「救いの水瓶」「3Good」
昔、どこかにあった小さな町のお話。
その町には、数年ごとに砂嵐がやって来るという特徴がありました。
砂嵐が来ると、それから数カ月、生活のあらゆることが困難になるので、町の人々は、協力して、色々な生活物資を備蓄することにしていました。
ある日、砂嵐対策の備蓄のため、町の広場に大きな樽が置かれ、町人達は皆、水瓶いっぱいの水をその中に注いで行きました。
数年後、砂嵐から避難した先で、あの日の樽が開けられました。
その中に湛えられた水を見た町の人達は、一様に驚きました。
一体なぜ?
その町には、数年ごとに砂嵐がやって来るという特徴がありました。
砂嵐が来ると、それから数カ月、生活のあらゆることが困難になるので、町の人々は、協力して、色々な生活物資を備蓄することにしていました。
ある日、砂嵐対策の備蓄のため、町の広場に大きな樽が置かれ、町人達は皆、水瓶いっぱいの水をその中に注いで行きました。
数年後、砂嵐から避難した先で、あの日の樽が開けられました。
その中に湛えられた水を見た町の人達は、一様に驚きました。
一体なぜ?
15年01月20日 21:32
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
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その日、町の広場で集めていたのは、水ではなく、腐りにくく栄養もある、ワインでした。
ところが、その町はあまり豊かでなかったこともあり、皆、こう考えました。
うち一軒くらい、水を入れてもバレないだろう、と。
そして、皆が同じことを考えて水を持っていった結果、その樽に溜まっていたのはワインでも何でもなく、ただの水でした。
当然、町人達は、自分の目論みが外れたことに驚愕し、その後、口を噤んだでしょうね。
ところが、その町はあまり豊かでなかったこともあり、皆、こう考えました。
うち一軒くらい、水を入れてもバレないだろう、と。
そして、皆が同じことを考えて水を持っていった結果、その樽に溜まっていたのはワインでも何でもなく、ただの水でした。
当然、町人達は、自分の目論みが外れたことに驚愕し、その後、口を噤んだでしょうね。
「勝利の拳を握りしめ」「3Good」
男は絶対に負けられない勝負に勝ったので、ヒゲを伸ばし始めた。何故?
17年02月04日 14:16
【ウミガメのスープ】 [苔色]
【ウミガメのスープ】 [苔色]
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どうしてそんな事をしてみようと思ったのかは記憶にない。
大方、歯でも磨いている最中で片手が暇だったんだろうな。
洗面所に立って、鏡に向かってじゃんけんしてみたんだよ。
一回目はあいこだった。ここまでは良いんだ。当然だ。
鏡とじゃんけんするのに、勝ちも負けもある訳が無い。
絶対に、絶対に負けられないし、勝てないはずなんだ。
……はずだったんだ。
二回目。鏡に向かってじゃんけんぽんとやった。
俺はグーを出した。で、相手はチョキを出した。
一瞬、やったぜとか思ったわけ。勝った、って。
だけど次の瞬間何かおかしい事に気づいたんだ。
気づいちゃったらもう、自分の出した手から視線を動かせなくなってさ。
鏡に写ってる自分の顔を見るために視線を上げようなんて思えなかった。
何故かは分からないけどさ、見てしまったら猛烈にやばい気がしたんだ。
目をつぶって、無我夢中であちこちぶつけながら洗面所から逃げ出した。
そのまま自室の布団に潜り込んで、朝までガタガタ震えてたよ。
おい、笑うなよ。床屋でしか髭を剃らないのは何故なんだって、お前が訊いたんだろ。
あれ以来、鏡が怖いんだよ。その後特に変わったことは起こってないが、それでもさ。
ああ、俺の勘違いだったらいいと思うよ。実際そうかもしれない。
時間経ったから、鏡見ながら仕度するぐらいは平気になったしな。
それでも未だに、鏡に映る自分に刃物を持たせる勇気はないんだ。
あいつが出したの、チョキだったし。
【一行解説】
鏡とじゃんけんして勝ったので、怖くて自分でヒゲを剃れなくなった。
大方、歯でも磨いている最中で片手が暇だったんだろうな。
洗面所に立って、鏡に向かってじゃんけんしてみたんだよ。
一回目はあいこだった。ここまでは良いんだ。当然だ。
鏡とじゃんけんするのに、勝ちも負けもある訳が無い。
絶対に、絶対に負けられないし、勝てないはずなんだ。
……はずだったんだ。
二回目。鏡に向かってじゃんけんぽんとやった。
俺はグーを出した。で、相手はチョキを出した。
一瞬、やったぜとか思ったわけ。勝った、って。
だけど次の瞬間何かおかしい事に気づいたんだ。
気づいちゃったらもう、自分の出した手から視線を動かせなくなってさ。
鏡に写ってる自分の顔を見るために視線を上げようなんて思えなかった。
何故かは分からないけどさ、見てしまったら猛烈にやばい気がしたんだ。
目をつぶって、無我夢中であちこちぶつけながら洗面所から逃げ出した。
そのまま自室の布団に潜り込んで、朝までガタガタ震えてたよ。
おい、笑うなよ。床屋でしか髭を剃らないのは何故なんだって、お前が訊いたんだろ。
あれ以来、鏡が怖いんだよ。その後特に変わったことは起こってないが、それでもさ。
ああ、俺の勘違いだったらいいと思うよ。実際そうかもしれない。
時間経ったから、鏡見ながら仕度するぐらいは平気になったしな。
それでも未だに、鏡に映る自分に刃物を持たせる勇気はないんだ。
あいつが出したの、チョキだったし。
【一行解説】
鏡とじゃんけんして勝ったので、怖くて自分でヒゲを剃れなくなった。
「何の変哲もない小説」「3Good」
面白みのないストーリーで、どこにでもいるような魅力の薄い登場人物が、普段誰もが過ごしているような日常を送るだけの、無名の小説家による小説。
そんな何の変哲もない小説が、何の変哲もないために売れまくっているという。
どういうことだろう?
