「午後3時の頭脳戦」「8ブックマーク」
ある晴れた日の昼下がり。
私は、紅茶を読みながら本を読んでいた。
ここのところ謎収集が忙しくてなかなか暇がなかったから、読みたい本が溜まってしまった。だが、今日は休み。本屋で目についた本を片っ端から買い込んできて、日当たりのいいところで読むという贅沢な時間を過ごそうと思う。
一冊読み終えて、読み終えた本の山に積んだところで、シンディが帰ってきた。
「ただいまライナー君。随分買い込んできたねえ」
「ここのところ謎収集が忙しくて買えなかったのが溜まってるんだ」
「ふうん。ところでさ……」
そこで言葉を切ると、シンディは私と机の上の間で視線を行き来させた。
「…………ライナー君。私がキッチンに置いてたおやつ、食べたね?」
「なっ……! 何を言っているんだ? 食べてないぞ?」
図星だった。机の上こそすでに片づけてしまったが、私はさっきまで、キッチンにあったスコーンを食べていた。
「そこまで露骨に慌てなくてもいいのに。今更取り繕っても、食べた事実はなくならないよ?」
「ぐっ、なぜ分かった! しっかり偽装したのに……」
「私のおやつ食べといて、勝手なこと言うなあ」
「うう。それにしても、どうしてキッチンも見てないのに、俺がスコーンを食べたと分かったんだ?」
「…………」
「シンディ?」
「…………」
「YESかNOで答えられる質問になら答えてくれますか?」
「…………………………………………YES」
※ストーリー仕立てになっておりますが、この問題はウミガメのスープ問題です。「キッチンも見ていないのに、「ライナーがスコーンを食べてしまった」とシンディが分かった理由」をお解きください。
【参加ルール】ライナー君になりきって質問してください。シンディになりきって回答します。(お遊び要素なので、難しければ普通に質問してくださって結構です。また、あくまでウミガメですので、回答者(なりきりシンディ)は解決に必要な情報をすべて把握していますし、質問はYESかNOで答えられるものだけができます。ライナー君に周囲の観察や探索をさせることはできません)
私は、紅茶を読みながら本を読んでいた。
ここのところ謎収集が忙しくてなかなか暇がなかったから、読みたい本が溜まってしまった。だが、今日は休み。本屋で目についた本を片っ端から買い込んできて、日当たりのいいところで読むという贅沢な時間を過ごそうと思う。
一冊読み終えて、読み終えた本の山に積んだところで、シンディが帰ってきた。
「ただいまライナー君。随分買い込んできたねえ」
「ここのところ謎収集が忙しくて買えなかったのが溜まってるんだ」
「ふうん。ところでさ……」
そこで言葉を切ると、シンディは私と机の上の間で視線を行き来させた。
「…………ライナー君。私がキッチンに置いてたおやつ、食べたね?」
「なっ……! 何を言っているんだ? 食べてないぞ?」
図星だった。机の上こそすでに片づけてしまったが、私はさっきまで、キッチンにあったスコーンを食べていた。
「そこまで露骨に慌てなくてもいいのに。今更取り繕っても、食べた事実はなくならないよ?」
「ぐっ、なぜ分かった! しっかり偽装したのに……」
「私のおやつ食べといて、勝手なこと言うなあ」
「うう。それにしても、どうしてキッチンも見てないのに、俺がスコーンを食べたと分かったんだ?」
「…………」
「シンディ?」
「…………」
「YESかNOで答えられる質問になら答えてくれますか?」
「…………………………………………YES」
※ストーリー仕立てになっておりますが、この問題はウミガメのスープ問題です。「キッチンも見ていないのに、「ライナーがスコーンを食べてしまった」とシンディが分かった理由」をお解きください。
【参加ルール】ライナー君になりきって質問してください。シンディになりきって回答します。(お遊び要素なので、難しければ普通に質問してくださって結構です。また、あくまでウミガメですので、回答者(なりきりシンディ)は解決に必要な情報をすべて把握していますし、質問はYESかNOで答えられるものだけができます。ライナー君に周囲の観察や探索をさせることはできません)
16年03月19日 21:00
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
解説を見る
「なるほど、そういうことだったのか……」
