「あくまでこいして」「47ブックマーク」
病院に来るとき、女は必ず医者に紙きれを見せていた。
ある医者はそれを見て、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
女は微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界に憧れるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
そして、女はその医者に恋をした。
どういうことだろう?
*これは、さるぼぼさんの素敵な挿絵から連想してつくった問題です。
ある医者はそれを見て、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
女は微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界に憧れるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
そして、女はその医者に恋をした。
どういうことだろう?
*これは、さるぼぼさんの素敵な挿絵から連想してつくった問題です。
15年03月04日 22:27
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
さるかげスープ
解説を見る
幼い頃に母親を病気で亡くした少女にとって、医療や科学技術なんてものは、信頼に値しなかった。
治療だ入院だと、家族の時間を奪っておいて、結局のところ母を救えなかった医者達には、恨みしか覚えていなかった。
母に似て病弱だった少女は、それまでも家の中に閉じこもりがちだったけれど、母が死んでからは余計に医者にかかることを嫌がったために体調の悪い日が続き、外に出られない日々を過ごしていた。そしてついに母と同じ病気に倒れたときも、治療や薬を拒絶した。
何人もの有能な医者が説得にあたったが、彼らの言葉に耳を傾けることはなかった。
日に日に衰弱していく少女のもとへ、ある日、若い医者が訪れた。医者嫌いの少女の噂を聞いて、自分にできることがあるならば、と志願したのだ。
彼はまだ経験も乏しい新米の医者であったが、少女を救いたい一心の父は、経歴などもはや気にしている場合ではなかった。
若い医者は、少女が寝ている間に部屋に隠れ、夜中に彼女を起こした。
目を覚ました彼女の目に飛び込んできたのは、外の街灯にぼんやり照らされた、真黒な服の痩せた男だった。
「……誰? 誰なの?」
怯えたように聞く少女に、医者は落ち着いて答える。
「俺か? 俺は、悪魔だ」
病弱な少女は、友達と遊ぶこともなく、家の中で本ばかり読んできた。母の死から医療や科学に疑いを持っていたため、非科学的な錬金術や悪魔に関する本は、いくつも読んだことがあった。そして、世間を知らない少女は、大変純粋でもあった。
「契約しに来たの?」
暗い部屋の中で、黒い服の男は、輪郭がはっきりせず、得体のしれない者にも見えた。
悪魔と名乗った医者の言葉をすんなり信じ、悪魔の契約のことを思い出した少女は、黒服を着た若い医者にそう尋ねた。
医者は……悪魔は、うすら笑いを浮かべた。
「よく知っているな……そうだ。苦しんでいるようだから、それを救ってやろうと思ってな」
「救うだなんて、嘘よ。私の命が欲しいだけなのでしょう?」
「見返りにな。しかし、それは10年後でいい」
暗闇に慣れてきた目で、少女は悪魔の表情を探る。悪魔は先ほどから変わらず、ただうすら笑いを浮かべるだけだ。
「悪魔の術で、お前の病気を治してやる。そうすればお前は、外で他の子ども達がしているように駆け回ることだってできるようになるし、学校に休まず通って、好きな勉強を続けることもできる。友達をつくることだって、誰かと恋をすることだってできるようになる」
窓から外の世界を眺めてきた。家の中にいても、本を読んだり父と話したりして、色々なことを学んできたけれど、少女にとって外の世界は憧れでもあった。
「お前はもうすぐ死ぬ。本来ならば、助からない命だ。それを助けて、10年間、普通の生活ができるようにしてやるんだ。こんなに条件の良い契約はないと思うが?」
確かに、悪魔の誘いは、魅力的だった。
「……助けて。私を助けて。10年後に、私の命をあげるから。10年間、普通の暮しをしたい……!」
「よし、契約成立だ」
悪魔は少女に近づいていき、悪魔の契約書にサインさせた。これが夢でない証拠になる、と、1枚を少女に渡し、もう1枚の契約書を自分の懐に収めた。そして契約の証だと言ってグラスの水を飲ませた。その水には治療に必要な薬と睡眠薬が溶かされており、素直に口にした少女は、すぐに眠りに落ちた。
