「救いの水瓶」「74ブックマーク」
昔、どこかにあった小さな町のお話。
その町には、数年ごとに砂嵐がやって来るという特徴がありました。
砂嵐が来ると、それから数カ月、生活のあらゆることが困難になるので、町の人々は、協力して、色々な生活物資を備蓄することにしていました。
ある日、砂嵐対策の備蓄のため、町の広場に大きな樽が置かれ、町人達は皆、水瓶いっぱいの水をその中に注いで行きました。
数年後、砂嵐から避難した先で、あの日の樽が開けられました。
その中に湛えられた水を見た町の人達は、一様に驚きました。
一体なぜ?
その町には、数年ごとに砂嵐がやって来るという特徴がありました。
砂嵐が来ると、それから数カ月、生活のあらゆることが困難になるので、町の人々は、協力して、色々な生活物資を備蓄することにしていました。
ある日、砂嵐対策の備蓄のため、町の広場に大きな樽が置かれ、町人達は皆、水瓶いっぱいの水をその中に注いで行きました。
数年後、砂嵐から避難した先で、あの日の樽が開けられました。
その中に湛えられた水を見た町の人達は、一様に驚きました。
一体なぜ?
15年01月20日 21:32
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
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その日、町の広場で集めていたのは、水ではなく、腐りにくく栄養もある、ワインでした。
ところが、その町はあまり豊かでなかったこともあり、皆、こう考えました。
うち一軒くらい、水を入れてもバレないだろう、と。
そして、皆が同じことを考えて水を持っていった結果、その樽に溜まっていたのはワインでも何でもなく、ただの水でした。
当然、町人達は、自分の目論みが外れたことに驚愕し、その後、口を噤んだでしょうね。
ところが、その町はあまり豊かでなかったこともあり、皆、こう考えました。
うち一軒くらい、水を入れてもバレないだろう、と。
そして、皆が同じことを考えて水を持っていった結果、その樽に溜まっていたのはワインでも何でもなく、ただの水でした。
当然、町人達は、自分の目論みが外れたことに驚愕し、その後、口を噤んだでしょうね。
「名画」「74ブックマーク」
女の描く絵は素晴らしく瞬く間に有名になり問い合わせが殺到したが
女は一枚も売る事はしなかった。
一体何故?
女は一枚も売る事はしなかった。
一体何故?
15年05月30日 23:26
【ウミガメのスープ】 [華]
【ウミガメのスープ】 [華]
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女は警察官で指名手配犯の絵を描いていたから。
「【あたたまろう】」「71ブックマーク」
肌寒い季節。
自動販売機を見つめたまま冷製ジュース販売表示の前で立ち尽くす男が突然、
赤色の洗面器を頭の上に乗せた状態でコイン投入口に向かって『熱々のウミガメのスープをくれ』と呼び掛けると、
中から出てきた老婆が男のコートの右ポケットに『ホットは売り切れ』と書かれたメモを縫いつけたので、
男はホットなジュースを買おうと思った。
『つめた〜い』の表記がなければ男の考えはごく自然なものだったのだが、
これは一体どういう事だろう?
自動販売機を見つめたまま冷製ジュース販売表示の前で立ち尽くす男が突然、
赤色の洗面器を頭の上に乗せた状態でコイン投入口に向かって『熱々のウミガメのスープをくれ』と呼び掛けると、
中から出てきた老婆が男のコートの右ポケットに『ホットは売り切れ』と書かれたメモを縫いつけたので、
男はホットなジュースを買おうと思った。
『つめた〜い』の表記がなければ男の考えはごく自然なものだったのだが、
これは一体どういう事だろう?
14年10月26日 08:38
【新・形式】 [のりっこ。]
【新・形式】 [のりっこ。]
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問題文の『つめた』から『い』までを消すと、
肌寒い季節。
自動販売機を見つけたので、
男はホットなジュースを買おうと思った。
となる。
男の考えはごく自然なものだ。
肌寒い季節。
自動販売機を見つけたので、
男はホットなジュースを買おうと思った。
となる。
男の考えはごく自然なものだ。
「小さな花の名前」「71ブックマーク」
とある少女が盲目から回復した。人々は奇跡だと喜んだが、なぜだか少女は泣いていた。
1年後の彼女の誕生日。彼女は生物学者のもとに少し不気味な小さな花を持ち込んだ。
見たこともない花を目の前に生物学者は喜び、新種として世に発表することを決めた。
『花の発見者はその花に名前を付けることができます。あなたの名前をぜひこの花に付けましょう!』
少女は少し微笑んで、すぐさまこう答えた。
『名前ではなくて、私の性をこの花に付けてもらえるかしら?』
一体どういうことだろうか?
1年後の彼女の誕生日。彼女は生物学者のもとに少し不気味な小さな花を持ち込んだ。
見たこともない花を目の前に生物学者は喜び、新種として世に発表することを決めた。
『花の発見者はその花に名前を付けることができます。あなたの名前をぜひこの花に付けましょう!』
少女は少し微笑んで、すぐさまこう答えた。
『名前ではなくて、私の性をこの花に付けてもらえるかしら?』
一体どういうことだろうか?
