「愛さえあれば」「41ブックマーク」
妻が手渡してくれた弁当箱におかずが何も入っていなかったので、キヨシは歓喜した。
どういうことだろう?
どういうことだろう?
15年09月07日 21:38
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
解説を見る
#big5#「あ、ちゃんと全部食べてくれたんだ」#/big5#
務めていた会社が倒産してしまったキヨシは現在、#red#専業主夫#/red#として修行中である。
頑張って作ったお弁当を、#red#OLである妻が残さず食べてくれた#/red#のを見て、キヨシは喜んだのである。
夫婦の形は少し変わっているかもしれない。
しかしいいのである。
そこに#b#愛さえあれば#/b#。
務めていた会社が倒産してしまったキヨシは現在、#red#専業主夫#/red#として修行中である。
頑張って作ったお弁当を、#red#OLである妻が残さず食べてくれた#/red#のを見て、キヨシは喜んだのである。
夫婦の形は少し変わっているかもしれない。
しかしいいのである。
そこに#b#愛さえあれば#/b#。
「チョイト一杯のつもりで飲んで♪」「40ブックマーク」
夜遅く仕事を終えて疲れた私は少しお酒を飲みたくなったため,
「うみがめ」という看板が掛かった小さな飲み屋の玄関口までやって来た.
「すみません,まだやってますか?」
「あ,すみません.ちょうど閉店なんです.申し訳御座いません」
「そうですか・・・残念」
うーん,ツイてない.
他の店を探すかな.
でも近くに飲み屋はあんまり無かった気がするなぁ.
しかし暫くの後,私は飲み屋「うみがめ」でお酒を飲んでいた.
これは一体どういうことだろう?
「うみがめ」という看板が掛かった小さな飲み屋の玄関口までやって来た.
「すみません,まだやってますか?」
「あ,すみません.ちょうど閉店なんです.申し訳御座いません」
「そうですか・・・残念」
うーん,ツイてない.
他の店を探すかな.
でも近くに飲み屋はあんまり無かった気がするなぁ.
しかし暫くの後,私は飲み屋「うみがめ」でお酒を飲んでいた.
これは一体どういうことだろう?
16年08月12日 23:29
【ウミガメのスープ】 [QQS]
【ウミガメのスープ】 [QQS]
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飲み屋「うみがめ」を始めて数ヶ月.
今日もお客さんがそこそこ入ってくれた.
この辺りは飲み屋が少ないし,固定客を掴めば何とかやっていけそうだ.
さて,夜も遅くなってお客さんがいなくなった.
私も一杯やりたいし,今日は店じまいだな.
とりあえず玄関に掛けたのれんを外しに行かなきゃ.
と,私が玄関口に近付いたタイミングでお客さんが来た.
けどもう料理を出せる状況でもないし,お断りするしか無い.
「あ,すみません.ちょうど閉店なんです.申し訳御座いません」
あのお客さんツイてないな.
もう少し早く来てくれれば普通にお迎え出来たんだけど.
しかしあの人,これから歩きまわって他の店を探すのかな?
この辺りで店を見つけるのは苦労するかも知れないな.
まぁそれはそれとして,早く店の中を片付けて晩酌を楽しもう.
今日もお客さんがそこそこ入ってくれた.
この辺りは飲み屋が少ないし,固定客を掴めば何とかやっていけそうだ.
さて,夜も遅くなってお客さんがいなくなった.
私も一杯やりたいし,今日は店じまいだな.
とりあえず玄関に掛けたのれんを外しに行かなきゃ.
と,私が玄関口に近付いたタイミングでお客さんが来た.
けどもう料理を出せる状況でもないし,お断りするしか無い.
「あ,すみません.ちょうど閉店なんです.申し訳御座いません」
あのお客さんツイてないな.
もう少し早く来てくれれば普通にお迎え出来たんだけど.
しかしあの人,これから歩きまわって他の店を探すのかな?
この辺りで店を見つけるのは苦労するかも知れないな.
まぁそれはそれとして,早く店の中を片付けて晩酌を楽しもう.
「ハンドメイドボックス」「40ブックマーク」
妻のことを想いながら一週間に一つのペースで木箱に花を彫っている百合野茂雄。
その花が増える度、妻は悲しくなるという。
一体なぜ?
その花が増える度、妻は悲しくなるという。
一体なぜ?
