「飢饉の危機ん」「3ブックマーク」
今年が凶作になると分かった女は密かにとある場所の破壊をさせたのだという。
それにより凶作を免れたわけではなかったが、女の思惑は上手くいったようだ。
一体どういうことなのだろう?
それにより凶作を免れたわけではなかったが、女の思惑は上手くいったようだ。
一体どういうことなのだろう?
15年03月10日 21:57
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]
【ウミガメのスープ】 [ノックスR]
解説を見る
↓長いので一番下に一言解説有り
〈actA〉
これは、とある時代の、とある国の、とある王女の話。
「それで? どうにもならないの?」
「そうですねえ……」
目の前の白衣姿の青年は用紙片手にペンの後ろ先で頭をかいた。
「勿論やれることはやりますが、まあ今の技術じゃ無理でしょうね」
「そう」
私は一つ溜め息をついた。
実は新年早々、少し厄介な問題に突き当たっていた。
目の前の彼が言うには近年の天候の状況、これまでの作物の実り具合から見て、今年は百年に一度とも言えるくらいの酷い凶作になるというのだ。
本来はそんな馬鹿なと一笑に附したいところではあるが、彼の言う事だ。軽視することは出来ない。
それに今考えることはそれが起こりうるかどうかではない。彼は今年は土が生まれ変わる年だとか回帰するために必要だとか言っているが、私がそんなことを聞いてその信憑を確かめても仕様がないことだろう。今一番に考えることは、それが起こった際にどう対処するかだ。
一つのミスが命取りになるこの仕事。あらゆる場面を想定しなければいけない。
今年は凶作──。年貢の方は例年通り徴収すれば国の方は恙無く過ごせるであろう。
ただそうなると当然、そのしわ寄せは農民等の下位層にいく。
そして彼らの不満は私たちへ向く。
かといって変に年貢を減免させると国自体が立ち行かなくなる恐れも出てしまう。諸大臣、兵士達の方へしわ寄せが行き、情勢自体は年貢をどう採ろうがさして変わらないのである。
最初のしわ寄せがどこへ行くか。不満を持つのがどの層になるのか位の違いだ。
人は辛いこと、苦しいことがあるとその不満の矛先を誰かへ向ける。誰かを妬み、憎むことで自己を守り、力を得ることが出来るというのを私たちは本能的に知っているのかもしれない。憎しみというものは即席の燃料みたいなものなのだ。ただしその分、不純物も蓄積しやすい。
まあ要は、不満がこちらに来るのが問題な訳だ。
「んー。そのことを農民達にも説明したらなんとか納得してくれないかしら」
「それが難しいこと。あなたが一番お分かりではないでしょうか」
「だよねー。あんたの話よりだったらまだ神話の方が解りやすいわ」
ぶうとむくれる仕草を見せると、彼はあからさまに冷ややかな目線を向けてきた。ちょっとしたジョークじゃない。むぅ。
「──まあ、確かに。学のない彼らは神様を未だ盲信していますし」
「え? あなた、神様を信じていないの?」
「盲信、と言ったじゃないですか。私は違います」
「あらそう」
「それで、どうするおつもりで?」
彼が再び訊いてきた。ただ、今回の訊き方は私と方策を考えるものではなく、すでに私が考えていて、それを尋ねる訊き方であるように感じた。
「今から考えます」
「嘘」
「どうしてそう思うの?」
「だって、イタズラを仕掛ける前の顔、してますよ」
「あら」
思わず、頬に手を当てる。いつもと変わらないと思うのだが。そこまで表情に出ているのだろうか。
ああ、ダメね。もうちょっと隠せるようにならないと。
「それで、何を企んでいるのです?」
「そうねえ」
私は少し考える仕草をしながら、さっき頭に浮かんだ考えを言語化させた。
「神頼み、とかどうかしら?」
〈actB〉
これは、またとある時代の同じ場所での話
「やあ、見てよ。ライナー君。これがシルベリア神殿だよ」
「へえ。さすがに重要文化財なだけあって、厳粛な感じだね」
そうは言ったが、ライナーは少し拍子抜けしていた。確かにどこか厳かな雰囲気はするものの、思ったより……
「小さいね」
「え?」
「そうは思わないかい? ライナー君」
どうやら隣の相棒も同じようなことを思っていたようだ。ライナーはそうだな。と言って帽子ギュッとかぶり直した。
