「手紙」「40ブックマーク」
誠一くんが、京子ちゃんに宛てたラブレター。
それを、亮介くんが封も開けずに燃やしてしまいました。
なぜ?
それを、亮介くんが封も開けずに燃やしてしまいました。
なぜ?
10年10月05日 23:33
【ウミガメのスープ】 [きのこ]
【ウミガメのスープ】 [きのこ]
解説を見る
誠一と京子は、俺のじーちゃんとばーちゃん。
ばーちゃんは結婚してすぐに夫であるじーちゃんを戦争で亡くし、女手ひとつで子供を育て上げた。
それが俺の親父ってわけだ。
ばーちゃんはなんていうか、孫の俺が言うのもなんだが、可愛らしい人だった。
昭和初期生まれの女性らしく楚々として奥ゆかしいんだけど、強さやユーモアも併せ持った人で、
俺は小さいころからそんなばーちゃんのことが大好きだった。
しわしわの手でなでられると、どんな涙でもひっこんだもんだ。
そんなばーちゃんが、病に伏せってしまった。
最初は軽い風邪だったはずが、下り坂を転げ落ちるように日に日に容体は悪化。
とうとう医者から命の期限を告げられた。
『吐く息が白くなる頃まで、もたないでしょう…』
自分の鼓動が速くなるのがわかった。
どうして?どうして?どうして?
なんでばーちゃんが?あの優しいばーちゃんが。
もうすぐ死ぬ、なんて。
金木犀が散り切ったある日の夕方、ばーちゃんは俺を病室の枕元に呼んだ。
「亮ちゃんにね、お願いがあるの…」
それは、じーちゃんからの手紙についてだった。
ばーちゃんちの文机の、左の引出しに大切にしまわれた手紙。
ばーちゃんはそれを、自分の葬式の時にそのまま棺に入れてほしいと俺に頼んだのだ。
封の開けられていない、黄ばんだ長封筒。表書きに、少し癖のある無骨な字体で『京子へ』と書いてある。
じーちゃんはその手紙を、出征前夜にばーちゃんに託したのだという。
なぜすぐに封を開けなかったのかと問うと、ばーちゃんは
「これを読んでしまったら、本当におじいさんが帰ってこないような気がしてね。気づいたら何十年も経ってしまってた」
と言った。
読まなくてもいいの?中身は気にならないの?と俺が言うと、
「おじいさんは照れ屋だったから。私がいなくなった後、誰か他の人に見られたらかわいそうでしょう?
中身は…せっかくだから直接会ったときに本人に訊くわ」と、ふわりと花のように笑った。
たしかに、たとえ開けなくても手紙の内容は想像に難くない。
きっと自分が帰れなかった場合の未来の、妻や子供を憂いているのだろう。
昔授業で特攻隊の遺書を読んだことがあるし、俺がじーちゃんの立場だったとしても
おそらくそういうことを書くと思う。
それでもばーちゃんは、ずっとこの未開封の手紙を心の支えに踏ん張って生きてきたんだな。
辛い時も、寂しい時も、いつだって傍にじーちゃんを感じながら。
ばーちゃん。
いまさっき、お葬式全部終わってばーちゃんちに帰ってきたよ。
手紙は言われた通り、封は開けないまま、一緒に棺の中に入れたよ。
親父とお袋はデリカシーに欠けるところがあるから、俺に頼んだのは正解だったよばーちゃん。
あの2人だったらきっと封を開けて中身を読んでいただろうな。いや、読まないわけがない。
俺、うまく最後に誰にもわからないようにやったよ。
今の火葬場は煙が見えないけど、きっと迷いなく天に上ったと信じてる。
今頃天国で手紙の内容を聞いてるかな?
じーちゃんはハタチそこそこで逝ったから、そっちじゃ全然じーちゃんって感じじゃないかもな。
とにかく笑っててくれよ、2人とも。
おばあちゃん。
あのしわしわの手で撫でてくれたら、この涙も止まるのになぁ…。
ばーちゃんは結婚してすぐに夫であるじーちゃんを戦争で亡くし、女手ひとつで子供を育て上げた。
それが俺の親父ってわけだ。
ばーちゃんはなんていうか、孫の俺が言うのもなんだが、可愛らしい人だった。
昭和初期生まれの女性らしく楚々として奥ゆかしいんだけど、強さやユーモアも併せ持った人で、
俺は小さいころからそんなばーちゃんのことが大好きだった。
しわしわの手でなでられると、どんな涙でもひっこんだもんだ。
そんなばーちゃんが、病に伏せってしまった。
最初は軽い風邪だったはずが、下り坂を転げ落ちるように日に日に容体は悪化。
とうとう医者から命の期限を告げられた。
『吐く息が白くなる頃まで、もたないでしょう…』
自分の鼓動が速くなるのがわかった。
どうして?どうして?どうして?