16年04月09日 01:46
【ウミガメのスープ】 [水上]
【ウミガメのスープ】 [水上]
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夫の船旅の疲れを癒そうと机の上に用意したご馳走が温度を失ってから2時間。
百合野花の携帯電話に着信があった。
それは待ち望んだ夫からのものではなく、夫が乗った船の転覆を告げる電話だった。
一方その頃。
百合野茂雄は転覆した船から海に投げ出されたものの、運良く積荷のカラの木箱にしがみつき、大海を彷徨っていた。
しかし大時化の海の中では何もできず、茂雄は自分の運命を天に任した。
一夜明け…
木箱を握りしめながら気絶していた茂雄が目をさますと、あたり一面が砂浜だった。
茂雄は無人島に打ち上げられたのだ。
その日から茂雄の孤独な無人島生活が始まった。
島を軽く一周し、ここが無人であることを察した茂雄。
幸いなことに身につけていたウェストポーチには、ライターやソーイングセット、ナイフなど、
サバイバルに必要なものが揃っていたので、まずは雨風がしのげる屋根を作り、そこに船の転覆から救ってくれた木箱を置いてテーブル代わりにした。
ソーイングセットの針を曲げ釣竿を作ったり、小枝を集めて火をおこしたりと、ここでの生活の準備を整えていった。
そして一日が終わる。
茂雄は日数の経過を把握する為に、机代わりの木箱に正の字を刻もうとナイフを手に取ったが、
どうせなら一週間がわかるように7画の漢字を並べていこうと考えた。
そして頭に浮かんだのが妻の名前。「花」
離れ離れになってしまった妻の顔を思い浮かべて、ナイフを握り、木箱に印を付けた。
一週間が経過。
木箱に「花」の字が一つ刻まれる。
花は茂雄からの連絡を待ち続けている。
茂雄もまた救助を待ち続けている。
更に一週間が経過。
木箱に二個目の「花」の字。
救助を待つ夫と、夫の無事を祈る妻。
三個目の「花」の字。
現状は変わらない。
夫の焦燥と、妻の悲しみだけが積もっていく。
・・・
「花」の字が木箱を埋め尽くしてしばらく経ったある日。
無人島の近くに一艘の船が近づいてきた。
しかし船は通り過ぎていく。
呼び止める者が誰もいないから。
つい先日まで茂雄がいたその島は、無人島に戻ってしまったから。
そう。茂雄は長い無人島生活の中でイカダを製作し、無人島を脱出していたのだった。
「花」で埋め尽くされた木箱に、島で採れた果物や魚の干物、希望を詰めて。
おかえりなさい。
ただいま。
百合野花の携帯電話に着信があった。
それは待ち望んだ夫からのものではなく、夫が乗った船の転覆を告げる電話だった。
一方その頃。
百合野茂雄は転覆した船から海に投げ出されたものの、運良く積荷のカラの木箱にしがみつき、大海を彷徨っていた。
しかし大時化の海の中では何もできず、茂雄は自分の運命を天に任した。
一夜明け…
木箱を握りしめながら気絶していた茂雄が目をさますと、あたり一面が砂浜だった。
茂雄は無人島に打ち上げられたのだ。
その日から茂雄の孤独な無人島生活が始まった。
島を軽く一周し、ここが無人であることを察した茂雄。
幸いなことに身につけていたウェストポーチには、ライターやソーイングセット、ナイフなど、
サバイバルに必要なものが揃っていたので、まずは雨風がしのげる屋根を作り、そこに船の転覆から救ってくれた木箱を置いてテーブル代わりにした。
ソーイングセットの針を曲げ釣竿を作ったり、小枝を集めて火をおこしたりと、ここでの生活の準備を整えていった。
そして一日が終わる。
茂雄は日数の経過を把握する為に、机代わりの木箱に正の字を刻もうとナイフを手に取ったが、
どうせなら一週間がわかるように7画の漢字を並べていこうと考えた。
そして頭に浮かんだのが妻の名前。「花」
離れ離れになってしまった妻の顔を思い浮かべて、ナイフを握り、木箱に印を付けた。
一週間が経過。
木箱に「花」の字が一つ刻まれる。
花は茂雄からの連絡を待ち続けている。
茂雄もまた救助を待ち続けている。
更に一週間が経過。
木箱に二個目の「花」の字。
救助を待つ夫と、夫の無事を祈る妻。
三個目の「花」の字。
現状は変わらない。
夫の焦燥と、妻の悲しみだけが積もっていく。
・・・
「花」の字が木箱を埋め尽くしてしばらく経ったある日。
無人島の近くに一艘の船が近づいてきた。
しかし船は通り過ぎていく。
呼び止める者が誰もいないから。
つい先日まで茂雄がいたその島は、無人島に戻ってしまったから。
そう。茂雄は長い無人島生活の中でイカダを製作し、無人島を脱出していたのだった。
「花」で埋め尽くされた木箱に、島で採れた果物や魚の干物、希望を詰めて。
おかえりなさい。
ただいま。
「たったひとつのマシなやり方」「40ブックマーク」
玄関ホールで立ち尽くす妻と息子と、見知らぬ男。
見知らぬ男は倒れていて、その背中にはナイフが突き立っている。
その様子を見たガクは、#b#ナイフが見知らぬ男ではなく息子に刺さっていればよかったのに#/b#と思った。
何故だろう?
