「究極のクール・ビズ」「1ブックマーク」
とある秋の昼下がり、海江は東京のオフィス街を歩いていた。なんと全裸で!
しかし、近くを歩いていたサラリーマンも学生も、全裸の彼女を見ているにも関わらず通報する様子はない。
それどころか、目を逸らすでも凝視するでもなく、あまり関心がないようにみえる。
一体、なぜだろうか?
しかし、近くを歩いていたサラリーマンも学生も、全裸の彼女を見ているにも関わらず通報する様子はない。
それどころか、目を逸らすでも凝視するでもなく、あまり関心がないようにみえる。
一体、なぜだろうか?
13年10月19日 22:00
【ウミガメのスープ】 [ディダムズ]
【ウミガメのスープ】 [ディダムズ]
解説を見る
X013年10月20日、東京は核の炎に包まれました。
某国が予告も無く日本の首都、東京に核兵器を使用したのです。
このオフィス街も激しい炎と爆風にさらされ、人も物も多くのものが焼き尽くされました。
海江のように一瞬にして衣服を焼かれ、焼けただれた皮膚を晒しながらさ迷い歩く者も多数いました。
「あつい、あつい」とうめく声が其処彼処から聞こえます。
さながら地獄と化したこの場所で、他者に注目するような余裕ある者は誰一人としていなかったのです。
Special Thanks to アザゼルさん
某国が予告も無く日本の首都、東京に核兵器を使用したのです。
このオフィス街も激しい炎と爆風にさらされ、人も物も多くのものが焼き尽くされました。
海江のように一瞬にして衣服を焼かれ、焼けただれた皮膚を晒しながらさ迷い歩く者も多数いました。
「あつい、あつい」とうめく声が其処彼処から聞こえます。
さながら地獄と化したこの場所で、他者に注目するような余裕ある者は誰一人としていなかったのです。
Special Thanks to アザゼルさん
「一枚足りなあ~い・・・」「1ブックマーク」
#big5#あ#/big5#る武家屋敷の居間で、
一人の女幽霊が皿を数えていた。
「6…7…8…9………、1枚……足りない…。」
そう言うと女は満足し成仏してしまった。
どういうことだろう?
一人の女幽霊が皿を数えていた。
「6…7…8…9………、1枚……足りない…。」
そう言うと女は満足し成仏してしまった。
どういうことだろう?
13年10月17日 18:49
【ウミガメのスープ】 [那由唄]
【ウミガメのスープ】 [那由唄]
解説を見る
生前、女はお市という名前で武家屋敷に仕える使用人だった。
屋敷の主人は行くあてのないお市を拾って、決して良いとは言えない待遇で日々こき使っていた。
そんなある日のこと、
主人に野暮用を遣わされたお市が夜道を歩いていると、
前から歩いてきた男にすれ違いざまに声をかけられた。
「おめえ……、もしかしてお市じゃねえか!?オラだ!!覚えてねえか?」
「もしかして……あんた…、盗右衛門かい!?」
声をかけてきた男はお市の幼馴染で、かつてお市が想いを寄せていた盗右衛門という名の青年だった。
「やっぱりそうだ!いやあ、懐かしいべなー!!今何してるんだ?丁度いいや、オラの家ここから近けえんだ、寄ってけ!なっ?」
お市は久しぶりに会った盗右衛門に戸惑っている間に有無を言わさずに連れて行かれてしまった。
盗右衛門の家に着くと、お市は盗右衛門に言われるままに近況を話した。
お市が武家屋敷でこき使われている事を聞いた盗右衛門は小声で話しだした。
「実はな、訳あって今オラは盗賊やってんだ。おめえも知ってると思うが、オラには妹がいる。その妹が流行病にかかっちまったんだ。治らねえわけじゃねえんだけんど、薬がべらぼうに高くてな。けんど、次の盗みでやっと金が貯まるんだ。その盗みが終わったらこの町から出て行ってやっと新しい生活ができる。その次の盗みってのが実はおめえのいる武家屋敷なんだ。あそこには1枚100両はくだんねえ皿が10枚もあると聞いたからな。そんでよ、お市。おめえオラと組んでこの町から出て行く気はねえか?おめえが居れば侵入も楽になるし、オラならおめえをちゃんと養ってやれる。ここで会ったのも何かの縁だしよ?」
お市は驚いて目を丸くしたが、少し考えて盗右衛門についていくことに決めた。好きだった男と穏やかに暮らす方が、屋敷でこき使われるよりもずっと良かった。
そして数日後の夜……
盗右衛門は予めお市と決めておいた場所で合流し、
