「【スモーキング・イズ・マイ・ライフライン】」「1Good」
???『ラテシンユーザーの皆様に喫煙者が少ないことは存じて居りますが……煙草にまつわる問題です』
―――――――――――――
男は煙草を吸っている
そして、吸わなければ助からなかったかもしれなかったと思った。
それはいったい何故なんだろうか?
―――――――――――――
男は煙草を吸っている
そして、吸わなければ助からなかったかもしれなかったと思った。
それはいったい何故なんだろうか?
15年05月27日 19:36
【ウミガメのスープ】 [かもめの水平さん]
【ウミガメのスープ】 [かもめの水平さん]
解説を見る
【男は片田舎のトンネルの中で落盤事故に巻き込まれた】
幸い出入口が両方塞がってしまっただけで、男自身に怪我は無かったのだが、ここいらは人の通りが少ない……助けを待つ間にどれ程の時間がかかるのだろうか……
暫くして、男は呼吸が少しずつ辛くなっていく事に気付く。酸素が少なくなっているのかもしれない
ここまでか……最期を悟った男は煙草を吸う事にした
人生最期の呼吸だ。贅沢に使ってやろうと
煙草に火を着け、一服。肺の中に貯めた【煙を外へ吐く】
【暫くして、煙が、一定の方向へ流れていくのが、暗闇の中、煙草の明かりでぼんやりと見えた】
……まてよ?#big5#【完全に塞がっているなら煙がそんな方向へ流れて行く訳が無い】#/big5#
男はやや空気の薄くなっていたトンネルの中煙の方向へ足を伸ばす
すると#big5#【煙が抜け出す程度の僅かな物ではあるが、塞がったガレキの山に穴がある事に気付いた】#/big5#
少し崩していってみると、【光が僅かに見えるではないか】
こうして、男は更なる落盤を恐れながらも#big5#【どうにか救助が来るまでの間、一定の空気が確保出来る分には穴を広げる事に成功した……】#/big5#
―――――――――――――――
???『喫煙が寿命を伸ばすライフラインとなるとは皮肉な話です』
幸い出入口が両方塞がってしまっただけで、男自身に怪我は無かったのだが、ここいらは人の通りが少ない……助けを待つ間にどれ程の時間がかかるのだろうか……
暫くして、男は呼吸が少しずつ辛くなっていく事に気付く。酸素が少なくなっているのかもしれない
ここまでか……最期を悟った男は煙草を吸う事にした
人生最期の呼吸だ。贅沢に使ってやろうと
煙草に火を着け、一服。肺の中に貯めた【煙を外へ吐く】
【暫くして、煙が、一定の方向へ流れていくのが、暗闇の中、煙草の明かりでぼんやりと見えた】
……まてよ?#big5#【完全に塞がっているなら煙がそんな方向へ流れて行く訳が無い】#/big5#
男はやや空気の薄くなっていたトンネルの中煙の方向へ足を伸ばす
すると#big5#【煙が抜け出す程度の僅かな物ではあるが、塞がったガレキの山に穴がある事に気付いた】#/big5#
少し崩していってみると、【光が僅かに見えるではないか】
こうして、男は更なる落盤を恐れながらも#big5#【どうにか救助が来るまでの間、一定の空気が確保出来る分には穴を広げる事に成功した……】#/big5#
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???『喫煙が寿命を伸ばすライフラインとなるとは皮肉な話です』
「俺は田中、ガキ大将。35歳。無職。」「1Good」
歌のとても上手いたか君は名曲「ラテシンで生まれた女」を熱唱し、
採点機で95点の高得点を叩き出した。
周りにいる皆から拍手が起こる。
次に音痴の田中がたか君と同じ「ラテシンで生まれた女」を熱唱したが、
採点機の点数は65点だった。
しかし周りにいる皆はたか君の時より盛大な拍手を送った。
いったい何故だろう?
