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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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魔女と鏡「3ブックマーク」
ある国を治める女王には、2つの誇りに思っていることがありました。1つは自分自身の美貌、そしてもう1つは真実を教えてくれる魔法の鏡です。
「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだあれ?」
女王が尋ねると、鏡は答えます。
「世界で一番美しいのは、女王様です」
女王は、鏡の答えを聞くと、満足して嬉しそうに高笑いしました。

そして、ある日のこと。
「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだあれ?」
女王が尋ねると、
「世界で一番美しいのは、白雪姫です」
鏡が返したのは、いつもとは違う答えでした。
ところが、女王はいつも通り、ひどく満足そうに高笑いしました。

女王は自身の美貌に誇りを持っていましたから、自分が一番でないことはひどく許しがたいはずですが……一体なぜ?
16年09月18日 21:19
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]



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女王様は、ある重大な事実を勘違いしていました。
それは、魔法の鏡の特性について。女王は、魔法の鏡は真実を【映し出し】【喋って】くれるものだと思っていましたが、実は魔法の鏡は真実を【喋る】だけのものだったのです。
でも、その勘違いが正されることはありませんでした。
なぜなら、女王様が魔法の鏡に尋ねたのは、ずうっと「世界で一番美しいのは誰か」という質問だけで、その答えもずうっと女王様だったからです。
幾星霜を経て、女王様も年を取り、年齢だけならおばあさんと呼んでも差し支えないほどになりました。必死のアンチエイジングの結果、顔はさほど衰えませんでしたが、他の場所はそうもいきません。老眼で近くのものもよく見えませんし、見た目だけは白くてピカピカの歯もリンゴをかじることさえできませんし、足はガクガク、腰もいつも痛いですし、耳も、近くから大声で言ってくれないと何も聞き取れないほどに遠くなってしまいました。
それでも、女王様は鏡に尋ねます。
「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだあれ?」
鏡は答えます。
「世界で一番美しいのは、白雪姫です」
でも、その答えは、女王様の耳には届きません。彼女に分かるのは、鏡に自分の姿が映っているということだけ。
でも、女王様にはそれで充分なのです。なぜなら、彼女にとって魔法の鏡は、実を【映し出し】【喋って】くれるものなのですから。
そうして、女王様は、世界で一番美しい者として映し出された自分の姿に満足し、いつものように高笑いをするのでした。

「まさに「聞く耳を持たない」って奴ですね。でもまあ、それもあの人にとっては幸せなのかも。毎日鏡見て笑ってるせいか、顔だけは未だにかなり若いし。……七十歳過ぎて、未だに世界で白雪姫の次に美しいとか、最早魔女でしょ。はあ。できたら話をきいてくれる新しい主が欲しいなー」
鏡の独り言は、誰に聞かれることもなく、女王の高笑いの中にかき消えてゆきました。
恐怖の旅行「3ブックマーク」
私はクリスマスから年末にかけて,彼氏と旅行に行きました。
年明け,旅行から帰ってきてまずは手洗いうがい,と蛇口を捻って手を洗いました。

そのとき,私はあることに気付き,恐怖しました。

一体何に気付いたのでしょうか。
16年04月21日 16:35
【ウミガメのスープ】 [蓮華]



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私は北海道の,とくに寒い地方に住んでいます。
旅行が楽しみで,旅行に行く前にやらなければいけない水抜きを忘れてしまいました。
特に寒いこの時期,数日も家に居なければ水道管は凍ってしまいます。
蛇口をひねって水が出てきたということは,私の留守中に誰かがこの家で生活していた,ということで…

ガチャガチャッ(鍵の開く音)
催眠術「3ブックマーク」
カメオはカメコと向かい合っていたが、突然振り返り、後ろにいた奴らに向かって得物を取り出した。
カメオは得物を懸命に振り回したが、奴らの行動によってカメコは眠らされてしまった。

状況を説明してください。
16年04月26日 20:27
【ウミガメのスープ】 [蓮華]



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カメオは指揮者だった。
オーケストラの素晴らしい演奏で、日頃のストレスで張り詰めていたカメコはリラックスし、ぐっすりと眠ったのであった
カバン返して!「3ブックマーク」
最近、妹は私を心配して送り迎えをしてくれる。
ある日、妹は私のお気に入りのカバンを勝手に持って出て行った。
カバンを返してもらったあと、赤くなった私は部屋に入り、扉を閉めた。