屋敷に忍び込み、皿のある居間にたどり着く事が出来た。
しかし、盗右衛門が1枚目の皿を風呂敷に乗せたところで2人は見回り番に見つかってしまった。
風呂敷を掴み2人は急いで逃げたが、出口近くで見回り番に回り込まれてしまった。
このまま盗右衛門が捕まってしまったら、妹が助からないかもしれない、そう思ったお市は
「いいかい、盗右衛門!とにかく全力で逃げるんだ!あたしのことは気にしないでいいから!あとで……、必ず行くから…。」
と言って見回り番に掴みかかった。
盗右衛門は一瞬戸惑い、お市を助けようとしたが、妹の顔がよぎり
、
「お市……、すまんッ…!!」
と言って涙ながらに逃げた。
全力で逃げた。
お市は自分が助からないことを分かっていた。
女であるお市が見回り番に勝てるはずもなく、
捕らえられ、お市は朝日を見ることなく屋敷の主人に斬り殺された。
しかし、死してなお盗右衛門が無事に逃げられたか心配なお市は幽霊となり成仏できずに武家屋敷の居間にいた。
そして、皿の枚数を数え1枚足りないことを確認すると、
盗右衛門が無事に逃げられた事に安心し成仏したのだった。
「6…7…8…9……、1枚…足りない…。良かった…。」
屋敷の主人は行くあてのないお市を拾って、決して良いとは言えない待遇で日々こき使っていた。
そんなある日のこと、
主人に野暮用を遣わされたお市が夜道を歩いていると、
前から歩いてきた男にすれ違いざまに声をかけられた。
「おめえ……、もしかしてお市じゃねえか!?オラだ!!覚えてねえか?」
「もしかして……あんた…、盗右衛門かい!?」
声をかけてきた男はお市の幼馴染で、かつてお市が想いを寄せていた盗右衛門という名の青年だった。
「やっぱりそうだ!いやあ、懐かしいべなー!!今何してるんだ?丁度いいや、オラの家ここから近けえんだ、寄ってけ!なっ?」
お市は久しぶりに会った盗右衛門に戸惑っている間に有無を言わさずに連れて行かれてしまった。
盗右衛門の家に着くと、お市は盗右衛門に言われるままに近況を話した。
お市が武家屋敷でこき使われている事を聞いた盗右衛門は小声で話しだした。
「実はな、訳あって今オラは盗賊やってんだ。おめえも知ってると思うが、オラには妹がいる。その妹が流行病にかかっちまったんだ。治らねえわけじゃねえんだけんど、薬がべらぼうに高くてな。けんど、次の盗みでやっと金が貯まるんだ。その盗みが終わったらこの町から出て行ってやっと新しい生活ができる。その次の盗みってのが実はおめえのいる武家屋敷なんだ。あそこには1枚100両はくだんねえ皿が10枚もあると聞いたからな。そんでよ、お市。おめえオラと組んでこの町から出て行く気はねえか?おめえが居れば侵入も楽になるし、オラならおめえをちゃんと養ってやれる。ここで会ったのも何かの縁だしよ?」
お市は驚いて目を丸くしたが、少し考えて盗右衛門についていくことに決めた。好きだった男と穏やかに暮らす方が、屋敷でこき使われるよりもずっと良かった。
そして数日後の夜……
盗右衛門は予めお市と決めておいた場所で合流し、
屋敷に忍び込み、皿のある居間にたどり着く事が出来た。
しかし、盗右衛門が1枚目の皿を風呂敷に乗せたところで2人は見回り番に見つかってしまった。
風呂敷を掴み2人は急いで逃げたが、出口近くで見回り番に回り込まれてしまった。
このまま盗右衛門が捕まってしまったら、妹が助からないかもしれない、そう思ったお市は
「いいかい、盗右衛門!とにかく全力で逃げるんだ!あたしのことは気にしないでいいから!あとで……、必ず行くから…。」
と言って見回り番に掴みかかった。
盗右衛門は一瞬戸惑い、お市を助けようとしたが、妹の顔がよぎり
、
「お市……、すまんッ…!!」
と言って涙ながらに逃げた。
全力で逃げた。
お市は自分が助からないことを分かっていた。
女であるお市が見回り番に勝てるはずもなく、
捕らえられ、お市は朝日を見ることなく屋敷の主人に斬り殺された。
しかし、死してなお盗右衛門が無事に逃げられたか心配なお市は幽霊となり成仏できずに武家屋敷の居間にいた。
そして、皿の枚数を数え1枚足りないことを確認すると、
盗右衛門が無事に逃げられた事に安心し成仏したのだった。
「6…7…8…9……、1枚…足りない…。良かった…。」
「怒り⇒謝罪」「1ブックマーク」
俺は下っ端の若造を黙らせ主を呼びに行かせた
そして怒れる俺の前に主 登場!
