「深いところまで」「1Good」
絵画のポスターを見て、金子は立ち止まった。思わず、息を飲む。
目を奪われてしまった彼は、ただその場に立ち尽くすことしかできなかった。
名も無い画家の凡作だというのに、いったいどうしたというのだろう?
目を奪われてしまった彼は、ただその場に立ち尽くすことしかできなかった。
名も無い画家の凡作だというのに、いったいどうしたというのだろう?
14年10月30日 19:34
【ウミガメのスープ】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】 [牛削り]

本物のビーフストロガノフ
解説を見る
廊下の壁から剥がれ、#red#床に落ちてしまったポスター#/red#を見つけて、金子は足を止めた。
確か、#red#画鋲#/red#でとめておいたはずである。
画鋲がどこかに落ちていないかと、#red#床から目が離せなくなった#/red#。
#red#素足の金子#/red#は、自分の足に#b#深くまで#/b#刺さる画鋲を想像してしまい、しばらくは一歩も動けなかった。
確か、#red#画鋲#/red#でとめておいたはずである。
画鋲がどこかに落ちていないかと、#red#床から目が離せなくなった#/red#。
#red#素足の金子#/red#は、自分の足に#b#深くまで#/b#刺さる画鋲を想像してしまい、しばらくは一歩も動けなかった。
「捕らわれの騎士の望み」「1Good」
俺はギルベルト・ボーデンシャッツ。
もし時間があれば、俺の話を聞いて欲しい。
ハール国とカナン国が戦争をした。
そして俺はハール国の騎士として戦った。
しかし戦争はカナン国の勝利に終わった。
俺は捕らえられ、カナン国の牢屋の中にいる。
俺は、祖国ハールに帰りたい。
もし時間があれば、知恵を貸してくれないだろうか?
俺がこの牢屋から脱出する方法を。
もし時間があれば、俺の話を聞いて欲しい。
ハール国とカナン国が戦争をした。
そして俺はハール国の騎士として戦った。
しかし戦争はカナン国の勝利に終わった。
俺は捕らえられ、カナン国の牢屋の中にいる。
俺は、祖国ハールに帰りたい。
もし時間があれば、知恵を貸してくれないだろうか?
俺がこの牢屋から脱出する方法を。
14年10月30日 21:43
【亀夫君問題】 [低空飛行便]
【亀夫君問題】 [低空飛行便]

ありがとう。君たちのおかげだ。
解説を見る
※解説末尾に要約がありますので、時間のない方はそちらをご覧ください。
長い時をかけて牢屋からの脱出に成功した俺は、
祖国ハールへと向かった。
既に滅んでしまった、誰もいない祖国。
俺が勤めていた城は既にボロボロの廃墟だ。
城の周りの街も、何もかも、朽ち果てている。
無理もない。あの負け戦から、どれだけの時が過ぎたというのだろう。
足元には荒れた土。
手元にはカナン国から持ち出したリンゴの種。
いつの間にか降ってきた雨が、俺の全身を濡らす。
カナン国の牢屋での出来事を思い出す。
俺は目を閉じ、胸に手を当てる。
心音を感じる。決して止まない心音。
……俺は、一つの決心をした。
こんな形でしか亡き祖国に尽くせないが、
それでもこれは俺でなければ出来ないことなのだ。
例え何百年かかっても。
※
ハール国立大学。作物栽培学特別実習の授業中。
太陽の光が大学所有のリンゴ園に降り注ぎ、
そこにはまるで憩うかのように教授と学生たちがいる。
「実はこのリンゴには作物栽培学上の謎がある。
この品種はもともとハール市にはなく、
ここから遠く離れたカナン市の特産品であった。
しかし、ある時期よりハールでも盛んに栽培されるようになったのだ。
それ以来、このリンゴがハールの特産品として
豊かな富と恵みをもたらしていることは、諸君の知るところだろう」
教授が学問上の問題を学生たちに披露し始めた。
「カナンのリンゴというと、騎士がリンゴの木に変身したという、
あのリンゴですか?」
学生の一人が発言した。
「それは後世の人間が創作した逸話の類だろう。ともかく、そのリンゴだ。
さて、この品種がどのような過程でカナンからハールにもたらされたのか、
諸君には分かるかな?」
教授は微笑んで、学生たちに問いかけた。
学生たちは一様に首を傾げたり肩をすくめたりしている。
ただ一人、先ほど発言した学生だけは、リンゴの木をじっと見つめている。
「教授、おそらくその謎は解き明かせると思います」
リンゴの木を見たまま、その学生は言った。
「ボーデンシャッツ君、随分な自信だね。
学者たちは土壌の成分を調べたり、リンゴのDNAを調べたりしているが、
今のところ有力な説が出てきていない。
君はどうやってこの謎を解き明かすつもりかね?」
教授の質問に、ボーデンシャッツと呼ばれた学生は少し困ったように笑った。
「どうやって、かは、正直まだ分かりません。
でも、必ず解き明かしてみせます」
ボーデンシャッツは目を閉じ、胸に手を当てた。
「例え何百年かかっても」
#b#解答要約:#/b#
不老不死の騎士が長年かけて牢屋の中でリンゴの木を育て、
その木によじ登って天井の窓から脱出する。
#b#謝辞:#/b#
本問題作成にあたり、天童 魔子さん、さしゃさんに、
