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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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スナイパーにお願い「1ブックマーク」
やあ、スナイパーの諸君。
私だ。
連続殺人犯の吉良キラリだ。
いつぞやは楽しませてくれたね。
心から感謝している。

さて、今日はスナイパーの諸君にお願いがある。
恥ずかしい話なんだが、この前、車に轢かれてしまってね…。
それ以来、この1か月くらいの記憶の一部がなくなってしまったようなんだ。
まぁ、大体のことは覚えているんだが、一番大事なことを忘れてしまったのだ。

私は、ルールを決めて連続殺人をすることをモットーとしている。
この1か月前からある新しいルールで連続殺人を始めたんだが、
その一連の殺人についてすっかり忘れてしまったのだ。
いったいどういうルールで殺人を犯していたのか、次にどういうヤツを殺せばいいのか、全く思い出せないのだ。
正直いって、自分の殺した相手の顔も覚えてない始末でね…。
まったく情けない話だ。

そこで思い出したのが、ここのスナイパーの諸君だ。
いつぞやのように、殺人ルールを見破って、私に教えてくれないだろうか。
参考までに、この1か月の、私の殺人に関して報道している新聞記事をお知らせしよう。

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6月24日 「吉良キラリ、新たな連続殺人開始か」
 6月23日午後8時、東京都品川区の公園にて、田中由美子(24)が死亡していることが、近所の住民によって発見された。死体には刀で切られたような跡があり、これが直接の死因となったとみられている。被害者は、東京都内の大学に通う女子大生で、被害者の友人の女性は、「水泳部のキャプテンとして、みんなを引っ張ってくれるところがあった。本当に悔しい」と語る。警察は、事件現場に、特製のカードが残されていることから吉良キラリの犯行と見ており、目下捜査中という。

6月26日 「多摩川で死体」
 6月25日午前10時、多摩川にて、土木作業員の都築浩二(22)が死亡していることが発見された。第一発見者が釣りに来たところ、近くから悪臭が漂ったために気づいたとのこと。死体には、体中にやけどの跡があったことから、睡眠薬で眠らされた後、沸騰したお湯で釜茹でにすることで殺害されたとみられる。警察は現場に残ったカードから、吉良キラリの犯行と見て調査を進めている。

7月4日 「横浜にて新たな被害者」
 7月3日午後3時、神奈川県横浜市のデパート内のトイレにて、佐藤優香(27)が死亡していることが発見された。被害者の女性は、金融機関に勤める会社員。背中を鋭利な刃物で刺されたことが直接的な死因とされる。警察は、現場に残ったカードから、吉良キラリの犯行と断定。なお、被害者を発見した横浜市在住の会社員男性に対しても、発見に至るまでの経緯を事情聴取している。

7月13日 「横浜でまた事件発生 主婦殺される」
 7月12日午後8時、神奈川県横浜市にて、主婦の越川瞳(43)が死亡した。被害者が倒れていることに気づいた夫が通報したものの、病院に運ばれた直後、帰らぬ人となった。死体には首を絞められた跡があり、これが直接の死因となったとみられる。死体のそばにはカードが残されており、警察は吉良キラリの連続殺人との関連を調べている。なお、被害者の夫は県警に勤めていることから、担当者が「警察への挑戦だ。絶対に許されない殺人」と発言、これに対し、警察関係者でなければ許される殺人なのかという抗議が殺到している。

7月16日 「北区にて凍死体見つかる」
 7月15日午前10時東京都北区の食品会社の冷凍室に死体があることが同会社の会社員の通報によって判明した。被害者は、食品会社社員の山本洋子(31)。冷凍室内に閉じ込められ、そのまま凍死したものと見られる。死体のそばにカードが落ちていたことから、警察では、吉良キラリの犯行と見て調査をしている。

7月19日 「新宿区にて銃死体見つかる」
 7月18日午後11時、東京都新宿区の路上にて、死体が見つかった。近所の住民からの銃声が聞こえたとの通報で発見された。被害者は日焼けサロンオーナーの橋本豊(41)。帰宅途中を襲われたと見られる。死体のそばにあったカードより、吉良キラリの関与が疑われる。凶器はロシア製のピストルと見られ、近年都内の暴力団関係者の間で出回ったものと類似していることから、警察では、関係性の解明を急いでいる。

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以上だ。
どうか、よろしく頼む!