「まあ、ここは元々もっと小さな神殿だったんだろ?」
「うん。そう聞いている。ここは昔からここら一帯の土着神、ハチヤネ様と呼ばれる神様の住まいではあったらしい。だから小さいながらも地元の人たちから大切にされてきたらしいよ」
「ああ、話は聞いてるよ。それで、ここに来た理由も大体察しはついている。『ハチヤネ様の祟り』について調べたかったのだろう」
「へえ、ライナー君。調べてきたの!?」
「毎回振り回されているだけじゃ癪なのでね。ハチヤネ様の祟り。昔、この神殿に財宝があるという噂が広まって、何人かの若者がこの神殿を荒らし、壊してしまった」
「すると、その年の作物は歴史的な飢饉に見舞われた。それで、村人は慌てて修復して、崇め奉ったらしいね」
「それで、君はその財宝でも探そうとしたんだろ? まだ見つかった話は聞かないし」
「まあ──それもあったんだけどね」
相棒はちらりと前を見た。無数の、立ち入り禁止が書かれたテープ。聞くと、ちょっと前になにやら事件があったらしい。
「全く、間が悪いんだから」
はあと一つ溜め息をついた相棒は、くるりと踵を返して、帰ろうと言ってきた。
「なんだい。君にしては随分と素直に帰るじゃないか」
「さすがに国家権力に直接楯ついたりはしないよ。それに、推測の域は出ないのだけれど謎は大体、ね」
「解いているのか!? 財宝の手がかりを」
「まあ……」
「ぜひ聞かせてくれよ。君の考えを」
「推測の段階であまり話すものではないのだけれどね。まあ、どうせもう立証できないだろうし、いいか。与太話だと思って聞いてくれよ」
構わないと言うと、相棒は歩みの速度は変えないまま、語りはじめた。
「そもそもおかしいんだよ、ここの財宝の話は。財宝が眠っていると言う割には誰が、いつ、どこに、それらの情報が曖昧としすぎているんだ」
確かにそうだ。現に、それが今まで見つかっていない要因の一つと言えよう。
「別に、どれかが判然としてないだけならなんらおかしくはない。ただ、ここは全部だ。もともと誰のもの、ということさえよく分からない」
「ただ、話が昔からあるのは確かだよ。祟りの話も、史実だ」
「その前は」
「へ?」
「だから、その前だよ。祟りが起きるずっと前に、果たしてこの財宝伝説はあったのだろうか?」
「それは……どうなんだろうな」
「調べた結果、そんな話があったという証拠はなかった。つまり、あの財宝伝説は祟りが起きる直前に広まった可能性が高い」
「ほう」
すると、どういうことなのだろう。誰かが財宝があると突然言って、祠を壊して祟りが起きた。その言った人。それを仮に犯人とすると犯人はなぜそんなことを。その当時には確かな根拠があったのだろうか。
「いいかい。あの祟り話。誰を主体とするか。どちら起因となったかを変えるだけで、全く違った話になるんだ」
「どちらが起因となったか?」
「そう。つまり、祟りのせいで飢饉が起こったのではなく、その年に飢饉が起こると解っていて、それを祟りのせいにしたと考えるとどうなる?」
「え!? 一体何の為にさ」
「うーん。強いて言うなら矛先を変えるため、かな」
「へ? どういう……」
「まあ、与太話だし。後は君が考えな〜」
そう言って相棒は歩を進めてしまった。ちょっと待て、自分が作った与太話の落ちを他人に考えさせるな。
〈actA〉
「結局、飢饉は起こってしまったわね。それで、首尾はどうなの?」
「つつがなく、です」
「そう」
「彼らは神殿を壊したことによる神の怒りと考えて、怯えて暮らしていますよ」
「そう。それじゃ、神殿の復興に協力しようかしら。そうすれば不況での失業で職を失った人に一時的な職を与えられ経済も循環するし、民の信用も増すでしょう」
「へえ、あなたもそんな考え方。するんですね」
「何事も、利用するにこしたことはないのよ」
「そうですね。あ、そういえば」
「なに?」
「例の私が話を持ちかけて神殿を壊した若者達。村の人々に神様を鎮める為の生け贄にされたらしいです。なんでも、手足を引きちぎられて串刺しにしたとか」
「あら、それはお気の毒ね」
一言解説
密かに裏から手を回し、神殿を壊すことによって避けようもない飢饉による民の国への不満を、神への畏敬に向けさせた。
〈actA〉
これは、とある時代の、とある国の、とある王女の話。