そんな何の変哲もない小説が、何の変哲もないために売れまくっているという。
どういうことだろう?
15年04月27日 22:50
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

ごく普通のスープ
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その小説を呼んで、男は驚いた。
ごく普通の夫婦が、平凡な日常を過ごすだけの小説だった。
出てくる登場人物は、見た目も性格も思想もごく普通の人達で、魅力的でもなんでもない。
夫婦の暮す家は一般的なアパートで、置いてある家具や家電の描写は、当たり前過ぎて何の面白みもないものだった。
朝夫が出勤して、しばらくすると妻も仕事に出かけ、二人はそれぞれの職場でありきたりな仕事をこなし、どうってことはない友人達とのくだらない会話を交わし、家に帰ってからどこでも食べられそうな夕食をたいらげ、ベーシックなデザインのパジャマを着て、平均的な時間に就寝する。
男は、恐怖すら感じた。
これは……なぜ、こんなに、何の変哲もないのだ。
まるで自分の一日を書かれているかのような――
改めて、本の後ろに書いてある出版年月日を確認する。
何度見ても、男が持つその本は、今から100年以上前に書かれたSF小説だということに、変わりはなかった。
END
#b#100年以上前に書かれたSF小説が、何の変哲もないと感じるくらい今の生活を見事に言い当てていたため、未来を予言した書として有名になり、売れまくった。#/b#
ごく普通の夫婦が、平凡な日常を過ごすだけの小説だった。
出てくる登場人物は、見た目も性格も思想もごく普通の人達で、魅力的でもなんでもない。
夫婦の暮す家は一般的なアパートで、置いてある家具や家電の描写は、当たり前過ぎて何の面白みもないものだった。
朝夫が出勤して、しばらくすると妻も仕事に出かけ、二人はそれぞれの職場でありきたりな仕事をこなし、どうってことはない友人達とのくだらない会話を交わし、家に帰ってからどこでも食べられそうな夕食をたいらげ、ベーシックなデザインのパジャマを着て、平均的な時間に就寝する。
男は、恐怖すら感じた。
これは……なぜ、こんなに、何の変哲もないのだ。
まるで自分の一日を書かれているかのような――
改めて、本の後ろに書いてある出版年月日を確認する。
何度見ても、男が持つその本は、今から100年以上前に書かれたSF小説だということに、変わりはなかった。
END
#b#100年以上前に書かれたSF小説が、何の変哲もないと感じるくらい今の生活を見事に言い当てていたため、未来を予言した書として有名になり、売れまくった。#/b#
「ハッピーソイソース」「3Good」
自宅の醤油が切れていたことを思い出した女は
スーパーの調味料コーナーに行くことにした。
しかし醤油を買うわけではないのだという。
一体何故だろうか?
スーパーの調味料コーナーに行くことにした。
しかし醤油を買うわけではないのだという。
一体何故だろうか?
15年08月18日 21:50
【ウミガメのスープ】 [なさ]
【ウミガメのスープ】 [なさ]
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母親とはぐれ、スーパーで迷子になってしまった少女。
いま母親がどこにいるのか見当はつかないが、少女は自宅の醤油が切れていたことをふと思い出した。
きっとお母さんは醤油を買いに来る、そう思った少女は嬉しそうに調味料コーナーに向かって走っていった。
いま母親がどこにいるのか見当はつかないが、少女は自宅の醤油が切れていたことをふと思い出した。
きっとお母さんは醤油を買いに来る、そう思った少女は嬉しそうに調味料コーナーに向かって走っていった。
「毒殺と冤罪」「3Good」
ある女の部屋で、男の死体が発見された。男の死因は、どうやら毒物によるものらしい。女は警察に逮捕されたが、やがて#red#「男は殺されたのではなく、実は自殺だったのではないか」#/red#という疑いが強まった。このことは一部マスコミでも報じられたが、警察が女を釈放することはなく、それを非難する者もいなかった。何故だろう?
16年09月16日 18:12
【ウミガメのスープ】 [az]
【ウミガメのスープ】 [az]
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女は、博物館から#b#ミイラ#/b#を盗み出した窃盗犯。ナントカという文明のナンタラという王のミイラが好きで好きでたまらないという女は、ついにそんな大それたことをやってのけたのだ。しかし、女は防犯カメラにばっちり姿を捉えられていたので、家宅捜索の結果盗んだミイラを発見され、あっさりお縄となった。
ナンタラという王は当時の王朝の権力争いに巻き込まれて毒によって暗殺された、というのが今までの通説だったが、最近ある学者が改めて調査したところ、今まで見落とされていた古文書に王が実は自ら命を絶ったことを仄めかす記述があることがわかった。通説を覆す発見は一部マスコミでも報じられたが、当然、だからと言って女の#b#窃盗罪#/b#が変わるわけではない。
ナンタラという王は当時の王朝の権力争いに巻き込まれて毒によって暗殺された、というのが今までの通説だったが、最近ある学者が改めて調査したところ、今まで見落とされていた古文書に王が実は自ら命を絶ったことを仄めかす記述があることがわかった。通説を覆す発見は一部マスコミでも報じられたが、当然、だからと言って女の#b#窃盗罪#/b#が変わるわけではない。