採点機で95点の高得点を叩き出した。
周りにいる皆から拍手が起こる。
次に音痴の田中がたか君と同じ「ラテシンで生まれた女」を熱唱したが、
採点機の点数は65点だった。
しかし周りにいる皆はたか君の時より盛大な拍手を送った。
いったい何故だろう?
15年05月27日 23:07
【ウミガメのスープ】 [水上]
【ウミガメのスープ】 [水上]
解説を見る
時は昭和。
カラオケが最盛期を迎えている時に、田中が勤める会社は画期的な商品を開発した。
歌唱力採点機。
今日はそのお披露目の日である。
まずは歌唱力のあるたか君が名曲「ラテシンで生まれた女」を熱唱。
採点機は95点という点数を出した。
周りの皆から拍手が起こる。
次に音痴の田中がたか君と同じ「ラテシンで生まれた女」を熱唱。
あからさまに下手な田中の歌。
採点機の出した点数は65点。
採点機は見事に歌の上手い下手を判断し、それに応じた点数を表示した。
歌唱力採点機の能力が証明され、周りの皆から盛大な拍手が起こった。
カラオケが最盛期を迎えている時に、田中が勤める会社は画期的な商品を開発した。
歌唱力採点機。
今日はそのお披露目の日である。
まずは歌唱力のあるたか君が名曲「ラテシンで生まれた女」を熱唱。
採点機は95点という点数を出した。
周りの皆から拍手が起こる。
次に音痴の田中がたか君と同じ「ラテシンで生まれた女」を熱唱。
あからさまに下手な田中の歌。
採点機の出した点数は65点。
採点機は見事に歌の上手い下手を判断し、それに応じた点数を表示した。
歌唱力採点機の能力が証明され、周りの皆から盛大な拍手が起こった。
「使われないプレゼント」「1Good」
カメオは普段から家事を頑張っている母親に、米とぎ機をプレゼントした。
これを使うととても米が楽に洗える上に、美味しく炊けるらしい。
しかし、母親はこの米とぎ機を使わなかった。
一体何故?
これを使うととても米が楽に洗える上に、美味しく炊けるらしい。
しかし、母親はこの米とぎ機を使わなかった。
一体何故?
15年05月28日 00:03
【ウミガメのスープ】 [フィーカス]
【ウミガメのスープ】 [フィーカス]

深夜のあっさりスープ
解説を見る
カメオ「母さん、いつも家事が大変そうだから、便利なのを買ってきたよ!」
母「ん、何?」
カメオ「これ。万能米とぎ機! これを使うとすんごい米が楽にとげる上においしいごはんになるんだって」
母「ふぅん。#red#じゃあ今日からあんたが米をといで#/red#」
カメオ「え?」
母「いや、だって楽に米がとげるんでしょ? だからあんたが私の代わりに米をといで」
カメオ「いや、あの……」
母「家事が大変そうに見えるんでしょ? だから手伝ってよ」
カメオ「」
その日からカメオが米とぎ当番になった。
母「ん、何?」
カメオ「これ。万能米とぎ機! これを使うとすんごい米が楽にとげる上においしいごはんになるんだって」
母「ふぅん。#red#じゃあ今日からあんたが米をといで#/red#」
カメオ「え?」
母「いや、だって楽に米がとげるんでしょ? だからあんたが私の代わりに米をといで」
カメオ「いや、あの……」
母「家事が大変そうに見えるんでしょ? だから手伝ってよ」
カメオ「」
その日からカメオが米とぎ当番になった。
「幸せはあなたのすぐ隣りに」「1Good」
ドン! ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン! ドン! ドンドン!!
隣の部屋から、もの凄い音が鳴り響き女は恐怖に脅かされたが、警察は当てにならなかった。
またこの恐怖に襲われるのではないかと女は怯えた。
しかし陰口のお陰で、彼女は平穏な生活を取り戻す事ができた。
状況を説明してください。
この問題は、みんさんの【恐怖ハ アナタノ スグ 側ニ(http://sui-hei.net/mondai/show/7807)】のオマージュです。
みんさん、ありがとうございました^^
ドン! ドン! ドン! ドン! ドンドン!!
