「消せない違和感」「3ブックマーク」
ある日、ユウトが学校へ行くと、話したこともない男子が親しげに話しかけてきた。
彼はユウトに対し、妙に馴れ馴れしかった。
また別の日、ある女子がユウトによくわからないことを言ってきた。
このような出来事がユウトの身に頻繁に起きたが、ある日を境になくなった。
そして後日、ユウトはトロフィを見て笑みを浮かべていた。
どういうことだろう?
ある小学校の合唱部で#red#臨時講師をしていた勇気#/red#は、次回のコンクールで優勝しよう、
と児童たち共々意気込み、日々の指導に当たっていた。
しかしある日、人間ドックを受けた勇気は、早期癌が発見されたと告げられる。
近日中の#red#手術と入院が決定してしまった勇気#/red#は、自分が指導している合唱部が気がかりで仕方なかった。
コンクールは約1カ月後にまで迫っている。
自分が最後まで責任もって指導するつもりでいたのだ、今更別の誰かに指導をたくすというのも納得がいかない。
かといって手術を送らせるわけにもいかない。
散々頭を悩ませた末、勇気はある妥協案に思い至った。
『ユウトになら任せられる』 そう勇気は思った。
#red#ユウトは勇気の双子の兄#/red#である。勇気とユウトは同じ音大で声楽を専攻していた。
勇気と同じく、ユウトもまた社会人の合唱団などで指導にあたっている。
兄弟ながら、同じ学び舎で共にライバルとして競い合った仲だ、実力も指導力も十分に信頼できる。
そう考えた勇気は#red#ユウトに指導の代理を依頼#/red#した。
勇気の申し出を快諾したユウトは、小学校へと向かった。
合唱部の部室へ行くと、わらわらと寄って来た#red#児童たち#/red#から口々に「勇気さん」と名を呼ばれた。
#red#自分を勇気と思いこんでいる#/red#のか、自己紹介をする間もなく次々に「勇気」として話しをふられてしまう。
ユウトとしては、初めて顔を合わせた子供たちが、
まるでユウトがとても親しい人であるかのように話しかけてくるという奇妙な状況であった。
「自分は、勇気の双子の兄弟で“ユウト”だ」と切り出すタイミングが掴めなかった#red#ユウト#/red#は、
段々と#red#これはこれで面白い#/red#かと思い始めていた。
寧ろ、新たにやって来た指導者としてまた一から信頼関係を築き合うより、
はじめから“ここに居た人間”として子供たちに受け入れてもらった方がスムーズに指導できるんじゃないだろうか。
そう考えた#red#ユウトは、彼を勇気と信じて疑わない子供たちを前に「勇気」として振る舞うことに決めた#/red#。
ずっと一緒にいたのだ。ライバルとしても、誰より勇気を意識していた。
だから、勇気の考え方も指導の仕方も熟知している。
指導期間中に、ユウトにしてみれば身に覚えのないこと(本物の勇気がしたこと)を子供たちが話題に上げることも少なくなかったが、
うまく「勇気」としてやりすごした。
元来勇気と性格の似ていたユウトは、子供たちに疑われることもなく数週間を「勇気」として過ごすことに成功したのである。
そして、手術を終えた#red#勇気が#/red#数週間の入院生活を経て、無事に#red#退院#/red#した。
#red#ユウト#/red#に礼を言い、彼#red#と入れ替わりに学校へと行った勇気#/red#は、
子供たちがまるで勇気が昨日もここへ来たかのようにふるまっているのを見て不思議に思った。
しかしすぐに、あの兄のことだから、
自分を「勇気」と勘違いしている子供たちが面白くなって「勇気」として振る舞っていたに違いない、と思いあたり、
それでうまくいったのなら別段問題もないだろう、と子供たちには真相を伏せておくことにした。
コンクール当日。
勇気と、そしてユウトが熱心に指導にあたった#red#合唱部は見事優勝#/red#を果たした。
ユウトは、勇気が送って来たメールを読み、添付された#red#トロフィ#/red#の写真を見て、
勇気たちがしただろうそれと同じように満面の笑みを浮かべた。
彼はユウトに対し、妙に馴れ馴れしかった。
また別の日、ある女子がユウトによくわからないことを言ってきた。
このような出来事がユウトの身に頻繁に起きたが、ある日を境になくなった。
そして後日、ユウトはトロフィを見て笑みを浮かべていた。
どういうことだろう?