俺はその場で謝罪した
何故?
【参加テーマ・何かに謝罪】
そして怒れる俺の前に主 登場!
俺はその場で謝罪した
何故?
【参加テーマ・何かに謝罪】
13年10月08日 00:07
【ウミガメのスープ】 [アザゼル]
【ウミガメのスープ】 [アザゼル]
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料
理に髪の毛が入っていたので金髪の店員を怒鳴り付け店主を呼ばせた
そこへ強面の店主登場!スキンヘッドでなかなかの面構えだが俺は負けない!
ん?スキンヘッド?ならこの髪の毛は店員のか?いや入っている髪の毛は黒髪だから違う。ってことは自分の・・・
ステーキ皿で焼き土下座しました
理に髪の毛が入っていたので金髪の店員を怒鳴り付け店主を呼ばせた
そこへ強面の店主登場!スキンヘッドでなかなかの面構えだが俺は負けない!
ん?スキンヘッド?ならこの髪の毛は店員のか?いや入っている髪の毛は黒髪だから違う。ってことは自分の・・・
ステーキ皿で焼き土下座しました
「キムチ嫌い」「1ブックマーク」
花子はキムチが嫌いだった。
食べるどころか、においをかぐのも目にするのも嫌なほどだった。
ある日、キムチを出されると、
花子は大きく息を吸い込み、嬉しそうに笑った。
状況を説明してください。
食べるどころか、においをかぐのも目にするのも嫌なほどだった。
ある日、キムチを出されると、
花子は大きく息を吸い込み、嬉しそうに笑った。
状況を説明してください。
13年09月22日 23:49
【ウミガメのスープ】 [3000才]
【ウミガメのスープ】 [3000才]
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花子は韓国旅行で、死ぬほどキムチと牛肉を食べていた。
食べに食べ、キムチを見るのも嫌になるほどだった。
旅行の最終日、思い出に記念写真を撮ることにし、
近くを歩いていた韓国人にカメラを渡して撮影をお願いした。
しかし、この旅行で肉を食べすぎたせいで、お腹のぷっくら感が大いに気になる。
この腹ぷっくを写真に残すわけにはいかない。
「キムチ~」
韓国人ならではのシャッターの合図を出されると、
花子は息を大きく吸い込んで腹をへこませ、笑顔を浮かべた。
食べに食べ、キムチを見るのも嫌になるほどだった。
旅行の最終日、思い出に記念写真を撮ることにし、
近くを歩いていた韓国人にカメラを渡して撮影をお願いした。
しかし、この旅行で肉を食べすぎたせいで、お腹のぷっくら感が大いに気になる。
この腹ぷっくを写真に残すわけにはいかない。
「キムチ~」
韓国人ならではのシャッターの合図を出されると、
花子は息を大きく吸い込んで腹をへこませ、笑顔を浮かべた。
「旅愁のココロ」「1ブックマーク」
彼女は生まれてから、一度もこの村から出た事はなかった。
幼馴染の俺らが隣町へ遊びに行こうぜと誘っても、彼女は断固として断っていた。
村の子供は、大人たちに勝手に村の外で遊ぶ事は危ないからと禁止されていたのだ。
お硬い奴だとは思ったが、この村で遊ぶ時はいつも一緒に仲良く遊んで居て、稀にちょっと危ないところを助けてくれたりした事もあったので、女ながら本当に頼りになるやつで、誰からも好かれていた。
だがある日、彼女は村を出る事になった。
そして彼女が姿を消した事を知って、俺は泣きながら村を後にした。
状況を説明してください。
今回の出題にあたり、tsunaさんにSPをしていただきました。
この場をかりて、深く御礼申し上げます。
幼馴染の俺らが隣町へ遊びに行こうぜと誘っても、彼女は断固として断っていた。
村の子供は、大人たちに勝手に村の外で遊ぶ事は危ないからと禁止されていたのだ。
お硬い奴だとは思ったが、この村で遊ぶ時はいつも一緒に仲良く遊んで居て、稀にちょっと危ないところを助けてくれたりした事もあったので、女ながら本当に頼りになるやつで、誰からも好かれていた。
だがある日、彼女は村を出る事になった。