状況を説明してください。
16年05月11日 21:44
【ウミガメのスープ】 [蓮華]



解説を見る
妹に相談しなければ良かったのかもしれない。
覚悟を決めながら、私はアパートへ向かった。


私が高校生のときに両親が事故で他界してから、私は妹の芯の強さに何度も支えられた。
夜道をつけられている気がすると相談してからは、妹は仕事帰りの私を最寄駅まで毎日迎えに来てくれた。
そんなある日、妹は私そっくりの髪型で、私のカバンを持って出かけた。
そのときは、男勝りな妹のことだし、私のフリをしてストーカーが本当に居るか確かめに行くのだろう、程度にしか考えていなかった。
しかし、翌日になっても連絡はつかず、妹は帰ってこなかった。
後日、妹の遺体が発見され、私は遺品を受け取った。ストーカーに殺害されたであろうことは容易に想像がついた。
妹が握りしめていたというキーホルダー、それは私が以前付き合っていた男性にプレゼントした、私の手作りの物だった。
刑事の「心当たりはありますか?」という質問に対し、無いと答えた私はすぐに家に帰った。
ダイイングメッセージを残してくれた、妹の復讐をするために。


そこは閑静なアパートだった。
扉を開けた彼は殺したはずの「私」を見て驚いたようだったが、すぐに私ともども血まみれになった。
私は扉を閉め、彼が妹を殺したこと、私が彼を殺したことを書き残し、
妹に会いに行くため、みずからの首へ刃物を突き立てた。

SPはディダムズさんです。ありがとうございました。
最後のポエティック「3ブックマーク」
カメオは見覚えのない真っ白な部屋の中にいた。するとカメオの前にさらに見覚えのない女がやってきて、唐突にカメオは残り3ヶ月で死ぬ命だと予言した。
しかし女の予言は大きく外れ、カメオはその半年後に息を引き取った。そして女はカメオの死を深く悼んだ。

状況を説明してください。
17年10月30日 21:06
【ウミガメのスープ】 [ゆきも]

最後はちょっと長文で。ご参加ありがとうございました!




解説を見る
#b#簡易解説:カメオと女(ウミコ)は恋人同士だったが、カメオは事故に遭って恋人の記憶を失う。ウミコはカメオの本来の余命である半年より短く、3ヶ月と伝えることでカメオに生きる希望を持たせようとした。しかしカメオは本来の余命通りに死亡したので、恋人であるウミコは深く悲しんだ#/b#

正解条件
1、カメオと女がもともと親しい仲であったことを明らかにする。
2、カメオが事故に遭い記憶喪失になったことを明らかにする。
3、カメオの余命は元々半年であったが、ウミコはそれを偽って3ヶ月と伝えたことを明らかにする。


以下長文解説。


「○○病院まで急いでください!早く!」

ウミコはタクシーに乗り込むなり運転手を急かした。恋人のカメオが事故に遭い、病院に運び込まれたと言うのだ。
カメオからプロポーズを受けたばかりのウミコ、二人は家族も公認の非常に仲のいいカップルだった。カメオの両親から連絡を受けたウミコは、祈る思いで病院への到着を待った。

【○○病院】
「……ここ、どこだ……?」
「カメオ!よかった、目が覚めたのね!」
「母さ……?い、痛っ……」
「母さん、カメオは大怪我をしているんだぞ!傷に響いてしまうじゃないか」

泣き腫らした顔の母親に抱き締められたカメオは、全身に痛みが走ることに気がついた。見たことのない真っ白な天井、泣いている母親、全身の痛み。わけがわからない状態だった。

「父さん、ここはどこ?」
「ここは病院だ。お前は買い物に出た先で交通事故に遭ったんだ。なんとか一命は取り留めたが……」

父が言いかけたところで看護師が部屋を覗き込み、両親を呼んだ。カメオはいまいち状況が把握できないままきょろきょろと視線を動かすと、サイドボードに小さな箱が置いてあることに気づいた。しかし身体が動かせないため中身の確認はできない。どうしてこんなことになってしまったのだろうと思いながら、カメオは両親の帰りを待つことにした。