隣の部屋から、もの凄い音が鳴り響き女は恐怖に脅かされたが、警察は当てにならなかった。
またこの恐怖に襲われるのではないかと女は怯えた。
しかし陰口のお陰で、彼女は平穏な生活を取り戻す事ができた。
状況を説明してください。
この問題は、みんさんの【恐怖ハ アナタノ スグ 側ニ(http://sui-hei.net/mondai/show/7807)】のオマージュです。
みんさん、ありがとうございました^^
15年05月28日 23:59
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]

SPは耳たぶ犬さんです! 本当にありがとうございました!^^
解説を見る
↓少々エグい表現があります。注意してください。(下に簡易解説もあります)
この世には様々なアイの形があっていいと、私は思う。
相思相愛で二人きりの世界を作るのが至上だとする人も、ただ、愛しいあの人を見守っているだけでいいという人も、果ては全て自分のものにしないと気が済まないという人もいるだろう。
どれも私は否定しない。それは個性だ。
だからどうか、私のアイの形も認めてください。
さらりとした黒い髪をとかした後、きゅっと一つにまとめて私は玄関へと向かった。
「いってきます」
そう言って、家を出た。
仕事場には余裕を持って着くように、いつも早めに出るようにしている。早起きは三文の得だ。
「あら、おはよう」
「おはようございます」
犬の散歩をする、私の隣に住む中年のおばちゃん。
この時間帯に彼女と会うのはお決まりだ。
「今日もお仕事頑張ってね」
「ふふ、ありがとうございます」
「それにしても、若いっていいわあ。私なんてホラ、もうお肌が荒れちゃって。後十年若かったらねえ」
「あら、今も十分お綺麗ですよ」
「あらいやだ! お世辞はやめとくれよ、照れるじゃないの。そう言うのは彼氏に言ってやんな」
「彼氏なんて……そんな……」
「あら、いないの? もったいない」
「いや……いないとは、別に。でも……」
私が赤くなって照れていると何かを察したのか、おばちゃんはニヤニヤとして、もう一度言った。
「若いっていいわあ」
仕事が終わり、帰路につく。
この辺りは夜になると暗くなる。一応電灯はついているものの、今ではすっかり時代遅れの蛍光灯で、ジジと時折点滅するのはむしろ不気味さを引き立てている気がする。
帰り道。私の足は自然と早足になる。
ただ、別に怖いというわけではない。もしこの道がパチンコやコンビニの明かりで照らされる日が来ようとも、私のこの足は今と変わらず自然と早くなっていくだろう。
早く家へと帰りたいのだ。
「ただいまあ」
ドン! ドン! ドン! ドン!
戸を開け、そう声をかける。部屋は真っ暗だ。よかった。たまに付けっぱなしにしていて電気代が高くつくことがあるから。
ぱちり、と。廊下の電気を付ける。一気に、私の普段の部屋の光景が目に入った。
ドン! ドン! ドン! ドン! ドンドン!!
ふうと溜め息をつき、かばんを玄関のしたにドサと置く。ここに帰ると、ようやく辛いOLの今日の仕事が終わったと実感できる。
靴を脱いで綺麗に二足のシューズの横に並べて、再びかばんを持って廊下の先を進む。
ドン! ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン! ドン!
リビングのソファにかばんを置いて、一つにしていた髪をばさりとほどく。生まれ付きの若干の癖っ毛も、ここまで長かったらあまり関係ない。せいぜい乾燥の時期に静電気に気をつけるくらいだ。
「さて、と……」
ドン! ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン! ドンドン!!
高鳴る胸を抑え、リビングの奥の部屋をがちゃりと開けた。
そこには先程からドンドンと音を鳴らし続けている、彼が変わらずにいた。
ああ、やはり椅子から落ちたらしい。
もう、そんなことで解けるわけないのだから、ムダなのに。それとも、そんなに音を出して、私になにか伝えたいことがあるのかな?
