「捕らわれの騎士の望み」「45ブックマーク」
俺はギルベルト・ボーデンシャッツ。
もし時間があれば、俺の話を聞いて欲しい。
ハール国とカナン国が戦争をした。
そして俺はハール国の騎士として戦った。
しかし戦争はカナン国の勝利に終わった。
俺は捕らえられ、カナン国の牢屋の中にいる。
俺は、祖国ハールに帰りたい。
もし時間があれば、知恵を貸してくれないだろうか?
俺がこの牢屋から脱出する方法を。
もし時間があれば、俺の話を聞いて欲しい。
ハール国とカナン国が戦争をした。
そして俺はハール国の騎士として戦った。
しかし戦争はカナン国の勝利に終わった。
俺は捕らえられ、カナン国の牢屋の中にいる。
俺は、祖国ハールに帰りたい。
もし時間があれば、知恵を貸してくれないだろうか?
俺がこの牢屋から脱出する方法を。
14年10月30日 21:43
【亀夫君問題】 [低空飛行便]
【亀夫君問題】 [低空飛行便]

ありがとう。君たちのおかげだ。
解説を見る
※解説末尾に要約がありますので、時間のない方はそちらをご覧ください。
長い時をかけて牢屋からの脱出に成功した俺は、
祖国ハールへと向かった。
既に滅んでしまった、誰もいない祖国。
俺が勤めていた城は既にボロボロの廃墟だ。
城の周りの街も、何もかも、朽ち果てている。
無理もない。あの負け戦から、どれだけの時が過ぎたというのだろう。
足元には荒れた土。
手元にはカナン国から持ち出したリンゴの種。
いつの間にか降ってきた雨が、俺の全身を濡らす。
カナン国の牢屋での出来事を思い出す。
俺は目を閉じ、胸に手を当てる。
心音を感じる。決して止まない心音。
……俺は、一つの決心をした。
こんな形でしか亡き祖国に尽くせないが、
それでもこれは俺でなければ出来ないことなのだ。
例え何百年かかっても。
※
ハール国立大学。作物栽培学特別実習の授業中。
太陽の光が大学所有のリンゴ園に降り注ぎ、
そこにはまるで憩うかのように教授と学生たちがいる。
「実はこのリンゴには作物栽培学上の謎がある。
この品種はもともとハール市にはなく、
ここから遠く離れたカナン市の特産品であった。
しかし、ある時期よりハールでも盛んに栽培されるようになったのだ。
それ以来、このリンゴがハールの特産品として
豊かな富と恵みをもたらしていることは、諸君の知るところだろう」
教授が学問上の問題を学生たちに披露し始めた。
「カナンのリンゴというと、騎士がリンゴの木に変身したという、
あのリンゴですか?」
学生の一人が発言した。
「それは後世の人間が創作した逸話の類だろう。ともかく、そのリンゴだ。
さて、この品種がどのような過程でカナンからハールにもたらされたのか、
諸君には分かるかな?」
教授は微笑んで、学生たちに問いかけた。
学生たちは一様に首を傾げたり肩をすくめたりしている。
ただ一人、先ほど発言した学生だけは、リンゴの木をじっと見つめている。
「教授、おそらくその謎は解き明かせると思います」
リンゴの木を見たまま、その学生は言った。
「ボーデンシャッツ君、随分な自信だね。
学者たちは土壌の成分を調べたり、リンゴのDNAを調べたりしているが、
今のところ有力な説が出てきていない。
君はどうやってこの謎を解き明かすつもりかね?」
教授の質問に、ボーデンシャッツと呼ばれた学生は少し困ったように笑った。
「どうやって、かは、正直まだ分かりません。
でも、必ず解き明かしてみせます」
ボーデンシャッツは目を閉じ、胸に手を当てた。
「例え何百年かかっても」
#b#解答要約:#/b#
不老不死の騎士が長年かけて牢屋の中でリンゴの木を育て、
その木によじ登って天井の窓から脱出する。
#b#謝辞:#/b#
本問題作成にあたり、天童 魔子さん、さしゃさんに、
SPとしてご協力いただきました。ありがとうございます。
長い時をかけて牢屋からの脱出に成功した俺は、
祖国ハールへと向かった。
既に滅んでしまった、誰もいない祖国。
俺が勤めていた城は既にボロボロの廃墟だ。
城の周りの街も、何もかも、朽ち果てている。
無理もない。あの負け戦から、どれだけの時が過ぎたというのだろう。
足元には荒れた土。
手元にはカナン国から持ち出したリンゴの種。
いつの間にか降ってきた雨が、俺の全身を濡らす。
カナン国の牢屋での出来事を思い出す。
俺は目を閉じ、胸に手を当てる。
心音を感じる。決して止まない心音。
……俺は、一つの決心をした。
こんな形でしか亡き祖国に尽くせないが、
それでもこれは俺でなければ出来ないことなのだ。
例え何百年かかっても。
※
ハール国立大学。作物栽培学特別実習の授業中。
太陽の光が大学所有のリンゴ園に降り注ぎ、
そこにはまるで憩うかのように教授と学生たちがいる。
「実はこのリンゴには作物栽培学上の謎がある。
この品種はもともとハール市にはなく、
ここから遠く離れたカナン市の特産品であった。
