動画内など、他所でラテシンの問題を扱う(転載など)際について
ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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【ウミガメてんみつ】薫子の秘密「5ブックマーク」
※この問題はtsunaさん、セルスさん、ディダムズさん、BB弾さん、3000才さんによるFA争奪戦です。
観戦される方は観戦部屋「お笑いって素敵(`・w・´)」[ルームキー:なんでやねん]をご活用ください。
上記の参加者より早く謎を解いて、したり顔になりましょう。

以下、問題文。



#big5#よ#/big5#うやく異常が回復し意識を取り戻した私こと、天満薫子。
右手に握っているのはUSBメモリ。
水上テクノロジ社が持つ世界で一体だけのヒューマノイド"天満薫子"を狂わす
「テンミツウィルス」が入っている。

私はこのUSBを持って水上の元に向かった。

さて私が今何をしようとしているか当ててみて。


今回も前回と同じく、天満薫子は10回に3回しか本当のことを言いません。
YESNOで答えられる質問をして、彼女から情報を引き出し、彼女の目的を当ててください。

なお今回はFA争奪戦です。他の参加者と競い合い、誰よりも早く真実にたどり着きましょう。

争奪戦にあたり、前回とルールが変わっていますので、下記にてご確認ください。

【ルール】
①基本的に質問は天満薫子に対して行います。薫子はことの真相を把握してますが、
10回に3回しか本当のことを言わない嘘つきです。
(嘘回答はYESのことをNO、NOのことをYESと答え、補足でも嘘をつく)
②10回の質問#b#ごと#/b#に3回だけ本当のことを言います。
③質問はYESNOで答えられるものでなければなりません。
④#b#質問10回毎に1回、参加者全員が嘘確認を行うことができます。#/b#
その際、質問欄では【嘘確認】とだけ記入。
合わせて雑談チャットで出題者のみに見せたい場合にチェックをし、
嘘確認をしたい質問番号を記入してください。
回答欄にて真偽を伝え、その質問が核心をついたものであれば[良い質問]をつけます。
逆を言えば#b#【嘘確認】でしか[良い質問]はつきません。#/b#
⑤#b#質問10回毎に1回、参加者全員が解答権を得ます。#/b#
その際、質問欄には【解答】とだけ記入。
合わせて雑談チャットで出題者のみに見せたい場合にチェックをし、
答を書き込んでください。
正解であれば、回答欄にて[正解]を進呈します。
⑥#b#質問10回毎に【嘘確認】【解答】のどちらか一つしか行うことができません。#/b#
⑦10回毎の質問の区切りがわかりやすいように、薫子の回答の頭に1〜10までの番号が振られます。
⑧今回、嘘確認と解答権はストックできません。
⑨ ⑧のルールを利用して、質問の連投による相手の嘘確認と解答の妨害は可能ですが、それはやめときましょう。
基本的にはみんなの嘘確認が終わるまで質問を控えるようにしましょう。仲良く競い合ってください。

【嘘確認】を駆使して、他の参加者の知らない情報を収集し、
真相にたどり着いた人から早抜けしていきます。

他にわからないことがあれば雑談チャットでお尋ねください。

それでは開始します。
13年12月12日 20:59
【ウミガメのスープ】 [水上]



解説を見る
2年前…

「天才となんとかは紙一重って言うが、あいつは本当に何を考えているのかわからん!」

水上テクノロジ社の社長、水上は仕事上のパートナーである天満薫子に憤っていた。
飄々として人を小馬鹿にするような態度。口からはでまかせばっかり。
しかし彼女の頭脳がなければ、水上テクノロジ社はここまで成長することはなかっただろう。

