「全部カレー」「2ブックマーク」
疲れていたせいで、ポテトサラダになるはずだったじゃがいもも、きんぴらになるはずだったニンジンも、味噌汁に入るはずだったたまねぎも、角煮になるはずだった豚肉も、全部まとめてカレーになってしまった。
なのに、本来のメニューを楽しみにしていたはずだった家族も、大満足でカレーを食べた。
カレーの方が好きというわけでもないのに、どうしてだろう?
なのに、本来のメニューを楽しみにしていたはずだった家族も、大満足でカレーを食べた。
カレーの方が好きというわけでもないのに、どうしてだろう?
14年11月15日 21:28
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

カレースープ
解説を見る
学校から帰ってくると、いつもより家の中が静かだった。
ダイニングテーブルの上には、近所のスーパーのロゴが入ったビニール袋が置かれている。中身は野菜やお肉で、多分、今日の晩御飯の材料だ。朝、お母さんが、家族全員が大好きな角煮をつくってくれると言っていたことを思い出す。
けれど、そのお母さんは、リビングのソファに横になり、ぐっすりと眠っていた。疲れているのだろう、私が立てる物音にも、まったく反応がない。
どうしよう。
しばし考え込み、材料をじっと見つめ……私は静かに台所へ向かった。
「お母さん、起きて!」
軽くゆすられて、思わず目を開けると、ぼんやりとした輪郭の娘の顔がそこにあった。
一瞬状況がわからず、しかしすぐに大変なことに気がついた。
「……え!? あれ!? もうこんな時間!」
一気にくっきり見えるようになった視力が、時計の針を捉える。普段ならもう夕食を食べ始めている時間だ。
「ごめん、今すぐ作るから!」
うっかりソファに横になってしまい、そのまま寝てしまったようだ。なんという失態。慌てて立ち上がる。
しかし、ダイニングテーブルの上には、置いていたはずの買い物袋の姿はなかった。それどころか、夫も息子も既にテーブルについており、温かそうなカレーライスが4人分、行儀よく並べられていた。
「角煮とか、サラダとか、つくれなかったから……カレーになっちゃったんだけど……」
娘が申し訳なさそうにつぶやく。
「……これ、あなたがつくってくれたの?」
「お母さんの腕にはかなわないけど、ね」
確かに、ポテトサラダになるはずだったじゃがいもも、きんぴらになるはずだったニンジンも、味噌汁に入るはずだったたまねぎも、角煮になるはずだった豚肉も、全部まとめてカレーになっていた。普段なら、カレーライスでもサラダなどの付け合わせがあるのだけれど、今日は本当にカレーライスオンリーだ。
けれど……けれど。
「おなかすいたよー早く食べようよー」
「ほら、せっかくつくってくれたんだ、温かいうちに食べるぞ」
口をとがらせる息子に、にこにこしながら私を呼ぶ夫。うっかり眠ってしまった私を、誰も責めない。
「いつもごはん、ありがとうね。作ってみて、お母さんのすごさがわかったよ」
嬉しそうに楽しそうに、カレーライスを食べる家族は、本来のメニューとは違っていても、大満足な様子だった。
その日のカレーライスは、とてもおいしくて、けれどなぜだか少し、しょっぱかった。
END
#b#料理をするはずだった母が疲れて寝てしまっていたため、娘が代わりに夕食をつくってくれた。普段頑張る母への感謝と、娘の優しさを思って、家族全員大満足で娘がつくったカレーを食べたのだった。#/b#
ダイニングテーブルの上には、近所のスーパーのロゴが入ったビニール袋が置かれている。中身は野菜やお肉で、多分、今日の晩御飯の材料だ。朝、お母さんが、家族全員が大好きな角煮をつくってくれると言っていたことを思い出す。
けれど、そのお母さんは、リビングのソファに横になり、ぐっすりと眠っていた。疲れているのだろう、私が立てる物音にも、まったく反応がない。
どうしよう。
しばし考え込み、材料をじっと見つめ……私は静かに台所へ向かった。
「お母さん、起きて!」
軽くゆすられて、思わず目を開けると、ぼんやりとした輪郭の娘の顔がそこにあった。
一瞬状況がわからず、しかしすぐに大変なことに気がついた。
「……え!? あれ!? もうこんな時間!」