そして彼女が姿を消した事を知って、俺は泣きながら村を後にした。
状況を説明してください。
今回の出題にあたり、tsunaさんにSPをしていただきました。
この場をかりて、深く御礼申し上げます。
13年08月27日 23:27
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]
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「本当に……去ってしまうんか?」
この村唯一の駅のプラットホーム。
隣の大きな街へいく数少ない交通手段だというのに周りには俺たち二人しかいなかった。
俺と、彼女ーーー神崎このはだけ。
「ーーーうん」
頭に綺麗な桜色のヘアピンを付けているこのはは俺の問いに、静かに頷きながら答えた。
俺とこのはが暮らしている村、祭り村は、人口が三桁強という、本当に小さい村だった。
しかもそのほとんどは老人ばかりで、村の若い人は数えるほどしかいなかった。
そして俺とこのはは、そのこの村では絶滅危惧種といっても過言ではない、若者の一人だった。
「でも、俺もお前も、今まで村から出ようとしなかったべや! っていうか、俺が出よう、って誘っても断ってたんに……なんで諦めるんさ!」
俺たちはこの村で生まれた。
このはや、同じ年代の奴らは皆この村出身なので家族の様な付き合いだ。
俺たち子供はいつも何かに付けて都会に行きてーなーと、都会にずっと憧れをいだいており、何回か親に隠れて密かに隣町へ遊びに行ったりして、その後で親にこっぴどく叱られるのだ。
(ちなみに、小さな分校が村内にあり、俺らは皆そこに通っている)
だが、彼女。
このはだけは断固としてこの村を離れるのを嫌がり、俺らの誘いは毎回断っていた。
「優等生はちげーなー」
それが俺たちの感想だった。
だが、そんな彼女が今回。
始めて村を離れるのだ。
「だって、さ。しょうがないじゃん。君こそ、ずっと村を離れたがっていたのに……なんでまだ残ろうとするのさ」
「っ」
しょうがないーーー彼女のその言葉に胸が締め付けられる思いがした。
この村は、今年。廃村が決定した。
廃村して、来年から工事が始まって、そして近い内に、ダムの底に沈められる。
「そんなの、納得いかねーべや!! 突然、この村をダムにするから出てけ、って言われても!! お前、納得出来んのかや!?」
「……出来る出来ない、じゃなくてしなきゃいけないんだよ」
「分かんねー……」
そこで言葉が詰まって、俺はうつむいた。
すでにこれまでに、多くの村民。俺の友達が多額の補償金をもらって村から出て行った。
一方俺はーーー親にも噛み付いて、この村に出ていく事に断固反対していた。
これまでずっと村から出たかったはずなのに……なぜか、いざ村から出るとなると、心が一方的に拒否するのだ。
それは、この村に愛着があったからなのか、それともこの村を捨てて離れたら、一生このはと会えなくなる、そんな気がしてしまうからかーーー。
それが、どっちなのかずっと分からなかった。
ーーーでも、今日やっと分かった。
「俺ーーーこの村を離れたら、一生お前と会えなくなる気がすんだわ……」
俺がうつむきながらそう言うと、彼女は沈黙した後に、クスッと微笑んだ。
「バカ……んなことあるかいな。ーーー必ず、また会えるわ。だから、今度はこの村じゃない、違うところで会お」
彼女がそう言うと、向こう側から電車がゆっくりとこちらに近づいてきた。
「もうすぐ、お別れだね」
彼女がチラと電車を見て、言った。
ちょっと待ってくれよ。
俺は、まだ言いたいことがいっぱいあるのに。
「俺さ、この村で、やり残したことがいっぱいある様な気がしてならねーんだよ……」
俺が言葉をつなぐために、思わずそう言うと、彼女は一瞬きょとん、としたが、その後にクスッと笑った。
「そんなの。私だっていっぱいあるよ。数えきれないくらい……そんなの、いくら言っても切りないわ。たとえ100年、200年生きてても、そういう思いは出てくるって」
「でも……」