しかし、ある時期よりハールでも盛んに栽培されるようになったのだ。
それ以来、このリンゴがハールの特産品として
豊かな富と恵みをもたらしていることは、諸君の知るところだろう」
教授が学問上の問題を学生たちに披露し始めた。
「カナンのリンゴというと、騎士がリンゴの木に変身したという、
あのリンゴですか?」
学生の一人が発言した。
「それは後世の人間が創作した逸話の類だろう。ともかく、そのリンゴだ。
さて、この品種がどのような過程でカナンからハールにもたらされたのか、
諸君には分かるかな?」
教授は微笑んで、学生たちに問いかけた。
学生たちは一様に首を傾げたり肩をすくめたりしている。
ただ一人、先ほど発言した学生だけは、リンゴの木をじっと見つめている。
「教授、おそらくその謎は解き明かせると思います」
リンゴの木を見たまま、その学生は言った。
「ボーデンシャッツ君、随分な自信だね。
学者たちは土壌の成分を調べたり、リンゴのDNAを調べたりしているが、
今のところ有力な説が出てきていない。
君はどうやってこの謎を解き明かすつもりかね?」
教授の質問に、ボーデンシャッツと呼ばれた学生は少し困ったように笑った。
「どうやって、かは、正直まだ分かりません。
でも、必ず解き明かしてみせます」
ボーデンシャッツは目を閉じ、胸に手を当てた。
「例え何百年かかっても」
#b#解答要約:#/b#
不老不死の騎士が長年かけて牢屋の中でリンゴの木を育て、
その木によじ登って天井の窓から脱出する。
#b#謝辞:#/b#
本問題作成にあたり、天童 魔子さん、さしゃさんに、
SPとしてご協力いただきました。ありがとうございます。
「愛さえあれば」「45ブックマーク」
妻が手渡してくれた弁当箱におかずが何も入っていなかったので、キヨシは歓喜した。
どういうことだろう?
どういうことだろう?
15年09月07日 21:38
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
解説を見る
#big5#「あ、ちゃんと全部食べてくれたんだ」#/big5#
務めていた会社が倒産してしまったキヨシは現在、#red#専業主夫#/red#として修行中である。
頑張って作ったお弁当を、#red#OLである妻が残さず食べてくれた#/red#のを見て、キヨシは喜んだのである。
夫婦の形は少し変わっているかもしれない。
しかしいいのである。
そこに#b#愛さえあれば#/b#。
務めていた会社が倒産してしまったキヨシは現在、#red#専業主夫#/red#として修行中である。
頑張って作ったお弁当を、#red#OLである妻が残さず食べてくれた#/red#のを見て、キヨシは喜んだのである。
夫婦の形は少し変わっているかもしれない。
しかしいいのである。
そこに#b#愛さえあれば#/b#。
「わからない」「45ブックマーク」
俺は彼女の行動の理由がわからず悩んでいた。
友達に相談すると、「それは嫉妬させるためだ」と言われた。
でも、それが違うことは確実なんだ。
どういうことだろう?
友達に相談すると、「それは嫉妬させるためだ」と言われた。
でも、それが違うことは確実なんだ。
どういうことだろう?
14年06月06日 21:18
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

材料不明スープ
解説を見る
人の心なんてわかるはずない。
気まぐれで複雑で何の規則もない。自分の心さえあやふやでうまく表現できないときがあるくらいなのに、どうやって人の心を見分けろって言うんだ。
立入禁止の学校の屋上で、友達と二人、俺はコンクリートに座り込んでいた。やたらと腹が立って、苛立ち紛れに足元の小石を蹴飛ばした。友達は転がる石を目で追いつつも、俺のイライラの理由を聞きたがっているようで、そわそわしている。
俺も誰かにこのイライラを聞いてもらいたかったから、吐き出すように言った。
「嬉しそうに笑ってても内心は怒ってるとか、反則だろ? 嫉妬させるためにわざと他の男と仲良くするとかさ、見抜けるわけないっての」
「……あれ? お前、そういうこと悩んでるわけ?」
「そりゃ悩むだろ」
溜息をつく俺に、友達は意外そうに目を丸くする。
「他の男と毎日一緒に帰る彼女の心境、とか、本当にわからないよ……」
「うわ、えげつないな。お前ってそんな苦労してたのか」
「ほんと、俺はどうしたらいいんだ?」
「まあ、女心は確かに難しい。しかしだ」
こんなとき普段なら率先して俺のことを馬鹿にする友達が、今日は何故か優しくしてくれる。慰めるように俺の肩を軽く叩いた。
「落ち込むなよ。だってそれこそ、嫉妬させるためなんじゃないか? 頑張れよ」
「ああ、俺もそう思ったんだけどさ」
だってもうそれしかないと思ったのに、違ったんだ。
「それは選択肢になかっただろ?」