寝ている間に悪魔は……医者は、少女の部屋を後にした。
それから、悪魔の治療が始まった。魔界の食べ物だと言って怪しげなスープをつくっては、中に薬を混ぜ込んで飲ませ、魔族の呪術だと偽っては、少女の診察を行った。悪魔はいつも唐突に、皆が寝静まった頃少女の部屋に現れ、毎度夜中に起こされる少女は、いつも暗闇の中悪魔の治療を受けた。治療の後は、最初の契約のときと同じように、睡眠薬で眠らされた。悪魔は自分が悪魔であることに疑いを抱かれぬよう、演出にはこだわった。もしどこかで違和感を覚えられてしまったら、完治する前に少女が治療を拒みかねないからだ。
少女に悟られぬよう、新米の医者が細々と続けた治療の甲斐あって、少女は1年後にはすっかり元気になっていた。病気の重かった母は助けられなかったが、まだ若い少女は母よりも体力があったし、早期に治療できたため、現代の医療で十分治すことができるのだ。
少女の父は若い医者に心から感謝をし、ぜひこのまま主治医になって貰いたいと願ったが、治療が終わった医者は、最後まで悪魔であり続けるために、少女に別れも告げずに突然去った。
悪魔がぱたりと現れなくなったことで、少女は自分の病気が治ったことを知り、残りの時間を精一杯過ごすことに決めた。
そして、あの契約から10年後。
病院にやってきた女は、医者に古びた紙きれを見せるのが習慣になっていた。医者に不振がられてばかりだったが、その日は違った。
その日の担当の医者は、不審に思いながらも促されるままにその紙きれを受け取り、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
その言葉を聞いた女は、満足そうに微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界を羨ましがるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
大人になった元少女が、医者としての経験を重ねた元悪魔の顔を覗き込む。
「ようやく見つけました……あなたは、私の命が欲しいと、そう言ったはずでしょう?」
勉強を積み、世間を知り、窓の外の世界へ飛び出した彼女は、もはやすべてを悟っていたが、悪魔の契約を破るつもりはなかったのだ。
「10年経ったのに契約通りに取りに来ないから、私から来てあげたのよ」
艶やかに笑う彼女は……悪魔に恋した彼女は、悪魔のように恐ろしいほど、美しかった。
END
#b#医者嫌いの少女は治療や薬を拒絶したため、ある医者が自分は悪魔だと名乗り、悪魔の術で少女を治す代わりに、10年後に少女の魂をいただくという契約を交わした。10年後、すべてを悟った元少女の女が、元悪魔の医者を探すために、契約書を持って病院を巡っていたのだ。#/b#
治療だ入院だと、家族の時間を奪っておいて、結局のところ母を救えなかった医者達には、恨みしか覚えていなかった。
母に似て病弱だった少女は、それまでも家の中に閉じこもりがちだったけれど、母が死んでからは余計に医者にかかることを嫌がったために体調の悪い日が続き、外に出られない日々を過ごしていた。そしてついに母と同じ病気に倒れたときも、治療や薬を拒絶した。
何人もの有能な医者が説得にあたったが、彼らの言葉に耳を傾けることはなかった。
日に日に衰弱していく少女のもとへ、ある日、若い医者が訪れた。医者嫌いの少女の噂を聞いて、自分にできることがあるならば、と志願したのだ。
彼はまだ経験も乏しい新米の医者であったが、少女を救いたい一心の父は、経歴などもはや気にしている場合ではなかった。
若い医者は、少女が寝ている間に部屋に隠れ、夜中に彼女を起こした。
目を覚ました彼女の目に飛び込んできたのは、外の街灯にぼんやり照らされた、真黒な服の痩せた男だった。
「……誰? 誰なの?」
怯えたように聞く少女に、医者は落ち着いて答える。
「俺か? 俺は、悪魔だ」
病弱な少女は、友達と遊ぶこともなく、家の中で本ばかり読んできた。母の死から医療や科学に疑いを持っていたため、非科学的な錬金術や悪魔に関する本は、いくつも読んだことがあった。そして、世間を知らない少女は、大変純粋でもあった。
「契約しに来たの?」
暗い部屋の中で、黒い服の男は、輪郭がはっきりせず、得体のしれない者にも見えた。
悪魔と名乗った医者の言葉をすんなり信じ、悪魔の契約のことを思い出した少女は、黒服を着た若い医者にそう尋ねた。
医者は……悪魔は、うすら笑いを浮かべた。
「よく知っているな……そうだ。苦しんでいるようだから、それを救ってやろうと思ってな」