「ーーーあ、でも今ひとつ。……やり残してた事やってもいい?」
「えーーー」
その瞬間。
俺の前に彼女の顔が近付いて、唇が重なったーーー。
俺が状況が理解出来ず、ただ呆然とその状況を飲み込んでいると、彼女が俺をとん、と突き飛ばして、電車に乗り込んだ。
「バーカ」
彼女は笑って、ーーー電車の扉が閉まった。
電車が走り出して。
俺はただ呆然と、今あった出来事を思い出していた。
キス、された後ーーー。
「私の家に行ってみて」
彼女はぼそりと、確かにそうつぶやいた。
どういう意味か分からないーーーでも、俺は一刻も早く彼女の家にいかなければならない気がした。
幸い、彼女の家はすぐとなりだ。
俺は走って彼女の家にまで行くと、そこで信じられない光景を見た。
家が、消えていくーーー。
家の形をしたものが、だんだんと砂の様にチリになって消えて行っているのだ。
「なんだよ……コレ」
「信じられない光景でしょ?」
俺がそう呟くと、ふと後ろから人の声がした。
「母さん……!」
後ろを振り返ると、メガネをかけた自分が良く知っている人が立っていた。
「母さん……これがどういう事か、知ってるの?」
俺がそう言うと、彼女は小さくため息をついた。
「神崎このはは、この村の土地神だった」
「ーーーは?」
「ま、この事が知らされるのは成人している、この村で生まれた人だけだけどね」
彼女の発言に、頭が追いついていかない。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! このはが……神様!? だって、小さい頃からずっと一緒に……」
「本当に、そうか? 落ち着いてよく考えろ。彼女の去年の学校の成績は? 彼女の好きな食べ物は? 彼女の両親の顔は思い浮かべられるか?」
「えっ……えっ……?」
「そして、今目の前で消えているこの光景こそが、その真実だ。彼女はこの村の土地神。この村の人の認識を少し書き換えるぐらい、わけ無い。彼女は未成年の子供にはこうして認識を書き換え、ある時は年上のお姉さん、ある時は年下の子、そしてある時は同じ友達として接しながら、陰で子供達を見守っていたんだ。この事は、この村の成人の儀式の時に教えられる」
「わけわかんねーよ! つまり、どういう事だよ!?」
「だから!! 彼女は土地神だ。そして、土地神はその地にいるから土地神足りえる。そして、彼女は土地神としては非常に弱い。つまり……この村から出ると……どうなるか分かるな?」
彼女の言葉に。
俺は今のこの家の状況を照らし合わせて、一つの仮説。いや、確信が生まれた。
「そ、そんな! なんであいつはこんな事を!?」
「それは、お前をこの村から出ていかせるためだ!! 彼女は言っていた。自分は黙っていても、そのうち消滅する。でも、この村に居たら『その時』までは消滅出来ない。そして、お前は私がいる内は村に出ようとしない、ってな。この事は口止めされていたんだが……お前がこの家の状況を見たら、どうせすぐに予想がつく事だ」
「そんな……そんな……」
俺は……俺は、彼女といたかっただけなのに……
そう言って涙を流し、うなだれる俺に、母さんは静かに言った。
「ーーーもう、満足か?」
~~~
電車内。
彼女、このはは座席に座りながら、移りゆく景色を見つめていた。
もうすぐ、村を出るーーー。
彼は、隣町は綺麗な街だとか言っていた。
どれ、見てやろうではないか。
不意に、そこから彼との出来事が次々と思い出されていく。
「……不思議な、子だったなあ。お母さんもお母さんなら、子も子だ」
思わず、涙が溢れて来る。
いいんだ。どうせすぐに消えてしまう身だったのだ。
それが少し早まったくらいなんだ。
これで、あの子が村を出て、そしてその先で幸せな生活が掴めたら、それでいいじゃないか。
あのまま残ってたら……より別れが辛くなっていた。
私は涙を拭いて、再び窓の外を見た。
「うん……ハア。消えたく、ないなあ」
すると窓の外から、綺麗な隣町の風景がうつりこんできた。
「……あれ?」