「は?」
「それで俺、結局二番にしちゃったんだけど、お前は?」
「……ちょっと待て」
突然友達が眉をひそめて真剣な顔をする。それから、納得したように膝を打った。
「それ、今日の国語のテストの話?」
「他に何があるんだよ」
END
#b#俺が彼女の行動の理由を相談した友人は、俺が恋愛で悩んでいると思って「(俺を)嫉妬させるためだ」と言ってくれた。俺は国語のテストの問題に悩んでいただけで、嫉妬は選択肢になかったので、それが彼女の行動の理由ではないことは確実だった。#/b#
気まぐれで複雑で何の規則もない。自分の心さえあやふやでうまく表現できないときがあるくらいなのに、どうやって人の心を見分けろって言うんだ。
立入禁止の学校の屋上で、友達と二人、俺はコンクリートに座り込んでいた。やたらと腹が立って、苛立ち紛れに足元の小石を蹴飛ばした。友達は転がる石を目で追いつつも、俺のイライラの理由を聞きたがっているようで、そわそわしている。
俺も誰かにこのイライラを聞いてもらいたかったから、吐き出すように言った。
「嬉しそうに笑ってても内心は怒ってるとか、反則だろ? 嫉妬させるためにわざと他の男と仲良くするとかさ、見抜けるわけないっての」
「……あれ? お前、そういうこと悩んでるわけ?」
「そりゃ悩むだろ」
溜息をつく俺に、友達は意外そうに目を丸くする。
「他の男と毎日一緒に帰る彼女の心境、とか、本当にわからないよ……」
「うわ、えげつないな。お前ってそんな苦労してたのか」
「ほんと、俺はどうしたらいいんだ?」
「まあ、女心は確かに難しい。しかしだ」
こんなとき普段なら率先して俺のことを馬鹿にする友達が、今日は何故か優しくしてくれる。慰めるように俺の肩を軽く叩いた。
「落ち込むなよ。だってそれこそ、嫉妬させるためなんじゃないか? 頑張れよ」
「ああ、俺もそう思ったんだけどさ」
だってもうそれしかないと思ったのに、違ったんだ。
「それは選択肢になかっただろ?」
「は?」
「それで俺、結局二番にしちゃったんだけど、お前は?」
「……ちょっと待て」
突然友達が眉をひそめて真剣な顔をする。それから、納得したように膝を打った。
「それ、今日の国語のテストの話?」
「他に何があるんだよ」
END
#b#俺が彼女の行動の理由を相談した友人は、俺が恋愛で悩んでいると思って「(俺を)嫉妬させるためだ」と言ってくれた。俺は国語のテストの問題に悩んでいただけで、嫉妬は選択肢になかったので、それが彼女の行動の理由ではないことは確実だった。#/b#
「ハッピーホスピタル」「44ブックマーク」
診察室から嬉しそうにスキップで出てきたと思ったら、直ぐに真顔に戻った男。
一体何があったのだろうか。
一体何があったのだろうか。
13年08月17日 00:45
【ウミガメのスープ】 [なさ]
【ウミガメのスープ】 [なさ]
解説を見る
病院で診察待ち中、辛そうにしている子供を、「すぐ治るからね」と励ましてる母親がいた。
その最中に男が呼ばれて立ち上がったらのだが、そのときにその母親が
「見てて。あの人も診察が終わったら元気になってるから」と
いきなり希望を担わせてきたので、男は診察が終わるとスキップで嬉しそうに診察室を出た。
親子はいなかった。
その最中に男が呼ばれて立ち上がったらのだが、そのときにその母親が
「見てて。あの人も診察が終わったら元気になってるから」と
いきなり希望を担わせてきたので、男は診察が終わるとスキップで嬉しそうに診察室を出た。
親子はいなかった。
「毒キノコパラダイス」「44ブックマーク」
梶田は、辺りに毒キノコしかないのを見て安堵した。
何故だろうか?
何故だろうか?
14年11月09日 12:31
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
解説を見る
キノコ狩りに来た梶田は、ちょっとした事故のため帰り道がわからなくなり、山の中を彷徨っていた。
幸いキノコの知識はあるので、食料には困らなかった。
遭難5日目。
木々を分けて進んでいた梶田は、辺りのキノコが毒キノコだらけであるのを発見した。
#red#食べられるキノコは既に誰かの手により採集済み#/red#だったのだ。
「#red#ああ良かった、この辺りにはキノコ狩りの人が来るんだ#/red#」
そこを拠点に根気よく道を探し、無事生#b#きのこ#/b#ることに成功した梶田であった。
幸いキノコの知識はあるので、食料には困らなかった。
遭難5日目。
木々を分けて進んでいた梶田は、辺りのキノコが毒キノコだらけであるのを発見した。
#red#食べられるキノコは既に誰かの手により採集済み#/red#だったのだ。
「#red#ああ良かった、この辺りにはキノコ狩りの人が来るんだ#/red#」
そこを拠点に根気よく道を探し、無事生#b#きのこ#/b#ることに成功した梶田であった。