横たえておいた。他の9人の姿も確認した。皆、穏やかな表情を浮かべて、眠るように死んでいた。
心の底から、良かったと思う。
こんな孤独、彼女に与えてしまわなくて、本当に良かったと。
静まり返った「スペース・ウォーク11号」が、10人の死体と1人の生き残りを乗せて、宇宙を行く。
ここには、11人いた。
11人、いたんだ。
END
#b#助かる見込みのない状況で、むごい死に方よりも毒を飲んで死ぬことを決意したが、その毒が1人分足りない。くじで生き残ることが決まってしまった女のために、男は自分の毒を彼女に飲ませて殺した。彼女を愛するがゆえに。#/b#