「一億円の価値を燃やす犯人」「1ブックマーク」
有名な画家が描いた絵に
1億円の価値があるのに
それを盗んだ男はその絵を燃やしてしまいました。
一体なぜ?
1億円の価値があるのに
それを盗んだ男はその絵を燃やしてしまいました。
一体なぜ?
16年11月24日 23:54
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
解説を見る
その名画は唯一の目撃者である画家が描いた
殺人犯の似顔絵であり
画家はその絵に1億の賞金を懸けるつもりでしたが
犯人である男に気付かれ画家も絵も亡き者にされてしまったのです。
殺人犯の似顔絵であり
画家はその絵に1億の賞金を懸けるつもりでしたが
犯人である男に気付かれ画家も絵も亡き者にされてしまったのです。
「死因は?」「1ブックマーク」
とある女が遺体で見つかった。
普通なら現場、傷などで死因が分かるはずだがその女の死体は死因が特定不可能だった。
それは何故?
普通なら現場、傷などで死因が分かるはずだがその女の死体は死因が特定不可能だった。
それは何故?
17年04月06日 16:57
【ウミガメのスープ】 [ナ。ビスコ]
【ウミガメのスープ】 [ナ。ビスコ]
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女が様々な方法で、リンチされ弱った上に犯人はとどめを刺したから。
つまり女は首を絞められたり薬の痕跡があったり刺した痕跡があったりと、様々な死亡要因が考えられたため死因を断定することは不可能であった。
つまり女は首を絞められたり薬の痕跡があったり刺した痕跡があったりと、様々な死亡要因が考えられたため死因を断定することは不可能であった。
「I wait for no one.」「1ブックマーク」
女は家から出ようとして、あることに気が付いた。
急いで家の中に戻った彼女は、あるものを探し回り、二階のクローゼットの中でそれを見つけた。
しかし、彼女はそれを中に入れたままクローゼットの扉を固く閉ざして、外に出た。
彼女の行動の理由は?
急いで家の中に戻った彼女は、あるものを探し回り、二階のクローゼットの中でそれを見つけた。
しかし、彼女はそれを中に入れたままクローゼットの扉を固く閉ざして、外に出た。
彼女の行動の理由は?
12年09月06日 22:50
【ウミガメのスープ】 [(棒)]
【ウミガメのスープ】 [(棒)]
一言コメント欄
解説を見る
女には、最近になってできた恋人がいた。
深い仲になって数週間後、彼女の携帯に見覚えのない番号からの電話がかかる。
電話口の女性は「私は、あなたの恋人の妻だ」と言う。
「きちんと話をしたい」と冷静な声でそう言われた女は、
何も知らなかったことを伝えれば、事は収まると考えた。
そして、妻と自称する女性の言う通り、電話の主の家を訪ねることにした。
しかし、彼女はその家で罵詈雑言を浴びせられ、身に覚えのない嘲笑を受けることになった。
彼女の恋人は、浮気のすべての原因は彼女にあると説明したらしく、
それを鵜呑みにした妻に酷く罵られたのだ。説明しようにも、聞く耳を持ってくれない。
肝心の恋人は、今は出かけていると言う。逃げ出したのだ。
恋人に裏切られた絶望感と、繰り返し侮辱された怒りで我を忘れた彼女は、
妻を近くにあった灰皿で殴り殺してしまう。
我に返った彼女は、何よりも逮捕されることを恐れた。
それは、愛人が正妻を殺した、という事件の構図が他人に知られたとき、
自分が信じていた幸せが、酷く醜悪なものにされてしまう気がしたからだった。
彼女は証拠を消そうと、家にあった灯油を室内に撒き、火をつけた。
火の手が広がる前に外に出ようとした彼女は、玄関であるものを見つける。
子供用のスニーカーだった。
息子もいる。その子は今、家の中にいる?