「そう。まず私が注目したのは、ライナー君が飲んでいるもの。君は、初めて会った時にも言っていたけど(イラストde講座参照)、コーヒー党だ。それだというのに、なぜか今日は紅茶を飲んでいる。この不自然さを見て私は、ライナー君がお菓子を食べてたんじゃないかと思った。ライナー君、ケーキを食べる時は結構紅茶も飲んでるからね。で、そこで私は、キッチンにとっておいたスコーンのことを思い出した。スコーンを食べるなら、当然コーヒーよりも紅茶を一緒に飲むでしょ? ただし、それだけなら、まだライナー君が私のスコーンを食べてしまったという結論を出すにはまだ弱い。机の上に食べたものの痕跡が残っていない以上、自分で買ってきたケーキか何かを食べて、それに合わせて紅茶を入れた可能性も否定しきれないから。
そこで今度目を付けるべきは、その本の山だ。2つの山があって、高い方は表紙を表に、低い方は裏表紙を表にしている。ってことは、ライナー君は、読み終えた本を片づけずにもう一つの山に置いている、と考えられる。こんなずぼらなライナー君だもの、もしライナー君自身が買ってきたケーキを食べていたのなら、紅茶も飲み終えてないし、本も読み終えてない状態で、食べ終えたケーキのお皿だけを片づけるとは考えにくい。なのに、片づけているのは……」
「食べたという事実を隠蔽しなければならないものを食べたから」
「そうそうライナー君、やればできるじゃない! ご褒美に、代わりのスコーンをクララさんに焼いてもらってくることでこの件は手打ちにしてあげよう」
「えっ、あのスコーン、クララさんが焼いたものだったのか?」
「そうなんだよ。すごく美味しかったでしょ? あの人めったにやる気を出さないから、すごく貴重だったのに」
シンディは、口をすぼめて文句を言ってきた。普段は澄ましている癖に、ここぞという時だけこういう子供っぽい仕草をして見せるのだからあざとい。
「うっ……」
「じゃ、行ってらっしゃーい。この本は私が代わりに読んでおいてあげよう」
「それはまだ読んでいない分……」
「文句があるならさっさと頼んできてよね。私、スコーンすごく楽しみにしてたんだから」
追い払われるようにして部屋を出ると、私はメイドのクララさんの元へ急いだ。彼女の性格を考えると、スコーンの代償に何問難問を解かされるか分からない。
今日も、謎からは逃れられなさそうだ。
※ラスト登場した、メイドのクララさんは、天童魔子さんの「不定期連載ラテシンストーリー」シリーズからお借りしたキャラクターです。天童魔子さん、ご許可ありがとうございます。
「そう。まず私が注目したのは、ライナー君が飲んでいるもの。君は、初めて会った時にも言っていたけど(イラストde講座参照)、コーヒー党だ。それだというのに、なぜか今日は紅茶を飲んでいる。この不自然さを見て私は、ライナー君がお菓子を食べてたんじゃないかと思った。ライナー君、ケーキを食べる時は結構紅茶も飲んでるからね。で、そこで私は、キッチンにとっておいたスコーンのことを思い出した。スコーンを食べるなら、当然コーヒーよりも紅茶を一緒に飲むでしょ? ただし、それだけなら、まだライナー君が私のスコーンを食べてしまったという結論を出すにはまだ弱い。机の上に食べたものの痕跡が残っていない以上、自分で買ってきたケーキか何かを食べて、それに合わせて紅茶を入れた可能性も否定しきれないから。
そこで今度目を付けるべきは、その本の山だ。2つの山があって、高い方は表紙を表に、低い方は裏表紙を表にしている。ってことは、ライナー君は、読み終えた本を片づけずにもう一つの山に置いている、と考えられる。こんなずぼらなライナー君だもの、もしライナー君自身が買ってきたケーキを食べていたのなら、紅茶も飲み終えてないし、本も読み終えてない状態で、食べ終えたケーキのお皿だけを片づけるとは考えにくい。なのに、片づけているのは……」
「食べたという事実を隠蔽しなければならないものを食べたから」
「そうそうライナー君、やればできるじゃない! ご褒美に、代わりのスコーンをクララさんに焼いてもらってくることでこの件は手打ちにしてあげよう」
「えっ、あのスコーン、クララさんが焼いたものだったのか?」
「そうなんだよ。すごく美味しかったでしょ? あの人めったにやる気を出さないから、すごく貴重だったのに」
シンディは、口をすぼめて文句を言ってきた。普段は澄ましている癖に、ここぞという時だけこういう子供っぽい仕草をして見せるのだからあざとい。
「うっ……」
「じゃ、行ってらっしゃーい。この本は私が代わりに読んでおいてあげよう」
「それはまだ読んでいない分……」
「文句があるならさっさと頼んできてよね。私、スコーンすごく楽しみにしてたんだから」
追い払われるようにして部屋を出ると、私はメイドのクララさんの元へ急いだ。彼女の性格を考えると、スコーンの代償に何問難問を解かされるか分からない。
今日も、謎からは逃れられなさそうだ。
※ラスト登場した、メイドのクララさんは、天童魔子さんの「不定期連載ラテシンストーリー」シリーズからお借りしたキャラクターです。天童魔子さん、ご許可ありがとうございます。