なんでばーちゃんが?あの優しいばーちゃんが。
もうすぐ死ぬ、なんて。
金木犀が散り切ったある日の夕方、ばーちゃんは俺を病室の枕元に呼んだ。
「亮ちゃんにね、お願いがあるの…」
それは、じーちゃんからの手紙についてだった。
ばーちゃんちの文机の、左の引出しに大切にしまわれた手紙。
ばーちゃんはそれを、自分の葬式の時にそのまま棺に入れてほしいと俺に頼んだのだ。
封の開けられていない、黄ばんだ長封筒。表書きに、少し癖のある無骨な字体で『京子へ』と書いてある。
じーちゃんはその手紙を、出征前夜にばーちゃんに託したのだという。
なぜすぐに封を開けなかったのかと問うと、ばーちゃんは
「これを読んでしまったら、本当におじいさんが帰ってこないような気がしてね。気づいたら何十年も経ってしまってた」
と言った。
読まなくてもいいの?中身は気にならないの?と俺が言うと、
「おじいさんは照れ屋だったから。私がいなくなった後、誰か他の人に見られたらかわいそうでしょう?
中身は…せっかくだから直接会ったときに本人に訊くわ」と、ふわりと花のように笑った。
たしかに、たとえ開けなくても手紙の内容は想像に難くない。
きっと自分が帰れなかった場合の未来の、妻や子供を憂いているのだろう。
昔授業で特攻隊の遺書を読んだことがあるし、俺がじーちゃんの立場だったとしても
おそらくそういうことを書くと思う。
それでもばーちゃんは、ずっとこの未開封の手紙を心の支えに踏ん張って生きてきたんだな。
辛い時も、寂しい時も、いつだって傍にじーちゃんを感じながら。
ばーちゃん。
いまさっき、お葬式全部終わってばーちゃんちに帰ってきたよ。
手紙は言われた通り、封は開けないまま、一緒に棺の中に入れたよ。
親父とお袋はデリカシーに欠けるところがあるから、俺に頼んだのは正解だったよばーちゃん。
あの2人だったらきっと封を開けて中身を読んでいただろうな。いや、読まないわけがない。
俺、うまく最後に誰にもわからないようにやったよ。
今の火葬場は煙が見えないけど、きっと迷いなく天に上ったと信じてる。
今頃天国で手紙の内容を聞いてるかな?
じーちゃんはハタチそこそこで逝ったから、そっちじゃ全然じーちゃんって感じじゃないかもな。
とにかく笑っててくれよ、2人とも。
おばあちゃん。
あのしわしわの手で撫でてくれたら、この涙も止まるのになぁ…。
「【異常気象】」「40ブックマーク」
同じ町内なのに天気がバラバラだ。
一体なぜ?
一体なぜ?
15年06月30日 00:08
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
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夏休みの宿題を放置して遊びまくり、
絵日記等を最終日に慌てて(適当に)まとめ書きする生徒が多いから。
絵日記等を最終日に慌てて(適当に)まとめ書きする生徒が多いから。
「蛮勇親知らず」「39ブックマーク」
銀行強盗の人質の一人・神原が、脅しのためのモデルガンに屈せず反撃に出ることができたのは、彼が直前に親知らずを抜いていたおかげだという。
いったいどういうことだろう?
いったいどういうことだろう?
