「人食い鬼と洞窟」「1ブックマーク」
あるとき、山伏、亀鷹坊は人食い鬼に追いかけられていた。
深い山中でのことで、幸い亀鷹坊は遠くから鬼に気がついて、すぐに逃げたために
追いかける人食い鬼との距離はだいぶあいていた。
しかし、そこは人ならざる鬼、足がとても速い。
このままではいずれ追いつかれてしまうと、亀鷹坊は逃げる手段を懸命に考えていたが
そのとき、目の前に大きな洞窟が現れた。
これ幸いと、洞窟に飛びこむ亀鷹坊。
さて、この後、亀鷹坊は洞窟をどう利用して逃げた?
深い山中でのことで、幸い亀鷹坊は遠くから鬼に気がついて、すぐに逃げたために
追いかける人食い鬼との距離はだいぶあいていた。
しかし、そこは人ならざる鬼、足がとても速い。
このままではいずれ追いつかれてしまうと、亀鷹坊は逃げる手段を懸命に考えていたが
そのとき、目の前に大きな洞窟が現れた。
これ幸いと、洞窟に飛びこむ亀鷹坊。
さて、この後、亀鷹坊は洞窟をどう利用して逃げた?
16年12月12日 23:33
【ウミガメのスープ】 [koto]
【ウミガメのスープ】 [koto]
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だいぶ後になってから、亀鷹坊はそのときの話をしてくれた。
「あのときは、生きた心地がしませんでした。どうやって逃げたかですって?
逃げている途中で洞窟を見つけましてね、一旦飛びこんでから、すぐに出ていったんです。
出ていくときは、つま先だちでね。なぜって、出ていくときの足跡に気づかれたくなかったからでして。
私の足跡が洞窟へ続いているのを見て、鬼は私がここへ逃げたと思い洞窟の中へ入っていったんです。
その隙に、どうにか鬼を振り切ることができました」
「鬼のその後ですか?ええ、後になって聞いた話によると
なんと、あの洞窟の奥で頭を打って死んでいたそうです。
地面が岩だったうえに、地下水ですべりやすくなっていたからだろうとの話ですが
やれ、だったらあんなに必死になって逃げるんじゃなかった」
亀鷹坊は大きく笑った。
「あのときは、生きた心地がしませんでした。どうやって逃げたかですって?
逃げている途中で洞窟を見つけましてね、一旦飛びこんでから、すぐに出ていったんです。
出ていくときは、つま先だちでね。なぜって、出ていくときの足跡に気づかれたくなかったからでして。
私の足跡が洞窟へ続いているのを見て、鬼は私がここへ逃げたと思い洞窟の中へ入っていったんです。
その隙に、どうにか鬼を振り切ることができました」
「鬼のその後ですか?ええ、後になって聞いた話によると
なんと、あの洞窟の奥で頭を打って死んでいたそうです。
地面が岩だったうえに、地下水ですべりやすくなっていたからだろうとの話ですが
やれ、だったらあんなに必死になって逃げるんじゃなかった」
亀鷹坊は大きく笑った。
「泣き虫ちーちゃん」「1ブックマーク」
ちーちゃんはとても強い子なんだけど、
自分の誕生日になると、必ず泣いてしまう。
みんな笑顔でお祝いするんだけど、ちーちゃんは泣いてしまう。
ある年の誕生日にはとうとうお母さんも泣き出してしまった。
そして、終いにはお父さんも泣き出してしまって、お母さんはその年からちーちゃんの誕生日をお祝いするのをやめてしまった。
どうしてちーちゃんは誕生日に泣いてしまうんだろう…?
自分の誕生日になると、必ず泣いてしまう。
みんな笑顔でお祝いするんだけど、ちーちゃんは泣いてしまう。
ある年の誕生日にはとうとうお母さんも泣き出してしまった。
そして、終いにはお父さんも泣き出してしまって、お母さんはその年からちーちゃんの誕生日をお祝いするのをやめてしまった。
どうしてちーちゃんは誕生日に泣いてしまうんだろう…?