SPとしてご協力いただきました。ありがとうございます。
長い時をかけて牢屋からの脱出に成功した俺は、
祖国ハールへと向かった。
既に滅んでしまった、誰もいない祖国。
俺が勤めていた城は既にボロボロの廃墟だ。
城の周りの街も、何もかも、朽ち果てている。
無理もない。あの負け戦から、どれだけの時が過ぎたというのだろう。
足元には荒れた土。
手元にはカナン国から持ち出したリンゴの種。
いつの間にか降ってきた雨が、俺の全身を濡らす。
カナン国の牢屋での出来事を思い出す。
俺は目を閉じ、胸に手を当てる。
心音を感じる。決して止まない心音。
……俺は、一つの決心をした。
こんな形でしか亡き祖国に尽くせないが、
それでもこれは俺でなければ出来ないことなのだ。
例え何百年かかっても。
※
ハール国立大学。作物栽培学特別実習の授業中。
太陽の光が大学所有のリンゴ園に降り注ぎ、
そこにはまるで憩うかのように教授と学生たちがいる。
「実はこのリンゴには作物栽培学上の謎がある。
この品種はもともとハール市にはなく、
ここから遠く離れたカナン市の特産品であった。
しかし、ある時期よりハールでも盛んに栽培されるようになったのだ。
それ以来、このリンゴがハールの特産品として
豊かな富と恵みをもたらしていることは、諸君の知るところだろう」
教授が学問上の問題を学生たちに披露し始めた。
「カナンのリンゴというと、騎士がリンゴの木に変身したという、
あのリンゴですか?」
学生の一人が発言した。
「それは後世の人間が創作した逸話の類だろう。ともかく、そのリンゴだ。
さて、この品種がどのような過程でカナンからハールにもたらされたのか、
諸君には分かるかな?」
教授は微笑んで、学生たちに問いかけた。
学生たちは一様に首を傾げたり肩をすくめたりしている。
ただ一人、先ほど発言した学生だけは、リンゴの木をじっと見つめている。
「教授、おそらくその謎は解き明かせると思います」
リンゴの木を見たまま、その学生は言った。
「ボーデンシャッツ君、随分な自信だね。
学者たちは土壌の成分を調べたり、リンゴのDNAを調べたりしているが、
今のところ有力な説が出てきていない。
君はどうやってこの謎を解き明かすつもりかね?」
教授の質問に、ボーデンシャッツと呼ばれた学生は少し困ったように笑った。
「どうやって、かは、正直まだ分かりません。
でも、必ず解き明かしてみせます」
ボーデンシャッツは目を閉じ、胸に手を当てた。
「例え何百年かかっても」
#b#解答要約:#/b#
不老不死の騎士が長年かけて牢屋の中でリンゴの木を育て、
その木によじ登って天井の窓から脱出する。
#b#謝辞:#/b#
本問題作成にあたり、天童 魔子さん、さしゃさんに、
SPとしてご協力いただきました。ありがとうございます。
「私の性格は?-1-」「1Good」
私の性格をひらがな4文字で表してください。
※リスト聞きはOKです。
※時間制限ありですが、参加制限はありません。
※リスト聞きはOKです。
※時間制限ありですが、参加制限はありません。
14年10月31日 21:00
【20の扉】 [牛削り]
【20の扉】 [牛削り]
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そう、私は【せっかち】なのである。
「みんなが持っているものは?」「1Good」
ここにいるみんなが共通して持っているものを当ててください。
ひらがなで表記すると、6文字になります。
1、スマートフォン
2、書斎
3、推理力
4、自由時間
5、愛情
6、遠慮
7、一般常識
8、好奇心
9、ギャグセンス
※リスト聞きはOKです。
※もちろんこの問題も、参加制限はありません。
ひらがなで表記すると、6文字になります。
1、スマートフォン
2、書斎
3、推理力
4、自由時間
5、愛情
6、遠慮
7、一般常識
8、好奇心
9、ギャグセンス
※リスト聞きはOKです。
※もちろんこの問題も、参加制限はありません。
14年10月31日 21:21
【20の扉】 [牛削り]
【20の扉】 [牛削り]
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意味ありげに並べられた九つの項目の中にもし答えがあるとするなら、
候補として残るのは、ひらがな6文字で記述できる3,4,9だけである。
しかしこれだけの情報では、回答を絞りようがない。
そこで、ルールにより許容された「リスト聞き」を行使してほしい。
「答えは3か4か9ですか?」
実はもう、これが答えである。
おわかりだろうか?
3か4か9……
#b#さん#/b# か #b#し#/b# か #b#く#/b#……
#b#参加資格#/b#
そう、問題文の最後でも触れたとおり、ここにいるみんなが持っているものは、
この問題に対する【#red#参加資格#/red#】なのである。
候補として残るのは、ひらがな6文字で記述できる3,4,9だけである。
しかしこれだけの情報では、回答を絞りようがない。
そこで、ルールにより許容された「リスト聞き」を行使してほしい。
「答えは3か4か9ですか?」
実はもう、これが答えである。
おわかりだろうか?