後でまとめて聞くから我慢してね?
目の前の、椅子に縛り付けられて目隠し、猿ぐつわをしているのは、私の愛しの彼だ。
おっと、勘違いしないでもらいたい。これは監禁ではない。
これは私の愛情表現だ。彼に、私がどれだけ愛しているのかを教えているのだ。そして、彼も私を愛しているに違いない。だって、逃げないんだもの。そういうことでしょ?
目は感情を表現する重要な器官だ。従って、目隠ししている彼が今どんな表情をしているのか、私には分からない。
だけど、それがいいのだ。彼は今、どんな表情をしているのだろう。
それを考えるだけで、想像するだけで胸が震える思いだ。
ああ、だめだだめだ。また一人で悦に入るところだった。
ええと、今日のご飯を食べさせて、今日のアイを伝えなきゃ。
今、彼には私しかいない。私だけが、拠り所なのだ。
私は懐から、そっと注射器を取り出した。
「イイコにしててね……?」
一通り終えて、いったんリビングに戻った。
先程とは打って変わって、しんとしている。
……実は、悩みがないわけではない。
私にとっての一番の恐怖は、彼と引き離されて、離ればなれになる事だ。
それは怖い。想像したくない。
もし、彼がいなくなったことを周りが気にしたり、また、今日の『ドン! ドン! ドン! ドン!』という音を隣りの人。例えばあのおばちゃんが聞いて、「あらぬ誤解」を受けて離ればなれになるのだけはなんとしても避けねばならない。
それだけが恐怖であった。
警察も、あてにならない。私の言い分なんて聞かず、私から彼を奪い去るだろう。
今はあれのお陰で静かだけれど、また煩くされて、この蜜月が他の人に知られるのではないかと思うと、私は怯える。
「もう、いつもおとなしくしててね、とは言ってるんだけどなあ」
翌日。
さらりとした黒い髪をとかした後、きゅっと一つにまとめて私は玄関へと向かった。
「いってきます」
そう言って、家を出た。
仕事場には余裕を持って着くように、いつも早めに出るようにしている。早起きは三文の得だ。
「あら、おはよう」
「おはようございます」
犬の散歩をする、私の隣に住む中年のおばちゃん。
この時間帯に彼女と会うのはお決まりだ。
「今日もお仕事頑張ってね」
「ふふ、ありがとうございます」
そう言うと、おばちゃんはちょっと怪訝な顔をした。
「ねえ、知ってる? ご近所の○○さん、失踪したらしいわよ」
「……へえ、そうなんですかあ」
「まあ、なんでも。話によると少し借金をしていたらしくてね。それが原因で蒸発したんじゃないかって話らしいわよ」
「借金……ですか」
「そうなのよ。若いのに、友達に騙されちゃったらしくて。可哀想にねえ。一緒に住んでいた妹は遠い親戚に保護されたらしいわよ?」
「へえ」
「でも、なんだかんだ言っても蒸発なんて……ろくな人じゃなかったんでしょうねえ」
(──っせえ、ババア。×すぞ?)