13年08月28日 06:04
【ウミガメのスープ】 [こびー]
【ウミガメのスープ】 [こびー]
ご参加いただきありがとうございました!
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「こんなの見たらせっかくの誕生日に悲しくなってしまわないかしら?」
まだ生まれて間もない子供を前に小さくつぶやく妻がいた。
「そんなことないさ、きっと彼女は喜んでくれるよ」
妻の余命はあと2ヶ月。残された娘のために、妻がしてあげられることを二人で考えて、彼女の誕生日に見せるためのビデオレターを残すことにしたのだ。
「ちーちゃん、お誕生日おめでとう!」
1本ずつ、丁寧に妻はビデオに向かってメッセージを綴っていく。幼稚園に入る年、小学生になる年、中学生になる年…それぞれ思い思いに語っていく。
途中からとうとう耐え切れなくなって、妻は泣き出してしまったが、そのまま撮影を続けた。
そして、最後の1本は娘が20歳になるときのビデオという形になった。
「最後の1本は私一人で撮りたいから。」
そういって妻は私を病室から追い出し、最後のビデオレターを撮ったのだった。
=====================================
妻が亡くなって、男一人で娘を育てた。
妻に似たのか、娘はとても強い子に育ってくれた。
そして誕生日には妻からのビデオレターを1本ずつ娘に見せるようにしていた。
娘が幼い頃は、誕生日必ず姿を現してくれる自分の母親の姿に喜びはしゃいで、だけど、ビデオが終わると姿がなくなる母親をさびしがって泣いた。
次第に自分の母親が亡くなっている事に気づき始めてしまい、そのビデオが流れると泣いてしまうようになった。
12歳の誕生日からは妻もビデオの中で泣き出してしまい、二人で泣きながら、それでもお祝いしてくれる自分の母親の愛情に感動しているようだった。
そして20歳。来年結婚を控えた娘の誕生日。最後のビデオレターを見せる日が来たのだった。
「ちえ、お誕生日おめでとう。20歳ですね。きっとママに似た素敵な女性になってるんだろうね。
さて、実はこれがママからの最後のビデオレターになります。
この20年間、ちえにはとてもさびしい思いをさせたと思います。
だけどパパと二人三脚できっと暖かい家庭を築いてくれたんだと思います。
実はママは一つだけ後悔していることがあります。それはちーちゃんの花嫁姿を近くで見れないことです…。
でも、それはきっと、パパが私の分も見てくれるから・・・ママはそっと天国から見守ることにします。
ひょっとしたらもう結婚しているかもしれないちえだけど、結婚する前に少しだけでいいからママのことを思い出してください。
そして、私たちに負けない暖かい家庭を築くって約束してください。そして、私に負けないくらい幸せな家庭を作ってください。
これは約束だからね。
最後に、パパ、ちえをここまで立派に育ててくれて本当にありがとう。私はあなたたちをいつまでも愛しています。」
そういって締めくくられたビデオレター。気づけば3人とも泣いていた。
その次の誕生日から娘は泣かなくなった。
そして今では、新しい誕生日が一つ増え、白髪だらけになった自分は「じーじ」と呼ばれている。
※私が参加した結婚式で流れた新婦の亡き母親からのビデオレターの内容とほぼ同じです。とても感動し、心温まったのでお裾分けに。改変し、問題とさせていただきました。
まだ生まれて間もない子供を前に小さくつぶやく妻がいた。
「そんなことないさ、きっと彼女は喜んでくれるよ」
妻の余命はあと2ヶ月。残された娘のために、妻がしてあげられることを二人で考えて、彼女の誕生日に見せるためのビデオレターを残すことにしたのだ。
「ちーちゃん、お誕生日おめでとう!」
1本ずつ、丁寧に妻はビデオに向かってメッセージを綴っていく。幼稚園に入る年、小学生になる年、中学生になる年…それぞれ思い思いに語っていく。