「それで? どうにもならないの?」
「そうですねえ……」
目の前の白衣姿の青年は用紙片手にペンの後ろ先で頭をかいた。
「勿論やれることはやりますが、まあ今の技術じゃ無理でしょうね」
「そう」
私は一つ溜め息をついた。
実は新年早々、少し厄介な問題に突き当たっていた。
目の前の彼が言うには近年の天候の状況、これまでの作物の実り具合から見て、今年は百年に一度とも言えるくらいの酷い凶作になるというのだ。
本来はそんな馬鹿なと一笑に附したいところではあるが、彼の言う事だ。軽視することは出来ない。
それに今考えることはそれが起こりうるかどうかではない。彼は今年は土が生まれ変わる年だとか回帰するために必要だとか言っているが、私がそんなことを聞いてその信憑を確かめても仕様がないことだろう。今一番に考えることは、それが起こった際にどう対処するかだ。
一つのミスが命取りになるこの仕事。あらゆる場面を想定しなければいけない。
今年は凶作──。年貢の方は例年通り徴収すれば国の方は恙無く過ごせるであろう。
ただそうなると当然、そのしわ寄せは農民等の下位層にいく。
そして彼らの不満は私たちへ向く。
かといって変に年貢を減免させると国自体が立ち行かなくなる恐れも出てしまう。諸大臣、兵士達の方へしわ寄せが行き、情勢自体は年貢をどう採ろうがさして変わらないのである。
最初のしわ寄せがどこへ行くか。不満を持つのがどの層になるのか位の違いだ。
人は辛いこと、苦しいことがあるとその不満の矛先を誰かへ向ける。誰かを妬み、憎むことで自己を守り、力を得ることが出来るというのを私たちは本能的に知っているのかもしれない。憎しみというものは即席の燃料みたいなものなのだ。ただしその分、不純物も蓄積しやすい。
まあ要は、不満がこちらに来るのが問題な訳だ。
「んー。そのことを農民達にも説明したらなんとか納得してくれないかしら」
「それが難しいこと。あなたが一番お分かりではないでしょうか」
「だよねー。あんたの話よりだったらまだ神話の方が解りやすいわ」
ぶうとむくれる仕草を見せると、彼はあからさまに冷ややかな目線を向けてきた。ちょっとしたジョークじゃない。むぅ。
「──まあ、確かに。学のない彼らは神様を未だ盲信していますし」
「え? あなた、神様を信じていないの?」
「盲信、と言ったじゃないですか。私は違います」
「あらそう」
「それで、どうするおつもりで?」
彼が再び訊いてきた。ただ、今回の訊き方は私と方策を考えるものではなく、すでに私が考えていて、それを尋ねる訊き方であるように感じた。
「今から考えます」
「嘘」
「どうしてそう思うの?」
「だって、イタズラを仕掛ける前の顔、してますよ」
「あら」
思わず、頬に手を当てる。いつもと変わらないと思うのだが。そこまで表情に出ているのだろうか。
ああ、ダメね。もうちょっと隠せるようにならないと。
「それで、何を企んでいるのです?」
「そうねえ」
私は少し考える仕草をしながら、さっき頭に浮かんだ考えを言語化させた。
「神頼み、とかどうかしら?」
〈actB〉
これは、またとある時代の同じ場所での話
「やあ、見てよ。ライナー君。これがシルベリア神殿だよ」
「へえ。さすがに重要文化財なだけあって、厳粛な感じだね」
そうは言ったが、ライナーは少し拍子抜けしていた。確かにどこか厳かな雰囲気はするものの、思ったより……
「小さいね」
「え?」
「そうは思わないかい? ライナー君」
どうやら隣の相棒も同じようなことを思っていたようだ。ライナーはそうだな。と言って帽子ギュッとかぶり直した。
「まあ、ここは元々もっと小さな神殿だったんだろ?」
「うん。そう聞いている。ここは昔からここら一帯の土着神、ハチヤネ様と呼ばれる神様の住まいではあったらしい。だから小さいながらも地元の人たちから大切にされてきたらしいよ」
「ああ、話は聞いてるよ。それで、ここに来た理由も大体察しはついている。『ハチヤネ様の祟り』について調べたかったのだろう」
「へえ、ライナー君。調べてきたの!?」
「毎回振り回されているだけじゃ癪なのでね。ハチヤネ様の祟り。昔、この神殿に財宝があるという噂が広まって、何人かの若者がこの神殿を荒らし、壊してしまった」
「すると、その年の作物は歴史的な飢饉に見舞われた。それで、村人は慌てて修復して、崇め奉ったらしいね」