【診察室】
息も切れ切れに駆けつけたウミコはカメオの両親とともに診察室へ入った。そこで聞かされたのは衝撃の事実だった。

「嘘でしょう……そんなことって……!!」

母親が泣き崩れた。父親も母親に寄り添ってはいるが、時折鼻を啜る音が聞こえた。ウミコといえば、ただ呆然と立ち尽くしている。医者はこう言った。

「事故の際、頭を非常に強く打ち付けており脳や臓器の重要な部分が多数損傷していて、障害がいくつも出ています。脳や臓器にもう治療できない部分があり……申しあげにくいのですが、手の施しようがありません。意識があって会話できるのが奇跡的なほどです。延命治療を施しても余命は4ヶ月……もって半年ほどでしょう。」

そんなことってあるのだろうか?半年?半年後には私たちは結婚して、幸せに暮らしているはずだったのに。カメオがあと半年で死んでしまう……?
混乱するウミコに、父親が涙声で語りかけた。

「ウミコちゃん、まだカメオに会いに行っていないだろう?行ってやってくれ……余命を伝えるかについては、酷かもしれないが君に任せる。カメオはもう、君の夫だよ」

肩を優しく叩かれそうかけられた言葉。ウミコは父に一言礼を述べると、弾かれたように診察室を飛び出し、カメオの病室へ向かった。


【カメオの病室】
カメオの病室に入ったウミコは、またしても衝撃的な言葉を聞いてしまう。

「あの、どなたですか?」

いきなり現れたウミコに対し、カメオは困惑したようにそう言った。誰か分からない、そう言ったのだ。その時、ウミコの頭には医者の言葉が思い出されていた。
『頭を強く打ち付けており…』『脳に損傷が…』『障害がいくつも…』
ああ、そうか。簡単に合点が行く。
カメオは、ウミコのことを忘れてしまったのだ。
ウミコは泣きそうなのを堪え、おどけるように微笑み震える声で言った。

「あのね、私にはあなたの寿命がわかるの。あなたはあと3ヶ月で死んでしまうのよ。」
「は?あなた急に何を言ってるんですか……?医者じゃないですよね?」

訝しげなカメオに、ウミコは嘘をついた。それはカメオを思ってのことでもあり、自分のためでもあった。本当は彼は半年しか生きられない。信じるかは別として3ヶ月と言っておけば、カメオは余命よりも長く生きられたことによって生きる希望を持てるであろうし、それによって回復が見込める状態になる可能性があるかもしれない。
もし宣告通りになるとしても、その間にウミコは心の整理をつける。それがウミコの辛苦の決断であった。

ふとウミコがサイドボードに視線をやる。そこに乗っているのは小さな二つの箱。歩み寄って開けてみると、中には指輪が一つずつ。シンプルな作りのそれはエンゲージリングだった。ウミコはそれをとっさに鞄にしまい、混乱するカメオに振り返った。

「忘れてしまったみたいだけど、あなたが事故に会う前、私とあなたは結構仲が良かったの。事故に遭ったって聞いてお見舞いに来たんだ、混乱させてごめんね。」
「あ……そうなんですか。すみませんが全然覚えていなくて……。あと、寿命って?」
「敬語じゃなくていいよ。寿命っていうのは、さっきご両親と一緒に担当医にお話を聞かせてもらったの。先に伝えておくようにってご両親がね。あとで担当医からも説明があるはずよ」
「えっと、父さんと母さんは…?あとあなた、俺の余命まで聞いてるんですか?俺とどういう関係だったんですか?」
「ちょっと、質問責めにしないで!ご両親は今ちょっと休憩してる。名乗ってなくてごめんね、私はウミコ!呼び捨てでいいよ、改めて…よろしくね。」
「ウミコさん……ウミコ…?…覚えてなくて本当にごめん。こちらこそよろしく。」

ウミコは改めてカメオが事故に遭ったこと、医者から説明されたこと、余命のこと、二人のことをカメオに語った。ただ、本当の余命が半年であること、二人が恋人であったことだけは隠して。
ただでさえ事故や余命を伝えたことでショックを受けているところを、さらに混乱させてしまうことは避けたい。そして何より、 恋人であったことを伝えることは、ウミコにとっても確実につらい道になることが分かっていたから。

「俺、本当にあと3ヶ月で死んじゃうのか……?」

呟くようなカメオの言葉に、ウミコは唇を噛み締めてまた込み上げてきそうな涙を堪えた。カメオの前では泣かない、不審に思われたくないし、不安にさせたくないから。
病室から出たウミコはカメオの両親と医者に事の顛末を伝え、病室に向かう二人を見送ってからひとり、病院の廊下で泣き崩れた。



