「音楽性とモテ度は別に比例しない」「2ブックマーク」
俺は、ロックバンド“バーチカル・カーニバル”のボーカルのラテ。巷では結構人気が出ていて、CDの売り上げも上々だ。
今日は、地元サービスで、無料のちょっとしたライブを開いて演奏した。売れたからって地元を蔑ろにするヤツはロックじゃねえ、と俺は常々思っているが、まあ今はそんなことはどうでもいい。
妙なことが起こったのは、その後、観客との交流会をした時だ。いつもなら、ボーカルの俺や、ギターのラルの所に、サインや握手を求める女の子が列をなすんだが、今日はなぜか、ドラムのシンの所にばかり、女の子たちが列を作って色紙を差し出すんだ。
シンは、ドラムは上手いが地味なヤツで、前に俺と街を歩いていた時なんか、俺だけが声を掛けられたことまであるほどだ。
じゃあ、今日は何でシンの所にばかり列が出来るんだ?
※問題文ではキャラクターが喋っていますが、当問題は普通のウミガメです。質問には出題者が回答いたします。
今日は、地元サービスで、無料のちょっとしたライブを開いて演奏した。売れたからって地元を蔑ろにするヤツはロックじゃねえ、と俺は常々思っているが、まあ今はそんなことはどうでもいい。
妙なことが起こったのは、その後、観客との交流会をした時だ。いつもなら、ボーカルの俺や、ギターのラルの所に、サインや握手を求める女の子が列をなすんだが、今日はなぜか、ドラムのシンの所にばかり、女の子たちが列を作って色紙を差し出すんだ。
シンは、ドラムは上手いが地味なヤツで、前に俺と街を歩いていた時なんか、俺だけが声を掛けられたことまであるほどだ。
じゃあ、今日は何でシンの所にばかり列が出来るんだ?
※問題文ではキャラクターが喋っていますが、当問題は普通のウミガメです。質問には出題者が回答いたします。
16年02月27日 13:04
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
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俺たちは、ロックバンド“バーチカル・カーニバル”のメンバー……である前に、市立垂直高校に通う高校生だ。人気があるせいで、いくつかの科目の単位数が足りなくなりつつあるが、細かいことは気にしない。
だが、そうやって余裕をこいていられるのもあと少しのようだ。担任に、「総合科目の単位数が足りないから、近所の保育園で演奏してこい。それで単位扱いしてやるから」と言われてしまったのだ。
そんなわけで、俺たちは近所のすいへい保育園で小さな演奏会(演目は、全部童謡だ)をした。
演奏だけでは大した時間にならないので、その後ガキどもの面倒を見ることになった訳だが、ロックばかりやってきた俺たちは、子供との遊び方なんて……えっ? シン?何だそれ?
「ええと、みずきちゃんは、指輪だっけ。で、平太君は飛行機だね」
そう言うと、シンは瞬く間に色紙(いろがみ)を様々な形に変えてみせる。最初は簡単なものを折っていたが、その内調子に乗り始めたのか、初〇ミクとか、昇り竜とかを折り始めた。子供たちの目は、最高潮に輝いていた。
鶴さえもまともに折れない俺たちは、ぽかんと口を開けてその様を見つめるしかなかった。
だが、そうやって余裕をこいていられるのもあと少しのようだ。担任に、「総合科目の単位数が足りないから、近所の保育園で演奏してこい。それで単位扱いしてやるから」と言われてしまったのだ。
そんなわけで、俺たちは近所のすいへい保育園で小さな演奏会(演目は、全部童謡だ)をした。
演奏だけでは大した時間にならないので、その後ガキどもの面倒を見ることになった訳だが、ロックばかりやってきた俺たちは、子供との遊び方なんて……えっ? シン?何だそれ?
「ええと、みずきちゃんは、指輪だっけ。で、平太君は飛行機だね」
そう言うと、シンは瞬く間に色紙(いろがみ)を様々な形に変えてみせる。最初は簡単なものを折っていたが、その内調子に乗り始めたのか、初〇ミクとか、昇り竜とかを折り始めた。子供たちの目は、最高潮に輝いていた。
鶴さえもまともに折れない俺たちは、ぽかんと口を開けてその様を見つめるしかなかった。
「わが﨟たし悪の華」「2ブックマーク」
(° ꈊ °)こんにちは、山登りコックです。前回、SF世界から帰って来て、ホッとしてご飯を食べて、うとうとして目が覚めたら…
#red#いつの間にか、猫になっていました。#/red#
しかも、ひたすら大きい紙の上にいつのまにか寝そべっていまして…
何故か、ラテシンのみなさんとはテレパシーで会話できるんですけれど。
流石に、一生を猫のまま過ごすのはごめんです。
どうか、もとに戻るのを、手伝ってもらえませんか?