「折り紙の法則」「8ブックマーク」
カメオは紙を折り曲げる時、とあるきまったった法則で折り曲げる。
赤い紙は縦に折り曲げ
青い紙は横に折り曲げ
黄色い紙は三角に折り曲げ
紫色紙は三つ折に折り曲げ
緑色紙は 折り曲げない
この一定の法則とカメオがなぜこれに従い紙を折っているのか
を推理し状況を補足してください。
赤い紙は縦に折り曲げ
青い紙は横に折り曲げ
黄色い紙は三角に折り曲げ
紫色紙は三つ折に折り曲げ
緑色紙は 折り曲げない
この一定の法則とカメオがなぜこれに従い紙を折っているのか
を推理し状況を補足してください。
15年05月18日 21:29
【ウミガメのスープ】 [真央]
【ウミガメのスープ】 [真央]
解説を見る
盲目のカメオは紙の色を識別することができない。
よって彼は自室で一定の法則に従い『紙幣』を折り曲げてサイフに入れている。
こうすることで外で食事や買い物した時、もたついたりお釣りをごまかされにくくなる。
モチーフの紙幣はスリランカのルピー(Rs)
盲目の方の中にはこの方法を実際にしている方もいるそうです。
よって彼は自室で一定の法則に従い『紙幣』を折り曲げてサイフに入れている。
こうすることで外で食事や買い物した時、もたついたりお釣りをごまかされにくくなる。
モチーフの紙幣はスリランカのルピー(Rs)
盲目の方の中にはこの方法を実際にしている方もいるそうです。
「大停電に見る光」「8ブックマーク」
これは、とあるグランドホテルで起きた事件の一部始終である。
---------------------------------------------------------------------------------
#big5#【C#/big5#ase#big5#1#/big5#:ある#big5#少年#/big5#の場合#big5#】#/big5#
少年はホテルの廊下で母親の支度が済むのを待っている。
そこに女が通りかかった。
「あら、ごきげんよう。今日はサッカーの練習、行かなくてもいいの?」
このホテルの常連である少年は、同じく常連のこの女と顔見知りだった。
「今日は中止なんです。さっきから急にすごい雨でうんざり」
「そう。残念ね。」
女はそう言って通り過ぎ、奥の部屋に入っていく。
少年はそれからしばらくの間、独りで母親を待つ。
そこに、停電が起きた。
突然のことに少年は混乱した。
辺りが騒然となる。
少年は怖くなり、母親の元へと、その場を立ち去った。
#big5#【C#/big5#ase#big5#2#/big5#:ある#big5#男#/big5#の場合#big5#】#/big5#
男は女と食事をとっている。
「本当に貴女はきれいだ。美しい」
男は女を見つめてそう言った。
女の美しさに心酔した男は、ワインに睡眠薬を混ぜた。
そうして女が眠りに落ちる時を待つ。
「ふふ。お世辞が上手ね。でもそろそろ部屋に戻らなきゃ」
しかし女はそう言って席を立ってしまった。
男は女の後を追ったが、女はそのまま部屋に入ってしまう。
男はあきらめて自室に戻った。
そこに、停電が起きた。
突然のことに男は混乱した。
男は女のことが心配になり、自室を飛び出し女の部屋へと急ぐ。
その後、男は女を目の前にしてこう言った。
「無事でよかった。本当に、貴女はきれいだ」
そして部屋を後にした。
#big5#【C#/big5#ase#big5#3#/big5#:ある#big5#女#/big5#の場合#big5#】#/big5#
女は男と食事をとった後、少年と挨拶を交わし自室に戻る。
しばらくして停電が起きた。
混乱した女は落ち着くために水を一杯飲むが、そこで急に眠気が襲う。
そしてそのまま床に倒れこんだ。
停電の騒ぎの中、女は目を覚ます。
まだ少し、頭がぼんやりとする。
辺りが真っ暗だったため、女は明かりになりそうなものを手探りした。
そうして明かりを灯した女は――
「え......うそ......ひっ、ぃいやあああああ!!」
悲鳴を上げ、絶命した。
#big5#【C#/big5#ase#big5#4#/big5#:殺人鬼#big5#A#/big5#の場合#big5#】#/big5#
Aはある女を殺すためにホテルに来ていた。
事件前日、Aは一つの計画を立てた。
停電を引き起こし標的を殺害する。
停電のタイミングは女が独りになる時間に合わせた。
ホテルの部屋にはすべてオートロックキーがかけられているが、停電によりそれらは解放される。
停電と同時に部屋に侵入し、殺害する。
事件当日、果たしてホテルは大停電に陥った。
そして停電が復旧した後、Aは思った。
(ああ、失敗だ。失敗した......)