子供に罪は無い。今更の善意で、彼女は炎の広がる家の中で子供を探した。
数分もしないうちに、子供は見つかった。二階のクローゼットに隠れていたのだ。
女は、努めて優しげな笑顔で言った
「ボウヤ、ここは危ないの。一緒に逃げよ?」
「こっちに来ないで!僕も殺す気なんだろ!」
「・・・そう、見てたのね」
女はクローゼットの扉を閉め、近くの机を扉の前に置いて壁に閊えさせた。
内側から扉を開けることは、大人の力でも不可能だろう。
早く逃げなくては、自分も焼け死ぬ。この方が手っ取り早いと考えたのだ。
彼女は、炎を掻い潜りながら家を出た。
まだ、外から火の手が見えていなかったため、周囲に野次馬はおらず、誰にも見られていない。
「さて、これからどうしようか」
女は、煤だらけの服を叩きながら、逃げる方法を考えた。
しかし、長考の末に出した彼女の結論は、多くの矛盾を含んだものだった。
「ここで、あの人の帰りを待ってみようかな」
家は、徐々に外壁を伝い始めた火で、赤く染まっていった。
その門扉の脇で、彼女は恋人の帰りを静かに待った。
了
深い仲になって数週間後、彼女の携帯に見覚えのない番号からの電話がかかる。
電話口の女性は「私は、あなたの恋人の妻だ」と言う。
「きちんと話をしたい」と冷静な声でそう言われた女は、
何も知らなかったことを伝えれば、事は収まると考えた。
そして、妻と自称する女性の言う通り、電話の主の家を訪ねることにした。
しかし、彼女はその家で罵詈雑言を浴びせられ、身に覚えのない嘲笑を受けることになった。
彼女の恋人は、浮気のすべての原因は彼女にあると説明したらしく、
それを鵜呑みにした妻に酷く罵られたのだ。説明しようにも、聞く耳を持ってくれない。
肝心の恋人は、今は出かけていると言う。逃げ出したのだ。
恋人に裏切られた絶望感と、繰り返し侮辱された怒りで我を忘れた彼女は、
妻を近くにあった灰皿で殴り殺してしまう。
我に返った彼女は、何よりも逮捕されることを恐れた。
それは、愛人が正妻を殺した、という事件の構図が他人に知られたとき、
自分が信じていた幸せが、酷く醜悪なものにされてしまう気がしたからだった。
彼女は証拠を消そうと、家にあった灯油を室内に撒き、火をつけた。
火の手が広がる前に外に出ようとした彼女は、玄関であるものを見つける。
子供用のスニーカーだった。
息子もいる。その子は今、家の中にいる?
子供に罪は無い。今更の善意で、彼女は炎の広がる家の中で子供を探した。
数分もしないうちに、子供は見つかった。二階のクローゼットに隠れていたのだ。
女は、努めて優しげな笑顔で言った
「ボウヤ、ここは危ないの。一緒に逃げよ?」
「こっちに来ないで!僕も殺す気なんだろ!」
「・・・そう、見てたのね」
女はクローゼットの扉を閉め、近くの机を扉の前に置いて壁に閊えさせた。
内側から扉を開けることは、大人の力でも不可能だろう。
早く逃げなくては、自分も焼け死ぬ。この方が手っ取り早いと考えたのだ。
彼女は、炎を掻い潜りながら家を出た。
まだ、外から火の手が見えていなかったため、周囲に野次馬はおらず、誰にも見られていない。
「さて、これからどうしようか」
女は、煤だらけの服を叩きながら、逃げる方法を考えた。
しかし、長考の末に出した彼女の結論は、多くの矛盾を含んだものだった。
「ここで、あの人の帰りを待ってみようかな」
家は、徐々に外壁を伝い始めた火で、赤く染まっていった。
その門扉の脇で、彼女は恋人の帰りを静かに待った。
了
「革命シリーズ「晩秋の革命」」「1ブックマーク」
こ
こはとある王国。
王であるトアール3世は、ゲーム感覚で無実の人を処刑するのが趣味という、人間のくずでした。
悪政を強いた報いはすぐに訪れました。
クーデターが起きて成功し、今度は王自身が裁かれる番となりました。
王には溺愛する15歳の息子モーナイがいました。
処刑の内容は、そのモーナイを執行人として父であるトアールを殺させるという、残酷な方法でした。
トアール自身が行ってきた処刑は、トアールが楽しむためのものでした。
たとえば、闘技場にトラと人間を放り込んで、トラを倒せたら無罪放免とか、こぶし大のサファイアを3日で持ってこれなければ処刑とか。
そこで、さらに民衆たちは、王にもそのゲーム感覚を味あわせることにしました。
いったいどんな方法でしょうか?