3か4か9……
#b#さん#/b# か #b#し#/b# か #b#く#/b#……
#b#参加資格#/b#
そう、問題文の最後でも触れたとおり、ここにいるみんなが持っているものは、
この問題に対する【#red#参加資格#/red#】なのである。
「最後に残った道しるべ」「1Good」
兎美ちゃんと亀夫君はラブラブカップル。
しかし兎美ちゃんの家族の都合で、離れ離れになってしまいました。
「すぐに戻ってくるから、心配しないで」
兎美ちゃんのその言葉に嘘はありませんでした。
しかし亀夫君は、その日の夕食を食べながら、兎美ちゃんが帰ってこないことを悟った。
どういうこと?
しかし兎美ちゃんの家族の都合で、離れ離れになってしまいました。
「すぐに戻ってくるから、心配しないで」
兎美ちゃんのその言葉に嘘はありませんでした。
しかし亀夫君は、その日の夕食を食べながら、兎美ちゃんが帰ってこないことを悟った。
どういうこと?
14年11月03日 19:29
【ウミガメのスープ】 [彩蓮燈]
【ウミガメのスープ】 [彩蓮燈]

世界の全てが、ハッピーエンドになりますように。
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~1日目~
兎美「おはようございます、マスター。私はUSA-M1型アンドロイド、型式名は【兎美】です。当機は皆様の快適な生活を支えるパートナーとして、数々のスキルを習得しており、また、マスターの話し相手も勤まるように人間に近い思考ルーチンで心穏やかな時間を…」
亀夫「ああ、そういうのいいから。家事だけしてくれたら。余計なことは喋らないでくれ。騒がしいのは嫌いだ」
兎美「自己紹介の最中に口を挟まないでください。そんなことだから友達ができなくて、『別に俺はぼっちなわけではなく、孤独を愛しているだけなんだ』とか自分に言い聞かせるようになるんですよ」
亀夫「おいいぃぃ!?心穏やかな時間はどうした!?」
~2日目~
兎美「マスター。そろそろ私に仕事をさせてください。家の中が腐海みたいになってるじゃないですか。いつまで拗ねているんです」
亀夫「拗ねてねーし!これが快適なだけだし!」
兎美「あ。ゴキブリ」
亀夫「ぎゃああああ!?助けて!助けて兎美!」
兎美「はいはい」
~3日目~
兎美「今日こそご飯を作りますよ。レトルトばかりなんて、お手伝いアンドロイドとして許せません」
亀夫「ふん、機械に味なんてわかるのかよ」
兎美「馬鹿にしないでください。私の脳内には10万通りのレシピが記憶済み。そのすべてを正確に再現できます」
亀夫「じゃあやってみろよ。味見してやる」
兎美「いいでしょう。では部屋からレシピをとってきます」
亀夫「記憶してねーじゃねえか!!」
~30日目~
亀夫「兎美。あれとって、あれ」
兎美「はい。醤油ですね」
亀夫「兎美ー。あれとって、あれ」
兎美「はい。リモコンですね」
亀夫「兎美ー」
兎美「はい。お茶のお代わりをどうぞ」
亀夫「お前はすごいなぁ」
兎美「マスターはダメ人間ですね」
~75日目~
亀夫「兎美。明日って暇か?」
兎美「暇かと言われれば、マスターの子守をするくらいですが、何か?」
亀夫「いや、友達に映画のチケットもらったんだけど、一緒にどうかなって」
兎美「そんなドッキリには引っかかりません」
亀夫「いや、マジでチケットもらって…」
兎美「友達料はいくらですか?」
亀夫「そこかよ!!」
~150日目~
亀夫「……なあ兎美」
兎美「はいはい。なんですかマスター」
亀夫「最近、アンドロイドと恋をするやつが増えてるんだってな」
兎美「そういうニュースを聞きますね」
亀夫「あれって、アンドロイドの方はどう感じてるんだろうな。恋ってわかるのか?」
兎美「そうですね。悪い気持ちではないです」
亀夫「え?」
~250日目~
亀夫「兎美いいいいいいい!!」
兎美「どうしましたか、マスター」
亀夫「お前!俺の部屋を掃除しただろ!集めたゴミはどうしたぁ!」
兎美「天井裏に隠していた本なら燃やしました」
亀夫「Nooooooooooo!?」
兎美「巨乳の本ばかり……私だって……」
亀夫「うおおおおお!マイラバーたちいいいいい!」
兎美「どうしてこんなのを私は…」
~365日目~
兎美「マスター。食事の支度ができましたよ」
亀夫「あ、あぁ。わかった、すぐにもらうよ、兎美」
兎美「なに隠してるんですか?」
亀夫「な、ななななにも隠して…ない、わけじゃないけど…」
兎美「私に隠し事なんてできるわけないでしょう。どんな悪巧みですか。白状してください」
亀夫「……わかった。白状する」
兎美「素直でよろし…」
亀夫「兎美。好きだ。結婚してくれ」
兎美「………は?」
亀夫「出会って一年。どんどんお前を好きになる。もう人間とかアンドロイドとかどうでもいい。お前と結婚したい」
兎美「ぁ、ちょ、ぇ?」
亀夫「俺は兎美と添い遂げる!!」
兎美「ちょっと黙ってください!」
亀夫「白状しろって言われたのに!?」
~366日目~
兎美「……マスターは変態です」
亀夫「いや、別に変態じゃないって。男はみんなこうだって」
兎美「裸で飽き足らず、コアエンジンまで見たがるなんて!」
亀夫「恥じらいポイントそこ!?なんでだよコアかっこいいじゃん!」
兎美「関節部だって他の機体より綺麗じゃないから隠していたのに!」