※タイトルは、スナイパーの称号がある人限定、という意味ではありません。どんな方でもウェルカムです。
なお、この問題は「スナイパーに告ぐ(http://sui-hei.net/mondai/show/6928)」の続編という位置づけですが、前作を知らなくても一向にかまいません。
楽しんでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
13年07月26日 21:59
【亀夫君問題】 [3000才]



解説を見る
思い出した…。
そうだ、確か、多摩川での殺人は、品川区での殺人の前だったはずだ。
そして、7月13日の横浜での越川瞳の殺人事件。
これには、私は関与していない!
越川瞳の夫は警察関係者か。
こいつが、私を表すカードを使って、私の殺人に見せかけたのだろうな…。

殺人の順番通りに被害者とその年齢、殺害方法を並べると以下のようになる。

都築浩二(22) 煮殺し
田中由美子(24)斬殺
佐藤優香(27)刺殺
山本洋子(31)凍殺
橋本豊(41)銃殺

そうだ…。
煮殺しは2、斬殺は3、刺殺は4、凍殺と銃殺はそれぞれ10。
殺し方に対応する数字に年齢を足した数を、次の被害者の年齢と決めて、殺していたのだったな。
ということは、次の被害者は51才か。

なるほど、思い出した。
越川瞳の夫の年齢が51才だ。
そうなるように、凍殺と銃殺を行って、年齢を合わせたのだ。
スナイパーの諸君、ご協力ありがとう。
おかげで、次のターゲットを思い出したよ。
それでは、また会おう。
さらばだ!

…そう言うと、吉良キラリはスケボーに寝そべり、両手を前にまっすぐに突き出したポーズで夕暮れに消えていった。
吉良キラリの殺人は続く。
It's no money「1ブックマーク」
私の同僚がいつの間にか私の母親に気に入られていた。
同僚本人も知らぬ間に。

一体何故だろう。
12年06月02日 00:01
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]



解説を見る
私は会社勤めの女。
恋もしたいが仕事も大事。

ある時5歳下の男の同僚が変なことを言い出した。
「何か一言あってもいいじゃないすか、さすがに無反応は傷つきます」
・・・はあ、まったくなんのことかサッパリだ。

実家に帰ると母親まで変なことを言い出した。
「あなたの後輩の子、なかなかやるわね。私気に入っちゃったわ」
・・・はあ、どなたのことを言っているのでしょうか。

実は私の知らない間に、いや登場人物全員が真実を知らぬまま、物語は進行していたのだ。

先週私はその同僚と一緒にドライブをしていた。
もちろん仕事で。

少し長い距離を走ったので、私たちはパーキングエリアで休憩をした。
「飲み物買ってくるよ、何がいい?」
こんな感じで私は一人で飲み物を買いに行った。

その時の車は私の愛車で、ナビもついていた。
彼は私のいない間にこっそりと見たのだ。
”自宅”に設定されていた住所を。

あまり気の良い話ではないが、まあそこは置いとこう。

彼はその後、見た住所に小包を贈った。
私の誕生石が入ったネックレス、メッセージ入りだ。
郵送ではなく自らポストに入れたようで、封筒に宛先はなかった。

「将来あなたと家族になりたい。好きです」

んー、さすがにいきなりどうなんだろうねこれ。

もし私の家に届いていたら、突っ返していたことだろう。
その分彼はラッキーだったと言える。
小包は実家に、母の元へと送られた。

「あらまあ素敵なネックレス、この名前はいつも耳にするあの子ね、うふふ」

母は自分宛だと勘違いした。
外堀を埋めにきたと勘違いしたのだ。
いやあ、あいつにそんな度胸はないって。

さてさてその同僚くんも私に贈られたと思っている模様。
真実を知った私は彼を自宅へと招待した。

「いやあ、先輩の自宅楽しみっすよ。・・・あれ?ここなんすか?」
はい、ここなんす。
あなたが贈ったのは母親なんすよ。

彼はうつむきながらごめんなさいと言った。
正直なことはいいことだ。
弱みはしっかりと握ってやったんで、きっと忠実な彼氏になってくれることだろう。

脅したのに喜んでる、変な奴だ。
Aパート目のアパート 「1ブックマーク」
男はこれから借りるアパートの内装を見た。
とても広々としていて、綺麗な感じだった。
都内の一等地で、家賃は4万5千円。
しかも絵を1枚くれるらしい。

何故こんなにこの物件はお得なのだろう。
12年06月19日 23:43
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]



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今度実家を出て、初めての一人暮らしをする。
そのためにアパートを一部屋借りた。
家賃45000円と都会にしては格安の値段だ。

まだ前の住人が引っ越しておらず、空き部屋もないので下見はできなかった。
しかし内装の写真を見せてくれて、かなり綺麗で広々としていることが分かった。
どうやら飾りのための絵も無料で譲ってくれるらしい。