人格的には到底認めることはできないが、彼女の能力は人並み外れて凄い。
ロボット工学の分野では彼女は世界でもトップクラス。いや、頭一つ抜け出している。

しかし水上はこの扱いにくい部下に辟易していた。

そんなある日、天満薫子は今までの集大成とも言えるヒューマノイドの開発に成功した。
厳密には設計図だが、それを水上に報告した後に事件は起きた。

設計図を水上に見せ、制作に取り掛かる了承を得た天満薫子。
彼女は階段で足を滑らせて下階まで落下。強く頭を打ち付け意識不明の重体となった。

彼女の意識は戻ることはなく、意識不明のまま時が流れて行った。

水上テクノロジ社は設計図を元にヒューマノイドの開発に着手。
司令塔の抜けた天満薫子のチームは、彼女の集大成を形にしたい一心で制作に励んだ。

そして1年後。

自立歩行型AI搭載ヒューマノイド「天満薫子」が完成した。
命名したのは制作チームの面々。
水上はこのネーミングを気に入らなかったが、拒絶することはできなかった。

商品化にはまだまだ時間を要するが、このニュースは世界を駆け巡り、
水上テクノロジ社は世界に注目される企業となった。

テスト運転も兼ねて、水上の秘書として「天満薫子」を使用してから一年が経ったある日。

#b#人間の方の天満薫子#/b#が目を覚ました。
ようやく頭の異常が回復し、意識を取り戻したのだ。
そのことに誰も気づいていない。いや、気づかれてはいけない。

彼女には誰にも気づかれずに行わなければならないことが出来たのだ。

思い出すのは、階段を転げ落ちる時に感じた背中を押す手の感触。
落ちる時に一瞬だけ見えたあの男の顔。

天満薫子は夜中に病院から抜け出し、自分の研究室にこもった。
そして夜明け前には病院に戻る。

その行為を三回行った成果が、今彼女が右手に握っているUSB。

「テンミツウィルス」

彼女はUSBを強く握り締めて、夜中に水上テクノロジ社に侵入。
ヒューマノイド「天満薫子」に「テンミツウィルス」を感染させた。

それから一週間後。

水上は仕事に支障をきたしながら、なんとか「天満薫子」の修正プログラムを作成することができた。



「あら、意外とスムーズにリカバリできたみたいね。
#red#だけど恐ろしいのはこれから。#/red#
ウィルスを除去した後に本当の恐怖が訪れるの…#b#クックック・・・#/b#」

天満薫子と「天満薫子」が同時に、嗤った。



というわけで、優勝はぶっちぎりで3000才さん!
すごい!男前!おめでとうございます!

あ、tsunaさんは残念でした…(´・_・`)
美味しく焼けました。「5ブックマーク」
君#big5#たちは#/big5#、草原でピクニックをして楽しい時を過ごしていた。

気がつくとバスケットに火がつきそうだったので、慌てて火を地面へ叩きつけた。
火は直ちに消火されて君たちは一安心して、その場から離れた。
だが、火が完全に消火されたにも関わらず、遠く遠くに離れれば離れるほど、君たちの恐怖は増大するのであった。

一体なぜ?
13年11月01日 23:57
【ウミガメのスープ】 [とーふ]

こびーさん、ディダムズさんのお2人にSPしていただきました。




解説を見る
ラテシン国の草原で沢山の熱気球が準備されていた。
休日に開催された熱気球のイベントである。

君達は、ピクニックを兼ねて、熱気球へ乗りにきた。

ベテランパイロットのとーふの操縦する熱気球に乗って、
今まさに遊覧飛行へと出発しようとしています。


とーふ「皆さーん。暴れないでくださいねー!では、出発しまーす」

ふわりと緩やかに浮かび上がる熱気球。
すると、

221aの住人「あれ?何か変な匂いが」
とーふ「あ、ガス漏れ…#big5#ドアッチィー!#/big5#」

気球のガスチューブが火を吹いて、瞬く間に、とーふを火達磨にした。

とーふ(直火焼き)「あっちーー!」
じんろー「わ!暴れるな!」ドン!
こびー「ぎゃー!こっちくるな!」ドン!
3000才「燃え移る!気球から落とせ!」ドン!

高さ10mから落下した焼きとーふとガスボンベ。
君達は、焼きとーふがどうなったか気になって下を確認する。
近くのスタッフが駆け寄って、ただちに消火活動を行いました

taiga01「あ、無事みたい」
tsuna「でも、豆腐なのに粉々になってないのが納得できない」
みん「焼き豆腐になって、固さが増したのかもしれません」
君達「なるほど」