「ん? 何か言ったかしら?」
「え? なにがですか? あ。それよりもそろそろ行かないと」
「ええ。いってらっしゃい。気をつけてね」
「はい、いってきます」
よかった。音、聞こえなかったんだ。
通勤の道中。
ああ、今日からは早足で帰る事はなくなるかも。
そう思って、自然に顔がほころんだ。
簡易解説
女は、自身の好きな男を監禁していた。
ドン! ドン! ドン! ドン! という音は閉じ込められた男が出していた音。
この音を聞かれて、また、男がいなくなったのを誰か気にしてこの事がバレ、彼と離ればなれになることに恐怖を抱いていたが、男は借金で蒸発したといった内容の陰口をきいて誰も男がいなくなった事に関心を持っていないと感じ、安堵した。
この世には様々なアイの形があっていいと、私は思う。
相思相愛で二人きりの世界を作るのが至上だとする人も、ただ、愛しいあの人を見守っているだけでいいという人も、果ては全て自分のものにしないと気が済まないという人もいるだろう。
どれも私は否定しない。それは個性だ。
だからどうか、私のアイの形も認めてください。
さらりとした黒い髪をとかした後、きゅっと一つにまとめて私は玄関へと向かった。
「いってきます」
そう言って、家を出た。
仕事場には余裕を持って着くように、いつも早めに出るようにしている。早起きは三文の得だ。
「あら、おはよう」
「おはようございます」
犬の散歩をする、私の隣に住む中年のおばちゃん。
この時間帯に彼女と会うのはお決まりだ。
「今日もお仕事頑張ってね」
「ふふ、ありがとうございます」
「それにしても、若いっていいわあ。私なんてホラ、もうお肌が荒れちゃって。後十年若かったらねえ」
「あら、今も十分お綺麗ですよ」
「あらいやだ! お世辞はやめとくれよ、照れるじゃないの。そう言うのは彼氏に言ってやんな」
「彼氏なんて……そんな……」
「あら、いないの? もったいない」
「いや……いないとは、別に。でも……」
私が赤くなって照れていると何かを察したのか、おばちゃんはニヤニヤとして、もう一度言った。
「若いっていいわあ」
仕事が終わり、帰路につく。
この辺りは夜になると暗くなる。一応電灯はついているものの、今ではすっかり時代遅れの蛍光灯で、ジジと時折点滅するのはむしろ不気味さを引き立てている気がする。
帰り道。私の足は自然と早足になる。
ただ、別に怖いというわけではない。もしこの道がパチンコやコンビニの明かりで照らされる日が来ようとも、私のこの足は今と変わらず自然と早くなっていくだろう。
早く家へと帰りたいのだ。
「ただいまあ」
ドン! ドン! ドン! ドン!
戸を開け、そう声をかける。部屋は真っ暗だ。よかった。たまに付けっぱなしにしていて電気代が高くつくことがあるから。
ぱちり、と。廊下の電気を付ける。一気に、私の普段の部屋の光景が目に入った。
ドン! ドン! ドン! ドン! ドンドン!!
ふうと溜め息をつき、かばんを玄関のしたにドサと置く。ここに帰ると、ようやく辛いOLの今日の仕事が終わったと実感できる。
靴を脱いで綺麗に二足のシューズの横に並べて、再びかばんを持って廊下の先を進む。
ドン! ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン! ドン!
リビングのソファにかばんを置いて、一つにしていた髪をばさりとほどく。生まれ付きの若干の癖っ毛も、ここまで長かったらあまり関係ない。せいぜい乾燥の時期に静電気に気をつけるくらいだ。
「さて、と……」
ドン! ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン! ドンドン!!
高鳴る胸を抑え、リビングの奥の部屋をがちゃりと開けた。
そこには先程からドンドンと音を鳴らし続けている、彼が変わらずにいた。
ああ、やはり椅子から落ちたらしい。
もう、そんなことで解けるわけないのだから、ムダなのに。それとも、そんなに音を出して、私になにか伝えたいことがあるのかな?
後でまとめて聞くから我慢してね?
目の前の、椅子に縛り付けられて目隠し、猿ぐつわをしているのは、私の愛しの彼だ。
おっと、勘違いしないでもらいたい。これは監禁ではない。
これは私の愛情表現だ。彼に、私がどれだけ愛しているのかを教えているのだ。そして、彼も私を愛しているに違いない。だって、逃げないんだもの。そういうことでしょ?