これはいい物件を見つけたな。
その時はそう思っていた。

引越しの日、僕は愕然とした。
部屋は狭く、畳はボロボロ、壁はタバコのヤニで黒ずんでいた。
僕は紹介してくれた従業員に文句を言った。

「ちょっとどういうことですか!写真と違うじゃないですか!!」
「へ?なんのことでございましょう?あたしゃ何もしりやせんよ」

とぼけ方が腹立つ言い方だった。
「前見せてもらった内装と全然違うじゃないか!」
「ああ、あれですか。あれなら間違いないですよ。あの絵を見て下さい」

男が指し示す方を見ると、額縁にある絵が置いてあった。
そういえば絵くれるって言ってたな。

僕はその絵を見て驚いた。
以前見せてもらった内装の写真と同じものだったのだ。

「ね、内装だったでしょ。まあ若干カメラを寄せすぎたかもしれませんが、問題ないでしょう」

騙された。
だがそれでも45000円は魅力的だったので、契約解除はしなかった。
その後写真に見えるその絵を質屋で売ったら、30万円で売れてしまった。
絵描きやったほうが売れんじゃね(´・ω・`)
苦しみを飲む 「1ブックマーク」
今まで美味しそうに、幸せそうにコーヒーを飲んでいた夫。
しかし突然、とても不味そうな顔をした。

その瞬間、外では人が死んでいた。

どういうことだろう。
12年05月23日 23:54
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]



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男は隣の家の女の子が好きになった。
女も男が好きになった。
これは素敵な恋の予感。

しかしふたりともすでに結婚していたのだ。

男の妻は1階の窓の外を見てコーヒーを飲む夫に見とれていた。
女の夫も1階の窓の前で紅茶を飲んでいる妻に見惚れていた。
何故かふたりともカップは空だったのだが。

実は飲み物を飲むふりをして、お互い話をしていたのだ。
それは目に見えないほど細い糸を使った、糸電話だった。
音を聞くときも慎重に、カップに近づいて聞き耳をたてていた。

そんな仲良しな二人だが、ある日喧嘩をしてしまう。

糸電話越しに飛び交う文句。
あくまでパートナーにバレないように、大人しく。
しかしそれでも二人は興奮し、常にカップに口をつけて何かを言う形になった。

「私びっくりしました。夫がコーヒーをずっと飲み続けているので」
「いやあびっくりしたよ。だってハニーが紅茶から口を話さないんだもの」

「「まさかそのあと人が死ぬだなんて」」

二人の家の間を原付が通った。
郵便配達員だった。
家の間には細い線が張られている。

「ぐわ、っげえ」

即死だった。
線が首に食い込み、半分まで切り裂いた。

数十メートル離れた場所で、叫び声もそこまで大きなものではなかった。
だがしかし、二人は郵便配達員の断末魔をクリアに聞くこととなった。
というより飲み込んだのだ。
カップを通じて、死にゆく人間の最高の苦しみを。


そして二人は赤い糸で結ばれた。
【ウミガメ1on1】待ちわびて「1ブックマーク」
彼は来なかった。
待っていた彼女は、喜んだ。
一体どういうことか?
11年04月16日 17:56
【ウミガメのスープ】 [あこ]



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解説:
愛する彼のもとに、赤い紙が来た。
彼は明日、汽車で故郷を去る。
私と彼は出発の朝に、桜の木の下で彼と待ち合わせた。
せめて発つ前に、勇敢な彼の姿を独り占めしたくて。
その時、彼は声をひそめて言った。
「内緒の話があるんだ。俺、今夜逃げるかもしれない」
「…え?」
「どこかの田舎に逃げようかと思ってる」
「そんな! そんなことがもし誰かに知られたら…」
「大丈夫。うまくやるさ。…まぁさすがに大それたことだから、ちょっとまだ迷っててな。…いいか、俺が明日待ち合わせ場所に来なかったら、逃げたんだと思ってほしい。当然、他の奴には絶対内緒だ。いいな?」
「…わかりました。」

彼は翌朝、待ち合わせ場所に来なかった。
少しさみしいけれど、彼が死ぬかもしれないと思うよりずっとよかった。
非国民と言われようとなんだろうと、私はとてもとても、嬉しかった。

数ヵ月後、戦争が終わって…
足に明らかに銃で撃たれた傷を負って帰ってきた彼を見て、私はあの夜の彼の言葉が優しい嘘だったのだと知った。
私を不安にしないために嘘ついてくれたんだね。

生きていてくれて、ありがとう。