「救うだなんて、嘘よ。私の命が欲しいだけなのでしょう?」
「見返りにな。しかし、それは10年後でいい」
暗闇に慣れてきた目で、少女は悪魔の表情を探る。悪魔は先ほどから変わらず、ただうすら笑いを浮かべるだけだ。
「悪魔の術で、お前の病気を治してやる。そうすればお前は、外で他の子ども達がしているように駆け回ることだってできるようになるし、学校に休まず通って、好きな勉強を続けることもできる。友達をつくることだって、誰かと恋をすることだってできるようになる」
窓から外の世界を眺めてきた。家の中にいても、本を読んだり父と話したりして、色々なことを学んできたけれど、少女にとって外の世界は憧れでもあった。
「お前はもうすぐ死ぬ。本来ならば、助からない命だ。それを助けて、10年間、普通の生活ができるようにしてやるんだ。こんなに条件の良い契約はないと思うが?」
確かに、悪魔の誘いは、魅力的だった。
「……助けて。私を助けて。10年後に、私の命をあげるから。10年間、普通の暮しをしたい……!」
「よし、契約成立だ」
悪魔は少女に近づいていき、悪魔の契約書にサインさせた。これが夢でない証拠になる、と、1枚を少女に渡し、もう1枚の契約書を自分の懐に収めた。そして契約の証だと言ってグラスの水を飲ませた。その水には治療に必要な薬と睡眠薬が溶かされており、素直に口にした少女は、すぐに眠りに落ちた。
寝ている間に悪魔は……医者は、少女の部屋を後にした。
それから、悪魔の治療が始まった。魔界の食べ物だと言って怪しげなスープをつくっては、中に薬を混ぜ込んで飲ませ、魔族の呪術だと偽っては、少女の診察を行った。悪魔はいつも唐突に、皆が寝静まった頃少女の部屋に現れ、毎度夜中に起こされる少女は、いつも暗闇の中悪魔の治療を受けた。治療の後は、最初の契約のときと同じように、睡眠薬で眠らされた。悪魔は自分が悪魔であることに疑いを抱かれぬよう、演出にはこだわった。もしどこかで違和感を覚えられてしまったら、完治する前に少女が治療を拒みかねないからだ。
少女に悟られぬよう、新米の医者が細々と続けた治療の甲斐あって、少女は1年後にはすっかり元気になっていた。病気の重かった母は助けられなかったが、まだ若い少女は母よりも体力があったし、早期に治療できたため、現代の医療で十分治すことができるのだ。
少女の父は若い医者に心から感謝をし、ぜひこのまま主治医になって貰いたいと願ったが、治療が終わった医者は、最後まで悪魔であり続けるために、少女に別れも告げずに突然去った。
悪魔がぱたりと現れなくなったことで、少女は自分の病気が治ったことを知り、残りの時間を精一杯過ごすことに決めた。
そして、あの契約から10年後。
病院にやってきた女は、医者に古びた紙きれを見せるのが習慣になっていた。医者に不振がられてばかりだったが、その日は違った。
その日の担当の医者は、不審に思いながらも促されるままにその紙きれを受け取り、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
その言葉を聞いた女は、満足そうに微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界を羨ましがるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
大人になった元少女が、医者としての経験を重ねた元悪魔の顔を覗き込む。
「ようやく見つけました……あなたは、私の命が欲しいと、そう言ったはずでしょう?」
勉強を積み、世間を知り、窓の外の世界へ飛び出した彼女は、もはやすべてを悟っていたが、悪魔の契約を破るつもりはなかったのだ。
「10年経ったのに契約通りに取りに来ないから、私から来てあげたのよ」
艶やかに笑う彼女は……悪魔に恋した彼女は、悪魔のように恐ろしいほど、美しかった。
END
#b#医者嫌いの少女は治療や薬を拒絶したため、ある医者が自分は悪魔だと名乗り、悪魔の術で少女を治す代わりに、10年後に少女の魂をいただくという契約を交わした。10年後、すべてを悟った元少女の女が、元悪魔の医者を探すために、契約書を持って病院を巡っていたのだ。#/b#
「ウミドリのスープ」「46ブックマーク」
ある女が、とある海の見えるレストランで「ウミドリのスープ」を注文しました。
しかし、彼女はその「ウミドリのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼びました。
「すみません。これは本当にウミドリのスープですか?」
「はい・・・ ウミドリのスープに間違いございません。」
女はその後激怒して文句を言った。
何故でしょう?