13年04月01日 21:59
【ウミガメのスープ】 [ヒジリ]
【ウミガメのスープ】 [ヒジリ]
3皿目は懐疑的な味(SP:タンクさん)
解説を見る
ある小学校の合唱部で#red#臨時講師をしていた勇気#/red#は、次回のコンクールで優勝しよう、
と児童たち共々意気込み、日々の指導に当たっていた。
しかしある日、人間ドックを受けた勇気は、早期癌が発見されたと告げられる。
近日中の#red#手術と入院が決定してしまった勇気#/red#は、自分が指導している合唱部が気がかりで仕方なかった。
コンクールは約1カ月後にまで迫っている。
自分が最後まで責任もって指導するつもりでいたのだ、今更別の誰かに指導をたくすというのも納得がいかない。
かといって手術を送らせるわけにもいかない。
散々頭を悩ませた末、勇気はある妥協案に思い至った。
『ユウトになら任せられる』 そう勇気は思った。
#red#ユウトは勇気の双子の兄#/red#である。勇気とユウトは同じ音大で声楽を専攻していた。
勇気と同じく、ユウトもまた社会人の合唱団などで指導にあたっている。
兄弟ながら、同じ学び舎で共にライバルとして競い合った仲だ、実力も指導力も十分に信頼できる。
そう考えた勇気は#red#ユウトに指導の代理を依頼#/red#した。
勇気の申し出を快諾したユウトは、小学校へと向かった。
合唱部の部室へ行くと、わらわらと寄って来た#red#児童たち#/red#から口々に「勇気さん」と名を呼ばれた。
#red#自分を勇気と思いこんでいる#/red#のか、自己紹介をする間もなく次々に「勇気」として話しをふられてしまう。
ユウトとしては、初めて顔を合わせた子供たちが、
まるでユウトがとても親しい人であるかのように話しかけてくるという奇妙な状況であった。
「自分は、勇気の双子の兄弟で“ユウト”だ」と切り出すタイミングが掴めなかった#red#ユウト#/red#は、
段々と#red#これはこれで面白い#/red#かと思い始めていた。
寧ろ、新たにやって来た指導者としてまた一から信頼関係を築き合うより、
はじめから“ここに居た人間”として子供たちに受け入れてもらった方がスムーズに指導できるんじゃないだろうか。
そう考えた#red#ユウトは、彼を勇気と信じて疑わない子供たちを前に「勇気」として振る舞うことに決めた#/red#。
ずっと一緒にいたのだ。ライバルとしても、誰より勇気を意識していた。
だから、勇気の考え方も指導の仕方も熟知している。
指導期間中に、ユウトにしてみれば身に覚えのないこと(本物の勇気がしたこと)を子供たちが話題に上げることも少なくなかったが、
うまく「勇気」としてやりすごした。
元来勇気と性格の似ていたユウトは、子供たちに疑われることもなく数週間を「勇気」として過ごすことに成功したのである。
そして、手術を終えた#red#勇気が#/red#数週間の入院生活を経て、無事に#red#退院#/red#した。
#red#ユウト#/red#に礼を言い、彼#red#と入れ替わりに学校へと行った勇気#/red#は、
子供たちがまるで勇気が昨日もここへ来たかのようにふるまっているのを見て不思議に思った。
しかしすぐに、あの兄のことだから、
自分を「勇気」と勘違いしている子供たちが面白くなって「勇気」として振る舞っていたに違いない、と思いあたり、
それでうまくいったのなら別段問題もないだろう、と子供たちには真相を伏せておくことにした。
コンクール当日。
勇気と、そしてユウトが熱心に指導にあたった#red#合唱部は見事優勝#/red#を果たした。
ユウトは、勇気が送って来たメールを読み、添付された#red#トロフィ#/red#の写真を見て、
勇気たちがしただろうそれと同じように満面の笑みを浮かべた。
「次、停まります」「3ブックマーク」
カメオはボタンを押してバスを止めると
お金を支払うことなく歩道へと駆け抜けていった。
しかし運転手は怒ることも追いかけることもなかった。
一体なぜ?