見知らぬ男は倒れていて、その背中にはナイフが突き立っている。
その様子を見たガクは、#b#ナイフが見知らぬ男ではなく息子に刺さっていればよかったのに#/b#と思った。
何故だろう?
15年12月26日 17:00
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
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学が会社から帰宅した時には、すべてが終わっていた。
年末の片付け仕事を終え、久々の定時退社に心を浮かせた学は、息子の大好きなパイナップルのケーキを駅前で買い、スキップせんばかりに家路を急いだ。
高校受験を控えた息子は最近無口で、あまり顔を合わせていない。
今日はケーキをだしに、無理やりにでも話をしよう。勉強の悩み、将来のこと、恋バナだっていい。
それに国語はからっきしだが、数学や理科ならお父さんだってまだまだ教えてやれるんだぞ。
商店街を抜け、マンションの立ち並ぶ通りを行く。角を二つ曲がる。クリスマスの名残か、あちこちの家の前に安っぽい電飾が輝いている。
公園には気が早く、「新年餅つき大会のお知らせ」なんていう貼り紙がしてある。
妻が無類の餅好きだったことを思い出し、顔がほころぶ。また正月太りするんだろうな、あいつ。
我が家は公園を越えて二軒となり。
駅から少し遠くても、家族で過ごせるリビングの広い家がいい。妻の意見に共感して、必死で働いて建てた念願のマイホームは、ちょっとした自慢だ。
ありきたりだが、自分たちは今間違いなく幸せで、その幸せはまだ始まったばかり、学はそう感じていた。
家の前に立った時、学は妙な胸騒ぎがした。門が半開きで、普段は点いている玄関の灯りが点いていない。
首を傾げつつドアを開ける。鍵は掛かっていなかった。
真っ暗な室内を、向かいの家の電飾がかすかに照らす。学はそこに、三人の人間の姿を見た。
立ち尽くす妻と、息子と、見知らぬ男。
#red#息子と男は倒れていた。#/red#
学は後ろ手にドアを閉め、電気を点けた。
「おい、どうしたんだ。何があった?」
妻は焦点の定まらない目を学に向けた。口の中で小さく「あなた」と言った。
学は落ち着けと自分に言い聞かせ、状況を確認した。
まず、息子。
仰向けに倒れていて、#red#左脇腹から出血している#/red#。流れ出た大量の血液が、床と壁を汚している。顔は……見たくなかった。
近付いて手首を触る。身体はまだほのかに温かいが、脈は、無かった。
見知らぬ男は、玄関のドアに向かってうつ伏せに倒れている。#red#背中にはナイフが突き立っている#/red#。ナイフは我が家には無い種類のものだ。
男の出血は、着ているセーターをジワリと染める程度であった。息があるかどうかは、学には興味のないことだった。
妻は、その場に立ち尽くし、小刻みに震えていた。怖かったのだろう。
彼女の#red#部屋着は、利き手である右腕を中心に、血にまみれていた#/red#。
学は状況を理解した。
「いきなり、その人が──」
「わかってる」
妻に理性を取り戻させたくはなかった。
状況が物語っているのは、こんな筋書きだ。
強盗か変質者かわからないが、見知らぬ男が、ナイフを持って我が家に押し入った。対応に出た息子が刺され、その場に倒れた。
それを見た妻が錯乱し、#red#息子の脇腹に刺さったナイフを引き抜き、逃げようとする男の背中に、突き立てた#/red#のだ。
妻は大量の血に怯えて理性が働かなくなり、息子と男は倒れたまま動けなくなった。
学はこんなショッキングな光景を前に、不思議に、頭が冴えていくのを感じた。すぐに、これは夫としての本能なのだと確信した。
#b#今、妻を守れるのは、自分しかいない。#/b#
#red#身体に刺さった刃物を抜けば、出血多量で死に至る。#/red#冷静に考えればわかることだ。
#red#息子の死を早めたのは、妻かもしれないのだ。#/red#彼女がその事実に気づいた時、どれほど悲しむだろう。
学の頭脳は、すぐに#b#たったひとつのマシなやり方#/b#を弾き出した。
学は、男の背中からナイフを引き抜いた。
最後に妻を引き寄せ、片手にナイフを握ったまま、抱きしめる。
「大丈夫だよ」
自分の声はこんなに優しかっただろうか。
妻の震えが少し治まったような気がした。
幸せだった。
自分たちは間違いなく、幸せだった。
学は血に塗れたナイフの切っ先をもう一度見つめると、力一杯突き付けた。
どこへ? 喉元へ。
誰の?