その後、Aは死んだ。
---------------------------------------------------------------------------------
以上がこの事件の顛末である。
#b#少年#/b#、#b#男#/b#、そして#b#女#/b#の行動はすべて、#big5#"Aの死"#/big5#につながっている。
さて、なぜAは死ぬことになってしまったのか。
#b#この事件の真相を解き明かしていただきたい。#/b#
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#big5#【C#/big5#ase#big5#1#/big5#:ある#big5#少年#/big5#の場合#big5#】#/big5#
少年はホテルの廊下で母親の支度が済むのを待っている。
そこに女が通りかかった。
「あら、ごきげんよう。今日はサッカーの練習、行かなくてもいいの?」
このホテルの常連である少年は、同じく常連のこの女と顔見知りだった。
「今日は中止なんです。さっきから急にすごい雨でうんざり」
「そう。残念ね。」
女はそう言って通り過ぎ、奥の部屋に入っていく。
少年はそれからしばらくの間、独りで母親を待つ。
そこに、停電が起きた。
突然のことに少年は混乱した。
辺りが騒然となる。
少年は怖くなり、母親の元へと、その場を立ち去った。
#big5#【C#/big5#ase#big5#2#/big5#:ある#big5#男#/big5#の場合#big5#】#/big5#
男は女と食事をとっている。
「本当に貴女はきれいだ。美しい」
男は女を見つめてそう言った。
女の美しさに心酔した男は、ワインに睡眠薬を混ぜた。
そうして女が眠りに落ちる時を待つ。
「ふふ。お世辞が上手ね。でもそろそろ部屋に戻らなきゃ」
しかし女はそう言って席を立ってしまった。
男は女の後を追ったが、女はそのまま部屋に入ってしまう。
男はあきらめて自室に戻った。
そこに、停電が起きた。
突然のことに男は混乱した。
男は女のことが心配になり、自室を飛び出し女の部屋へと急ぐ。
その後、男は女を目の前にしてこう言った。
「無事でよかった。本当に、貴女はきれいだ」
そして部屋を後にした。
#big5#【C#/big5#ase#big5#3#/big5#:ある#big5#女#/big5#の場合#big5#】#/big5#
女は男と食事をとった後、少年と挨拶を交わし自室に戻る。
しばらくして停電が起きた。
混乱した女は落ち着くために水を一杯飲むが、そこで急に眠気が襲う。
そしてそのまま床に倒れこんだ。
停電の騒ぎの中、女は目を覚ます。
まだ少し、頭がぼんやりとする。
辺りが真っ暗だったため、女は明かりになりそうなものを手探りした。
そうして明かりを灯した女は――
「え......うそ......ひっ、ぃいやあああああ!!」
悲鳴を上げ、絶命した。
#big5#【C#/big5#ase#big5#4#/big5#:殺人鬼#big5#A#/big5#の場合#big5#】#/big5#
Aはある女を殺すためにホテルに来ていた。
事件前日、Aは一つの計画を立てた。
停電を引き起こし標的を殺害する。
停電のタイミングは女が独りになる時間に合わせた。
ホテルの部屋にはすべてオートロックキーがかけられているが、停電によりそれらは解放される。
停電と同時に部屋に侵入し、殺害する。
事件当日、果たしてホテルは大停電に陥った。
そして停電が復旧した後、Aは思った。
(ああ、失敗だ。失敗した......)
その後、Aは死んだ。
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以上がこの事件の顛末である。
#b#少年#/b#、#b#男#/b#、そして#b#女#/b#の行動はすべて、#big5#"Aの死"#/big5#につながっている。
さて、なぜAは死ぬことになってしまったのか。
#b#この事件の真相を解き明かしていただきたい。#/b#
17年08月11日 17:00
【ウミガメのスープ】 [野生のキャベツ]
【ウミガメのスープ】 [野生のキャベツ]
解説を見る
【解説】
女は殺人鬼Aで、少年の母親の殺害を企てたが、不測の雨により少年がホテル内に残ってしまったため失敗した。
その後停電が起こり、男が女の部屋へ向かったが、この時女が部屋に残っていたのは計画が失敗したためである。
結果、女は自らが仕掛けた停電によって男の侵入を許し、男に目を抉られ殺された。
【以下、真相(※長文注意)】
#big5#‐3#/big5#:00 p.m.#big5#‐#/big5#
「おいどうなってる!」
「......大変申し訳ございません......現在原因を確認中でございまして......」
「いつになったら直るのかって聞いてるのよ!」
「......ご宿泊の皆様には大変なご迷惑を......え?あ、はい......!あ、たった今原因がわかったそうで......あ、点いた。皆様、電気が点きました!#b#これでもう、大丈夫です!#/b#」
......
......
......ん......っ!頭が痛い......外が騒がしい。何だ?真っ暗だ。......そうか......停電だ。
ホテルが大停電に陥っていた頃、女は深い眠りの中にいた。
停電が復旧し、未だその混乱の騒ぎが残る中で、女は静かに目を覚ました。
(......あれ、何も見えない......明かりは......)