221aの住人「あれ?」
3000才「何か…気球の高度上がってない?」
君達「焼きとーふさんが降りたから、重さが減ったんだ!」

気づいた時には高度100mである。
頭脳明晰な君達は、瞬く間にこの後気球が墜落すると直感した。


君達「しまったーー!とーふさんじゃなくて、自分が飛び降りるべきだった!」

BB弾「もうおしまいだ!気球の操作なんてできない!」
tsuna「安心してくれ。こんな事もあろうかと気球のパイロット免許を取っておいたのさ!」
君達「こんな事態を想定したのか…」

tsuna「いいじゃないか。助かるんだし。あ、さっき事故でガスボンベがなくなってる!」
じんろー「お捜しの物はこれか?こんな事もあろうかと気球用のプロパンガスを懐に用意しておいたのさ!」
君達「懐おっきい!!」

221aの住人「気球に炎が燃え移ってる!!」
みん「安心して!実は火消しの魔法が使えるんだ!えい!」
BB弾「しまった。これ非現実的要素ありだったのか」
君達「最初から使ってあげれば……」

みん「い、いきなりだったんだから仕方なかったんですよ。はい。全部消えました」
こびー「でも、気球に大きな穴ができちゃったよ」
3000才「ミα(゚Д゚ )マカセロ!! つい先日通信教育で【ラジコンヘリで乱気流の中、気球に開いた穴を4秒で縫い合わせる】資格を取ったばかりなんだ!それいけ!」
君達「ピンポイント過ぎる!!!!」

その後も様々な艱難辛苦(悪魔的宇宙超人アザゼル星人さん)が君達に襲い掛かったが、
君達は水平思考と強引な辻褄合わせにより、見事地上に着地へと生還したのだ。

君達「やったー!」

こうして、君達は空の旅を楽しんだ後、無事地上で仲間達と無事を確かめ合い、末永く幸せに暮らしました。
めでたしめでたし



焼きとーふ「。゚(゚´Д`゚)゚。 皆良かった」
ディダムズ「警察です。あなたが仕事中整備をサボっていたと言う目撃証言を得られました。ご同行願います」
焼きとーふ「タイ━━━━||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||━━━━ホ!!」

熱気球の整備点検を怠った焼きとーふさんは、当然その事で罪に問われて警察に逮捕されました。
消え去った悩みのタネ「5ブックマーク」
家族で長年使っていた愛用のジューサーが壊れてしまった。
毎朝それで作ったミックスジュースを飲むのが家族の日課だったのに残念だよートホホ。。。

でもジューサーが壊れた事により、私の悩みが1つ解消できたのです。

どういうこと?
13年05月11日 23:53
【ウミガメのスープ】 [コウCHA]

書き忘れてた(汗) 母の日用に作った問題です。でもちょっと無理がある…?




解説を見る
私は母の日のプレゼントとして奥さんに何を贈るべきなのか悩んでいた。

財布だとかバッグだとか、毎年被らないように悩みぬいていたのだが、その方法もそろそろ限界が近かった。

しかし、そんな悩んでいる時に家族共用のジューサーが壊れたらしい。
そこで母の日のプレゼントとして新しいジューサーを買うことにした。
これで奥さんも喜ぶし、家族の日課も脅かされずに済むし、何しろ今年の母の日のプレゼントが決まったからこれ以上悩まずに済む!

さて、そろそろ子供たちと一緒に買いに行くか。カーネーションも忘れずにね。
また会おう、そのときは・・・「5ブックマーク」
上京してから早十年。

仕事を終えた俺は帰る途中、夕方の時間帯に人ごみの中久しぶりに友達と再会した。

再開後、友達と喫茶店で一息ついた。
久しぶりに会えたということもあり、とても楽しい時間を過ごした。
そして最後に、俺と友達はお互いにまた会おうと約束し、帰路についた。

その後、家についてから俺は

#b#「出来ることなら会いたくなかったなぁ・・・」#/b#

と呟いた。


いったい何故?