しかし、彼女はその「ウミドリのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼びました。
「すみません。これは本当にウミドリのスープですか?」
「はい・・・ ウミドリのスープに間違いございません。」
女はその後激怒して文句を言った。
何故でしょう?
13年06月10日 23:06
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]
初心に戻ろう*らてらて出題中
解説を見る
私は昔、船で海外旅行した先で嵐にあい、船が難破して救命ボートで遭難してしまった。
ボートには私のほかに二人の男と一人の子供がいた。
ボートは広かったが、食料や発炎筒などは嵐で流されてしまい、食料がない。
みんなの体力はだんだんと削られていった。
そしてついに、子供が死んでしまった。
みんな悲しんだが、次いつ自分がこうなってもおかしくなかった。
三人とも限界に達しかけていたその時、一人の男が口を開いた。
「二人とも、少しの間こっちを見ないでくれ」
二人とも黙ってそっぽを向いた。
いろいろな音が聞こえてきたが、聞かない振りをした。
「できた。二人とも、運よくウミドリがいたからそれをスープにしてみた」
そう言って差し出してきたのは、一つのスープ。
私たちは、黙ってそれを食べた。
私も、本当は分かっていた。
さっきまであそこにあった子供の遺体がない……
と、いうことは……このスープはおそらく…………
もう一人の男もそれが分かっているようで、黙って顔を青くしながら食べていた。
私はその時、この罪を一生背負おうと心に決めた。
それから少しして。
私たち三人は無事救出された。
子供のことはなにも言えなかった。
そのまま三人は、何も言わずに別れた。
そしてそれから数年後。
不意に、あの三人で集まろうという話が持ち上がった。
本当は参加したくなかったが、過去から目を向けてはいけない、あの子供への罪を忘れてはいけない。そう思って参加することにした。
そして三人は、不意にとあるレストランへと入った。
私はそのメニューの中に、ウミドリのスープがあるのを見つけた。
もう一人も気付いたようで、私達の罪を改めて自覚しようと、それを頼んだ。
だが、なぜか調理した男だけは反対していた。
そして、ウミドリのスープが運ばれてきた。
これが、本物の…………
そう思って口に含むと───
「……!?」
味が……同じ!?