亀夫「ごめん、そこはちょっとマニアックだったと自覚してる」
~450日目~
亀夫「兎美。俺、真面目に働こうと思う」
兎美「ついにこの時が!」
亀夫「いつかお前のデータを継承した、子供のアンドロイドも欲しいし。そうなると定職につかないと」
兎美「愛は人を変えるのですね。感動しました」
亀夫「サッカーチーム作れるくらいほしいな!」
兎美「石油でも掘る気ですか」
~495日目~
TV『--この件を受けて、ウミガメ社では同機の回収作業を始め……』
兎美「…………っ」
亀夫「兎美?」
兎美「マスター!いつからそこに!?」
亀夫「え、さっきだけど…どうしたんだ。急にテレビ消して」
兎美「何でもないです」
亀夫「いや、でも…何か様子が変だぞ」
兎美「マスター」
亀夫「…なんだ」
兎美「愛してください」
~500日目~
-15:00 亀夫宅玄関-
黒服「大海亀夫さんですね。初めまして。私はウミガメ社の者です」
亀夫「ウミガメ社って、確か兎美の…」
黒服「はい。このたびは例の件で…」
兎美「お待ちしていました。早くいきましょう」
亀夫「え、ちょ、兎美!?どういうことだ!?」
兎美「ちょっとしたメンテナンスですよ。マスター」
亀夫「メンテナンスって…そんなのあったのか?俺は聞いてないぞ!」
兎美「…私の姉妹機にちょっと不具合があったんです。だから念のために同型機は全部、同じことが起きないように検査を行うことが決まったんですよ」
亀夫「そんな…でも、それじゃあ…!」
兎美「大丈夫ですよ。パフォーマンスとしての、簡単な検査ですから。明日には終わります」
黒服「…………」
亀夫「そう、なのか…?」
兎美「はい。ですから…だから、すぐに戻ってくるから、心配しないで」
亀夫「………わかった。すぐに戻ってくるんだな」
兎美「うん」
亀夫「早くしろよ。俺、家事とかなんにもできないからな」
兎美「知ってるよ。ずっと一緒だったんだから」
亀夫「あと、明日はクリスマスだし!それまでには帰ってこいよ!」
兎美「一人のクリスマスとか、寂しいもんね」
亀夫「そうだよ。すっげー寂しいんだ。今夜のイヴも泣きそうだ。だから…」
兎美「うん…約束するよ」
黒服「……そろそろ、よろしいでしょうか?」
兎美「はい。お願いします」
-16:00 移動中の車内-
黒服「……よかったのですか?本当のことを言わなくて…貴女の記憶は……」
兎美「いいんです。彼を悲しませたくないし、それに…」
黒服「それに…?」
兎美「私、諦めたわけじゃないですから」
-17:00 亀夫宅-
亀夫「………」
亀夫「…静かだな」
亀夫「…俺の家ってこんなに広かったっけ」
亀夫「…なんか腹減ったな」
亀夫「兎美…は、今日はいないんだっけ。じゃあレトルトで…」
亀夫「…いや、明日帰ってきたときに怒られるな…仕方ない。自分でやってみるか」
亀夫「えっと…確か兎美はこの辺に置いてたよな。レシピ本…あったあった」
亀夫「よーし、せっかくのイヴだし、好物のハンバーグでも作っちゃうぞー……って、うわなんだこれ、書き込みすごっ! …これ、全部俺の好みに合わせて直してるのか」
亀夫「…あいつ、簡単そうな顔して、結構頑張ってくれてたんだな…」
亀夫「…負けてられないな。俺もやってみるか」
-18:20 亀夫宅リビング-
亀夫「………(もぐもぐ)」
亀夫「不味い…」
亀夫「料理なんて本の通りに作れば簡単と思ってたけど…全然違うな…」
亀夫「…俺もこのレシピ全部作ったら、兎美くらいになれるのかな…(ぺらぺら)」
亀夫「……静かだな」
亀夫「テレビでもつけるか。そういえば兎美が来てからあんまり見てなかったな…」
TV『--原因不明の暴走を起こし、3名を殺傷したアンドロイド、USA-M1型の事件から一週間が過ぎようとしています。ウミガメ社が行っている同型機の回収はすでに完了しており……』
亀夫「……え?」
TV『ウミガメ社では同様の事故が起こらないようにシステム、ハード両面からの徹底的見直しを行うとともに、今回のきっかけとなったUSA-M1型の……』
亀夫「……いや、おい、待て。冗談だろ……」
―――全データの初期化が決定しました。
亀夫「…………なんで」
亀夫「…そうか。ウミガメ社の連中…検査とか嘘ついて兎美を…!(ガタンッ!…バサッ)」
亀夫「……あれ…なんだこの、レシピの最後のページ…何かびっしり書いて……」
亀夫「…これは」
《マスター。28歳。ぼさぼさの黒髪。身長173cm→175㎝。痩せ形。変態。捻くれ者の寂しがりや。家事能力なし。好物はハンバーグ。ピーマンが嫌い。ベタなロボが好き。虫が苦手。変態。猫よりは犬派(だけど本人は嫌われる)。巨乳好き(矯正中)。エロ本の隠し場所は机の後ろ、天井裏、クローゼットの中が多い。素直じゃない(ツンデレ?)。好みの髪型はポニーテール。メイドより女給派(矯正中)。好みのタイプはお姉さん系。コンビニでアルバイト中(正社員に昇格。やったね!)。関節フェチ。変態。目玉焼きには醤油派。変態。友達がいない(現在は5人)。雷が苦手。機械に強い。父、母、姉と死別。灯りがついていると眠れない。変態。etc…》
亀夫「俺の、記録…なんでこんなレシピの最後なんかに…え?」
《ここなら、どの私でも目を通すと信じて、メッセージを残します。
これを読んでいる私は、果たしてこれを書いている私でしょうか?