#big5#【要約解説】#/big5#
#b#ガクは、見知らぬ男が息子を刺し、そのナイフを妻が引き抜いて男を刺したと推理した。#/b#
#b#妻がナイフを引き抜いたせいで、息子の出血が早まった可能性がある。#/b#
#b#ナイフが見知らぬ男ではなく息子に刺さったままの状態であれば、最悪の事態は避けられたのかもしれない。#/b#
年末の片付け仕事を終え、久々の定時退社に心を浮かせた学は、息子の大好きなパイナップルのケーキを駅前で買い、スキップせんばかりに家路を急いだ。
高校受験を控えた息子は最近無口で、あまり顔を合わせていない。
今日はケーキをだしに、無理やりにでも話をしよう。勉強の悩み、将来のこと、恋バナだっていい。
それに国語はからっきしだが、数学や理科ならお父さんだってまだまだ教えてやれるんだぞ。
商店街を抜け、マンションの立ち並ぶ通りを行く。角を二つ曲がる。クリスマスの名残か、あちこちの家の前に安っぽい電飾が輝いている。
公園には気が早く、「新年餅つき大会のお知らせ」なんていう貼り紙がしてある。
妻が無類の餅好きだったことを思い出し、顔がほころぶ。また正月太りするんだろうな、あいつ。
我が家は公園を越えて二軒となり。
駅から少し遠くても、家族で過ごせるリビングの広い家がいい。妻の意見に共感して、必死で働いて建てた念願のマイホームは、ちょっとした自慢だ。
ありきたりだが、自分たちは今間違いなく幸せで、その幸せはまだ始まったばかり、学はそう感じていた。
家の前に立った時、学は妙な胸騒ぎがした。門が半開きで、普段は点いている玄関の灯りが点いていない。
首を傾げつつドアを開ける。鍵は掛かっていなかった。
真っ暗な室内を、向かいの家の電飾がかすかに照らす。学はそこに、三人の人間の姿を見た。
立ち尽くす妻と、息子と、見知らぬ男。
#red#息子と男は倒れていた。#/red#
学は後ろ手にドアを閉め、電気を点けた。
「おい、どうしたんだ。何があった?」
妻は焦点の定まらない目を学に向けた。口の中で小さく「あなた」と言った。
学は落ち着けと自分に言い聞かせ、状況を確認した。
まず、息子。
仰向けに倒れていて、#red#左脇腹から出血している#/red#。流れ出た大量の血液が、床と壁を汚している。顔は……見たくなかった。
近付いて手首を触る。身体はまだほのかに温かいが、脈は、無かった。
見知らぬ男は、玄関のドアに向かってうつ伏せに倒れている。#red#背中にはナイフが突き立っている#/red#。ナイフは我が家には無い種類のものだ。
男の出血は、着ているセーターをジワリと染める程度であった。息があるかどうかは、学には興味のないことだった。
妻は、その場に立ち尽くし、小刻みに震えていた。怖かったのだろう。
彼女の#red#部屋着は、利き手である右腕を中心に、血にまみれていた#/red#。
学は状況を理解した。
「いきなり、その人が──」
「わかってる」
妻に理性を取り戻させたくはなかった。
状況が物語っているのは、こんな筋書きだ。
強盗か変質者かわからないが、見知らぬ男が、ナイフを持って我が家に押し入った。対応に出た息子が刺され、その場に倒れた。
それを見た妻が錯乱し、#red#息子の脇腹に刺さったナイフを引き抜き、逃げようとする男の背中に、突き立てた#/red#のだ。
妻は大量の血に怯えて理性が働かなくなり、息子と男は倒れたまま動けなくなった。
学はこんなショッキングな光景を前に、不思議に、頭が冴えていくのを感じた。すぐに、これは夫としての本能なのだと確信した。
#b#今、妻を守れるのは、自分しかいない。#/b#
#red#身体に刺さった刃物を抜けば、出血多量で死に至る。#/red#冷静に考えればわかることだ。
#red#息子の死を早めたのは、妻かもしれないのだ。#/red#彼女がその事実に気づいた時、どれほど悲しむだろう。
学の頭脳は、すぐに#b#たったひとつのマシなやり方#/b#を弾き出した。
学は、男の背中からナイフを引き抜いた。
最後に妻を引き寄せ、片手にナイフを握ったまま、抱きしめる。
「大丈夫だよ」
自分の声はこんなに優しかっただろうか。
妻の震えが少し治まったような気がした。
幸せだった。
自分たちは間違いなく、幸せだった。
学は血に塗れたナイフの切っ先をもう一度見つめると、力一杯突き付けた。
どこへ? 喉元へ。
誰の?