#red#いつの間にか、猫になっていました。#/red#
しかも、ひたすら大きい紙の上にいつのまにか寝そべっていまして…
何故か、ラテシンのみなさんとはテレパシーで会話できるんですけれど。
流石に、一生を猫のまま過ごすのはごめんです。
どうか、もとに戻るのを、手伝ってもらえませんか?
15年03月17日 22:00
【亀夫君問題】 [山登りコック]
【亀夫君問題】 [山登りコック]
和風にゃんこストーリー。エンディング分岐の謎をとけ!!
解説を見る
#big5# GOOD END #/big5#
サクラを生やす。
新しくうまれた小さいサクラを連れて、私は新しい春の丘にやってきた。
サクラはそこに座ると、そのまま一本の苗木に変わった。
私は、新しい春の丘に、その苗木を植えた。
樹は枯れても、また芽吹く。それが、自然の偉大さなのだろう。
気がついたら、私は元に戻っていた。
#big5# TRUE END #/big5#
ねずみを桜の若木の所に連れてくる。
サクラの元に駆け寄ったねずみは、そのまま、小さな男の子に変わった。
サクラと同じぐらいの、男の子。二人は言葉はいらないとばかり、手をつないで走って行って、そのまま、二本の若木になった。
私は、新しい春の丘に、その二本の苗木を植えた。
樹は枯れても、また芽吹く。それが、自然の偉大さなのでしょう。
遠い昔に分たれた二人が、また出会えて、本当によかった。
気がついたら、私は元に戻っていた。
#big5# BAD END #/big5#
そのまま、新しい春へ向かう。
あた〜ら〜しい、はーるがきた〜
どこかで、そう歌う声が聞こえる。
戦争はまだまだ続く。きっと、世界が滅びるまで続くのでしょう。すっかり燃え尽きた桜の跡と一面の焼け野原を見て、猫は呟いた。
人間は、自然を壊してでしか、繁栄できないのでしょうか。
気がつくと、私は元に戻っていた。
サクラを生やす。
新しくうまれた小さいサクラを連れて、私は新しい春の丘にやってきた。
サクラはそこに座ると、そのまま一本の苗木に変わった。
私は、新しい春の丘に、その苗木を植えた。
樹は枯れても、また芽吹く。それが、自然の偉大さなのだろう。
気がついたら、私は元に戻っていた。
#big5# TRUE END #/big5#
ねずみを桜の若木の所に連れてくる。
サクラの元に駆け寄ったねずみは、そのまま、小さな男の子に変わった。
サクラと同じぐらいの、男の子。二人は言葉はいらないとばかり、手をつないで走って行って、そのまま、二本の若木になった。
私は、新しい春の丘に、その二本の苗木を植えた。
樹は枯れても、また芽吹く。それが、自然の偉大さなのでしょう。
遠い昔に分たれた二人が、また出会えて、本当によかった。
気がついたら、私は元に戻っていた。
#big5# BAD END #/big5#
そのまま、新しい春へ向かう。
あた〜ら〜しい、はーるがきた〜
どこかで、そう歌う声が聞こえる。
戦争はまだまだ続く。きっと、世界が滅びるまで続くのでしょう。すっかり燃え尽きた桜の跡と一面の焼け野原を見て、猫は呟いた。
人間は、自然を壊してでしか、繁栄できないのでしょうか。
気がつくと、私は元に戻っていた。
「【世界田中奇行】田中のコーヒーブレイク」「2ブックマーク」
後ろに並んでいる車に「早く行けよ」とクラクションを鳴らされる田中。
すると田中は自分の運転している車から降りてコンビニにコーヒーを買いに行った。
いったい何故だろうか?
すると田中は自分の運転している車から降りてコンビニにコーヒーを買いに行った。
いったい何故だろうか?