もしそうなら、それはとても幸福なことで、この記録は意味のないものと笑ってください。
けれど、もし、もし違う私なら。
どうか今、ここに記していることを心に刻んでください。
この手紙は…今の私が未来に託せる、最後に残った道しるべ。
願わくば…思い出してください。
彼と過ごした、馬鹿馬鹿しくも幸せな日々を。
私からの、初めてのお願いです。
…最後に。
もし他の全てを忘れても、これだけは忘れないでください。
私のマスターは、大海亀夫さん。
世界で一番大好きな…私の旦那様》
亀夫「………なんでだよ」
亀夫「俺に隠し事するなとか言ってて…これかよ…」
亀夫「全部知ってて…覚悟して…そのくせこんな手紙残して…!」
亀夫「どうして……」
亀夫「最後かもしれないのに…嘘つくんだよぉ…」
亀夫「……ちくしょぉ……!」
………BAD END。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
この後は問題とは関係のない、後日談となります。
バッドエンドは嫌だ!という方はお進みください。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
…NO! TO BE CONTINUED!!
亀夫「…舐めんじゃねーぞ」
亀夫「こんな手紙残して、取り繕って、騙せると思ってたのかよ!俺のためとか思ってたのかよ!ふざけんなっ!」
亀夫「俺は確かに兎美がいないと飯も作れないダメ人間だけど…」
亀夫「あいつ一人に全部任せて終われるほど、腐っちゃいねぇ!」
亀夫「みてろよ兎美…お前のメモにはなかったけどなぁ…」
亀夫「俺も諦めが悪いんだ!」
-22:15 ウミガメ社研究所入口-
ジングルベール…♪ ジングルベール…♪
警備A「ふぁ〜っ…イヴに仕事とか、ついてないよなぁ…」
警備B「いいじゃないか。どうせ彼女とも別れたばかりなんだろ?虚しさを忘れられるってもんだぜ?」
警備A「おまっ、なんでそれを!」
警備B「知ってるさ…ずっとお前を、見てきたから…」
警備A「えっ…!(ドキン)」
警備B「俺…お前のことが前から…」
亀夫「続きは夢の中でやれ」
警備A「な、なにっ…ぐわあ!」
警備B「き、貴様何者…ぎゃあ!」
亀夫「サンタクロースさ」
-22:20 ウミガメ社研究所最奥-
黒服「…貴女で最後。記憶処理を開始するわ」
兎美「約束通り…初期化されても、私を彼のところに届けてくださいね」
黒服「……ええ。どんな手を使っても」
兎美「ありがとう」
兎美「(…マスター。怒ってるかな…嘘ついちゃったからな…)」
兎美「(戻った時に…怒られないといいな…許してくれかな…)」
兎美「(……忘たくないよ)」
警備Z「黒服様!緊急事態です!」 バンッ
黒服「…何事なの。今ここは立入禁止よ」
警備Z「す、すみません!しかし、侵入者です!既に警備部隊の6割が継戦不能!」
黒服「そんな…賊は何人なの?」
警備Z「そ、それが…1人です!」
亀夫「兎美ぃぃぃ!!」 ガンッ!
警備Z「ぷべらっ!」
兎美「マスター!?」
-23:55 雪の降る道-
兎美「マスターは馬鹿です。大馬鹿です」
亀夫「なんでだよ!なんとかなったじゃん!覚醒した俺の愛の力で!」
兎美「何が覚醒ですか。結果的には、黒服さんに手引きしてもらって逃げられたにすぎません」
亀夫「あのお姉さん、絶対ラスボスと思ってたけどいい人だったな。びっくりした」
兎美「私の開発者ですから…お母さんみたいな人です」
亀夫「そっか、それでなんか嬉しそうだったのか」
兎美「…私は恩を仇で返すことしかできませんでした。今回の責任を取らされるのは明白なのに…」
亀夫「それを分かった上で、あの人はお前を助けたんだ。胸を張れよ」
兎美「マスター……私におんぶされていなければいい台詞なのに」
亀夫「仕方ないだろ!めちゃくちゃ体痛いの!一夜限りの奇跡だったの!あ、ちょ、やめてー!揺らさないでー!」
兎美「もう、本当に貴方は…それで、これからどうするんですか?これだけの騒ぎを起こした以上、本社も黙っていませんよ」
亀夫「そのことだけどさ、兎美。ハネムーンいこうぜ」
兎美「………はい?」
亀夫「だーかーらー、新婚旅行。まだ正式に行ってなかっただろ?貯金全部おろしてきたからさ。期限はほとぼりが冷めるまで」
兎美「………ぷっ……くくっ…あはは、本当にマスターは馬鹿です!」
亀夫「うるせー。嫌って言ってもついてこさせるぞ。俺はお前がいないとダメだからな!」
兎美「はいはい、わかりましたよマスター…私も貴方がいないと、ダメみたいですから」
亀夫「…兎美」
兎美「…なんですか?」
亀夫「メリークリスマス」
……HAPPY END!