女はスマートフォンを手に取り液晶を照らした。
(......おかしいな。充電切れか)
しかし女に明かりは見えない。
そこで漸く女は気付く。
(......違う......おかしい......さっきの外の話。停電はもう復旧してるはず。非常灯だって......こんなに暗いはずが、ない)
そう。女には――(私には――#b#眼が、ない#/b#)
「え......うそ......ひっ、ぃいやあああああ!!」
不測の事態に思わず声が漏れる。
女には眼がなかった。
さっきまであったはずの、美しい眼が。
(まてまてまてまて......!どういうことだ!思い出せ思い出せ何があった思い出せ......!)
#big5#思い出せ!#/big5#
#big5#‐2#/big5#:00 p.m./#b#女の自室#/b##big5#‐#/big5#
私は部屋に戻った後......そうだ。少し考え事をしていた。
(ああどうしよう......予定が狂った......どうしよう)
そうだ。予定が狂った。クソッ!
停電だけは予定通りに起きて......その後確か水を一杯飲んだ。
そこからの記憶がない。
そういえば急に眠気が。
薬か。
#b#いつ?#/b#
#big5#‐1#/big5#:00 p.m./#b#ホテル内レストラン#/b##big5#‐#/big5#
「すみません、相席お願いしても良いですか?」
男......ここじゃあまり見ない顔だ。
「いやー、突然こんなことを言って失礼かもしれませんが、貴女はとても美しいですね」
やけに私の目を見て話す。気味が悪い。
「本当に貴女はきれいだ。美しい」
そういえば......私が一度トイレに立った後からしきりにワインを勧めてきた。
薬......あの時か。
「ふふ。お世辞が上手ね。でもそろそろ部屋に戻らなきゃ」
そうだ。計画の時間が迫っていた。
......あの男、何なんだ?
#big5#‐1#/big5#:#big5#3#/big5#0 p.m./#b#女の自室前廊下#/b##big5#‐#/big5#
「あ、こんにちは」
「あら、ごきげんよう。今日はサッカーの練習、行かなくてもいいの?」
部屋の前であの少年に会った。
そうだ。あいつのせいだ......あのガキがいたせいで私の計画は......
「今日は中止なんです。さっきから急にすごい雨でうんざり」
「そう。残念ね。(#b#本当に。残念#/b#)」
失敗した。
#big5#‐現#/big5#在/#b#女の自室#/b##big5#‐#/big5#
(......っ!クソ!頭が痛む。目は......最早痛みすらない。何故だ。何故私の眼がない......どうして......)
「どうしてこうなった!」
#b#「うるさいな」#/b#
思わず女が叫んだ後、声が聞こえた。
女のものではない、他の人間の声だった。
「うるさいんだよ、さっきから」
「お前は......」
「せっかく"この人"と見つめ合ってるんだ」
「お前が......」
「邪魔しないでくれないか?」
その声は、昼食の時に会ったあの男のものだった。
「いやー、運命だと思ったよ。今朝、君を見かけた時」
......どうして
「どうしても"この人"を僕のものにしたくてね。はは。ワインに睡眠薬を混ぜたんだけど、気付いたのかい?」
そうか......
「すぐに席を立ったから。正直焦ったよ?追いかけたけど、君は部屋に入ってしまったね」
計画が......私の......
「でも停電になって。心配したんだ。"この人"に何かあったんじゃないかって」
......失敗したからだ
「慌ててかけつけたよ。部屋が開いてて良かった。停電でオートロックが故障したのかな」
失敗したから......私は
「君がこの部屋にいてくれて良かった。他所で何かあっても僕にはどうすることもできなかったから」
そうだ......失敗したから私はこの部屋に残った。この部屋で、眠りに堕ちた
「おかげでまた、"この人"と再会できた」
私の......計画のせいだ......
「ああ。貴女はなんて美しいんだ......」
私の......失敗のせいだ......
「本当に。なんて美しいんだろう!」
失敗した......計画が
あの女を......
殺せなかったから
女の脳裏に一人の女性の顔が浮かんで消えた。
その女性は、あの#b#少年の母親#/b#だった。
女は殺人鬼、通称Aと呼ばれている。
女は少年の母親の殺害を目論んでいた。
少年がサッカーの練習でいなくなる昼間を狙った計画だった。
母親が独りになったタイミングでホテルに停電を引き起こし、オートロックを突破し部屋に侵入した後殺害。
これが女の描いたシナリオだ――しかし。
この日は不測の大雨となった。
少年のサッカーの練習は中止となってしまい、女の計画は破綻した。
殺せなかったから。私は......
私はこいつに......私の眼を......
殺せなかったから......いや......殺せる
まだ、殺せる......こいつを殺して......あの女も
殺せる......