隣の席に座っていた、隣町へ帰る途中だった男は首をかしげた。
「なんで俺、窓側を開けて座ってるんだ……?」
男が窓側へ寄ろうとした時。
「ん? なんだこりゃ? 」
座席の上に何かが落ちているのに気づいた。
拾ってみると、それは、綺麗な桜色のヘアピンだったーーー。
この村唯一の駅のプラットホーム。
隣の大きな街へいく数少ない交通手段だというのに周りには俺たち二人しかいなかった。
俺と、彼女ーーー神崎このはだけ。
「ーーーうん」
頭に綺麗な桜色のヘアピンを付けているこのはは俺の問いに、静かに頷きながら答えた。
俺とこのはが暮らしている村、祭り村は、人口が三桁強という、本当に小さい村だった。
しかもそのほとんどは老人ばかりで、村の若い人は数えるほどしかいなかった。
そして俺とこのはは、そのこの村では絶滅危惧種といっても過言ではない、若者の一人だった。
「でも、俺もお前も、今まで村から出ようとしなかったべや! っていうか、俺が出よう、って誘っても断ってたんに……なんで諦めるんさ!」
俺たちはこの村で生まれた。
このはや、同じ年代の奴らは皆この村出身なので家族の様な付き合いだ。
俺たち子供はいつも何かに付けて都会に行きてーなーと、都会にずっと憧れをいだいており、何回か親に隠れて密かに隣町へ遊びに行ったりして、その後で親にこっぴどく叱られるのだ。
(ちなみに、小さな分校が村内にあり、俺らは皆そこに通っている)
だが、彼女。
このはだけは断固としてこの村を離れるのを嫌がり、俺らの誘いは毎回断っていた。
「優等生はちげーなー」
それが俺たちの感想だった。
だが、そんな彼女が今回。
始めて村を離れるのだ。
「だって、さ。しょうがないじゃん。君こそ、ずっと村を離れたがっていたのに……なんでまだ残ろうとするのさ」
「っ」
しょうがないーーー彼女のその言葉に胸が締め付けられる思いがした。
この村は、今年。廃村が決定した。
廃村して、来年から工事が始まって、そして近い内に、ダムの底に沈められる。
「そんなの、納得いかねーべや!! 突然、この村をダムにするから出てけ、って言われても!! お前、納得出来んのかや!?」
「……出来る出来ない、じゃなくてしなきゃいけないんだよ」
「分かんねー……」
そこで言葉が詰まって、俺はうつむいた。
すでにこれまでに、多くの村民。俺の友達が多額の補償金をもらって村から出て行った。
一方俺はーーー親にも噛み付いて、この村に出ていく事に断固反対していた。
これまでずっと村から出たかったはずなのに……なぜか、いざ村から出るとなると、心が一方的に拒否するのだ。
それは、この村に愛着があったからなのか、それともこの村を捨てて離れたら、一生このはと会えなくなる、そんな気がしてしまうからかーーー。
それが、どっちなのかずっと分からなかった。
ーーーでも、今日やっと分かった。
「俺ーーーこの村を離れたら、一生お前と会えなくなる気がすんだわ……」
俺がうつむきながらそう言うと、彼女は沈黙した後に、クスッと微笑んだ。
「バカ……んなことあるかいな。ーーー必ず、また会えるわ。だから、今度はこの村じゃない、違うところで会お」
彼女がそう言うと、向こう側から電車がゆっくりとこちらに近づいてきた。
「もうすぐ、お別れだね」
彼女がチラと電車を見て、言った。
ちょっと待ってくれよ。
俺は、まだ言いたいことがいっぱいあるのに。
「俺さ、この村で、やり残したことがいっぱいある様な気がしてならねーんだよ……」
俺が言葉をつなぐために、思わずそう言うと、彼女は一瞬きょとん、としたが、その後にクスッと笑った。
「そんなの。私だっていっぱいあるよ。数えきれないくらい……そんなの、いくら言っても切りないわ。たとえ100年、200年生きてても、そういう思いは出てくるって」
「でも……」
「ーーーあ、でも今ひとつ。……やり残してた事やってもいい?」
「えーーー」
その瞬間。
俺の前に彼女の顔が近付いて、唇が重なったーーー。
俺が状況が理解出来ず、ただ呆然とその状況を飲み込んでいると、彼女が俺をとん、と突き飛ばして、電車に乗り込んだ。