それから。ウミコは毎日カメオの元に通った。当然のように二人はすぐに打ち解け、ウミコは動くこともできないカメオの世話を甲斐甲斐しく焼き、会話の相手になった。カメオと元の恋人同士であった時ほどではないが、二人は仲睦まじく残りの時間を過ごしている。刻一刻と迫るような、何気ないような日々が過ぎていくそんなある日、ぽつりとカメオが漏らした言葉。

「あぁ、ウミコが俺の恋人だったらよかったのになぁ……」
「…ん?何か言った?」
「……いや!なんでもない!」

何か言った?なんて嘘だった。ウミコは聞こえないフリをしたのだ。だってまた泣きそうになってしまうから。恋人じゃない、家族でもない、ただの親友よりは仲がいい。そんな不思議な関係に偽ったまま、タイムリミットの半年は刻々と過ぎてゆく。二人の心は少しずつ軋んでゆく。私は本当にこんなことがしたかったのか?ウミコの心は薄暗い靄に包まれたが、口には出せぬまま日々は流れた。

そしてウミコの余命宣告の3ヶ月を過ぎカメオがまだ生きていたその日、カメオとウミコは手を取り合って喜んだ。余命なんか乗り越えてやる、俺は生きてやると息巻くカメオの姿を見て、ウミコは自らの決断は間違いではなかったと思った。カメオがここまで喜んでくれるならそれでいい。いずれ訪れる死まで希望が見出せるならそれでいいではないか。心中に立ち込める暗雲を振り払い、ウミコは変わらぬ毎日が送れるよう、心の二律背反と葛藤しながら介護に尽力した。カメオの灯火が消えてしまうその日まで。

そして。そう、事故から半年ほど経った頃だろうか。いつも通り病院を訪れたウミコの前には、今にも途絶えそうな呼吸のカメオがいた。ウミコは半泣きになりながら慌ててナースコールを押し、浅く息を吐くカメオを懸命に励ました。
「大丈夫、絶対助かるから!」
「すぐにお医者さんが来てなんとかしてくれるから!」
カメオはそんなウミコの言葉を一つも信じやしなかった。自分はもう死ぬ、既にそう悟っていたからだ。

「なあ…ウミコ…俺さぁ…言われてたより、倍も生きられたんだ…すごい、よな」
「無理に喋らないで!なんとかなるわ!私がついているから!」
「なぁ…お前は教えてくれなかったけど、きっと俺はお前のこと好きだったよ…そうだろ?」

そう言われて、ウミコは握ったカメオの手を離し、急いでカバンを探った。その手にはいつか見た小さな二つの箱。発端である事故の日カメオが二人のために買った、永遠を誓う指輪。中には男女ペアのエンゲージリングが一つずつ。ウミコはカメオの指に指輪を嵌め、震えるカメオの手に指輪をなんとか持たせて自分の指に嵌めた。そのリングは結婚指輪ではなく婚約指輪だったが、それはまるで結婚式で執り行われる指輪交換のように。

「そう、そうだよ、私たちは婚約者だった。そして今私たちは指輪の交換で結ばれたの。私たちはこれから夫婦になるのよ。カメオ、愛してる。お願いだから一緒に生きて、お願いだから…」
「ごめんなぁ…ウミコ…ありがとう…最期に、こんな…おれから、言い出せなくてごめん…ウミコ、おれも、おまえのこと…あい…」

ピーーーーー。
カメオのか細い声を、心肺停止を知らせる心電図の音が切り裂いた。かくんと力が抜け、カメオの手はするりとウミコの手のひらからこぼれ落ちる。安らかに微笑んだまま、カメオは生涯の幕を閉じた。伏せ切らぬ瞼からは幾筋の涙が零れ頬を濡らしている。ウミコはまだ温もりの残るカメオの手を再び握り、その穏やかな顔を眺め、ただ静かにはらはらと涙を流した。

ごめんね、たくさん嘘をついて。
ごめんね、何もしてあげられなくて。
ごめんね、最後まで本当のことを言ってあげられなくて。
ごめんね、共に生きることができなくて。
ごめんね、共に死ぬことさえできなくて。

泣き腫らす女と、少しずつ冷えて硬直していく男の身体。二人の繋がれた手には揃いの指輪。
永遠を誓う一つだけの輝きが、そこには確かにあったのだ。