13年02月18日 19:16
【ウミガメのスープ】 [こびー]
【ウミガメのスープ】 [こびー]
皆様ありがとうございました!
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『悪魔さん、こんにちわ』
窓際に座っている悪魔に少女が話しかける。
この悪魔は3日前から彼女の家に暇つぶしに遊びに訪れるようになったのだ。
少女は、盲目のために悪魔の姿が見えず、彼を恐れることもなかった。
悪魔は自分を恐れない少女を珍しく思い、興味をもった。
たわいないことを話しながら、目の見えないことで友達のできたことのない少女と、人から忌み嫌われた悪魔にとって、お互いは初めての友人となり、二人はいつしか恋に落ちていた。
『私、悪魔さんと結婚したいわ』
『ケッコン?なんだそれは』
『ん~、そうね…男女が同じ性を名乗ることよ』
『そんなことなら容易い。』
『でも、1年待ってね。私は16歳にならないと結婚できないのよ』
『そうか。』
半年後、少女は恐れていた盲目の手術を受けることを決心する。
悪魔が彼女を励まし、彼女に勇気を与えたからだ。
だが、悪魔には少し先の未来が見える。彼女の手術は失敗してしまうと。
悪魔は決心する。彼女を助けることを。
醜い姿を見られ恐れられることを怖がったが、なにより彼女に世界を見せてあげたいという気持ちが強かったからだ。
人間に不幸を与えるのが悪魔の役目。人間を助けるために力を使うことはタブーであった。そんな悪魔を待っているのは死である。
『しばらく私は、声が出せなくなる』
『え?どうして?』
『悪魔だからだ』
『そう・・・、寂しいわね』
『私は話せなくなる。貴様は目が見えるようになる。
対した問題は無い』
―――手術を無事に終えた少女が家に帰ると、そこは静けさに満ちていた。
悪魔がいた場所には、一輪の花が咲いていた。
少しだけ不恰好に曲がった葉を除けば、とても、可愛らしい花だった。少女は花に歩み寄る。
その、口の利けない、小さい小さい花には、微かに、温もりがあった。
『あなたは嘘つきよ。こんなに可愛らしい姿を自分で、醜いだなんて…でも、勇気をくれたあなたとの約束は守るわ』
1年後の彼女の誕生日。すっかり目が見えるようになった彼女は生物学者のもとにその小さな花を持ち込んだ。
見たこともない花を目の前に生物学者は喜び、新種として世に発表することを決めた。
『花の発見者はその花に名前を付けることができます。あなたの名前をぜひこの花に付けましょう!』
少女は少し微笑んで、すぐさまこう答えた。
『名前ではなくて、私の姓をこの花に付けてもらえるかしら?』
『それはどうしてですか?』
『ふふ・・・、花と結婚するのも悪くないと思わない?』
窓際に座っている悪魔に少女が話しかける。
この悪魔は3日前から彼女の家に暇つぶしに遊びに訪れるようになったのだ。
少女は、盲目のために悪魔の姿が見えず、彼を恐れることもなかった。
悪魔は自分を恐れない少女を珍しく思い、興味をもった。
たわいないことを話しながら、目の見えないことで友達のできたことのない少女と、人から忌み嫌われた悪魔にとって、お互いは初めての友人となり、二人はいつしか恋に落ちていた。
『私、悪魔さんと結婚したいわ』
『ケッコン?なんだそれは』
『ん~、そうね…男女が同じ性を名乗ることよ』
『そんなことなら容易い。』
『でも、1年待ってね。私は16歳にならないと結婚できないのよ』
『そうか。』
半年後、少女は恐れていた盲目の手術を受けることを決心する。
悪魔が彼女を励まし、彼女に勇気を与えたからだ。
だが、悪魔には少し先の未来が見える。彼女の手術は失敗してしまうと。
悪魔は決心する。彼女を助けることを。
醜い姿を見られ恐れられることを怖がったが、なにより彼女に世界を見せてあげたいという気持ちが強かったからだ。
人間に不幸を与えるのが悪魔の役目。人間を助けるために力を使うことはタブーであった。そんな悪魔を待っているのは死である。
『しばらく私は、声が出せなくなる』
『え?どうして?』
『悪魔だからだ』
『そう・・・、寂しいわね』
『私は話せなくなる。貴様は目が見えるようになる。
対した問題は無い』
―――手術を無事に終えた少女が家に帰ると、そこは静けさに満ちていた。
悪魔がいた場所には、一輪の花が咲いていた。
少しだけ不恰好に曲がった葉を除けば、とても、可愛らしい花だった。少女は花に歩み寄る。
その、口の利けない、小さい小さい花には、微かに、温もりがあった。
『あなたは嘘つきよ。こんなに可愛らしい姿を自分で、醜いだなんて…でも、勇気をくれたあなたとの約束は守るわ』
1年後の彼女の誕生日。すっかり目が見えるようになった彼女は生物学者のもとにその小さな花を持ち込んだ。
見たこともない花を目の前に生物学者は喜び、新種として世に発表することを決めた。
『花の発見者はその花に名前を付けることができます。あなたの名前をぜひこの花に付けましょう!』
少女は少し微笑んで、すぐさまこう答えた。
『名前ではなくて、私の姓をこの花に付けてもらえるかしら?』
『それはどうしてですか?』
『ふふ・・・、花と結婚するのも悪くないと思わない?』
「神様の四割引」「70ブックマーク」
その日、カメオがおつかいに行ったらいつもの洗剤が広告の品で四割引きだったことを、カメオは十年後に奇跡だと感じ、一生感謝することになった。なぜ?