17年04月06日 02:54
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
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歯科で親知らずを抜いてもらった帰り道、神原は銀行にふらりと立ち寄った。
番号札が呼ばれるのを待っているとき、
#big5#「お前ら大人しくしろ! 強盗だ!」#/big5#
男の叫ぶ声が聞こえた。
見ると、ヘルメットを被った男が拳銃を構えて立っている。
騒然とする市民たち。銃を向けられ、皆、血相を変えて押し黙る。
神原は思った。
こんなドラマみたいな状況に巻き込まれるなんて、#red#夢じゃないだろうか#/red#。
#red#彼は頬をつねってみた。痛みは全く無かった。#/red#
そうか、これは夢なんだ。
夢であれば何も怖がることなんてない。
神原は犯人の方へ近づいていく。
「お、おい、てめえ! 状況わかってんのか!?」
「わかってるさ」
神原は自分に向けられた銃口を叩き落とした。
「なっ……」
予想外の展開に怯んだのか、強盗に隙ができた。
背後にいた行員の一人が、その隙を見逃さなかった。
果敢に飛び掛ると、犯人を押し倒し、馬乗りになった。
数分後、警察官が到着する頃には、犯人はロープでぐるぐる巻きにされていた。
神原はその時に至って、#red#抜歯の際の麻酔で自分の頬の感覚が麻痺している#/red#ということに気付き、失禁した。
#big5#【要約解説】#/big5#
#b#銀行強盗に巻き込まれた神原は、夢かどうか確かめるため頬をつねった。#/b#
#b#その頬は直前の抜歯の際の麻酔の影響で麻痺しており、痛みは全く無かった。#/b#
#b#痛みを感じなかったため夢であると誤解し、無茶な行動を取ることができたのである。#/b#
番号札が呼ばれるのを待っているとき、
#big5#「お前ら大人しくしろ! 強盗だ!」#/big5#
男の叫ぶ声が聞こえた。
見ると、ヘルメットを被った男が拳銃を構えて立っている。
騒然とする市民たち。銃を向けられ、皆、血相を変えて押し黙る。
神原は思った。
こんなドラマみたいな状況に巻き込まれるなんて、#red#夢じゃないだろうか#/red#。
#red#彼は頬をつねってみた。痛みは全く無かった。#/red#
そうか、これは夢なんだ。
夢であれば何も怖がることなんてない。
神原は犯人の方へ近づいていく。
「お、おい、てめえ! 状況わかってんのか!?」
「わかってるさ」
神原は自分に向けられた銃口を叩き落とした。
「なっ……」
予想外の展開に怯んだのか、強盗に隙ができた。
背後にいた行員の一人が、その隙を見逃さなかった。
果敢に飛び掛ると、犯人を押し倒し、馬乗りになった。
数分後、警察官が到着する頃には、犯人はロープでぐるぐる巻きにされていた。
神原はその時に至って、#red#抜歯の際の麻酔で自分の頬の感覚が麻痺している#/red#ということに気付き、失禁した。
#big5#【要約解説】#/big5#
#b#銀行強盗に巻き込まれた神原は、夢かどうか確かめるため頬をつねった。#/b#
#b#その頬は直前の抜歯の際の麻酔の影響で麻痺しており、痛みは全く無かった。#/b#
#b#痛みを感じなかったため夢であると誤解し、無茶な行動を取ることができたのである。#/b#
「大好きなハンバーグ」「39ブックマーク」
今日の晩ごはんはコウタの大好物のハンバーグだ。
キッチンから漂ういい匂いに彼は心を躍らせていた。
しかし食卓についた瞬間、コウタは歯を食いしばった。
一体なぜ?
キッチンから漂ういい匂いに彼は心を躍らせていた。
しかし食卓についた瞬間、コウタは歯を食いしばった。
一体なぜ?
10年10月07日 22:37
【ウミガメのスープ】 [藤井]
【ウミガメのスープ】 [藤井]
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コウタの父親は、コウタが3歳の時に妻と離婚をした。そして間もなく再婚をする。
再婚相手である母親はどうしてもコウタの事を心から愛せずにいた。
そして再婚後の二人に宿った弟ユウイチの事を二人はコウタの何倍も可愛がっていた。
兄弟げんかをしていても咎められるのは必ずコウタの方。二人が同時に泣いていてもあやされるのはユウイチばかり。
身体的な虐待こそなかったものの、コウタは深く傷ついていた。
しかしコウタは母の作る美味しいごはんがとても好きだった。
今日の晩ごはんはどうやらコウタの大好物のハンバーグだ。キッチンからいい匂いがする。
コウタは母に疎ましがられないように部屋の隅で静かに座りながら、密かにわくわくしていた。
けれど今日はユウイチが風をひいて部屋で寝込んでいる。母は焼きたてのハンバーグと温かいごはんをユウイチの部屋へ運んでいったようだった。
コウタは早く食べたい気持ちを必死に抑え、大人しくじっと待っていた。
どれほどの時が過ぎただろう?
待ちくたびれたコウタに母が「コウタ、ご飯置いとくから。早く食べてね」と素っ気なく声をかける。
飛び跳ねるように急いで食卓につくと…ドキリ、大きく脈打つ心臓。目の前にあるのはなんとユウイチの食べ残しのハンバーグだったのだ。
言葉に出来ないほどの屈辱感にコウタは歯を食いしばる。いびつな形のそれにフォークを刺して一口食べると、ひんやり冷たい。
ほかほか焼き立て、まんまるのハンバーグは?僕の分はないの?