一気にくっきり見えるようになった視力が、時計の針を捉える。普段ならもう夕食を食べ始めている時間だ。
「ごめん、今すぐ作るから!」
うっかりソファに横になってしまい、そのまま寝てしまったようだ。なんという失態。慌てて立ち上がる。
しかし、ダイニングテーブルの上には、置いていたはずの買い物袋の姿はなかった。それどころか、夫も息子も既にテーブルについており、温かそうなカレーライスが4人分、行儀よく並べられていた。
「角煮とか、サラダとか、つくれなかったから……カレーになっちゃったんだけど……」
娘が申し訳なさそうにつぶやく。
「……これ、あなたがつくってくれたの?」
「お母さんの腕にはかなわないけど、ね」
確かに、ポテトサラダになるはずだったじゃがいもも、きんぴらになるはずだったニンジンも、味噌汁に入るはずだったたまねぎも、角煮になるはずだった豚肉も、全部まとめてカレーになっていた。普段なら、カレーライスでもサラダなどの付け合わせがあるのだけれど、今日は本当にカレーライスオンリーだ。
けれど……けれど。
「おなかすいたよー早く食べようよー」
「ほら、せっかくつくってくれたんだ、温かいうちに食べるぞ」
口をとがらせる息子に、にこにこしながら私を呼ぶ夫。うっかり眠ってしまった私を、誰も責めない。
「いつもごはん、ありがとうね。作ってみて、お母さんのすごさがわかったよ」
嬉しそうに楽しそうに、カレーライスを食べる家族は、本来のメニューとは違っていても、大満足な様子だった。
その日のカレーライスは、とてもおいしくて、けれどなぜだか少し、しょっぱかった。
END
#b#料理をするはずだった母が疲れて寝てしまっていたため、娘が代わりに夕食をつくってくれた。普段頑張る母への感謝と、娘の優しさを思って、家族全員大満足で娘がつくったカレーを食べたのだった。#/b#
「ナンパするイケメン」「2ブックマーク」
女にはこのところ心配事があった。
金曜日の繁華街、女は飲み遊ぶ気にもなれず、憂鬱な顔でそそくさと帰路につく。
そこに「いえ〜い、お姉さん美人だね、ちょっと飲みに行かない?」
とパリピ全開の男がナンパをしてきた。
「いいえ、結構です」と強く拒否するも、男は女の肩を引き寄せ話しかけてくる。
しかし、次の瞬間「いいわね!飲みにいきましょ」と男と飲みに行くこと快諾した。
どういうことだろう?
金曜日の繁華街、女は飲み遊ぶ気にもなれず、憂鬱な顔でそそくさと帰路につく。
そこに「いえ〜い、お姉さん美人だね、ちょっと飲みに行かない?」
とパリピ全開の男がナンパをしてきた。
「いいえ、結構です」と強く拒否するも、男は女の肩を引き寄せ話しかけてくる。
しかし、次の瞬間「いいわね!飲みにいきましょ」と男と飲みに行くこと快諾した。
どういうことだろう?
17年07月09日 22:49
【ウミガメのスープ】 [トレミー]
【ウミガメのスープ】 [トレミー]

本日、ラストスープいかがですか?※イケメン味
解説を見る
女は最近ストーカー被害に悩まされていた。
怪文書や不審な電話があるだけで、実害はないため、警察への相談も気休めにもならない。
そんな中、繁華街で声をかけてきた男がいた。
男「いえ〜い、お姉さん美人だね、ちょっと飲みに行かない?」
女(なに、この人)「いいえ、結構です」
男 女の肩を引き寄せ、小声で「今、後ろに刃物を持った奴がいて、お姉さんのこと付けてるみたい」
女(え!まさか…あのストーカー?)「いいわね!飲みにいきましょ」
そうして、男は女と適当な店に入り、警察に連絡したのだった。
怪文書や不審な電話があるだけで、実害はないため、警察への相談も気休めにもならない。
そんな中、繁華街で声をかけてきた男がいた。
男「いえ〜い、お姉さん美人だね、ちょっと飲みに行かない?」
女(なに、この人)「いいえ、結構です」
男 女の肩を引き寄せ、小声で「今、後ろに刃物を持った奴がいて、お姉さんのこと付けてるみたい」
女(え!まさか…あのストーカー?)「いいわね!飲みにいきましょ」
そうして、男は女と適当な店に入り、警察に連絡したのだった。
「あたらしいあさ。」「2ブックマーク」
男が寝る前に見た時は40だった。
起きた後、数値を確認したら39だったため男は驚いた。
なぜ?
起きた後、数値を確認したら39だったため男は驚いた。
なぜ?