#big5#【要約解説】#/big5#
#b#ガクは、見知らぬ男が息子を刺し、そのナイフを妻が引き抜いて男を刺したと推理した。#/b#
#b#妻がナイフを引き抜いたせいで、息子の出血が早まった可能性がある。#/b#
#b#ナイフが見知らぬ男ではなく息子に刺さったままの状態であれば、最悪の事態は避けられたのかもしれない。#/b#
「手紙」「40ブックマーク」
誠一くんが、京子ちゃんに宛てたラブレター。
それを、亮介くんが封も開けずに燃やしてしまいました。
なぜ?
それを、亮介くんが封も開けずに燃やしてしまいました。
なぜ?
10年10月05日 23:33
【ウミガメのスープ】 [きのこ]
【ウミガメのスープ】 [きのこ]
解説を見る
誠一と京子は、俺のじーちゃんとばーちゃん。
ばーちゃんは結婚してすぐに夫であるじーちゃんを戦争で亡くし、女手ひとつで子供を育て上げた。
それが俺の親父ってわけだ。
ばーちゃんはなんていうか、孫の俺が言うのもなんだが、可愛らしい人だった。
昭和初期生まれの女性らしく楚々として奥ゆかしいんだけど、強さやユーモアも併せ持った人で、
俺は小さいころからそんなばーちゃんのことが大好きだった。
しわしわの手でなでられると、どんな涙でもひっこんだもんだ。
そんなばーちゃんが、病に伏せってしまった。
最初は軽い風邪だったはずが、下り坂を転げ落ちるように日に日に容体は悪化。
とうとう医者から命の期限を告げられた。
『吐く息が白くなる頃まで、もたないでしょう…』
自分の鼓動が速くなるのがわかった。
どうして?どうして?どうして?
なんでばーちゃんが?あの優しいばーちゃんが。
もうすぐ死ぬ、なんて。
金木犀が散り切ったある日の夕方、ばーちゃんは俺を病室の枕元に呼んだ。
「亮ちゃんにね、お願いがあるの…」
それは、じーちゃんからの手紙についてだった。
ばーちゃんちの文机の、左の引出しに大切にしまわれた手紙。
ばーちゃんはそれを、自分の葬式の時にそのまま棺に入れてほしいと俺に頼んだのだ。
封の開けられていない、黄ばんだ長封筒。表書きに、少し癖のある無骨な字体で『京子へ』と書いてある。
じーちゃんはその手紙を、出征前夜にばーちゃんに託したのだという。
なぜすぐに封を開けなかったのかと問うと、ばーちゃんは
「これを読んでしまったら、本当におじいさんが帰ってこないような気がしてね。気づいたら何十年も経ってしまってた」
と言った。
読まなくてもいいの?中身は気にならないの?と俺が言うと、
「おじいさんは照れ屋だったから。私がいなくなった後、誰か他の人に見られたらかわいそうでしょう?