どういうことだ。そんな…………
もう一人の男を見ると、
「こんな味だったんだ……」
とつぶやきながら食べている。
そして目に映ったのは、青ざめながら目を背けているもう一人の───
「……っ!!」
私はその男に掴みかかった。
「……どういうこと?」
「言ったろ……あれは、『ウミドリのスープ』だと。ちょうど、一羽だけいたんだよ。君だけには、人は食べて欲しくなかった……」
「なにそれ……なんで私には背負わせてくれないの!? 私だけなんで蚊帳の外にしたの!? 償うことも出来ないじゃない……!!」
私は、男にひたすら文句を言った。
理不尽だとは分かっていたけど、この口を止めることは出来なかった。
ボートには私のほかに二人の男と一人の子供がいた。
ボートは広かったが、食料や発炎筒などは嵐で流されてしまい、食料がない。
みんなの体力はだんだんと削られていった。
そしてついに、子供が死んでしまった。
みんな悲しんだが、次いつ自分がこうなってもおかしくなかった。
三人とも限界に達しかけていたその時、一人の男が口を開いた。
「二人とも、少しの間こっちを見ないでくれ」
二人とも黙ってそっぽを向いた。
いろいろな音が聞こえてきたが、聞かない振りをした。
「できた。二人とも、運よくウミドリがいたからそれをスープにしてみた」
そう言って差し出してきたのは、一つのスープ。
私たちは、黙ってそれを食べた。
私も、本当は分かっていた。
さっきまであそこにあった子供の遺体がない……
と、いうことは……このスープはおそらく…………
もう一人の男もそれが分かっているようで、黙って顔を青くしながら食べていた。
私はその時、この罪を一生背負おうと心に決めた。
それから少しして。
私たち三人は無事救出された。
子供のことはなにも言えなかった。
そのまま三人は、何も言わずに別れた。
そしてそれから数年後。
不意に、あの三人で集まろうという話が持ち上がった。
本当は参加したくなかったが、過去から目を向けてはいけない、あの子供への罪を忘れてはいけない。そう思って参加することにした。
そして三人は、不意にとあるレストランへと入った。
私はそのメニューの中に、ウミドリのスープがあるのを見つけた。
もう一人も気付いたようで、私達の罪を改めて自覚しようと、それを頼んだ。
だが、なぜか調理した男だけは反対していた。
そして、ウミドリのスープが運ばれてきた。
これが、本物の…………
そう思って口に含むと───
「……!?」
味が……同じ!?
どういうことだ。そんな…………
もう一人の男を見ると、
「こんな味だったんだ……」
とつぶやきながら食べている。
そして目に映ったのは、青ざめながら目を背けているもう一人の───
「……っ!!」
私はその男に掴みかかった。
「……どういうこと?」
「言ったろ……あれは、『ウミドリのスープ』だと。ちょうど、一羽だけいたんだよ。君だけには、人は食べて欲しくなかった……」
「なにそれ……なんで私には背負わせてくれないの!? 私だけなんで蚊帳の外にしたの!? 償うことも出来ないじゃない……!!」
私は、男にひたすら文句を言った。
理不尽だとは分かっていたけど、この口を止めることは出来なかった。
「届かないメッセージ」「46ブックマーク」
カメオ君は父親のパソコンを勝手に開いていた。
まだ幼いカメオ君だが、見よう見まねでメールソフトを立ち上げると父の携帯アドレスを見つけた。
メッセージの部分になれない手で文字をそっと打ち続けるカメオ君。
僕はその様子を見つけ、笑顔で近づいて行った。
カメオ君が伝えたいメッセージとは?
まだ幼いカメオ君だが、見よう見まねでメールソフトを立ち上げると父の携帯アドレスを見つけた。
メッセージの部分になれない手で文字をそっと打ち続けるカメオ君。
僕はその様子を見つけ、笑顔で近づいて行った。
カメオ君が伝えたいメッセージとは?
17年04月03日 21:01
【20の扉】 [滝杉こげお]
【20の扉】 [滝杉こげお]
制限はありません お気軽にどうぞ
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解説
『 #b#そっそっそっそっそっそっそっそっそっそs#/b#』
#b#そっ#/b#と打ち込み続けるカメオ君。その顔はきっと恐怖でひきつっているのだろう。
「SOS、SOS、SOS、SOS、SOS……なんで出ないの?」
ああ、それじゃあだめだよ。助けが欲しいのならアルファベット入力で『#red#SOS#/red#』と打たなくちゃ。
僕はカメオ君に笑顔で近づくと、そっと入力切替のボタンを押してあげる。
ゆっくりと後ろを、僕の顔を振り向くカメオ君。
#red#もちろんカメオ君のメッセージが父親に届くことはなかった。#/red#
『 #b#そっそっそっそっそっそっそっそっそっそs#/b#』
#b#そっ#/b#と打ち込み続けるカメオ君。その顔はきっと恐怖でひきつっているのだろう。
「SOS、SOS、SOS、SOS、SOS……なんで出ないの?」
ああ、それじゃあだめだよ。助けが欲しいのならアルファベット入力で『#red#SOS#/red#』と打たなくちゃ。
僕はカメオ君に笑顔で近づくと、そっと入力切替のボタンを押してあげる。
ゆっくりと後ろを、僕の顔を振り向くカメオ君。
#red#もちろんカメオ君のメッセージが父親に届くことはなかった。#/red#
「シンプルな広告」「45ブックマーク」
ある広告を見かけた男は、その広告を出した企業に電話をして
その広告を引き下げさせた。
しかしその広告は、不適切な表現が使われていると
人々に感じさせるようなものではなかったらしい。
なぜ男はその企業に電話したのだろう?