お金を支払うことなく歩道へと駆け抜けていった。
しかし運転手は怒ることも追いかけることもなかった。
一体なぜ?
15年01月28日 20:36
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
解説を見る
カメオは横断歩道のボタンを押して信号を赤に変え
バスを停止させたのでした。
きちんと手を伸ばして渡るカメオに
運転手はどこか嬉しそうだった。
バスを停止させたのでした。
きちんと手を伸ばして渡るカメオに
運転手はどこか嬉しそうだった。
「箱を割る男(新形式)」「3ブックマーク」
箱を割ると男は小さくなった。いったいなぜ
14年11月27日 20:03
【新・形式】 [天童 魔子]
【新・形式】 [天童 魔子]
解説を見る
箱を割ると男は小さくなった。いったいなぜ
箱を割ると男は小さくなった。いったいなぜ
⑮⑤⑨⑩⑯⑫⑬⑭③⑥①⑦⑧⑳④⑰⑱⑪②⑲
な な
さ い
を く った
割る い
男は小
箱 と った ぜ
。
ななさいをくった割るい男は小箱とったぜ。
七歳を食った悪い男は小箱取ったぜ。
だから箱を割れば(#b#突き詰めれば#/b#)
男が七歳の子供を食べた殺人犯と立証でき
男は身を縮めたのでした。
箱を割ると男は小さくなった。いったいなぜ
⑮⑤⑨⑩⑯⑫⑬⑭③⑥①⑦⑧⑳④⑰⑱⑪②⑲
な な
さ い
を く った
割る い
男は小
箱 と った ぜ
。
ななさいをくった割るい男は小箱とったぜ。
七歳を食った悪い男は小箱取ったぜ。
だから箱を割れば(#b#突き詰めれば#/b#)
男が七歳の子供を食べた殺人犯と立証でき
男は身を縮めたのでした。
「ウミガメのスープを飲んだ男「たまにはお前が消えろよ」」「3ブックマーク」
男は船に乗っていた。
ある日、男の乗る船が遭難してしまった。
数人の男と共に救難ボートで難を逃れたが、漂流の憂き目に。
食料に瀕した一行は、体力のない者から死んでいく。
やがて、生き残っているものは、生きるために死体の肉を食べ始めるが
一人の男はコレを固辞。当然、その男はみるみる衰弱していく…
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい・・・ ウミガメのスープに間違いございません。」
レストランからウミガメのスープが消えた。
一体なぜ?
ある日、男の乗る船が遭難してしまった。
数人の男と共に救難ボートで難を逃れたが、漂流の憂き目に。
食料に瀕した一行は、体力のない者から死んでいく。
やがて、生き残っているものは、生きるために死体の肉を食べ始めるが
一人の男はコレを固辞。当然、その男はみるみる衰弱していく…
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい・・・ ウミガメのスープに間違いございません。」
レストランからウミガメのスープが消えた。
一体なぜ?