15年08月25日 23:10
【ウミガメのスープ】 [水上]
【ウミガメのスープ】 [水上]
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有料駐車場から出ようとしている田中。
「リョーキンハ ハッピャク エン デス」
無機質な音声ガイドが駐車料金を所望してくるものの、
田中の財布には小銭が全然なかった。
札入れを覗くと一万円札が一枚。
しかしこの料金精算機は一万円に対応していなかった。
そうやってモタモタしていると後ろに並んでいる車にクラクションを鳴らされた。
田中は車を降り、後ろに並んでいる車の運転手に事情を説明。
幸い隣にコンビニがあったので、一万円をくずす為に缶コーヒーを購入。
謝罪もこめて、待ってもらっている運転手に渡そうと思った。
「俺、コーヒー飲めないんだ」
そして拒否られた。
(俺もコーヒー飲めないんだけど)
結局そのコーヒーは二年間助手席に放置された。
「リョーキンハ ハッピャク エン デス」
無機質な音声ガイドが駐車料金を所望してくるものの、
田中の財布には小銭が全然なかった。
札入れを覗くと一万円札が一枚。
しかしこの料金精算機は一万円に対応していなかった。
そうやってモタモタしていると後ろに並んでいる車にクラクションを鳴らされた。
田中は車を降り、後ろに並んでいる車の運転手に事情を説明。
幸い隣にコンビニがあったので、一万円をくずす為に缶コーヒーを購入。
謝罪もこめて、待ってもらっている運転手に渡そうと思った。
「俺、コーヒー飲めないんだ」
そして拒否られた。
(俺もコーヒー飲めないんだけど)
結局そのコーヒーは二年間助手席に放置された。
「明るい幼稚園の作り方。」「2ブックマーク」
ここは「全ての園児を平等に」をモットーに掲げたとある幼稚園。
Ratter先生「はーい。次のお遊戯会の劇は浦島太郎にするよ~。みんなやりたい役はあるかな~?」
先生はモットーを翻すことになった。
なぜ?
Ratter先生「はーい。次のお遊戯会の劇は浦島太郎にするよ~。みんなやりたい役はあるかな~?」
先生はモットーを翻すことになった。
なぜ?
15年01月28日 23:20
【ウミガメのスープ】 [Ratter]
【ウミガメのスープ】 [Ratter]
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ここは「全ての園児を平等に」をモットーに掲げたとある幼稚園。
Ratter先生「はーい。次のお遊戯会の劇は浦島太郎にするよ~。みんなやりたい役はあるかな~?」
A太君「はいはい!!主役のうらしまたろー」
B美衣ちゃん「えー私も主役やりたい!!」
C江ちゃん「わたし乙姫~~」
D郎君「目立ちたくない・・背景の石で・・」
E助君 「はいはいはい おれウルトラマン!!」
F乃ちゃん「じゃあわたち しゅーくりーむ!」
:
:
Ratter先生(えーっと、希望をまとめると
浦島太郎役が5人と乙姫役が3人(含む男の子)の亀役が2名・・
それから
鯛や平目の舞い踊り役が5人に・・
背景の木や岩役が6人・・?
あと
ウルトラマン役が一人に
仮面ライダー役が一人?
で、シュークリーム役が一人に新幹線役が一人
モモタロウ役が一人にモモノフ役が一人
ふなっしー役が二人?だっけ?
うん。やっぱ希望聞くとカオスになるなwww
まあ、
要するに
「むかしむかしあるところに浦島太郎がいました
おじいさんになりました。
なぜ?」
って問題に無茶ぶり要素が配役関係に集まった創りだすを作れってことね
よゆーよゆーww)
「はーい。わかりました~じゃあ先生がんばってみんなの希望通りのお話にアレンジするからね~」
M子ちゃん (゚д゚)ノ
Ratter先生(あ・・ひとり希望ききもれてたか・・)「あ、ごめんね~ M子ちゃんは何役がいいかな?」
M子ちゃん 「出題数がわたしより少ない先生なんかに任せられないのでつ わたしがシナリオを作る役なのでつ!!」
Ratter先生「え゛?」
M子ちゃん「私がシナリオを書くからには・・」
Ratter先生(あーーー なんか父兄には魅せられない内容になる気がする・・)「あ・・えーっと M子ちゃんは親切な魔法使い役をやろうか~^^;」
こうして、先生はすべての園児が平等に希望通りの役をやってもらう というモットーをかなぐり捨てたのでした。
Ratter先生「はーい。次のお遊戯会の劇は浦島太郎にするよ~。みんなやりたい役はあるかな~?」
A太君「はいはい!!主役のうらしまたろー」
B美衣ちゃん「えー私も主役やりたい!!」
C江ちゃん「わたし乙姫~~」
D郎君「目立ちたくない・・背景の石で・・」
E助君 「はいはいはい おれウルトラマン!!」
F乃ちゃん「じゃあわたち しゅーくりーむ!」
:
:
Ratter先生(えーっと、希望をまとめると
浦島太郎役が5人と乙姫役が3人(含む男の子)の亀役が2名・・
それから
鯛や平目の舞い踊り役が5人に・・
背景の木や岩役が6人・・?