殺せる
殺す
#b#「殺す」#/b#
「へ?」
「死ね」
女は男の声がする方へ飛び込んだ。
足の裏に割れたグラスの破片が刺さる。
最早痛みはない。
思い切り足を踏み込み、隠していたナイフを男の喉元へと突きつける。
「ひぃ?!」
#big5#グチャ#/big5#
女の頭に鈍い衝撃が走った。
何だ?何が起きた?
女から遠のいていく全身の感覚。
立っているのか、寝ているのかさえわからない。
どうなった?私は今、どうなっ......
#b#グチャ#/b#
#b#グチャ#/b#
#b#グチャ#/b#
......
......
「ふぅ......びっくりした」
男の前には女の体が横たわっていた。
男は掌を広げ、その上でキラキラと光る宝石のようなものを大事そうに愛でている。
「心配したんだ。停電があって、貴女が傷ついてしまったんじゃないかって」
それは女の"眼"であった。
「でも無事でよかった。本当に、貴女はきれいだ」
そう言って男とその眼は見つめ合う。
その眼を前にして、以前の持ち主であった女は肉塊となり転がっていた。
男は窓を開けた。
まだ雨は降っており、火照った頬に滴が当たる。
「行こうか」
男はその美しい眼に語りかけると、窓の外へと飛び出した。
#b#私は薄れゆく意識の中で、男の顔を見たような気がした。#/b#
#b#私の方を見つめる、笑った男の顔。醜い顔。#/b#
#b#(ああ、失敗だ。失敗した......)#/b#
#b#最悪だ。#/b#
#b#そう思ったのを最後に、私の意識は闇へと堕ちた。#/b#
女は殺人鬼Aで、少年の母親の殺害を企てたが、不測の雨により少年がホテル内に残ってしまったため失敗した。
その後停電が起こり、男が女の部屋へ向かったが、この時女が部屋に残っていたのは計画が失敗したためである。
結果、女は自らが仕掛けた停電によって男の侵入を許し、男に目を抉られ殺された。
【以下、真相(※長文注意)】
#big5#‐3#/big5#:00 p.m.#big5#‐#/big5#
「おいどうなってる!」
「......大変申し訳ございません......現在原因を確認中でございまして......」
「いつになったら直るのかって聞いてるのよ!」
「......ご宿泊の皆様には大変なご迷惑を......え?あ、はい......!あ、たった今原因がわかったそうで......あ、点いた。皆様、電気が点きました!#b#これでもう、大丈夫です!#/b#」
......
......
......ん......っ!頭が痛い......外が騒がしい。何だ?真っ暗だ。......そうか......停電だ。
ホテルが大停電に陥っていた頃、女は深い眠りの中にいた。
停電が復旧し、未だその混乱の騒ぎが残る中で、女は静かに目を覚ました。
(......あれ、何も見えない......明かりは......)
女はスマートフォンを手に取り液晶を照らした。
(......おかしいな。充電切れか)
しかし女に明かりは見えない。
そこで漸く女は気付く。
(......違う......おかしい......さっきの外の話。停電はもう復旧してるはず。非常灯だって......こんなに暗いはずが、ない)
そう。女には――(私には――#b#眼が、ない#/b#)
「え......うそ......ひっ、ぃいやあああああ!!」
不測の事態に思わず声が漏れる。
女には眼がなかった。
さっきまであったはずの、美しい眼が。
(まてまてまてまて......!どういうことだ!思い出せ思い出せ何があった思い出せ......!)
#big5#思い出せ!#/big5#
#big5#‐2#/big5#:00 p.m./#b#女の自室#/b##big5#‐#/big5#
私は部屋に戻った後......そうだ。少し考え事をしていた。
(ああどうしよう......予定が狂った......どうしよう)
そうだ。予定が狂った。クソッ!
停電だけは予定通りに起きて......その後確か水を一杯飲んだ。
そこからの記憶がない。
そういえば急に眠気が。
薬か。
#b#いつ?#/b#
#big5#‐1#/big5#:00 p.m./#b#ホテル内レストラン#/b##big5#‐#/big5#
「すみません、相席お願いしても良いですか?」
男......ここじゃあまり見ない顔だ。
「いやー、突然こんなことを言って失礼かもしれませんが、貴女はとても美しいですね」
やけに私の目を見て話す。気味が悪い。
「本当に貴女はきれいだ。美しい」
そういえば......私が一度トイレに立った後からしきりにワインを勧めてきた。
薬......あの時か。
「ふふ。お世辞が上手ね。でもそろそろ部屋に戻らなきゃ」
そうだ。計画の時間が迫っていた。
......あの男、何なんだ?
#big5#‐1#/big5#:#big5#3#/big5#0 p.m./#b#女の自室前廊下#/b##big5#‐#/big5#
「あ、こんにちは」
「あら、ごきげんよう。今日はサッカーの練習、行かなくてもいいの?」
部屋の前であの少年に会った。
そうだ。あいつのせいだ......あのガキがいたせいで私の計画は......