14年11月26日 22:44
【ウミガメのスープ】 [チラッ]
【ウミガメのスープ】 [チラッ]
ノックスRさんにアドバイスを頂きました。ありがとうございました。
解説を見る
簡易解説:聖地巡礼の影響でウミガメのスープを頼む人が増加。レストラン側はこれを快く思わなかったのでメニューから消した。
===============
ストーリー自体は別物にしました。
男「ウミガメのスープを1つお願いします。」
店員「かしこまりました。
(また?今日10人目なんスけど)」
------
店員「シェフ~、ウミガメのスープ1つ追加~。今回の客はヤバイッスよ~!雰囲気が違うッス!なりきりとかいう奴ッス!」
シェフ「こらこら、お客様をそんな風に言いなさんな。」
店員「でもシェフは悔しくないんスか?あいつら絶対に興味本位ッスよ?ただウミガメのスープをメニューに置いてるからウチに来てくれただけであって、きっと写メを撮ってSNSにアップできれば満足なんスよ。」
シェフ「あの逸話のおかげで興味を持ってくれた人がいる、そしてウミガメのスープを求める人がいる、求める人がいるなら提供する、それでいいじゃないか。
それにもし逆の立場だったら、どんな味か気になるだろ?」
店員「まぁシェフが気にしてないならいいッスけど…」
------
店員「お待たせしました。」
男「ありがとうございます。」ズズッ
男「すみません、シェフを読んでくださいませんか?」
店員「かしこまりました。少々お待ちください。
(うわ、やっぱりこいつ台詞まで真似するパターンの奴)」
シェフ「どうなさいましたか?」
男「すみません、これは本当にウミガメのスープですか?」
シェフ「はい、ウミガメのスープに間違いございません。」
男「そうですか、ありがとうございます。
私、とある劇団の団長を務めていまして、今は次の舞台のキャスティングを考えている段階でした。突然ですが、舞台に立ってみませんか?」
シェフ「私がですか?一体どうして…。」
男「はい、実は私共の劇団では、全員マスクを被って変声期を口元に準備して演技を行います。というのも、毎回1人は素人の方に出演していただいて、観に来られたお客様に『誰が素人か』を当ててもらう参加型の舞台なのです。
そして次の舞台は『ウミガメのスープ』を題材にしています。
先ほどは貴方の力量を確かめるために例の台詞が出てくるよう誘導したのです。
いかがでしょうか?」
シェフ「そんな急に言われても…」
店員「シェフ!たまには休んでリフレッシュしましょう!最近例のスープで忙しかったですしナイスタイミングッスよ!店のことは俺に任せるッス!え?下心なんてないッスよ!?」
シェフ「えぇ~、じゃあ分かりました。」
男「ありがとうございます。」
------
こうしてシェフの第二の人生が始まった。
シェフの演技は大好評で、俳優へと転職したのだった。
店員「よっしゃ!自分で料理を作れるなんて感動ッス!
俺がトップになったからには聖地巡礼目的の奴にはウミガメのスープを出さないッスよ~!」
※当問題は完全フィクションです。
===============
ストーリー自体は別物にしました。
男「ウミガメのスープを1つお願いします。」
店員「かしこまりました。
(また?今日10人目なんスけど)」
------
店員「シェフ~、ウミガメのスープ1つ追加~。今回の客はヤバイッスよ~!雰囲気が違うッス!なりきりとかいう奴ッス!」
シェフ「こらこら、お客様をそんな風に言いなさんな。」
店員「でもシェフは悔しくないんスか?あいつら絶対に興味本位ッスよ?ただウミガメのスープをメニューに置いてるからウチに来てくれただけであって、きっと写メを撮ってSNSにアップできれば満足なんスよ。」
シェフ「あの逸話のおかげで興味を持ってくれた人がいる、そしてウミガメのスープを求める人がいる、求める人がいるなら提供する、それでいいじゃないか。
それにもし逆の立場だったら、どんな味か気になるだろ?」
店員「まぁシェフが気にしてないならいいッスけど…」
------
店員「お待たせしました。」
男「ありがとうございます。」ズズッ
男「すみません、シェフを読んでくださいませんか?」
店員「かしこまりました。少々お待ちください。
(うわ、やっぱりこいつ台詞まで真似するパターンの奴)」
シェフ「どうなさいましたか?」
男「すみません、これは本当にウミガメのスープですか?」
シェフ「はい、ウミガメのスープに間違いございません。」
男「そうですか、ありがとうございます。
私、とある劇団の団長を務めていまして、今は次の舞台のキャスティングを考えている段階でした。突然ですが、舞台に立ってみませんか?」
シェフ「私がですか?一体どうして…。」
男「はい、実は私共の劇団では、全員マスクを被って変声期を口元に準備して演技を行います。というのも、毎回1人は素人の方に出演していただいて、観に来られたお客様に『誰が素人か』を当ててもらう参加型の舞台なのです。
そして次の舞台は『ウミガメのスープ』を題材にしています。
先ほどは貴方の力量を確かめるために例の台詞が出てくるよう誘導したのです。
いかがでしょうか?」
シェフ「そんな急に言われても…」
店員「シェフ!たまには休んでリフレッシュしましょう!最近例のスープで忙しかったですしナイスタイミングッスよ!店のことは俺に任せるッス!え?下心なんてないッスよ!?」
シェフ「えぇ~、じゃあ分かりました。」
男「ありがとうございます。」
------
こうしてシェフの第二の人生が始まった。
シェフの演技は大好評で、俳優へと転職したのだった。
店員「よっしゃ!自分で料理を作れるなんて感動ッス!