途中からとうとう耐え切れなくなって、妻は泣き出してしまったが、そのまま撮影を続けた。
そして、最後の1本は娘が20歳になるときのビデオという形になった。
「最後の1本は私一人で撮りたいから。」
そういって妻は私を病室から追い出し、最後のビデオレターを撮ったのだった。
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妻が亡くなって、男一人で娘を育てた。
妻に似たのか、娘はとても強い子に育ってくれた。
そして誕生日には妻からのビデオレターを1本ずつ娘に見せるようにしていた。
娘が幼い頃は、誕生日必ず姿を現してくれる自分の母親の姿に喜びはしゃいで、だけど、ビデオが終わると姿がなくなる母親をさびしがって泣いた。
次第に自分の母親が亡くなっている事に気づき始めてしまい、そのビデオが流れると泣いてしまうようになった。
12歳の誕生日からは妻もビデオの中で泣き出してしまい、二人で泣きながら、それでもお祝いしてくれる自分の母親の愛情に感動しているようだった。
そして20歳。来年結婚を控えた娘の誕生日。最後のビデオレターを見せる日が来たのだった。
「ちえ、お誕生日おめでとう。20歳ですね。きっとママに似た素敵な女性になってるんだろうね。
さて、実はこれがママからの最後のビデオレターになります。
この20年間、ちえにはとてもさびしい思いをさせたと思います。
だけどパパと二人三脚できっと暖かい家庭を築いてくれたんだと思います。
実はママは一つだけ後悔していることがあります。それはちーちゃんの花嫁姿を近くで見れないことです…。
でも、それはきっと、パパが私の分も見てくれるから・・・ママはそっと天国から見守ることにします。
ひょっとしたらもう結婚しているかもしれないちえだけど、結婚する前に少しだけでいいからママのことを思い出してください。
そして、私たちに負けない暖かい家庭を築くって約束してください。そして、私に負けないくらい幸せな家庭を作ってください。
これは約束だからね。
最後に、パパ、ちえをここまで立派に育ててくれて本当にありがとう。私はあなたたちをいつまでも愛しています。」
そういって締めくくられたビデオレター。気づけば3人とも泣いていた。
その次の誕生日から娘は泣かなくなった。
そして今では、新しい誕生日が一つ増え、白髪だらけになった自分は「じーじ」と呼ばれている。
※私が参加した結婚式で流れた新婦の亡き母親からのビデオレターの内容とほぼ同じです。とても感動し、心温まったのでお裾分けに。改変し、問題とさせていただきました。
「対価」「1ブックマーク」
ぼくはある授業が苦手だった。
でも克服することに成功したんだ!
だけど、大切な何かをなくした気がする。それが何かはどうしても思い出せないんだ…
一体なにがあったのだろうか?
でも克服することに成功したんだ!
だけど、大切な何かをなくした気がする。それが何かはどうしても思い出せないんだ…
一体なにがあったのだろうか?
13年02月19日 18:29
【ウミガメのスープ】 [こびー]
【ウミガメのスープ】 [こびー]
皆様ありがとうございました!
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ぼくは水泳が苦手だった。どうしても泳げない。
でも亀太くんが一生懸命教えてくれたおかげで泳げるようになったんだ!
亀太くんは僕の大事な友達!この水泳の試験で25M泳ぎきって、亀太くんに見せてやるんだ!!
==================
僕は未来からきたエージェント…
君は未来でとても偉大なことを成し遂げるが、あるとき君の乗った船が沈没して、泳げない君は死んでしまうんだ…
でも、もしこの時間の地点で君が泳げるようになれば、未来は変わる!
世界は救われるんだ!