「それで、君はその財宝でも探そうとしたんだろ? まだ見つかった話は聞かないし」
「まあ──それもあったんだけどね」
相棒はちらりと前を見た。無数の、立ち入り禁止が書かれたテープ。聞くと、ちょっと前になにやら事件があったらしい。
「全く、間が悪いんだから」
はあと一つ溜め息をついた相棒は、くるりと踵を返して、帰ろうと言ってきた。
「なんだい。君にしては随分と素直に帰るじゃないか」
「さすがに国家権力に直接楯ついたりはしないよ。それに、推測の域は出ないのだけれど謎は大体、ね」
「解いているのか!? 財宝の手がかりを」
「まあ……」
「ぜひ聞かせてくれよ。君の考えを」
「推測の段階であまり話すものではないのだけれどね。まあ、どうせもう立証できないだろうし、いいか。与太話だと思って聞いてくれよ」
構わないと言うと、相棒は歩みの速度は変えないまま、語りはじめた。
「そもそもおかしいんだよ、ここの財宝の話は。財宝が眠っていると言う割には誰が、いつ、どこに、それらの情報が曖昧としすぎているんだ」
確かにそうだ。現に、それが今まで見つかっていない要因の一つと言えよう。
「別に、どれかが判然としてないだけならなんらおかしくはない。ただ、ここは全部だ。もともと誰のもの、ということさえよく分からない」
「ただ、話が昔からあるのは確かだよ。祟りの話も、史実だ」
「その前は」
「へ?」
「だから、その前だよ。祟りが起きるずっと前に、果たしてこの財宝伝説はあったのだろうか?」
「それは……どうなんだろうな」
「調べた結果、そんな話があったという証拠はなかった。つまり、あの財宝伝説は祟りが起きる直前に広まった可能性が高い」
「ほう」
すると、どういうことなのだろう。誰かが財宝があると突然言って、祠を壊して祟りが起きた。その言った人。それを仮に犯人とすると犯人はなぜそんなことを。その当時には確かな根拠があったのだろうか。
「いいかい。あの祟り話。誰を主体とするか。どちら起因となったかを変えるだけで、全く違った話になるんだ」
「どちらが起因となったか?」
「そう。つまり、祟りのせいで飢饉が起こったのではなく、その年に飢饉が起こると解っていて、それを祟りのせいにしたと考えるとどうなる?」
「え!? 一体何の為にさ」
「うーん。強いて言うなら矛先を変えるため、かな」
「へ? どういう……」
「まあ、与太話だし。後は君が考えな〜」
そう言って相棒は歩を進めてしまった。ちょっと待て、自分が作った与太話の落ちを他人に考えさせるな。
〈actA〉
「結局、飢饉は起こってしまったわね。それで、首尾はどうなの?」
「つつがなく、です」
「そう」
「彼らは神殿を壊したことによる神の怒りと考えて、怯えて暮らしていますよ」
「そう。それじゃ、神殿の復興に協力しようかしら。そうすれば不況での失業で職を失った人に一時的な職を与えられ経済も循環するし、民の信用も増すでしょう」
「へえ、あなたもそんな考え方。するんですね」
「何事も、利用するにこしたことはないのよ」
「そうですね。あ、そういえば」
「なに?」
「例の私が話を持ちかけて神殿を壊した若者達。村の人々に神様を鎮める為の生け贄にされたらしいです。なんでも、手足を引きちぎられて串刺しにしたとか」
「あら、それはお気の毒ね」
一言解説
密かに裏から手を回し、神殿を壊すことによって避けようもない飢饉による民の国への不満を、神への畏敬に向けさせた。
「ライト」「3ブックマーク」
ロンドンでのお話。
彼が明かりをつけると、彼の笑みは絶望へと変わりました。
家族に迷惑がかからないのがせめてもの救いか、と彼は静かに目を閉じるのでした。
彼は一体何を見たのでしょうか。
彼が明かりをつけると、彼の笑みは絶望へと変わりました。
家族に迷惑がかからないのがせめてもの救いか、と彼は静かに目を閉じるのでした。
彼は一体何を見たのでしょうか。
10年03月19日 17:25
【ウミガメのスープ】 [たられば]
【ウミガメのスープ】 [たられば]
解説を見る
土葬された人間が土の中で目を覚ます、という話があります。
心配性の彼は、棺桶に緊急連絡用の携帯電話を入れるよう、家族に言っていました。
そして彼の心臓が止まり、埋葬が終わった後にそのときは来ました。