目は感情を表現する重要な器官だ。従って、目隠ししている彼が今どんな表情をしているのか、私には分からない。
だけど、それがいいのだ。彼は今、どんな表情をしているのだろう。
それを考えるだけで、想像するだけで胸が震える思いだ。
ああ、だめだだめだ。また一人で悦に入るところだった。
ええと、今日のご飯を食べさせて、今日のアイを伝えなきゃ。
今、彼には私しかいない。私だけが、拠り所なのだ。
私は懐から、そっと注射器を取り出した。
「イイコにしててね……?」
一通り終えて、いったんリビングに戻った。
先程とは打って変わって、しんとしている。
……実は、悩みがないわけではない。
私にとっての一番の恐怖は、彼と引き離されて、離ればなれになる事だ。
それは怖い。想像したくない。
もし、彼がいなくなったことを周りが気にしたり、また、今日の『ドン! ドン! ドン! ドン!』という音を隣りの人。例えばあのおばちゃんが聞いて、「あらぬ誤解」を受けて離ればなれになるのだけはなんとしても避けねばならない。
それだけが恐怖であった。
警察も、あてにならない。私の言い分なんて聞かず、私から彼を奪い去るだろう。
今はあれのお陰で静かだけれど、また煩くされて、この蜜月が他の人に知られるのではないかと思うと、私は怯える。
「もう、いつもおとなしくしててね、とは言ってるんだけどなあ」
翌日。
さらりとした黒い髪をとかした後、きゅっと一つにまとめて私は玄関へと向かった。
「いってきます」
そう言って、家を出た。
仕事場には余裕を持って着くように、いつも早めに出るようにしている。早起きは三文の得だ。
「あら、おはよう」
「おはようございます」
犬の散歩をする、私の隣に住む中年のおばちゃん。
この時間帯に彼女と会うのはお決まりだ。
「今日もお仕事頑張ってね」
「ふふ、ありがとうございます」
そう言うと、おばちゃんはちょっと怪訝な顔をした。
「ねえ、知ってる? ご近所の○○さん、失踪したらしいわよ」
「……へえ、そうなんですかあ」
「まあ、なんでも。話によると少し借金をしていたらしくてね。それが原因で蒸発したんじゃないかって話らしいわよ」
「借金……ですか」
「そうなのよ。若いのに、友達に騙されちゃったらしくて。可哀想にねえ。一緒に住んでいた妹は遠い親戚に保護されたらしいわよ?」
「へえ」
「でも、なんだかんだ言っても蒸発なんて……ろくな人じゃなかったんでしょうねえ」
(──っせえ、ババア。×すぞ?)
「ん? 何か言ったかしら?」
「え? なにがですか? あ。それよりもそろそろ行かないと」
「ええ。いってらっしゃい。気をつけてね」
「はい、いってきます」
よかった。音、聞こえなかったんだ。
通勤の道中。
ああ、今日からは早足で帰る事はなくなるかも。
そう思って、自然に顔がほころんだ。
簡易解説
女は、自身の好きな男を監禁していた。
ドン! ドン! ドン! ドン! という音は閉じ込められた男が出していた音。
この音を聞かれて、また、男がいなくなったのを誰か気にしてこの事がバレ、彼と離ればなれになることに恐怖を抱いていたが、男は借金で蒸発したといった内容の陰口をきいて誰も男がいなくなった事に関心を持っていないと感じ、安堵した。
「【お客様、こちらがベール厚々の連想スープでございます。】」「1Good」
男は仕事が忙しかったので安堵した。
一体なぜ?
一体なぜ?
15年05月29日 21:38
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
【ウミガメのスープ】 [のりっこ。]
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その日、男は【仕事が忙しかったので、とても疲れた。】
男は【とても疲れたので、甘いものが食べたくなった。】
男は【甘いものが食べたくなったので、ケーキを買って帰った。】
男は【ケーキを買って帰ったので、その日が誕生日だった娘はとても喜んだ。】
男は【その日が誕生日だった娘がとても喜んだので、すっかり忘れていたけど仕事が忙しくて結果オーライだったと安堵した。】
男は【とても疲れたので、甘いものが食べたくなった。】
男は【甘いものが食べたくなったので、ケーキを買って帰った。】
男は【ケーキを買って帰ったので、その日が誕生日だった娘はとても喜んだ。】
男は【その日が誕生日だった娘がとても喜んだので、すっかり忘れていたけど仕事が忙しくて結果オーライだったと安堵した。】