なお、この問題は「暑い日の革命」のセルフカバーです。
そこも踏まえてお楽しみください。
こはとある王国。
王であるトアール3世は、ゲーム感覚で無実の人を処刑するのが趣味という、人間のくずでした。
悪政を強いた報いはすぐに訪れました。
クーデターが起きて成功し、今度は王自身が裁かれる番となりました。
王には溺愛する15歳の息子モーナイがいました。
処刑の内容は、そのモーナイを執行人として父であるトアールを殺させるという、残酷な方法でした。
トアール自身が行ってきた処刑は、トアールが楽しむためのものでした。
たとえば、闘技場にトラと人間を放り込んで、トラを倒せたら無罪放免とか、こぶし大のサファイアを3日で持ってこれなければ処刑とか。
そこで、さらに民衆たちは、王にもそのゲーム感覚を味あわせることにしました。
いったいどんな方法でしょうか?
なお、この問題は「暑い日の革命」のセルフカバーです。
そこも踏まえてお楽しみください。
12年11月02日 23:01
【ウミガメのスープ】 [ツォン]
【ウミガメのスープ】 [ツォン]
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王
は両手を拘束された状態で処刑場へと連行されました。
革命軍のリーダーが王に告げます。
「愚王トアールよ。われらはこれから貴方を処刑する」
「・・・」
「聞き及んでおるだろうが、貴方の息子に執行させる。当然、断れば息子から死ぬことになるだけだ。」
「・・・息子に殺されるなら、いたし方ない」
「ただし。貴方が殺してきた無実の人々の気持ちを考えれば、ただ息子に殺されるだけでは到底足りない。」
「な、何をさせる気だ!?」
そこへ、息子のモーナイが王と同様の姿でつれてこられました。
そして、二人の拘束をはずし二人の間に一組の剣と盾がおかれました。
「お二人には、<奇遇当て>(じゃんけんの様に片手の指を立てた数が偶数か奇数かを当てるもの。ドイツのじゃんけんみたいなもの)をやっていただく。」
「奇遇当てだと?」
「そうだ。そして、それの勝者が剣を持ち相手の体を切りつけるか、それよりも早く敗者が盾で防ぐかする。ここまでを一括りとし、10回やってもらう。引き分けのときはカウントせずもう一度奇遇当てをする。」
「わ、わしにモーナイを斬れと申すか!?そんなこと・・・」
「もし。一度たりとも本気でないと我らが判断したら、即座にお二人を切り捨てる。」
「そ、そんな!!」
「もし、10回を終える前に一人が絶命すれば生き残った方を、10回の勝負でどちらも生き残れれば二人とも見逃してやる。そのときはどこへでも行くがいい。さぁ、はじめよ!」
かくして、埋められた人間の頭で、かつ真剣で行う処刑が始まったのです。
現代で言う「たたいてかぶってじゃんけんポン」に酷似していますが、そんなお遊びのレベルではありません。
当事者のトアール王と息子モーナイにとっては地獄のような数分でしょう。
え?
彼らがどうなったか?