暗く狭い棺桶の中で目を覚ました彼は、恐慌状態になりかけました。
それでも、家族の手によって握らされた携帯電話に気づき、液晶画面の明かりで落ち着きを取り戻すことができました。
心配性というのも、いざという時はやはり役に立つものだな。自然と笑みもこぼれます。
しかし、いざ家族に電話をかけようと改めて画面を見た彼は絶望しました。
『No Service(圏外)』
家族も彼が息を吹ドンッ返したガリガリて知らないですし、棺桶の中で死ガリガリなら葬式いらずですよね。
決して家族に迷惑はガガリガリません。彼は静ドンッに目を閉じるのでした。ガリガリガリ……
めでたしめでたし。
「なあ、知ってるか? ここの墓地。最近夜な夜なうめき声が聞こえるんだってさ」
「えー、なにそれ。怖ーい」
心配性の彼は、棺桶に緊急連絡用の携帯電話を入れるよう、家族に言っていました。
そして彼の心臓が止まり、埋葬が終わった後にそのときは来ました。
暗く狭い棺桶の中で目を覚ました彼は、恐慌状態になりかけました。
それでも、家族の手によって握らされた携帯電話に気づき、液晶画面の明かりで落ち着きを取り戻すことができました。
心配性というのも、いざという時はやはり役に立つものだな。自然と笑みもこぼれます。
しかし、いざ家族に電話をかけようと改めて画面を見た彼は絶望しました。
『No Service(圏外)』
家族も彼が息を吹ドンッ返したガリガリて知らないですし、棺桶の中で死ガリガリなら葬式いらずですよね。
決して家族に迷惑はガガリガリません。彼は静ドンッに目を閉じるのでした。ガリガリガリ……
めでたしめでたし。
「なあ、知ってるか? ここの墓地。最近夜な夜なうめき声が聞こえるんだってさ」
「えー、なにそれ。怖ーい」
「さぁ扉を開けて、冒険をいま始めよう」「3ブックマーク」
僕の名前はカメオ~(´・ω・`)
教室の中にいるんだけどドアも窓も開かなくて困っているんだ。
僕をここから出してくれないかな?
教室の中にいるんだけどドアも窓も開かなくて困っているんだ。
僕をここから出してくれないかな?
15年10月04日 23:19
【亀夫君問題】 [天童 魔子]
【亀夫君問題】 [天童 魔子]
解説を見る
全部僕の妄想・・・・?
世界はゾンビだらけの世界になっていただって?!
でも食糧も水もないし僕はここから出たいんだ~~
えっ?#red#僕の妄想力でゾンビになって#/red#ゾンビのふりをすれば良いって・・・・『君たち』がそういうなら僕やってみるよ!
こうして開かない扉はカメオ自らの手によって開かれた。
#b#次のニュースです#/b#
#b#今日正午ごろ精神病棟に精神病患者が立てこもり事件を起こし#/b#(手の跡はカメオ自身の物)
#b#職員が説得しますが突如カメオ容疑者が飛び出すと#/b#
#b#いきなり訳の分からない事を言って職人数人を噛みつきました。#/b#
#b#錯乱状態である可能性が極めて濃厚なのです。#/b#
#big5#良く分かる解説:全てカメオの妄想なのです。#/big5#
世界はゾンビだらけの世界になっていただって?!
でも食糧も水もないし僕はここから出たいんだ~~
えっ?#red#僕の妄想力でゾンビになって#/red#ゾンビのふりをすれば良いって・・・・『君たち』がそういうなら僕やってみるよ!
こうして開かない扉はカメオ自らの手によって開かれた。
#b#次のニュースです#/b#
#b#今日正午ごろ精神病棟に精神病患者が立てこもり事件を起こし#/b#(手の跡はカメオ自身の物)
#b#職員が説得しますが突如カメオ容疑者が飛び出すと#/b#
#b#いきなり訳の分からない事を言って職人数人を噛みつきました。#/b#
#b#錯乱状態である可能性が極めて濃厚なのです。#/b#
#big5#良く分かる解説:全てカメオの妄想なのです。#/big5#
「Snug eagle eye」「3ブックマーク」
とある国の国境に砦あった。
そこには、仲間内で大層嫌われている警備隊長がいる。
しかし、この隊長は外回りから砦へ戻った兵士を必ず出迎え、
肩を叩いて労うことを欠かさないという、傍から見れば好人物なのである。
警備隊員曰く、この出向かえが最も陰湿な行為だ。と言うのだが、それは何故だろうか?