俺がトップになったからには聖地巡礼目的の奴にはウミガメのスープを出さないッスよ~!」
※当問題は完全フィクションです。
「【LTQ48】田中トイレ。非常にM氏らしい問題文と思いました」「3ブックマーク」
読書中、キリのいいところまで読み終えてトイレにたった田中。
スッキリして戻ってくると、本に挟んであったしおりをハサミで切りはじめた。
一体なぜ?キリッ
スッキリして戻ってくると、本に挟んであったしおりをハサミで切りはじめた。
一体なぜ?キリッ
14年11月22日 21:30
【ウミガメのスープ】 [Ratter]
【ウミガメのスープ】 [Ratter]
解説を見る
トイレでの読書中、大きな揺れに遭遇した田中。
揺れが収まったあと、確認してみるとドアが開かない。
何が起こったのか前後の出来事から読みを働かせてみる。
:
:
おそらく、トイレのドアの前に何かが倒れて、支え棒となりドアが開かなくなったのだろう。
そう、キリの良い所まで読みを働かせ終わった田中は
トイレからは出られないまでも、立ち上がって窓の外を確認してみた。
どうやら思ったよりも大きな地震だったようで外は建物が崩れたりしており
崩れた家の下敷きにでもなったのか助けを求める女性の叫び声さえ聞こえる。
助けに行くか・・?そう考えたが、ドアは開きそうにない。
ここを出るには窓から脱出するしか無いが、
ここはマンションの10階。ヘタすると自分が転落死する可能性もある。
そう考えた田中はおもむろに胸ポケットからボールペンを取り出し
栞に辞世の句をしたためた。
「厠にて 一人助けを 待つよりも
助けに飛び出す 男となりたい。
田中」
そうして、トイレの便座の上に立ち上がって窓から抜け出し、
ロッククライミングの要領でするすると外壁を降りていく田中。
無事、下敷きになっていた子供を助け出し
スッキリして戻ってきて、不要となった辞世の句を闇に葬るためはさみで切り刻んだのだった。
その時の田中の顔を一言で言い表すならこのようなものだったという。
【キリッ(ドヤ顔)】
おわり。
揺れが収まったあと、確認してみるとドアが開かない。
何が起こったのか前後の出来事から読みを働かせてみる。
:
:
おそらく、トイレのドアの前に何かが倒れて、支え棒となりドアが開かなくなったのだろう。
そう、キリの良い所まで読みを働かせ終わった田中は
トイレからは出られないまでも、立ち上がって窓の外を確認してみた。
どうやら思ったよりも大きな地震だったようで外は建物が崩れたりしており
崩れた家の下敷きにでもなったのか助けを求める女性の叫び声さえ聞こえる。
助けに行くか・・?そう考えたが、ドアは開きそうにない。
ここを出るには窓から脱出するしか無いが、
ここはマンションの10階。ヘタすると自分が転落死する可能性もある。
そう考えた田中はおもむろに胸ポケットからボールペンを取り出し
栞に辞世の句をしたためた。
「厠にて 一人助けを 待つよりも
助けに飛び出す 男となりたい。
田中」
そうして、トイレの便座の上に立ち上がって窓から抜け出し、
ロッククライミングの要領でするすると外壁を降りていく田中。
無事、下敷きになっていた子供を助け出し
スッキリして戻ってきて、不要となった辞世の句を闇に葬るためはさみで切り刻んだのだった。
その時の田中の顔を一言で言い表すならこのようなものだったという。
【キリッ(ドヤ顔)】
おわり。