【この問題は、ツォンさんにSPをして頂きました。
ご協力賜ったこと、厚く御礼申し上げます。
最後の最後まで、本当にありがとうございます(_ _)ペコリ】
16年07月21日 21:00
【ウミガメのスープ】 [モノクロマ]

【SP:ツォンさん】




解説を見る
要約解説:#red#耳の聞こえない少女の為に医者を目指したが、まだ治療できるに至っていないため<今は>会いたくない#/red#

以下は、お時間があればお読みください。


俺がまだ5歳のころ、公園で遊んでいたときのことだ。
俺と同じくらいの歳の女の子が1人だけ、ずっとベンチに座ってスケッチブックに絵を描き続けてる子を俺は見つけた。
俺はその子に

「何書いてるの?」

って聞いたんだ。
そしたら、その子はスケッチブックに描いていた絵を見せてくれた。
絵を見る限り、どうやら俺が遊んでいる様子の絵を描いていたらしくて、凄く上手だと思った。
俺はその子に

「絵を描くのもいいと思うけど、せっかく公園に来たんだし一緒に遊ぼうよ」

って手を差し伸べながら言ったんだ。
そしたら急にスケッチブックをめくってまた何かを描き始めた。
俺はまた絵を描き始めたのかと思って

「おーい、俺の言ってることがわからっ!?」

「ないの?」まで言い終わる前にその子は俺にスケッチブックを見せた。そこには

『ありがとう。でもわたしは「みみ」がきこえないから、あなたとあそぶのはむずかしいの。ごめんね・・・。』

と、そこには絵ではなく文字が綴られていた。
俺は少し考えて、

「となり、いい?」

という風に身振り手振りで説明した。
その子が静かにうなずいたのを見て、俺はその子の座っていたベンチの隣の空いていた部分にそっと腰かけた。
そのあと数十秒無言が続いたんだ。
またその子はスケッチブックに何か・・いや、文字を書いて俺に見せてきた。

『あそばないの?』

とそこには書かれていた。
俺はその質問にうなずいた。
するとその子はまたスケッチブックに文字を書いて、俺に見せた。

『どうして?』

その質問に答えるために俺は、その子のスケッチブックと黒鉛筆を借りた。

『ひとりであそんでいてもつまんないから。それならだれかおしゃべりしたほうがまだたのしいよ。』

と書いたスケッチブックと黒鉛筆をその子に返す。

『わたしとおしゃべり?そんなことをしたら、あなたがたのしくないよ。』

俺は書く。

『いや、おれたのしいことしってるから。いっぱいはなすよ、そうすればきっとたのしいから!な?だめ、かな?』

その子は書く。

『ううん、あなたがそれでいいのならわたしはなにもいわない。ありがとう。いっぱいおはなしをきかせて?』

それから俺とその子で毎日のように夕方は公園にきて、『会話』をした。

家であったこと、お出かけ中にあったこと、いろんなことを俺は話す。
その子は笑ったり、喜んだり、驚いたり、色んな色を俺に見せてくれた。
そのお礼と言わんばかりに、その子は毎日のように新しく描いてきた絵を俺にみせてくれた。


このまま楽しい日々がずっと続けばいいのに・・・そう思ってた。



・・・・・突然だった。



いつものように、夕方に公園に来た俺は、いつも先にいたその子がいないことに気付く。
そこには毎日描いていたスケッチブックの用紙が1枚あった。
そこにはこう書いてあった。

『ごめんなさい。わたし、あしたからとうきょうにいくの。「みみ」がなおるかもしれないから、こっち(東京)にこないかっていわれて。だから、もうあなたとはあえない』

裏返す。

『いままでまいにち、たのしいおはなしありがとう。とってもたのしかったよ。また、あえたらいいな・・・。』

俺は、異常なまでの喪失感を感じた。
これまでの毎日が崩れていくような・・・すべてがなくなってしまったような・・・そんな気持ちになった。

「俺が助けてやれれば・・・あの子は東京に行かずに済んだのかな・・・」
「俺がお医者さんになれれば、あの子を助けてあげられるのかな・・・」


それから俺は、毎日勉強をした。
必死に、ただひたすら勉強をした。
常に学校トップの成績で、親からも褒められた。
上京してからは医学系の学校に行って耳についての勉強を中心に行い、医者を目指した。
そして、ついに医者になれた。
医者になってからもひたすら努力して、努力して、ひたすらに研鑽を積んだ。


そして、今現在・・・


奇跡が、起こった。


いつもより仕事が早く終わった俺はいつも通り帰る途中、夕方の時間帯に人ごみの中、俺は久しぶりに



本当に、奇跡的に・・・



あの子と再会した。



横断歩道が赤になっている間、普通にぼんやりと前を見ていたら、吸い込まれるように1つのスケッチブックに目が行った。
上京してから片手にスケッチブックを持ってる人なんて見かけるほうが珍しい。
そして、スケッチブックを持っている人の顔に視線を移す。
俺は確信した。