その広告を引き下げさせた。
しかしその広告は、不適切な表現が使われていると
人々に感じさせるようなものではなかったらしい。
なぜ男はその企業に電話したのだろう?
16年06月11日 21:09
【ウミガメのスープ】 [けんこうこつ]
【ウミガメのスープ】 [けんこうこつ]
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#big5# 広告募集#/big5#
○○○-△△△-□□□□
株式会社 肩甲骨
○○○-△△△-□□□□
株式会社 肩甲骨
「捕らわれの騎士の望み」「45ブックマーク」
俺はギルベルト・ボーデンシャッツ。
もし時間があれば、俺の話を聞いて欲しい。
ハール国とカナン国が戦争をした。
そして俺はハール国の騎士として戦った。
しかし戦争はカナン国の勝利に終わった。
俺は捕らえられ、カナン国の牢屋の中にいる。
俺は、祖国ハールに帰りたい。
もし時間があれば、知恵を貸してくれないだろうか?
俺がこの牢屋から脱出する方法を。
もし時間があれば、俺の話を聞いて欲しい。
ハール国とカナン国が戦争をした。
そして俺はハール国の騎士として戦った。
しかし戦争はカナン国の勝利に終わった。
俺は捕らえられ、カナン国の牢屋の中にいる。
俺は、祖国ハールに帰りたい。
もし時間があれば、知恵を貸してくれないだろうか?
俺がこの牢屋から脱出する方法を。
14年10月30日 21:43
【亀夫君問題】 [低空飛行便]
【亀夫君問題】 [低空飛行便]
ありがとう。君たちのおかげだ。
解説を見る
※解説末尾に要約がありますので、時間のない方はそちらをご覧ください。
長い時をかけて牢屋からの脱出に成功した俺は、
祖国ハールへと向かった。
既に滅んでしまった、誰もいない祖国。
俺が勤めていた城は既にボロボロの廃墟だ。
城の周りの街も、何もかも、朽ち果てている。
無理もない。あの負け戦から、どれだけの時が過ぎたというのだろう。
足元には荒れた土。
手元にはカナン国から持ち出したリンゴの種。
いつの間にか降ってきた雨が、俺の全身を濡らす。
カナン国の牢屋での出来事を思い出す。
俺は目を閉じ、胸に手を当てる。
心音を感じる。決して止まない心音。
……俺は、一つの決心をした。
こんな形でしか亡き祖国に尽くせないが、
それでもこれは俺でなければ出来ないことなのだ。
例え何百年かかっても。
※
ハール国立大学。作物栽培学特別実習の授業中。
太陽の光が大学所有のリンゴ園に降り注ぎ、
そこにはまるで憩うかのように教授と学生たちがいる。
「実はこのリンゴには作物栽培学上の謎がある。
この品種はもともとハール市にはなく、
ここから遠く離れたカナン市の特産品であった。
しかし、ある時期よりハールでも盛んに栽培されるようになったのだ。
それ以来、このリンゴがハールの特産品として
豊かな富と恵みをもたらしていることは、諸君の知るところだろう」
教授が学問上の問題を学生たちに披露し始めた。
「カナンのリンゴというと、騎士がリンゴの木に変身したという、
あのリンゴですか?」
学生の一人が発言した。
「それは後世の人間が創作した逸話の類だろう。ともかく、そのリンゴだ。
さて、この品種がどのような過程でカナンからハールにもたらされたのか、
諸君には分かるかな?」
教授は微笑んで、学生たちに問いかけた。
学生たちは一様に首を傾げたり肩をすくめたりしている。
ただ一人、先ほど発言した学生だけは、リンゴの木をじっと見つめている。
「教授、おそらくその謎は解き明かせると思います」