「バーカ」
彼女は笑って、ーーー電車の扉が閉まった。
電車が走り出して。
俺はただ呆然と、今あった出来事を思い出していた。
キス、された後ーーー。
「私の家に行ってみて」
彼女はぼそりと、確かにそうつぶやいた。
どういう意味か分からないーーーでも、俺は一刻も早く彼女の家にいかなければならない気がした。
幸い、彼女の家はすぐとなりだ。
俺は走って彼女の家にまで行くと、そこで信じられない光景を見た。
家が、消えていくーーー。
家の形をしたものが、だんだんと砂の様にチリになって消えて行っているのだ。
「なんだよ……コレ」
「信じられない光景でしょ?」
俺がそう呟くと、ふと後ろから人の声がした。
「母さん……!」
後ろを振り返ると、メガネをかけた自分が良く知っている人が立っていた。
「母さん……これがどういう事か、知ってるの?」
俺がそう言うと、彼女は小さくため息をついた。
「神崎このはは、この村の土地神だった」
「ーーーは?」
「ま、この事が知らされるのは成人している、この村で生まれた人だけだけどね」
彼女の発言に、頭が追いついていかない。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! このはが……神様!? だって、小さい頃からずっと一緒に……」
「本当に、そうか? 落ち着いてよく考えろ。彼女の去年の学校の成績は? 彼女の好きな食べ物は? 彼女の両親の顔は思い浮かべられるか?」
「えっ……えっ……?」
「そして、今目の前で消えているこの光景こそが、その真実だ。彼女はこの村の土地神。この村の人の認識を少し書き換えるぐらい、わけ無い。彼女は未成年の子供にはこうして認識を書き換え、ある時は年上のお姉さん、ある時は年下の子、そしてある時は同じ友達として接しながら、陰で子供達を見守っていたんだ。この事は、この村の成人の儀式の時に教えられる」
「わけわかんねーよ! つまり、どういう事だよ!?」
「だから!! 彼女は土地神だ。そして、土地神はその地にいるから土地神足りえる。そして、彼女は土地神としては非常に弱い。つまり……この村から出ると……どうなるか分かるな?」
彼女の言葉に。
俺は今のこの家の状況を照らし合わせて、一つの仮説。いや、確信が生まれた。
「そ、そんな! なんであいつはこんな事を!?」
「それは、お前をこの村から出ていかせるためだ!! 彼女は言っていた。自分は黙っていても、そのうち消滅する。でも、この村に居たら『その時』までは消滅出来ない。そして、お前は私がいる内は村に出ようとしない、ってな。この事は口止めされていたんだが……お前がこの家の状況を見たら、どうせすぐに予想がつく事だ」
「そんな……そんな……」
俺は……俺は、彼女といたかっただけなのに……
そう言って涙を流し、うなだれる俺に、母さんは静かに言った。
「ーーーもう、満足か?」
~~~
電車内。
彼女、このはは座席に座りながら、移りゆく景色を見つめていた。
もうすぐ、村を出るーーー。
彼は、隣町は綺麗な街だとか言っていた。
どれ、見てやろうではないか。
不意に、そこから彼との出来事が次々と思い出されていく。
「……不思議な、子だったなあ。お母さんもお母さんなら、子も子だ」
思わず、涙が溢れて来る。
いいんだ。どうせすぐに消えてしまう身だったのだ。
それが少し早まったくらいなんだ。
これで、あの子が村を出て、そしてその先で幸せな生活が掴めたら、それでいいじゃないか。
あのまま残ってたら……より別れが辛くなっていた。
私は涙を拭いて、再び窓の外を見た。
「うん……ハア。消えたく、ないなあ」
すると窓の外から、綺麗な隣町の風景がうつりこんできた。
「……あれ?」
隣の席に座っていた、隣町へ帰る途中だった男は首をかしげた。
「なんで俺、窓側を開けて座ってるんだ……?」
男が窓側へ寄ろうとした時。
「ん? なんだこりゃ? 」
座席の上に何かが落ちているのに気づいた。
拾ってみると、それは、綺麗な桜色のヘアピンだったーーー。