「今日は中止なんです。さっきから急にすごい雨でうんざり」
「そう。残念ね。(#b#本当に。残念#/b#)」
失敗した。
#big5#‐現#/big5#在/#b#女の自室#/b##big5#‐#/big5#
(......っ!クソ!頭が痛む。目は......最早痛みすらない。何故だ。何故私の眼がない......どうして......)
「どうしてこうなった!」
#b#「うるさいな」#/b#
思わず女が叫んだ後、声が聞こえた。
女のものではない、他の人間の声だった。
「うるさいんだよ、さっきから」
「お前は......」
「せっかく"この人"と見つめ合ってるんだ」
「お前が......」
「邪魔しないでくれないか?」
その声は、昼食の時に会ったあの男のものだった。
「いやー、運命だと思ったよ。今朝、君を見かけた時」
......どうして
「どうしても"この人"を僕のものにしたくてね。はは。ワインに睡眠薬を混ぜたんだけど、気付いたのかい?」
そうか......
「すぐに席を立ったから。正直焦ったよ?追いかけたけど、君は部屋に入ってしまったね」
計画が......私の......
「でも停電になって。心配したんだ。"この人"に何かあったんじゃないかって」
......失敗したからだ
「慌ててかけつけたよ。部屋が開いてて良かった。停電でオートロックが故障したのかな」
失敗したから......私は
「君がこの部屋にいてくれて良かった。他所で何かあっても僕にはどうすることもできなかったから」
そうだ......失敗したから私はこの部屋に残った。この部屋で、眠りに堕ちた
「おかげでまた、"この人"と再会できた」
私の......計画のせいだ......
「ああ。貴女はなんて美しいんだ......」
私の......失敗のせいだ......
「本当に。なんて美しいんだろう!」
失敗した......計画が
あの女を......
殺せなかったから
女の脳裏に一人の女性の顔が浮かんで消えた。
その女性は、あの#b#少年の母親#/b#だった。
女は殺人鬼、通称Aと呼ばれている。
女は少年の母親の殺害を目論んでいた。
少年がサッカーの練習でいなくなる昼間を狙った計画だった。
母親が独りになったタイミングでホテルに停電を引き起こし、オートロックを突破し部屋に侵入した後殺害。
これが女の描いたシナリオだ――しかし。
この日は不測の大雨となった。
少年のサッカーの練習は中止となってしまい、女の計画は破綻した。
殺せなかったから。私は......
私はこいつに......私の眼を......
殺せなかったから......いや......殺せる
まだ、殺せる......こいつを殺して......あの女も
殺せる......
殺せる
殺す
#b#「殺す」#/b#
「へ?」
「死ね」
女は男の声がする方へ飛び込んだ。
足の裏に割れたグラスの破片が刺さる。
最早痛みはない。
思い切り足を踏み込み、隠していたナイフを男の喉元へと突きつける。
「ひぃ?!」
#big5#グチャ#/big5#
女の頭に鈍い衝撃が走った。
何だ?何が起きた?
女から遠のいていく全身の感覚。
立っているのか、寝ているのかさえわからない。
どうなった?私は今、どうなっ......
#b#グチャ#/b#
#b#グチャ#/b#
#b#グチャ#/b#
......
......
「ふぅ......びっくりした」
男の前には女の体が横たわっていた。
男は掌を広げ、その上でキラキラと光る宝石のようなものを大事そうに愛でている。
「心配したんだ。停電があって、貴女が傷ついてしまったんじゃないかって」
それは女の"眼"であった。
「でも無事でよかった。本当に、貴女はきれいだ」
そう言って男とその眼は見つめ合う。
その眼を前にして、以前の持ち主であった女は肉塊となり転がっていた。
男は窓を開けた。
まだ雨は降っており、火照った頬に滴が当たる。
「行こうか」
男はその美しい眼に語りかけると、窓の外へと飛び出した。
#b#私は薄れゆく意識の中で、男の顔を見たような気がした。#/b#
#b#私の方を見つめる、笑った男の顔。醜い顔。#/b#
#b#(ああ、失敗だ。失敗した......)#/b#
#b#最悪だ。#/b#
#b#そう思ったのを最後に、私の意識は闇へと堕ちた。#/b#
「私の性格は?-3-」「8ブックマーク」
私はある人の身を案じて一言コメントした。
私の性格を漢字3文字で表してください。
※リスト聞きはOKです。
※時間制限ありですが、参加制限はありません。
私の性格を漢字3文字で表してください。
※リスト聞きはOKです。
※時間制限ありですが、参加制限はありません。
14年11月18日 08:36
【20の扉】 [牛削り]
【20の扉】 [牛削り]
のりっこ。さん風味?