ご想像にお任せいたします・・・。
は両手を拘束された状態で処刑場へと連行されました。
革命軍のリーダーが王に告げます。
「愚王トアールよ。われらはこれから貴方を処刑する」
「・・・」
「聞き及んでおるだろうが、貴方の息子に執行させる。当然、断れば息子から死ぬことになるだけだ。」
「・・・息子に殺されるなら、いたし方ない」
「ただし。貴方が殺してきた無実の人々の気持ちを考えれば、ただ息子に殺されるだけでは到底足りない。」
「な、何をさせる気だ!?」
そこへ、息子のモーナイが王と同様の姿でつれてこられました。
そして、二人の拘束をはずし二人の間に一組の剣と盾がおかれました。
「お二人には、<奇遇当て>(じゃんけんの様に片手の指を立てた数が偶数か奇数かを当てるもの。ドイツのじゃんけんみたいなもの)をやっていただく。」
「奇遇当てだと?」
「そうだ。そして、それの勝者が剣を持ち相手の体を切りつけるか、それよりも早く敗者が盾で防ぐかする。ここまでを一括りとし、10回やってもらう。引き分けのときはカウントせずもう一度奇遇当てをする。」
「わ、わしにモーナイを斬れと申すか!?そんなこと・・・」
「もし。一度たりとも本気でないと我らが判断したら、即座にお二人を切り捨てる。」
「そ、そんな!!」
「もし、10回を終える前に一人が絶命すれば生き残った方を、10回の勝負でどちらも生き残れれば二人とも見逃してやる。そのときはどこへでも行くがいい。さぁ、はじめよ!」
かくして、埋められた人間の頭で、かつ真剣で行う処刑が始まったのです。
現代で言う「たたいてかぶってじゃんけんポン」に酷似していますが、そんなお遊びのレベルではありません。
当事者のトアール王と息子モーナイにとっては地獄のような数分でしょう。
え?
彼らがどうなったか?
ご想像にお任せいたします・・・。
「Rain, rain, go away」「1ブックマーク」
男は、行楽シーズンの山道を歩いていた。
そこは男にとって思い出の場所だったが、突然の雨で男はずぶ濡れになってしまう。
その上、男は無くしたものを雨の中で周囲が暗くなるまで探し歩いた。
しかし、男は雨が降ったことに感謝した。
何故だろう?
そこは男にとって思い出の場所だったが、突然の雨で男はずぶ濡れになってしまう。
その上、男は無くしたものを雨の中で周囲が暗くなるまで探し歩いた。
しかし、男は雨が降ったことに感謝した。
何故だろう?
12年11月03日 01:31
【ウミガメのスープ】 [(棒)]
【ウミガメのスープ】 [(棒)]
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夕暮れの中、男はキャンプ場に立っていた。
行楽シーズンには家族連れや大学生サークル、ボーイスカウトなど
多くの人で賑わった場所だったが、それはもう十年前のことだ。
今では閉鎖され、放棄された施設が廃墟として残っているだけだ。
よって正確には、男は「昔はキャンプ場だった山の中の荒地」に立っていた。
キャンプ場が閉鎖された原因は、そこで悲惨な事件が起きたからだ。
まるでホラー映画の様な事件だった。
キャンプ場に斧を担いだ殺人鬼が現れ、コテージやテントで眠っていた人間を惨殺した。
犯人は二十名以上の命を一夜にして奪い、忽然と姿を消した。
十年前、男はその現場にいた。
いたはずなのだが、男にはその時の記憶が曖昧だった。
事件の生き残りである彼はその壮絶な現場を目撃したはずだが、
それ故に、記憶に蓋がされてしまったのだ。
そして、十年の時が経ち男は自分の手で記憶の蓋を開ける為、この場所を訪れた。
荒地の中で記憶を辿る彼の鼻先に、当然水滴が落ちた。
見上げると真っ黒な雲が、雨を降らせ始めていた。
傘を用意していなかった彼は、雨に追われてながら下山しようとした。
木陰を伝って歩いていた彼は、森の奥に小さな小屋を見つけた。
誰が作ったのか作りが雑な事と、長年使われていない事が遠目にもわかる。
そこで彼の記憶の蓋が少し開いた。
あの夜も雨が降っていた。彼は殺人鬼に追われたあの夜、そこに逃げ込んだ。
恐怖の記憶が、少しずつ鮮明になっていくのが分かった。