あと
ウルトラマン役が一人に
仮面ライダー役が一人?
で、シュークリーム役が一人に新幹線役が一人
モモタロウ役が一人にモモノフ役が一人
ふなっしー役が二人?だっけ?
うん。やっぱ希望聞くとカオスになるなwww
まあ、
要するに
「むかしむかしあるところに浦島太郎がいました
おじいさんになりました。
なぜ?」
って問題に無茶ぶり要素が配役関係に集まった創りだすを作れってことね
よゆーよゆーww)
「はーい。わかりました~じゃあ先生がんばってみんなの希望通りのお話にアレンジするからね~」
M子ちゃん (゚д゚)ノ
Ratter先生(あ・・ひとり希望ききもれてたか・・)「あ、ごめんね~ M子ちゃんは何役がいいかな?」
M子ちゃん 「出題数がわたしより少ない先生なんかに任せられないのでつ わたしがシナリオを作る役なのでつ!!」
Ratter先生「え゛?」
M子ちゃん「私がシナリオを書くからには・・」
Ratter先生(あーーー なんか父兄には魅せられない内容になる気がする・・)「あ・・えーっと M子ちゃんは親切な魔法使い役をやろうか~^^;」
こうして、先生はすべての園児が平等に希望通りの役をやってもらう というモットーをかなぐり捨てたのでした。
「マジック・ペン 」「2ブックマーク」
「そのペンで書き込んだ紙の内容がそのまま現実となる」
こんな夢のようなペンを手に入れた男。
彼はこのペンの力で恋人を生き返らせようとした。
結果、男は死んだ。
何故だろう?
こんな夢のようなペンを手に入れた男。
彼はこのペンの力で恋人を生き返らせようとした。
結果、男は死んだ。
何故だろう?
12年06月17日 00:16
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]
解説を見る
行商風のおばあさんと出会ったのはつい最近のことだ。
何をやっても上手くいかないと嘆いていた会社帰りの深夜。
道端で商品を広げていたおばあさんに呼び止められ、不思議なペンを買わされた。
値段は7万円。
ペン一つに出せる金額ではない。
しかしその効果とやらが魅力的だ。
「そのペンで書き込んだ紙の内容がそのまま現実となる」
代金は効果を実感してからでいい、役に立たないと判断したら返品にも応じる。
おばあさんは半ば強引にペンを渡してきたのだ。
僕は帰宅後、興味本位でノートにこう書いた。
「彼女がほしい。可愛い彼女が。切実に」
翌日、彼女ができた。
飲み屋で意気投合し、そのままの流れで何故か付き合うことになった。
とても可愛い、しかし性格はそこそこ・・・、悪い。
ペンは本物だったようだ。
お金がほしいと書けば、スクラッチクジ2万円分が当たった。
雨止んでくれと書けば、5分くらい雨が止んだ。
そしてこのペンの特性も理解した。
どうやら直接ペンで書き込まなくても、新聞の内容にライン引きをやるだけでも効果があるのだ。
記事にバッテンをつければ、その事実は世の中から消え去った。
昨日訃報が出ていた爺ちゃんが先ほどまで生きていたのもそのせいだ。
もっとも延命できたのは1日だけだったのだが。
実験は終わった。
僕はおばあさんに2倍のお金を渡した。
社長になりたい、大きい家がほしい、ハンサムになりたい。
こう書き込むことで、僕は努力もなしに出世し、有名になり、金を稼ぐことができた。
期待のニューフェイスとして取材も受けたばかりだ。
夢のような生活を満喫していた僕は、多少調子にのっていたらしい。
彼女を捨ててしまった。
罵詈雑言を散々言われ、最後には泣きだして部屋を出ていった。
さすがに悪いことをしたかな、そう思った。
翌日、彼女の名前が訃報にのっていた。
自殺だったらしい。
どうするか悩んだ後、とりあえずはさみで記事を切り取り、部屋を後にした。