そこには、仲間内で大層嫌われている警備隊長がいる。
しかし、この隊長は外回りから砦へ戻った兵士を必ず出迎え、
肩を叩いて労うことを欠かさないという、傍から見れば好人物なのである。
警備隊員曰く、この出向かえが最も陰湿な行為だ。と言うのだが、それは何故だろうか?
12年12月11日 20:23
【ウミガメのスープ】 [(棒)]
【ウミガメのスープ】 [(棒)]
一言コメント欄
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砦の場所が問題だった。
山脈に沿って国境線が引かれたため、山の頂上付近に砦が立てられたのだが、
当然、国境監視のためには外に出て、巡回する必要があった。
季節によっては、外は冷凍庫の様な温度になる。さらに、周囲には明かりが少なく夜は足元も覚束無い。
そんな状態で砦から離れ、少人数で歩き続けなければならない巡回は、
精神的にも肉体的にも大きな負担を強いるものだった。
隊員の中にサボる者が出るのも頷ける。しかし、隊長としてはそれを看過する訳にはいかない。
砦に戻った兵、一人一人の肩や背中に手を当てながら、
「危険な任務、大義だった!」
「よくぞ無事戻った!」
そんな言葉をかけながら、軍服の温度を確認する。
砦の近くで篝火に当たり時間を潰しただけの者。
警備中に、呑気にたき火で暖を取り、警邏ルートに痕跡を残した者。
そういった、服が暖かい者へは、厳罰が下された。
ちなみに、この隊長は味方だけでなく敵からも、大変な嫌われようだった。
隊長が嫌われる理由はただ一つ。
他人の隙を突く才能を、相手を選ばず発揮するからだ。
了
山脈に沿って国境線が引かれたため、山の頂上付近に砦が立てられたのだが、
当然、国境監視のためには外に出て、巡回する必要があった。
季節によっては、外は冷凍庫の様な温度になる。さらに、周囲には明かりが少なく夜は足元も覚束無い。
そんな状態で砦から離れ、少人数で歩き続けなければならない巡回は、
精神的にも肉体的にも大きな負担を強いるものだった。
隊員の中にサボる者が出るのも頷ける。しかし、隊長としてはそれを看過する訳にはいかない。
砦に戻った兵、一人一人の肩や背中に手を当てながら、
「危険な任務、大義だった!」
「よくぞ無事戻った!」
そんな言葉をかけながら、軍服の温度を確認する。
砦の近くで篝火に当たり時間を潰しただけの者。
警備中に、呑気にたき火で暖を取り、警邏ルートに痕跡を残した者。
そういった、服が暖かい者へは、厳罰が下された。
ちなみに、この隊長は味方だけでなく敵からも、大変な嫌われようだった。
隊長が嫌われる理由はただ一つ。
他人の隙を突く才能を、相手を選ばず発揮するからだ。
了
「All I Want For Mylife Is You.」「3ブックマーク」
それは、初雪の降り続く、珍しいクリスマスの日の事。
バートは、彼女のラルにプロポーズするため、デートの後、ある場所へと誘うことを決めた。
――かつて賑わっていたゴーストタウン。
そこでは、止まっている時計が、訪れる人たちに、言葉にしがたい感傷を与えていた。
他に街にあるものといえば、無人の教会や店、民家くらいだろうか。
まさしく何もないそんな場所を、ましてやクリスマスの日に訪れる観光客はおらず、時の止まった街に、まさにバートたち二人だけ。
その後、バートはそこで見事、プロポーズに成功し、めでたくラルと結ばれることとなる。
ずっと後に、彼女はこう語る。
「私たちの後も本当に、あそこで結ばれた恋人たちがいるとしたら、それは素晴らしいことよね」
さてこの日、バートはなぜ、わざわざゴーストタウンでプロポーズすることにしたのだろう?