だから僕は未来を変えるために、君に泳ぎを教えて…
だけど君が泳げた場合、未来が変わってしまって、僕の存在はなくなってしまうだろう。
存在が消えて君は僕のことを思い出せなくなる。だけど…僕は君と友達になれて良かったよ。
=================
『ぷはっ!!泳げた!!25M泳げたよっ!!』
『・・・あれ、誰に伝えようとしていたんだっけ…僕はどうして、泣いてるんだろう…?』
(※昔どこかで見た漫画を元ネタにしています。)
でも亀太くんが一生懸命教えてくれたおかげで泳げるようになったんだ!
亀太くんは僕の大事な友達!この水泳の試験で25M泳ぎきって、亀太くんに見せてやるんだ!!
==================
僕は未来からきたエージェント…
君は未来でとても偉大なことを成し遂げるが、あるとき君の乗った船が沈没して、泳げない君は死んでしまうんだ…
でも、もしこの時間の地点で君が泳げるようになれば、未来は変わる!
世界は救われるんだ!
だから僕は未来を変えるために、君に泳ぎを教えて…
だけど君が泳げた場合、未来が変わってしまって、僕の存在はなくなってしまうだろう。
存在が消えて君は僕のことを思い出せなくなる。だけど…僕は君と友達になれて良かったよ。
=================
『ぷはっ!!泳げた!!25M泳げたよっ!!』
『・・・あれ、誰に伝えようとしていたんだっけ…僕はどうして、泣いてるんだろう…?』
(※昔どこかで見た漫画を元ネタにしています。)
「復讐完了・・・?」「1ブックマーク」
俺はこの日をずっと待っていた。
父を自殺に追いやったこの男の家を遂に突き止めた!
絶対に許さない。殺してやる!
・・・ちょうど夕飯時のようだ。大層な料理を並べやがって。
しかし、その男は2日後にテレビの生放送に映ることになる。
状況を説明してください。
父を自殺に追いやったこの男の家を遂に突き止めた!
絶対に許さない。殺してやる!
・・・ちょうど夕飯時のようだ。大層な料理を並べやがって。
しかし、その男は2日後にテレビの生放送に映ることになる。
状況を説明してください。
12年11月05日 01:30
【ウミガメのスープ】 [こびー]
【ウミガメのスープ】 [こびー]
初めてですので、不慣れな点もありますがよろしくお願いします!
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政治家だった父を自殺に追いやったのは、ワイドショーで政治家を徹底的に叩いてる政治評論家。テレビでの彼はコメンテーターとして、過激な言い回しで有名だった。
真面目な政治家だった俺の父は、ペテン師、偽善者などと散々に言われ、評判は地に落ち、遂には自殺してしまうのだった。
俺は復讐の前に一言謝らせようと必死だった。
だが、意外にも男はあっけなく俺に詫びをいれた。
焦った俺は喉を潤そうとワインに手を伸ばした。
『やめろ!』
急にその男が俺に飛びかかった。
『そのワインは毒が入っている。私は今まで、仕事とは言えロクなことをしてこなかった。ついには人を死に追いやり、妻は愛想を尽かして出て行ってしまったよ…。今の仕事にはもう耐えられない。私は自殺を思い立ち、最後の晩餐を用意していたんだ・・・』
そう、男は反省していた。食べていくためとは言え、人の悪口を言うことでお金を稼いでいたことを。
俺は彼を殺すことをやめた。
俺の目的は復讐だ。死のうとしているやつを殺してしまっては、それは彼の思う壺だ。
だから俺は彼に罰を与えることにした。
彼に生きさせるのだ。今までの態度を改め、真実のみを話す政治評論家として生きていく。それが俺が彼に与えた罰だ。
2日後、彼は今までの態度をテレビで謝罪する姿をテレビで見ることになる。
真面目な政治家だった俺の父は、ペテン師、偽善者などと散々に言われ、評判は地に落ち、遂には自殺してしまうのだった。
俺は復讐の前に一言謝らせようと必死だった。