彼女のことを考えてみた。
確かに性格は良くなかった。
だが彼女はそれでも僕のことを見ていてくれた。
今でこそ慕ってくれる人間はいる。
だけど本当に何も無かったころの僕を好きといってくれたのは、彼女だけだった。
やはり彼女しかいない。
僕は彼女の訃報にばつ印を入れた。
帰宅後、そういえばこの前の取材の記事が新聞に載っているはずだということを思い出す。
探してみたのだが、なぜか見つからない。
ふと切り取られた部分を見た。
・・・恐る恐る、僕は先程ばつ印を入れた記事を手にとった。
そこには変わらず彼女の名前があった。
それをそっと、裏に返してみる。
自らの顔写真があった。
バストアップの写真で、頭もはさみで半分程度。
その瞬間、家が突然倒壊した。
手抜き工事だったらしい。
重いコンクリートに押しつぶされた僕は死んだ。
肩から下、頭上半分にちょうど降りそそぎ、遺体は分離してしまっていたらしい。
何をやっても上手くいかないと嘆いていた会社帰りの深夜。
道端で商品を広げていたおばあさんに呼び止められ、不思議なペンを買わされた。
値段は7万円。
ペン一つに出せる金額ではない。
しかしその効果とやらが魅力的だ。
「そのペンで書き込んだ紙の内容がそのまま現実となる」
代金は効果を実感してからでいい、役に立たないと判断したら返品にも応じる。
おばあさんは半ば強引にペンを渡してきたのだ。
僕は帰宅後、興味本位でノートにこう書いた。
「彼女がほしい。可愛い彼女が。切実に」
翌日、彼女ができた。
飲み屋で意気投合し、そのままの流れで何故か付き合うことになった。
とても可愛い、しかし性格はそこそこ・・・、悪い。
ペンは本物だったようだ。
お金がほしいと書けば、スクラッチクジ2万円分が当たった。
雨止んでくれと書けば、5分くらい雨が止んだ。
そしてこのペンの特性も理解した。
どうやら直接ペンで書き込まなくても、新聞の内容にライン引きをやるだけでも効果があるのだ。
記事にバッテンをつければ、その事実は世の中から消え去った。
昨日訃報が出ていた爺ちゃんが先ほどまで生きていたのもそのせいだ。
もっとも延命できたのは1日だけだったのだが。
実験は終わった。
僕はおばあさんに2倍のお金を渡した。
社長になりたい、大きい家がほしい、ハンサムになりたい。
こう書き込むことで、僕は努力もなしに出世し、有名になり、金を稼ぐことができた。
期待のニューフェイスとして取材も受けたばかりだ。
夢のような生活を満喫していた僕は、多少調子にのっていたらしい。
彼女を捨ててしまった。
罵詈雑言を散々言われ、最後には泣きだして部屋を出ていった。
さすがに悪いことをしたかな、そう思った。
翌日、彼女の名前が訃報にのっていた。
自殺だったらしい。
どうするか悩んだ後、とりあえずはさみで記事を切り取り、部屋を後にした。
彼女のことを考えてみた。
確かに性格は良くなかった。
だが彼女はそれでも僕のことを見ていてくれた。
今でこそ慕ってくれる人間はいる。
だけど本当に何も無かったころの僕を好きといってくれたのは、彼女だけだった。
やはり彼女しかいない。
僕は彼女の訃報にばつ印を入れた。
帰宅後、そういえばこの前の取材の記事が新聞に載っているはずだということを思い出す。
探してみたのだが、なぜか見つからない。
ふと切り取られた部分を見た。
・・・恐る恐る、僕は先程ばつ印を入れた記事を手にとった。
そこには変わらず彼女の名前があった。
それをそっと、裏に返してみる。
自らの顔写真があった。
バストアップの写真で、頭もはさみで半分程度。
その瞬間、家が突然倒壊した。
手抜き工事だったらしい。
重いコンクリートに押しつぶされた僕は死んだ。
肩から下、頭上半分にちょうど降りそそぎ、遺体は分離してしまっていたらしい。