リンゴの木を見たまま、その学生は言った。
「ボーデンシャッツ君、随分な自信だね。
学者たちは土壌の成分を調べたり、リンゴのDNAを調べたりしているが、
今のところ有力な説が出てきていない。
君はどうやってこの謎を解き明かすつもりかね?」
教授の質問に、ボーデンシャッツと呼ばれた学生は少し困ったように笑った。
「どうやって、かは、正直まだ分かりません。
でも、必ず解き明かしてみせます」
ボーデンシャッツは目を閉じ、胸に手を当てた。
「例え何百年かかっても」
#b#解答要約:#/b#
不老不死の騎士が長年かけて牢屋の中でリンゴの木を育て、
その木によじ登って天井の窓から脱出する。
#b#謝辞:#/b#
本問題作成にあたり、天童 魔子さん、さしゃさんに、
SPとしてご協力いただきました。ありがとうございます。
長い時をかけて牢屋からの脱出に成功した俺は、
祖国ハールへと向かった。
既に滅んでしまった、誰もいない祖国。
俺が勤めていた城は既にボロボロの廃墟だ。
城の周りの街も、何もかも、朽ち果てている。
無理もない。あの負け戦から、どれだけの時が過ぎたというのだろう。
足元には荒れた土。
手元にはカナン国から持ち出したリンゴの種。
いつの間にか降ってきた雨が、俺の全身を濡らす。
カナン国の牢屋での出来事を思い出す。
俺は目を閉じ、胸に手を当てる。
心音を感じる。決して止まない心音。
……俺は、一つの決心をした。
こんな形でしか亡き祖国に尽くせないが、
それでもこれは俺でなければ出来ないことなのだ。
例え何百年かかっても。
※
ハール国立大学。作物栽培学特別実習の授業中。
太陽の光が大学所有のリンゴ園に降り注ぎ、
そこにはまるで憩うかのように教授と学生たちがいる。
「実はこのリンゴには作物栽培学上の謎がある。
この品種はもともとハール市にはなく、
ここから遠く離れたカナン市の特産品であった。
しかし、ある時期よりハールでも盛んに栽培されるようになったのだ。
それ以来、このリンゴがハールの特産品として
豊かな富と恵みをもたらしていることは、諸君の知るところだろう」
教授が学問上の問題を学生たちに披露し始めた。
「カナンのリンゴというと、騎士がリンゴの木に変身したという、
あのリンゴですか?」
学生の一人が発言した。
「それは後世の人間が創作した逸話の類だろう。ともかく、そのリンゴだ。
さて、この品種がどのような過程でカナンからハールにもたらされたのか、
諸君には分かるかな?」
教授は微笑んで、学生たちに問いかけた。
学生たちは一様に首を傾げたり肩をすくめたりしている。
ただ一人、先ほど発言した学生だけは、リンゴの木をじっと見つめている。
「教授、おそらくその謎は解き明かせると思います」
リンゴの木を見たまま、その学生は言った。
「ボーデンシャッツ君、随分な自信だね。
学者たちは土壌の成分を調べたり、リンゴのDNAを調べたりしているが、
今のところ有力な説が出てきていない。
君はどうやってこの謎を解き明かすつもりかね?」
教授の質問に、ボーデンシャッツと呼ばれた学生は少し困ったように笑った。
「どうやって、かは、正直まだ分かりません。
でも、必ず解き明かしてみせます」
ボーデンシャッツは目を閉じ、胸に手を当てた。
「例え何百年かかっても」
#b#解答要約:#/b#
不老不死の騎士が長年かけて牢屋の中でリンゴの木を育て、
その木によじ登って天井の窓から脱出する。
#b#謝辞:#/b#
本問題作成にあたり、天童 魔子さん、さしゃさんに、
SPとしてご協力いただきました。ありがとうございます。