兎美「おはようございます、マスター。私はUSA-M1型アンドロイド、型式名は【兎美】です。当機は皆様の快適な生活を支えるパートナーとして、数々のスキルを習得しており、また、マスターの話し相手も勤まるように人間に近い思考ルーチンで心穏やかな時間を…」
亀夫「ああ、そういうのいいから。家事だけしてくれたら。余計なことは喋らないでくれ。騒がしいのは嫌いだ」
兎美「自己紹介の最中に口を挟まないでください。そんなことだから友達ができなくて、『別に俺はぼっちなわけではなく、孤独を愛しているだけなんだ』とか自分に言い聞かせるようになるんですよ」
亀夫「おいいぃぃ!?心穏やかな時間はどうした!?」
~2日目~
兎美「マスター。そろそろ私に仕事をさせてください。家の中が腐海みたいになってるじゃないですか。いつまで拗ねているんです」
亀夫「拗ねてねーし!これが快適なだけだし!」
兎美「あ。ゴキブリ」
亀夫「ぎゃああああ!?助けて!助けて兎美!」
兎美「はいはい」
~3日目~
兎美「今日こそご飯を作りますよ。レトルトばかりなんて、お手伝いアンドロイドとして許せません」
亀夫「ふん、機械に味なんてわかるのかよ」
兎美「馬鹿にしないでください。私の脳内には10万通りのレシピが記憶済み。そのすべてを正確に再現できます」
亀夫「じゃあやってみろよ。味見してやる」
兎美「いいでしょう。では部屋からレシピをとってきます」
亀夫「記憶してねーじゃねえか!!」
~30日目~
亀夫「兎美。あれとって、あれ」
兎美「はい。醤油ですね」
亀夫「兎美ー。あれとって、あれ」
兎美「はい。リモコンですね」
亀夫「兎美ー」
兎美「はい。お茶のお代わりをどうぞ」
亀夫「お前はすごいなぁ」
兎美「マスターはダメ人間ですね」
~75日目~
亀夫「兎美。明日って暇か?」
兎美「暇かと言われれば、マスターの子守をするくらいですが、何か?」
亀夫「いや、友達に映画のチケットもらったんだけど、一緒にどうかなって」
兎美「そんなドッキリには引っかかりません」
亀夫「いや、マジでチケットもらって…」
兎美「友達料はいくらですか?」
亀夫「そこかよ!!」
~150日目~
亀夫「……なあ兎美」
兎美「はいはい。なんですかマスター」
亀夫「最近、アンドロイドと恋をするやつが増えてるんだってな」
兎美「そういうニュースを聞きますね」
亀夫「あれって、アンドロイドの方はどう感じてるんだろうな。恋ってわかるのか?」
兎美「そうですね。悪い気持ちではないです」
亀夫「え?」
~250日目~
亀夫「兎美いいいいいいい!!」
兎美「どうしましたか、マスター」
亀夫「お前!俺の部屋を掃除しただろ!集めたゴミはどうしたぁ!」
兎美「天井裏に隠していた本なら燃やしました」
亀夫「Nooooooooooo!?」
兎美「巨乳の本ばかり……私だって……」
亀夫「うおおおおお!マイラバーたちいいいいい!」
兎美「どうしてこんなのを私は…」
~365日目~
兎美「マスター。食事の支度ができましたよ」
亀夫「あ、あぁ。わかった、すぐにもらうよ、兎美」
兎美「なに隠してるんですか?」
亀夫「な、ななななにも隠して…ない、わけじゃないけど…」
兎美「私に隠し事なんてできるわけないでしょう。どんな悪巧みですか。白状してください」
亀夫「……わかった。白状する」
兎美「素直でよろし…」
亀夫「兎美。好きだ。結婚してくれ」
兎美「………は?」
亀夫「出会って一年。どんどんお前を好きになる。もう人間とかアンドロイドとかどうでもいい。お前と結婚したい」
兎美「ぁ、ちょ、ぇ?」
亀夫「俺は兎美と添い遂げる!!」
兎美「ちょっと黙ってください!」
亀夫「白状しろって言われたのに!?」
~366日目~
兎美「……マスターは変態です」
亀夫「いや、別に変態じゃないって。男はみんなこうだって」
兎美「裸で飽き足らず、コアエンジンまで見たがるなんて!」
亀夫「恥じらいポイントそこ!?なんでだよコアかっこいいじゃん!」
兎美「関節部だって他の機体より綺麗じゃないから隠していたのに!」
亀夫「ごめん、そこはちょっとマニアックだったと自覚してる」
~450日目~
亀夫「兎美。俺、真面目に働こうと思う」
兎美「ついにこの時が!」
亀夫「いつかお前のデータを継承した、子供のアンドロイドも欲しいし。そうなると定職につかないと」
兎美「愛は人を変えるのですね。感動しました」
亀夫「サッカーチーム作れるくらいほしいな!」
兎美「石油でも掘る気ですか」
~495日目~
TV『--この件を受けて、ウミガメ社では同機の回収作業を始め……』
兎美「…………っ」
亀夫「兎美?」
兎美「マスター!いつからそこに!?」