解説を見る
そう、私は【ピュアハートの持ち主】なのである。
≪第三者による解説≫
「私はある人の身を案じて#red#一言コメント#/red#した。」
とあるので、当問題の「一言コメント」欄を参照しよう。
すると次のように書いてある。
#red#のりっこ。さん風味?#/red#
しかしこれは、誰かの身を案じるコメントとしては不適切である。
そこで下記のように漢字を補ってみよう。
#big5#のりっこ。さん風(邪気)味?#/big5#
そう、語り手である「私」は、#red#のりっこ。さんが風邪気味なのではないかと心配している#/red#のである。
さて、問われているのは「『私』の性格」であった。
おわかりだろう。
「邪気」が無いのだから……
そう、「私」は【#red#無邪気#/red#】なのである。
※当問題を出題するに当たり、のりっこ。さんからお名前を拝借する許可をいただきました。
※当問題はフィクションであり、のりっこ。さんが実際に風邪気味かどうかはわかりません。
心配してボラギノールなど送らないようお気をつけください。
≪第三者による解説≫
「私はある人の身を案じて#red#一言コメント#/red#した。」
とあるので、当問題の「一言コメント」欄を参照しよう。
すると次のように書いてある。
#red#のりっこ。さん風味?#/red#
しかしこれは、誰かの身を案じるコメントとしては不適切である。
そこで下記のように漢字を補ってみよう。
#big5#のりっこ。さん風(邪気)味?#/big5#
そう、語り手である「私」は、#red#のりっこ。さんが風邪気味なのではないかと心配している#/red#のである。
さて、問われているのは「『私』の性格」であった。
おわかりだろう。
「邪気」が無いのだから……
そう、「私」は【#red#無邪気#/red#】なのである。
※当問題を出題するに当たり、のりっこ。さんからお名前を拝借する許可をいただきました。
※当問題はフィクションであり、のりっこ。さんが実際に風邪気味かどうかはわかりません。
心配してボラギノールなど送らないようお気をつけください。
「=北海道」「8ブックマーク」
以下の4つの式より、xの値を求めよ。
1)
x+a=岩手
x+a+4=北海道
2)
x+b=青森
x+b+4=北海道
#b#x=?#/b#
1)
x+a=岩手
x+a+4=北海道
2)
x+b=青森
x+b+4=北海道
#b#x=?#/b#
15年12月23日 18:27
【20の扉】 [letitia]
【20の扉】 [letitia]
数学苦手社会は好き
解説を見る
答え:x=43
#b#【解説】#/b#
まず注目するべきは、「+4」である。右辺が都道府県であることから、左辺が一つの都道府県を限定する状態であることを推測する。
分かりやすく並び替えると、
a+x=岩手
a+(x+4)=北海道
b+x=青森
b+(x+4)=北海道
つまり、xに+4すると、答えが岩手→北海道、青森→北海道と変化するのである。+4を含まない式の場合は、北海道が答えとして正しくなく、+4すると、答えとして北海道が浮かび上がる。このことから、+4によって北海道が追加されている、すなわち#b#4つの都道府#/b#を表す。そしてここまでくれば、x=43(県)であることが推測できるであろう。
当問題においては、a,bの特定は必須ではないが、それぞれ県だけなら岩手・青森を示す条件を考え、
1)
日本で最も面積が大きい+県=岩手
日本で最も面積が大きい+都道府+県=北海道
2)
日本で最も北に位置する+県=青森
日本で最も北に位置する+都道府+県=北海道
上記のように自然に並び替えて、日本語に訳することができる。(これは一例であり、a,bにはそれぞれ別の定数を当てはめることももちろん可能です)
#b#【解説】#/b#
まず注目するべきは、「+4」である。右辺が都道府県であることから、左辺が一つの都道府県を限定する状態であることを推測する。
分かりやすく並び替えると、
a+x=岩手
a+(x+4)=北海道
b+x=青森
b+(x+4)=北海道
つまり、xに+4すると、答えが岩手→北海道、青森→北海道と変化するのである。+4を含まない式の場合は、北海道が答えとして正しくなく、+4すると、答えとして北海道が浮かび上がる。このことから、+4によって北海道が追加されている、すなわち#b#4つの都道府#/b#を表す。そしてここまでくれば、x=43(県)であることが推測できるであろう。
当問題においては、a,bの特定は必須ではないが、それぞれ県だけなら岩手・青森を示す条件を考え、
1)
日本で最も面積が大きい+県=岩手
日本で最も面積が大きい+都道府+県=北海道
2)
日本で最も北に位置する+県=青森
日本で最も北に位置する+都道府+県=北海道
上記のように自然に並び替えて、日本語に訳することができる。(これは一例であり、a,bにはそれぞれ別の定数を当てはめることももちろん可能です)