中身は…せっかくだから直接会ったときに本人に訊くわ」と、ふわりと花のように笑った。
たしかに、たとえ開けなくても手紙の内容は想像に難くない。
きっと自分が帰れなかった場合の未来の、妻や子供を憂いているのだろう。
昔授業で特攻隊の遺書を読んだことがあるし、俺がじーちゃんの立場だったとしても
おそらくそういうことを書くと思う。
それでもばーちゃんは、ずっとこの未開封の手紙を心の支えに踏ん張って生きてきたんだな。
辛い時も、寂しい時も、いつだって傍にじーちゃんを感じながら。
ばーちゃん。
いまさっき、お葬式全部終わってばーちゃんちに帰ってきたよ。
手紙は言われた通り、封は開けないまま、一緒に棺の中に入れたよ。
親父とお袋はデリカシーに欠けるところがあるから、俺に頼んだのは正解だったよばーちゃん。
あの2人だったらきっと封を開けて中身を読んでいただろうな。いや、読まないわけがない。
俺、うまく最後に誰にもわからないようにやったよ。
今の火葬場は煙が見えないけど、きっと迷いなく天に上ったと信じてる。
今頃天国で手紙の内容を聞いてるかな?
じーちゃんはハタチそこそこで逝ったから、そっちじゃ全然じーちゃんって感じじゃないかもな。
とにかく笑っててくれよ、2人とも。
おばあちゃん。
あのしわしわの手で撫でてくれたら、この涙も止まるのになぁ…。
ばーちゃんは結婚してすぐに夫であるじーちゃんを戦争で亡くし、女手ひとつで子供を育て上げた。
それが俺の親父ってわけだ。
ばーちゃんはなんていうか、孫の俺が言うのもなんだが、可愛らしい人だった。
昭和初期生まれの女性らしく楚々として奥ゆかしいんだけど、強さやユーモアも併せ持った人で、
俺は小さいころからそんなばーちゃんのことが大好きだった。
しわしわの手でなでられると、どんな涙でもひっこんだもんだ。
そんなばーちゃんが、病に伏せってしまった。
最初は軽い風邪だったはずが、下り坂を転げ落ちるように日に日に容体は悪化。
とうとう医者から命の期限を告げられた。
『吐く息が白くなる頃まで、もたないでしょう…』
自分の鼓動が速くなるのがわかった。
どうして?どうして?どうして?
なんでばーちゃんが?あの優しいばーちゃんが。
もうすぐ死ぬ、なんて。
金木犀が散り切ったある日の夕方、ばーちゃんは俺を病室の枕元に呼んだ。
「亮ちゃんにね、お願いがあるの…」
それは、じーちゃんからの手紙についてだった。
ばーちゃんちの文机の、左の引出しに大切にしまわれた手紙。
ばーちゃんはそれを、自分の葬式の時にそのまま棺に入れてほしいと俺に頼んだのだ。
封の開けられていない、黄ばんだ長封筒。表書きに、少し癖のある無骨な字体で『京子へ』と書いてある。
じーちゃんはその手紙を、出征前夜にばーちゃんに託したのだという。
なぜすぐに封を開けなかったのかと問うと、ばーちゃんは
「これを読んでしまったら、本当におじいさんが帰ってこないような気がしてね。気づいたら何十年も経ってしまってた」
と言った。
読まなくてもいいの?中身は気にならないの?と俺が言うと、
「おじいさんは照れ屋だったから。私がいなくなった後、誰か他の人に見られたらかわいそうでしょう?
中身は…せっかくだから直接会ったときに本人に訊くわ」と、ふわりと花のように笑った。
たしかに、たとえ開けなくても手紙の内容は想像に難くない。
きっと自分が帰れなかった場合の未来の、妻や子供を憂いているのだろう。
昔授業で特攻隊の遺書を読んだことがあるし、俺がじーちゃんの立場だったとしても
おそらくそういうことを書くと思う。
それでもばーちゃんは、ずっとこの未開封の手紙を心の支えに踏ん張って生きてきたんだな。
辛い時も、寂しい時も、いつだって傍にじーちゃんを感じながら。
ばーちゃん。
いまさっき、お葬式全部終わってばーちゃんちに帰ってきたよ。
手紙は言われた通り、封は開けないまま、一緒に棺の中に入れたよ。
親父とお袋はデリカシーに欠けるところがあるから、俺に頼んだのは正解だったよばーちゃん。
あの2人だったらきっと封を開けて中身を読んでいただろうな。いや、読まないわけがない。
俺、うまく最後に誰にもわからないようにやったよ。
今の火葬場は煙が見えないけど、きっと迷いなく天に上ったと信じてる。
今頃天国で手紙の内容を聞いてるかな?
じーちゃんはハタチそこそこで逝ったから、そっちじゃ全然じーちゃんって感じじゃないかもな。
とにかく笑っててくれよ、2人とも。
おばあちゃん。
あのしわしわの手で撫でてくれたら、この涙も止まるのになぁ…。