あの時の子だ・・・・と。

するとあの子もこちらの視線に気づいたようで、俺を見るなり目を大きく見開く。

信号が青になったに気付いた俺は、他の歩く人より早く、その子のもとへと向かう。
俺がすぐ目の前にくるまで、あの子は目を見開きびっくりしたままだった。

「また、あえたな・・・」

そう言った俺の口の動きを理解したのかどうかはわからない。
だが俺が呟いた直後、あの子は目から涙を流し、俺は慌ててその子がつい落としたスケッチブックを拾って書いた。あの日のように。

『とりあえず、喫茶店あたりに行って一回落ち着こう。で、いいかな?』

彼女が断ることなんて万が一にもなかった。
喫茶店についた後も彼女はしばらくうつむいたままで、しばらく無言が続く。あの日みたいに・・・。
今度は俺の方から、彼女のスケッチブックに書いて、彼女に見せる。

『話さないの?』

という、俺の問いに、彼女は笑った。

その後はまた、あの日のように『会話』をした。
積もる話は山ほどあった。彼女が東京に行ってからのことや、俺のこれまでのいきさつ。
結局、彼女はあの日東京へ行き、治してくれる医者に治療してもらったが、耳が治ることはなかったそうだ。
それでも、昔いた所よりも近くにいろいろあって利便性も高く、交通網も発達していたためそのままそこで暮らしていたらしい。

『結局、耳が聞こえないのは治らなかったよ・・・』

と書いた彼女に俺は返す

『俺に任せろ。そういう人を治すために俺は、医者になったんだ。』

俺と友達はお互いに『治療のときに』また会おうと約束し、帰路についた。

家についてから俺は
「出来ることなら会いたくなかったなぁ・・・」
と呟いた。その後
「出来ることなら、治せると言い切れる日に会いたかったな・・・いや、ぜったいに治してみせるけどね。」


それから数年後―

お互いに公園で笑いながら「会話」をするカップルがいたとかなんとか。
消える死体「5ブックマーク」
男は、死体を部屋の中に入れ、部屋の入り口を閉ざした。部屋に、人が出入りできるような開口部は入り口一つだけだったから、これで密室に死体を入れたことになる。
ところが、奇妙なことに、次に密室が開かれた時、死体は密室から消え失せていたのだ。
一体なぜ?
16年03月05日 18:56
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]



解説を見る
一行解説:数千年間部屋が開けられなかったうちに、死体が風化してしまったから。

王の魂は、死してなお不滅であり、あの部屋に開いた小さな通気口から、幾度も出たり入ったりして、国を見守るということを、その国の神官は信じていた。
それゆえ、彼らは、築いた巨大な王墓には通気口を作り、王の遺体は、より飛び立ちやすいよう身軽に、副葬品も付けずにただ部屋に横たえた。
そして、墓荒らし等に遭わぬよう、部屋の外から入り口に石で蓋をし、石膏で塗り固めると、神官は、四角錐形の建物を後にした。

やがて時が流れ、四角錐形の建物を築いた文明が滅んでからも、そこに死体はあった。その部屋に開いていた通気口から、風が吹き込み、死体を幾度も幾度も撫で、その形を変え、やがて消し去っていった。

砂と同じ色の服を着た考古学者達が、四角錐形の建物に入っていった。入ってすぐの場所で、石の壁が行く手をふさいでいたが、その先に空間があることは事前の調査で分かっていたので、助手が率先して道をふさぐ石をどかし、考古学者達は先へ進んだ。
だが、石を取り除いた先の部屋には、何も物が存在しなかった。絢爛な宝飾品も、歴史的価値のある文章だの壁画も、何にもだ。あるのは、どこに繋がっているかも分からない、小さな空気穴だけだ。本来、この部屋には死体が置かれていたのだが、その死体が風化してしまったが故に、意味の分からない状況になってしまったのだ。
この部屋は、いや、そもそもこの建物は、何のために作られたのだ?
考古学者たちは、これから長い間、その問題に頭を悩ませることになるのだった。

※この解説は、「ピラミッドには通気口が開いている」という事実から作ったフィクションです。本物のピラミッドには微塵も関係ありませんので、ご了承ください。