亀夫「え、さっきだけど…どうしたんだ。急にテレビ消して」
兎美「何でもないです」
亀夫「いや、でも…何か様子が変だぞ」
兎美「マスター」
亀夫「…なんだ」
兎美「愛してください」
~500日目~
-15:00 亀夫宅玄関-
黒服「大海亀夫さんですね。初めまして。私はウミガメ社の者です」
亀夫「ウミガメ社って、確か兎美の…」
黒服「はい。このたびは例の件で…」
兎美「お待ちしていました。早くいきましょう」
亀夫「え、ちょ、兎美!?どういうことだ!?」
兎美「ちょっとしたメンテナンスですよ。マスター」
亀夫「メンテナンスって…そんなのあったのか?俺は聞いてないぞ!」
兎美「…私の姉妹機にちょっと不具合があったんです。だから念のために同型機は全部、同じことが起きないように検査を行うことが決まったんですよ」
亀夫「そんな…でも、それじゃあ…!」
兎美「大丈夫ですよ。パフォーマンスとしての、簡単な検査ですから。明日には終わります」
黒服「…………」
亀夫「そう、なのか…?」
兎美「はい。ですから…だから、すぐに戻ってくるから、心配しないで」
亀夫「………わかった。すぐに戻ってくるんだな」
兎美「うん」
亀夫「早くしろよ。俺、家事とかなんにもできないからな」
兎美「知ってるよ。ずっと一緒だったんだから」
亀夫「あと、明日はクリスマスだし!それまでには帰ってこいよ!」
兎美「一人のクリスマスとか、寂しいもんね」
亀夫「そうだよ。すっげー寂しいんだ。今夜のイヴも泣きそうだ。だから…」
兎美「うん…約束するよ」
黒服「……そろそろ、よろしいでしょうか?」
兎美「はい。お願いします」
-16:00 移動中の車内-
黒服「……よかったのですか?本当のことを言わなくて…貴女の記憶は……」
兎美「いいんです。彼を悲しませたくないし、それに…」
黒服「それに…?」
兎美「私、諦めたわけじゃないですから」
-17:00 亀夫宅-
亀夫「………」
亀夫「…静かだな」
亀夫「…俺の家ってこんなに広かったっけ」
亀夫「…なんか腹減ったな」
亀夫「兎美…は、今日はいないんだっけ。じゃあレトルトで…」
亀夫「…いや、明日帰ってきたときに怒られるな…仕方ない。自分でやってみるか」
亀夫「えっと…確か兎美はこの辺に置いてたよな。レシピ本…あったあった」
亀夫「よーし、せっかくのイヴだし、好物のハンバーグでも作っちゃうぞー……って、うわなんだこれ、書き込みすごっ! …これ、全部俺の好みに合わせて直してるのか」
亀夫「…あいつ、簡単そうな顔して、結構頑張ってくれてたんだな…」
亀夫「…負けてられないな。俺もやってみるか」
-18:20 亀夫宅リビング-
亀夫「………(もぐもぐ)」
亀夫「不味い…」
亀夫「料理なんて本の通りに作れば簡単と思ってたけど…全然違うな…」
亀夫「…俺もこのレシピ全部作ったら、兎美くらいになれるのかな…(ぺらぺら)」
亀夫「……静かだな」
亀夫「テレビでもつけるか。そういえば兎美が来てからあんまり見てなかったな…」
TV『--原因不明の暴走を起こし、3名を殺傷したアンドロイド、USA-M1型の事件から一週間が過ぎようとしています。ウミガメ社が行っている同型機の回収はすでに完了しており……』
亀夫「……え?」
TV『ウミガメ社では同様の事故が起こらないようにシステム、ハード両面からの徹底的見直しを行うとともに、今回のきっかけとなったUSA-M1型の……』
亀夫「……いや、おい、待て。冗談だろ……」
―――全データの初期化が決定しました。
亀夫「…………なんで」
亀夫「…そうか。ウミガメ社の連中…検査とか嘘ついて兎美を…!(ガタンッ!…バサッ)」
亀夫「……あれ…なんだこの、レシピの最後のページ…何かびっしり書いて……」
亀夫「…これは」
《マスター。28歳。ぼさぼさの黒髪。身長173cm→175㎝。痩せ形。変態。捻くれ者の寂しがりや。家事能力なし。好物はハンバーグ。ピーマンが嫌い。ベタなロボが好き。虫が苦手。変態。猫よりは犬派(だけど本人は嫌われる)。巨乳好き(矯正中)。エロ本の隠し場所は机の後ろ、天井裏、クローゼットの中が多い。素直じゃない(ツンデレ?)。好みの髪型はポニーテール。メイドより女給派(矯正中)。好みのタイプはお姉さん系。コンビニでアルバイト中(正社員に昇格。やったね!)。関節フェチ。変態。目玉焼きには醤油派。変態。友達がいない(現在は5人)。雷が苦手。機械に強い。父、母、姉と死別。灯りがついていると眠れない。変態。etc…》
亀夫「俺の、記録…なんでこんなレシピの最後なんかに…え?」
《ここなら、どの私でも目を通すと信じて、メッセージを残します。
これを読んでいる私は、果たしてこれを書いている私でしょうか?