16年10月10日 21:13
【ウミガメのスープ】 [ねこです。]
【ウミガメのスープ】 [ねこです。]
解説を見る
数値は携帯のバッテリーの残量を表していて、
男は携帯を充電しようとしていた。
寝ている間に満タンになるだろうと思っていたが、
コンセントのスイッチを入れてなかったため充電できておらず
男は驚いた。
男は携帯を充電しようとしていた。
寝ている間に満タンになるだろうと思っていたが、
コンセントのスイッチを入れてなかったため充電できておらず
男は驚いた。
「一年生担ったら」「2ブックマーク」
名門進学校と名高い海亀高校は「生徒の学習環境を第一に考える」をモットーにしている。
この学校が打ち出した方策の一例が以下の通りである。
・生徒が圧迫感を感じないように,教室を一般的なサイズより大きくする。
・教室内が暗くならないように,窓の面積を広げて採光を良くする。
・生徒の休み時間を確保するため,教師は授業終了時刻を厳守し,基本的に教室には居残らない。
さて,海亀高校に勤める教師たちも「生徒のために」と全国から集められた優秀な教師たちなのだが,
長年この高校で教師を務めた人が退官することになった時,彼らの多くは教師人生としての最後の年に,
大学合格の幸せを一緒に分け合える3年生ではなく,学校に入ったばかりの1年生の担任を任せられるという。
一体なぜ?
この学校が打ち出した方策の一例が以下の通りである。
・生徒が圧迫感を感じないように,教室を一般的なサイズより大きくする。
・教室内が暗くならないように,窓の面積を広げて採光を良くする。
・生徒の休み時間を確保するため,教師は授業終了時刻を厳守し,基本的に教室には居残らない。
さて,海亀高校に勤める教師たちも「生徒のために」と全国から集められた優秀な教師たちなのだが,
長年この高校で教師を務めた人が退官することになった時,彼らの多くは教師人生としての最後の年に,
大学合格の幸せを一緒に分け合える3年生ではなく,学校に入ったばかりの1年生の担任を任せられるという。
一体なぜ?
17年10月01日 19:42
【ウミガメのスープ】 [square]
【ウミガメのスープ】 [square]

一年生になったら
解説を見る
教室を大きくする・採光面積を上げる目的で,この学校は天井が高くなっており,
それゆえに各階をつなぐ階段の段数も一般的な高校に比べて多くなっている。
若い学生たちには気にならない程度でも,長年教師を務めた老体にとっては,階段の昇降は一苦労。
まして2時限連続で授業があっても,学校の方針から教室に残れないため,
短い休み時間中に「1階の職員室」と「3階の3年生の教室」の往復が必要な事もしばしば。
そのため,年齢の高い先生ほど体をいたわって,低い階の生徒の担任を割り当てられる事が多く,
長年教師を務めた人は,最後の年を含めた数年間、1階の1年生の担任になっていることが多いという。
<FA条件>
・教室の天井が高い。
・年配の教師には,階段の移動が辛い。
・3年生の教室が校舎の上方の階にある。
それゆえに各階をつなぐ階段の段数も一般的な高校に比べて多くなっている。
若い学生たちには気にならない程度でも,長年教師を務めた老体にとっては,階段の昇降は一苦労。
まして2時限連続で授業があっても,学校の方針から教室に残れないため,
短い休み時間中に「1階の職員室」と「3階の3年生の教室」の往復が必要な事もしばしば。
そのため,年齢の高い先生ほど体をいたわって,低い階の生徒の担任を割り当てられる事が多く,
長年教師を務めた人は,最後の年を含めた数年間、1階の1年生の担任になっていることが多いという。
<FA条件>
・教室の天井が高い。
・年配の教師には,階段の移動が辛い。
・3年生の教室が校舎の上方の階にある。
「自信あり!(実装記念)」「2ブックマーク」
カメコは優秀な学生だった。
ある日、先生が皆に聞いた。
カメコは自信をもって答えた。
彼女だけ違う答えだった。
だが、彼女を笑うものは誰もいなかったという。
どんな問題だったのだろう。
ある日、先生が皆に聞いた。
カメコは自信をもって答えた。
彼女だけ違う答えだった。
だが、彼女を笑うものは誰もいなかったという。
どんな問題だったのだろう。
17年03月05日 19:41
【ウミガメのスープ】 [クアッド]
【ウミガメのスープ】 [クアッド]
解説を見る
カメコは部長である。
県大会で惜しくも破れ去り、失意にくれる中、顧問は紙を配り皆に聞いた。
「この部で一番、大会を頑張ってたのは誰だ?」
カメコは「全員」と書いた。
残りの皆は「カメコ部長」と書いていた。
カメコは泣いた。
皆もまた、泣いた。
県大会で惜しくも破れ去り、失意にくれる中、顧問は紙を配り皆に聞いた。
「この部で一番、大会を頑張ってたのは誰だ?」
カメコは「全員」と書いた。
残りの皆は「カメコ部長」と書いていた。
カメコは泣いた。
皆もまた、泣いた。