15年06月28日 23:43
【ウミガメのスープ】 [芳香]
【ウミガメのスープ】 [芳香]
解説を見る
身体が悪くなってまともに家事ができない、どころかまともに生活していけない。単身赴任した夫は忙しく、相談すらできない。
そんな状況に耐えかねて、カメオの母は死のうとしていた。
その日、カメオが本来「おつかい」で頼まれていたのは、いつものものではない洗剤だった。
家にあるいつものお風呂用『アルカリ性』洗剤と、カメオが買ってくるはずの「『酸性』洗剤」とを混ぜて有毒ガスを発生させ、母は自殺しようと考えていたのだ。
だが、幼いカメオが買ってきたのはいつもどおりの洗剤だった。
間違えてしまったのだろうか、と母が失望しながら理由を訊くと、カメオは言った。
「だってね、すごいんだよ! このいつものやつ、『4わりびき』だったんだ! すごいでしょ! やすかったからこっちにしちゃった! おかあさん、うれしい?」
まだ子供ながらに母を喜ばせようと、褒めてもらおうと嬉しげなカメオを見て、母は我に返り、涙した。
自分はなんてことをしようとしていたのだろう。こんなに幼い、いい子の、かわいいカメオに自分の親が死ぬための道具を買わせようとするなんて。
「ごめんね、ごめんねカメオ、ありがとう。……きっと神様が、まだ死ぬなって言ってくれてるのね」
当時のカメオには意味がわからなかったが、十年後、化学の授業を受けていたときに理解した。
あのとき、いつもの洗剤が四割引ではなかったら、カメオは母に頼まれた通りのものを買ってきていただろう。家にある洗剤と混ぜれば毒ガスの発生してしまう洗剤を。
カメオは十年前の真実に気付いて恐怖し、それから深く感謝をした。他でもないあの日に、自分にいつもどおりの洗剤を選ばせてくれた「神様」の奇跡に。
要約解説
いつもの洗剤が通常価格の四割引で売られていたことで、幼いカメオはそれに惹かれ、母から頼まれた違うタイプの「いつものものと混ぜると毒ガスの出る」洗剤を買わずに済んだ。そのため母は希望を取り戻し、当時はなにがなんだかわからなかったカメオは、十年後、化学の授業ですべてに気が付き感謝した。
ざっくり言うと、母の「死」を免れたのだ。「四」割引だけに。(重要ではありません)
そんな状況に耐えかねて、カメオの母は死のうとしていた。
その日、カメオが本来「おつかい」で頼まれていたのは、いつものものではない洗剤だった。
家にあるいつものお風呂用『アルカリ性』洗剤と、カメオが買ってくるはずの「『酸性』洗剤」とを混ぜて有毒ガスを発生させ、母は自殺しようと考えていたのだ。
だが、幼いカメオが買ってきたのはいつもどおりの洗剤だった。
間違えてしまったのだろうか、と母が失望しながら理由を訊くと、カメオは言った。
「だってね、すごいんだよ! このいつものやつ、『4わりびき』だったんだ! すごいでしょ! やすかったからこっちにしちゃった! おかあさん、うれしい?」
まだ子供ながらに母を喜ばせようと、褒めてもらおうと嬉しげなカメオを見て、母は我に返り、涙した。
自分はなんてことをしようとしていたのだろう。こんなに幼い、いい子の、かわいいカメオに自分の親が死ぬための道具を買わせようとするなんて。
「ごめんね、ごめんねカメオ、ありがとう。……きっと神様が、まだ死ぬなって言ってくれてるのね」
当時のカメオには意味がわからなかったが、十年後、化学の授業を受けていたときに理解した。
あのとき、いつもの洗剤が四割引ではなかったら、カメオは母に頼まれた通りのものを買ってきていただろう。家にある洗剤と混ぜれば毒ガスの発生してしまう洗剤を。
カメオは十年前の真実に気付いて恐怖し、それから深く感謝をした。他でもないあの日に、自分にいつもどおりの洗剤を選ばせてくれた「神様」の奇跡に。
要約解説
いつもの洗剤が通常価格の四割引で売られていたことで、幼いカメオはそれに惹かれ、母から頼まれた違うタイプの「いつものものと混ぜると毒ガスの出る」洗剤を買わずに済んだ。そのため母は希望を取り戻し、当時はなにがなんだかわからなかったカメオは、十年後、化学の授業ですべてに気が付き感謝した。
ざっくり言うと、母の「死」を免れたのだ。「四」割引だけに。(重要ではありません)