もしそうなら、それはとても幸福なことで、この記録は意味のないものと笑ってください。
けれど、もし、もし違う私なら。
どうか今、ここに記していることを心に刻んでください。
この手紙は…今の私が未来に託せる、最後に残った道しるべ。
願わくば…思い出してください。
彼と過ごした、馬鹿馬鹿しくも幸せな日々を。
私からの、初めてのお願いです。
…最後に。
もし他の全てを忘れても、これだけは忘れないでください。
私のマスターは、大海亀夫さん。
世界で一番大好きな…私の旦那様》
亀夫「………なんでだよ」
亀夫「俺に隠し事するなとか言ってて…これかよ…」
亀夫「全部知ってて…覚悟して…そのくせこんな手紙残して…!」
亀夫「どうして……」
亀夫「最後かもしれないのに…嘘つくんだよぉ…」
亀夫「……ちくしょぉ……!」
………BAD END。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
この後は問題とは関係のない、後日談となります。
バッドエンドは嫌だ!という方はお進みください。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
…NO! TO BE CONTINUED!!
亀夫「…舐めんじゃねーぞ」
亀夫「こんな手紙残して、取り繕って、騙せると思ってたのかよ!俺のためとか思ってたのかよ!ふざけんなっ!」
亀夫「俺は確かに兎美がいないと飯も作れないダメ人間だけど…」
亀夫「あいつ一人に全部任せて終われるほど、腐っちゃいねぇ!」
亀夫「みてろよ兎美…お前のメモにはなかったけどなぁ…」
亀夫「俺も諦めが悪いんだ!」
-22:15 ウミガメ社研究所入口-
ジングルベール…♪ ジングルベール…♪
警備A「ふぁ〜っ…イヴに仕事とか、ついてないよなぁ…」
警備B「いいじゃないか。どうせ彼女とも別れたばかりなんだろ?虚しさを忘れられるってもんだぜ?」
警備A「おまっ、なんでそれを!」
警備B「知ってるさ…ずっとお前を、見てきたから…」
警備A「えっ…!(ドキン)」
警備B「俺…お前のことが前から…」
亀夫「続きは夢の中でやれ」
警備A「な、なにっ…ぐわあ!」
警備B「き、貴様何者…ぎゃあ!」
亀夫「サンタクロースさ」
-22:20 ウミガメ社研究所最奥-
黒服「…貴女で最後。記憶処理を開始するわ」
兎美「約束通り…初期化されても、私を彼のところに届けてくださいね」
黒服「……ええ。どんな手を使っても」
兎美「ありがとう」
兎美「(…マスター。怒ってるかな…嘘ついちゃったからな…)」
兎美「(戻った時に…怒られないといいな…許してくれかな…)」
兎美「(……忘たくないよ)」
警備Z「黒服様!緊急事態です!」 バンッ
黒服「…何事なの。今ここは立入禁止よ」
警備Z「す、すみません!しかし、侵入者です!既に警備部隊の6割が継戦不能!」
黒服「そんな…賊は何人なの?」
警備Z「そ、それが…1人です!」
亀夫「兎美ぃぃぃ!!」 ガンッ!
警備Z「ぷべらっ!」
兎美「マスター!?」
-23:55 雪の降る道-
兎美「マスターは馬鹿です。大馬鹿です」
亀夫「なんでだよ!なんとかなったじゃん!覚醒した俺の愛の力で!」
兎美「何が覚醒ですか。結果的には、黒服さんに手引きしてもらって逃げられたにすぎません」
亀夫「あのお姉さん、絶対ラスボスと思ってたけどいい人だったな。びっくりした」
兎美「私の開発者ですから…お母さんみたいな人です」
亀夫「そっか、それでなんか嬉しそうだったのか」
兎美「…私は恩を仇で返すことしかできませんでした。今回の責任を取らされるのは明白なのに…」
亀夫「それを分かった上で、あの人はお前を助けたんだ。胸を張れよ」
兎美「マスター……私におんぶされていなければいい台詞なのに」
亀夫「仕方ないだろ!めちゃくちゃ体痛いの!一夜限りの奇跡だったの!あ、ちょ、やめてー!揺らさないでー!」
兎美「もう、本当に貴方は…それで、これからどうするんですか?これだけの騒ぎを起こした以上、本社も黙っていませんよ」
亀夫「そのことだけどさ、兎美。ハネムーンいこうぜ」
兎美「………はい?」
亀夫「だーかーらー、新婚旅行。まだ正式に行ってなかっただろ?貯金全部おろしてきたからさ。期限はほとぼりが冷めるまで」
兎美「………ぷっ……くくっ…あはは、本当にマスターは馬鹿です!」
亀夫「うるせー。嫌って言ってもついてこさせるぞ。俺はお前がいないとダメだからな!」
兎美「はいはい、わかりましたよマスター…私も貴方がいないと、ダメみたいですから」
亀夫「…兎美」
兎美「…なんですか?」
亀夫「メリークリスマス」
……HAPPY END!