だが、意外にも男はあっけなく俺に詫びをいれた。
焦った俺は喉を潤そうとワインに手を伸ばした。
『やめろ!』
急にその男が俺に飛びかかった。
『そのワインは毒が入っている。私は今まで、仕事とは言えロクなことをしてこなかった。ついには人を死に追いやり、妻は愛想を尽かして出て行ってしまったよ…。今の仕事にはもう耐えられない。私は自殺を思い立ち、最後の晩餐を用意していたんだ・・・』
そう、男は反省していた。食べていくためとは言え、人の悪口を言うことでお金を稼いでいたことを。
俺は彼を殺すことをやめた。
俺の目的は復讐だ。死のうとしているやつを殺してしまっては、それは彼の思う壺だ。
だから俺は彼に罰を与えることにした。
彼に生きさせるのだ。今までの態度を改め、真実のみを話す政治評論家として生きていく。それが俺が彼に与えた罰だ。
2日後、彼は今までの態度をテレビで謝罪する姿をテレビで見ることになる。
「間違った指輪」「1ブックマーク」
本間恵美(ほんま めぐみ)はある指輪を十五年間はめているが、その指輪に彫られたイニシャルはM.Yであり、彼女の名とは異なっている。それにも関わらずはめ続けている理由はなんだろうか。
あの夜、私は恋人の山本浩二から指輪をプレゼントされた。しかし、包装をあけて中を確認すると、肝心のイニシャルが間違っている。私は本間恵美だというのに、M.Yだ。プレゼントしてくれたのは嬉しいのだけれど、やはり不機嫌にならざるをえなかった。
しかし、その直後に思わぬ告白を受けた。
「あー、間違えちゃったみたいだからさ。その指輪が間違えにならないように…………俺と結婚してくれよ」
それはプロポーズだった。M.HではなくM.Yとしたのはわざとらしく、どうやら本間恵美から山本恵美になってくれとのことだった。なかなか粋なプロポーズをしたものだ。
私は泣いて喜び、もちろんその結婚を受け入れた。
しかし、彼はその翌日――結婚式の手配をしていた最中に交通事故に遭って死亡した。
幸せだった日常がみるみるうちに地獄へと化した。もちろん、死んだ男との結婚は世間的に認められず、実家の父母は他の人を探せとすら言い始めた。
けれど、やっぱり私は彼がいい。浩二でなければ嫌なのだ。たとえ、法的な結婚が叶わなくとも、私はこの指輪をはめ、山本恵美として生きていく。
これまでの15年間がそうだったように、これからの何年間先まででも。
――この指輪は、間違ってなんかいないのだ。
12年10月05日 19:15
【ウミガメのスープ】 [じっくん]
【ウミガメのスープ】 [じっくん]
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あの夜、私は恋人の山本浩二から指輪をプレゼントされた。しかし、包装をあけて中を確認すると、肝心のイニシャルが間違っている。私は本間恵美だというのに、M.Yだ。プレゼントしてくれたのは嬉しいのだけれど、やはり不機嫌にならざるをえなかった。
しかし、その直後に思わぬ告白を受けた。
「あー、間違えちゃったみたいだからさ。その指輪が間違えにならないように…………俺と結婚してくれよ」
それはプロポーズだった。M.HではなくM.Yとしたのはわざとらしく、どうやら本間恵美から山本恵美になってくれとのことだった。なかなか粋なプロポーズをしたものだ。
私は泣いて喜び、もちろんその結婚を受け入れた。
しかし、彼はその翌日――結婚式の手配をしていた最中に交通事故に遭って死亡した。
幸せだった日常がみるみるうちに地獄へと化した。もちろん、死んだ男との結婚は世間的に認められず、実家の父母は他の人を探せとすら言い始めた。
けれど、やっぱり私は彼がいい。浩二でなければ嫌なのだ。たとえ、法的な結婚が叶わなくとも、私はこの指輪をはめ、山本恵美として生きていく。
これまでの15年間がそうだったように、これからの何年間先まででも。
――この指輪は、間違ってなんかいないのだ。