※元ネタが想像つく方がいらっしゃいましたら、途中までは観戦しておいてもらえるとうれしいです♪
また、SPはディダムズさんにしていただきました。丁寧に指導いただけたおかげで、出題に至れました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
バートは、彼女のラルにプロポーズするため、デートの後、ある場所へと誘うことを決めた。
――かつて賑わっていたゴーストタウン。
そこでは、止まっている時計が、訪れる人たちに、言葉にしがたい感傷を与えていた。
他に街にあるものといえば、無人の教会や店、民家くらいだろうか。
まさしく何もないそんな場所を、ましてやクリスマスの日に訪れる観光客はおらず、時の止まった街に、まさにバートたち二人だけ。
その後、バートはそこで見事、プロポーズに成功し、めでたくラルと結ばれることとなる。
ずっと後に、彼女はこう語る。
「私たちの後も本当に、あそこで結ばれた恋人たちがいるとしたら、それは素晴らしいことよね」
さてこの日、バートはなぜ、わざわざゴーストタウンでプロポーズすることにしたのだろう?
※元ネタが想像つく方がいらっしゃいましたら、途中までは観戦しておいてもらえるとうれしいです♪
また、SPはディダムズさんにしていただきました。丁寧に指導いただけたおかげで、出題に至れました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
13年12月17日 23:01
【ウミガメのスープ】 [ほうたる]
【ウミガメのスープ】 [ほうたる]
初出題!緊張した……。ディダムズさん、SPありがとうございました!
解説を見る
男は待ち合わせていた彼女と合流し、しばらくクリスマスを楽しんだ後の夕方、とあるゴーストタウンへと向かった。
もちろん電車やバスもなく、地図を頼りに車で約1時間。
昨日から降り続いていた初雪は、その勢いは落としつつも、やむことなく街を覆っていた。
クリスマスということもあり、夜景もさほど綺麗じゃないこの街に、わざわざやって来るような人はいないのだろう。普通は。閑散としたゴーストタウンは、まるで世界に二人だけしかいないかのような錯覚を与える。
「よし、やっぱり動いてるな。」
実はこの前、ここの下見に来ていた男は、予想通り、かつて止まっていた時計台が動いているのを見て、小さく拳を握りしめた。
下見に来たとき、男はこの時計台が動かない理由は、時計の針の部分が錆びついて、歯車がうまく回っていないからだと知った。人のいない時計塔は、入る者を拒まない。
また、この地方で雪が降ることは滅多にない。今年は例年よりかなり寒かったため、12月にも関わらずこの天候。今年はあちこちで珍しい雪景色を楽しめそうだ。
そしてこの街の時計台に話は戻る。時計は「9:12」を指して止まっていたのだが、その文字盤と金属製の針との間に雪が積もってゆき、その重力に錆び付いた部分が耐えきれず、やがてゆっくりと回り出す。
勿論いつか動力が尽きて止まるだろうし、時間も狂ってるだろうから、男は賭けに勝ったと言えるだろう。
そしてこの街には、マイナーだが、とある伝説がある。
ーー「時計台の鐘が鳴るのを聞いた恋人たちは、ずっと離れることなく、幸せになれる」 と。
神秘的な雰囲気のある街ゆえに、そういった言い伝えも真実味があるというもの。
たまたまそのことを知っていたバートはどうにかして時計台を動かし、ここでプロポーズしたいと考えていた。
そして今日、絶好の機会が訪れた、というわけだ。
「へー、ここ、ホントに誰もいないね。確かに景色はまあまあ綺麗だけど、なんでこんなところに来たかったの?」
時は夕方5時過ぎくらい。日はもう沈みかかっている。
彼は少し微笑んでこう言った。
「ここには、ある言い伝えが残ってるんだ。あの時計台のところまで行ってみればわかるよ。時間がない、急ごう!」
少し離れたここからでも読み取れるような、文字盤の大きな時計台。
それは止まることなく動き続け、5:54と、実際とは少しズレだ時間を示している。
彼は彼女の腕をつかんで走り出した。
怪訝そうな顔をしつつも、彼についていく彼女。
息を切らした男が、時計台の文字盤を確認すると、時刻は午後5時59分。
そしてまた、この時計台が鳴るのは、朝と夕方の6時と書かれていた。
「間に合った……。今日は楽しかった?」
「勿論! これからどうするのか、はわからないけどね。」
「僕も楽しかったよ。でさ、ここにまつわる言い伝えなんだけど……」