コウタは黙って食べ残しのハンバーグを完食し「…ごちそうさま、」と食卓を後にした。
握りしめた拳に爪の跡が残る。けれどそれよりもずっとずっと、心が痛かった。
再婚相手である母親はどうしてもコウタの事を心から愛せずにいた。
そして再婚後の二人に宿った弟ユウイチの事を二人はコウタの何倍も可愛がっていた。
兄弟げんかをしていても咎められるのは必ずコウタの方。二人が同時に泣いていてもあやされるのはユウイチばかり。
身体的な虐待こそなかったものの、コウタは深く傷ついていた。
しかしコウタは母の作る美味しいごはんがとても好きだった。
今日の晩ごはんはどうやらコウタの大好物のハンバーグだ。キッチンからいい匂いがする。
コウタは母に疎ましがられないように部屋の隅で静かに座りながら、密かにわくわくしていた。
けれど今日はユウイチが風をひいて部屋で寝込んでいる。母は焼きたてのハンバーグと温かいごはんをユウイチの部屋へ運んでいったようだった。
コウタは早く食べたい気持ちを必死に抑え、大人しくじっと待っていた。
どれほどの時が過ぎただろう?
待ちくたびれたコウタに母が「コウタ、ご飯置いとくから。早く食べてね」と素っ気なく声をかける。
飛び跳ねるように急いで食卓につくと…ドキリ、大きく脈打つ心臓。目の前にあるのはなんとユウイチの食べ残しのハンバーグだったのだ。
言葉に出来ないほどの屈辱感にコウタは歯を食いしばる。いびつな形のそれにフォークを刺して一口食べると、ひんやり冷たい。
ほかほか焼き立て、まんまるのハンバーグは?僕の分はないの?
コウタは黙って食べ残しのハンバーグを完食し「…ごちそうさま、」と食卓を後にした。
握りしめた拳に爪の跡が残る。けれどそれよりもずっとずっと、心が痛かった。
「【遅効性の毒】」「39ブックマーク」
数十分後には日付が変わる。
AはBをその日のうちに確実に殺す為、
遅効性の毒を用意した。
これは一体どういう事か?
AはBをその日のうちに確実に殺す為、
遅効性の毒を用意した。
これは一体どういう事か?
14年08月15日 18:13
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
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ずっと前から、AはBを殺したかった。
殺したいほど恨んでいた。
様々な殺害方法を考えたが、
どうしても、
どうしても…出来なかった。
怖かった。
“人を殺める事”を、
怖れていた。
だが、やはり殺したいほどの恨みがある。
Aは…自分自身に必要なのは、
“Bを殺す為の絶対的な覚悟”
なんだと思った。
………覚悟を決めるには………
“確実に殺さなければならない状況へ、
自分を追い込まなければならない。”
Aの目的は、“Bを殺す事”。
もう、
“後戻り出来ないところ”
に、自分の身を置こうと考えた。
【今日のうちに、Bを殺す。】
リミットは数十分。
今まで、
どうしても土壇場で揺らぎ、
“覚悟が決められなかった”Aは、
用意した遅効性の毒を自ら飲んだ。
“これで、もう後戻りは出来ない”
目的を果たさなければ、
自分は死ねないのだから。
自分を確実な死の淵へと追い込み、
やっと覚悟を決められたAは、
静かにナイフを振り上げた。
殺したいほど恨んでいた。
様々な殺害方法を考えたが、
どうしても、
どうしても…出来なかった。
怖かった。
“人を殺める事”を、
怖れていた。
だが、やはり殺したいほどの恨みがある。
Aは…自分自身に必要なのは、
“Bを殺す為の絶対的な覚悟”
なんだと思った。
………覚悟を決めるには………
“確実に殺さなければならない状況へ、
自分を追い込まなければならない。”
Aの目的は、“Bを殺す事”。
もう、
“後戻り出来ないところ”
に、自分の身を置こうと考えた。
【今日のうちに、Bを殺す。】
リミットは数十分。
今まで、
どうしても土壇場で揺らぎ、
“覚悟が決められなかった”Aは、
用意した遅効性の毒を自ら飲んだ。
“これで、もう後戻りは出来ない”
目的を果たさなければ、
自分は死ねないのだから。
自分を確実な死の淵へと追い込み、
やっと覚悟を決められたAは、
静かにナイフを振り上げた。