記憶の糸口を見つけた彼は、雨の中を小屋へ向かって歩いた。
夕日はもう沈んでいた。
玄関を入って身体に付いた露を払い、電気を付けようとするが当然のように反応はない。
彼は携帯のライトを頼りに、あの夜の逃走経路をなぞる様にボロボロになった小屋を歩いた。
あの夜もそうだった。当時からこの小屋は使われていなかったのか、真っ暗だったことを思い出した。
だからこそ、隠れられると考えて逃げ込んだのだ。
そして、最後に小屋の裏手にあるベランダに着いた時、彼の記憶は蘇った。
朽ち果てた手すりの向こうには、深い崖が口を開けていた。
あの夜、男はベランダに出たところで足がもつれ、派手に転んだ。
すぐ後ろに迫っていた犯人は、うずくまった少年の体に躓いた。
犯人にしてみれば、雨の降る山の夜という暗闇の中で
目の前の獲物が突然うずくまり、視界から消えたのだ。
躓くのも無理はない。そしてそのまま、あいつは手すりをなぎ倒して谷底に・・・
すべて思い出した彼は、山を下りた。
下山後、彼はすぐに警察に駆け込み、谷底の捜索を懇願した。
すぐには事情を理解できなかった警官たちだが、彼の話を聞いて協力を約束してくれた。
それを聞いて男は安堵した。そして、記憶を取り戻すことに一役買った雨に感謝した。
「谷底の捜索は、事件直後に既に行われていた」
と彼が聞かされるのは、もう少し先の話。
了
行楽シーズンには家族連れや大学生サークル、ボーイスカウトなど
多くの人で賑わった場所だったが、それはもう十年前のことだ。
今では閉鎖され、放棄された施設が廃墟として残っているだけだ。
よって正確には、男は「昔はキャンプ場だった山の中の荒地」に立っていた。
キャンプ場が閉鎖された原因は、そこで悲惨な事件が起きたからだ。
まるでホラー映画の様な事件だった。
キャンプ場に斧を担いだ殺人鬼が現れ、コテージやテントで眠っていた人間を惨殺した。
犯人は二十名以上の命を一夜にして奪い、忽然と姿を消した。
十年前、男はその現場にいた。
いたはずなのだが、男にはその時の記憶が曖昧だった。
事件の生き残りである彼はその壮絶な現場を目撃したはずだが、
それ故に、記憶に蓋がされてしまったのだ。
そして、十年の時が経ち男は自分の手で記憶の蓋を開ける為、この場所を訪れた。
荒地の中で記憶を辿る彼の鼻先に、当然水滴が落ちた。
見上げると真っ黒な雲が、雨を降らせ始めていた。
傘を用意していなかった彼は、雨に追われてながら下山しようとした。
木陰を伝って歩いていた彼は、森の奥に小さな小屋を見つけた。
誰が作ったのか作りが雑な事と、長年使われていない事が遠目にもわかる。
そこで彼の記憶の蓋が少し開いた。
あの夜も雨が降っていた。彼は殺人鬼に追われたあの夜、そこに逃げ込んだ。
恐怖の記憶が、少しずつ鮮明になっていくのが分かった。
記憶の糸口を見つけた彼は、雨の中を小屋へ向かって歩いた。
夕日はもう沈んでいた。
玄関を入って身体に付いた露を払い、電気を付けようとするが当然のように反応はない。
彼は携帯のライトを頼りに、あの夜の逃走経路をなぞる様にボロボロになった小屋を歩いた。
あの夜もそうだった。当時からこの小屋は使われていなかったのか、真っ暗だったことを思い出した。
だからこそ、隠れられると考えて逃げ込んだのだ。
そして、最後に小屋の裏手にあるベランダに着いた時、彼の記憶は蘇った。
朽ち果てた手すりの向こうには、深い崖が口を開けていた。
あの夜、男はベランダに出たところで足がもつれ、派手に転んだ。
すぐ後ろに迫っていた犯人は、うずくまった少年の体に躓いた。
犯人にしてみれば、雨の降る山の夜という暗闇の中で
目の前の獲物が突然うずくまり、視界から消えたのだ。
躓くのも無理はない。そしてそのまま、あいつは手すりをなぎ倒して谷底に・・・
すべて思い出した彼は、山を下りた。
下山後、彼はすぐに警察に駆け込み、谷底の捜索を懇願した。
すぐには事情を理解できなかった警官たちだが、彼の話を聞いて協力を約束してくれた。
それを聞いて男は安堵した。そして、記憶を取り戻すことに一役買った雨に感謝した。
「谷底の捜索は、事件直後に既に行われていた」
と彼が聞かされるのは、もう少し先の話。
了