そして、彼女が驚いた顔で文字盤を見上げると同時に。
――ゴーン……ゴーン……
長い間時を止めていた時計台は、荘厳な鐘の音を、街中に響かせた。
「これ、僕からのクリスマスプレゼント。それで、さ。これからも一生、ずっとお前と一緒にいさせてくれないか?」
驚いた顔で、でも涙を浮かべて笑いながら指輪を受け取った彼女の姿は、彼の記憶から消えることはないだろう。
夕暮れと初雪が包む街の中で、二人の影がそっと、重なった。
時は流れ、二人とも年をとったあるクリスマスの日のこと。
「ねえあなた、私にプロポーズした時のこと覚えてる?」
「うん、もちろんさ。」
「あの時教えてくれた言い伝え、作り話なんかじゃなかったわね、私今まであなたと居れて幸せだったよ」
あの後、あそこで結ばれた恋人たちは他にいるのだろうか。
あそこの縁結びの伝説は、かなり効果があるみたいだぞ、と、沈む夕日を見上げながら、彼はそう、心の中で呟いた。[
もちろん電車やバスもなく、地図を頼りに車で約1時間。
昨日から降り続いていた初雪は、その勢いは落としつつも、やむことなく街を覆っていた。
クリスマスということもあり、夜景もさほど綺麗じゃないこの街に、わざわざやって来るような人はいないのだろう。普通は。閑散としたゴーストタウンは、まるで世界に二人だけしかいないかのような錯覚を与える。
「よし、やっぱり動いてるな。」
実はこの前、ここの下見に来ていた男は、予想通り、かつて止まっていた時計台が動いているのを見て、小さく拳を握りしめた。
下見に来たとき、男はこの時計台が動かない理由は、時計の針の部分が錆びついて、歯車がうまく回っていないからだと知った。人のいない時計塔は、入る者を拒まない。
また、この地方で雪が降ることは滅多にない。今年は例年よりかなり寒かったため、12月にも関わらずこの天候。今年はあちこちで珍しい雪景色を楽しめそうだ。
そしてこの街の時計台に話は戻る。時計は「9:12」を指して止まっていたのだが、その文字盤と金属製の針との間に雪が積もってゆき、その重力に錆び付いた部分が耐えきれず、やがてゆっくりと回り出す。
勿論いつか動力が尽きて止まるだろうし、時間も狂ってるだろうから、男は賭けに勝ったと言えるだろう。
そしてこの街には、マイナーだが、とある伝説がある。
ーー「時計台の鐘が鳴るのを聞いた恋人たちは、ずっと離れることなく、幸せになれる」 と。
神秘的な雰囲気のある街ゆえに、そういった言い伝えも真実味があるというもの。
たまたまそのことを知っていたバートはどうにかして時計台を動かし、ここでプロポーズしたいと考えていた。
そして今日、絶好の機会が訪れた、というわけだ。
「へー、ここ、ホントに誰もいないね。確かに景色はまあまあ綺麗だけど、なんでこんなところに来たかったの?」
時は夕方5時過ぎくらい。日はもう沈みかかっている。
彼は少し微笑んでこう言った。
「ここには、ある言い伝えが残ってるんだ。あの時計台のところまで行ってみればわかるよ。時間がない、急ごう!」
少し離れたここからでも読み取れるような、文字盤の大きな時計台。
それは止まることなく動き続け、5:54と、実際とは少しズレだ時間を示している。
彼は彼女の腕をつかんで走り出した。
怪訝そうな顔をしつつも、彼についていく彼女。
息を切らした男が、時計台の文字盤を確認すると、時刻は午後5時59分。
そしてまた、この時計台が鳴るのは、朝と夕方の6時と書かれていた。
「間に合った……。今日は楽しかった?」
「勿論! これからどうするのか、はわからないけどね。」
「僕も楽しかったよ。でさ、ここにまつわる言い伝えなんだけど……」
そして、彼女が驚いた顔で文字盤を見上げると同時に。
――ゴーン……ゴーン……
長い間時を止めていた時計台は、荘厳な鐘の音を、街中に響かせた。
「これ、僕からのクリスマスプレゼント。それで、さ。これからも一生、ずっとお前と一緒にいさせてくれないか?」
驚いた顔で、でも涙を浮かべて笑いながら指輪を受け取った彼女の姿は、彼の記憶から消えることはないだろう。
夕暮れと初雪が包む街の中で、二人の影がそっと、重なった。
時は流れ、二人とも年をとったあるクリスマスの日のこと。
「ねえあなた、私にプロポーズした時のこと覚えてる?」
「うん、もちろんさ。」
「あの時教えてくれた言い伝え、作り話なんかじゃなかったわね、私今まであなたと居れて幸せだったよ」
あの後、あそこで結ばれた恋人たちは他にいるのだろうか。
あそこの縁結びの伝説は、かなり効果があるみたいだぞ、と、沈む夕日を見上げながら、彼はそう、心の中で呟いた。[