「僕は~それを左に受け流す~」「4ブックマーク」
水
上はゆりりに告白した
しかしゆりりは表情一つ変えず返事を返さない
何で?ホントは嬉しいんでしょ?
【参加テーマ・言われて嬉しい言葉】
上はゆりりに告白した
しかしゆりりは表情一つ変えず返事を返さない
何で?ホントは嬉しいんでしょ?
【参加テーマ・言われて嬉しい言葉】
14年10月14日 00:42
【ウミガメのスープ】 [アザゼル]
【ウミガメのスープ】 [アザゼル]
解説を見る
今
日も深夜遅くに帰宅してきた水上
食卓には待ちくたびれて寝てしまったゆりりの姿があった
そのゆりりの頭を優しく撫でる水上。反応は無い
水上『最近相手をしてやれなくてごめんな。愛してるよ』
ゆりり『…(ピク)』
水上『やっと今までの苦労が上に認められたんだ。これからは早く帰れるよ』
ゆりり『……(ピクピク)』
水上『結婚してくれ。《目覚めた後》でいいから返事が欲しい』
水上は《不自然なまでに》無表情なゆりりの《寝顔》の頬に流れる一筋の涙をそっと拭いた
日も深夜遅くに帰宅してきた水上
食卓には待ちくたびれて寝てしまったゆりりの姿があった
そのゆりりの頭を優しく撫でる水上。反応は無い
水上『最近相手をしてやれなくてごめんな。愛してるよ』
ゆりり『…(ピク)』
水上『やっと今までの苦労が上に認められたんだ。これからは早く帰れるよ』
ゆりり『……(ピクピク)』
水上『結婚してくれ。《目覚めた後》でいいから返事が欲しい』
水上は《不自然なまでに》無表情なゆりりの《寝顔》の頬に流れる一筋の涙をそっと拭いた
「五手詰」「4ブックマーク」
男がため息交じりに作り上げた渾身の一品。
その一皿には手作りのドーナツやエクレアが乗せられており、
エクレアにはたっぷりの粉砂糖の雨を降らせ、さらにアクセントにローリエを数枚。
さっそくテーブルに置いたのだが、しかし出来映えを見た女は男に向かい、
『シェフが無精ひげはやしていちゃダメでしょ』と身だしなみを笑ったのだ。
一体なぜ?
※(SPにはフィーカスさんに手伝っていただきました。3時から5時という長い時間ありがとうございました。 午前のです。)
その一皿には手作りのドーナツやエクレアが乗せられており、
エクレアにはたっぷりの粉砂糖の雨を降らせ、さらにアクセントにローリエを数枚。
さっそくテーブルに置いたのだが、しかし出来映えを見た女は男に向かい、
『シェフが無精ひげはやしていちゃダメでしょ』と身だしなみを笑ったのだ。
一体なぜ?
※(SPにはフィーカスさんに手伝っていただきました。3時から5時という長い時間ありがとうございました。 午前のです。)
16年01月09日 22:06
【ウミガメのスープ】 [唐沢]
【ウミガメのスープ】 [唐沢]
解説を見る
男は絵描き歌にあわせてシェフを描いて女に見せた。
1.ため息ひとつつきました(黒)
2.ドーナツふたつとエクレアに(茶)
3.三日三晩の砂糖の雨(赤)
4.葉っぱ四枚しなやかに(緑)
5.いつつ数えりゃあっという間にコックさん(青)
母親「シェフに砂糖で無精ひげはやさなくてもいいでしょwwww」
KY:絵描き歌、粉砂糖=無精ひげ
1.ため息ひとつつきました(黒)
2.ドーナツふたつとエクレアに(茶)
3.三日三晩の砂糖の雨(赤)
4.葉っぱ四枚しなやかに(緑)
5.いつつ数えりゃあっという間にコックさん(青)
母親「シェフに砂糖で無精ひげはやさなくてもいいでしょwwww」
KY:絵描き歌、粉砂糖=無精ひげ
「お腹が空いたから齧る」「4ブックマーク」
黒板の前にいるのりっこ先生が私たち?に来るように指示しているが誰も行かなかった。
すると『コラ、天童!』と一番前にいた魔子さんだけが注意されたのです。Σ(゚д゚)
一体なぜ?
のりっこ。さんとのコラボ問題なのです。
すると『コラ、天童!』と一番前にいた魔子さんだけが注意されたのです。Σ(゚д゚)
一体なぜ?
のりっこ。さんとのコラボ問題なのです。
15年04月21日 19:53
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
解説を見る
英語教師ののりっこ先生は、
私達生徒に英語の読み方の授業をしていたのです。
【Welcome】 (´・ω・`)。o○(私たち?来い?・・・・飢える噛む???わかんないよ~)
ひそひそ(゚д゚)ゞ(OOさん ようこそ ようこそ・・・)
のりっこ先生『コラ、天童! 授業中に私語は慎みなさい!
それと、先生ちゃんとわかってるんだぞ!
●●さん 【ようこそ】 って、
複数の生徒に、“Welcomeの読み方をこっそり教えるんじゃない!!!”
全く………カンニングとみなすぞ!!!』
っ゚д゚)っ………バレてたのです………
私達生徒に英語の読み方の授業をしていたのです。
【Welcome】 (´・ω・`)。o○(私たち?来い?・・・・飢える噛む???わかんないよ~)
ひそひそ(゚д゚)ゞ(OOさん ようこそ ようこそ・・・)
のりっこ先生『コラ、天童! 授業中に私語は慎みなさい!
それと、先生ちゃんとわかってるんだぞ!
●●さん 【ようこそ】 って、
複数の生徒に、“Welcomeの読み方をこっそり教えるんじゃない!!!”
全く………カンニングとみなすぞ!!!』
っ゚д゚)っ………バレてたのです………
「時間短縮」「4ブックマーク」
カメオはその日出勤しなければならなかったのに、少し寝坊してしまった。
身支度をして家を飛び出し、駅まで走って発車直前の電車に飛び乗ったが、このままでは間に合うかどうか分からない時間計算だった。
彼は少しでも時間の短縮ができないかと電車の中で考え、そして、いつも降りている駅とは違う駅で電車を降りる事にした。
その結果、何とかギリギリ始業時間に間に合ったという。
何故いつも降りている駅と違う駅で電車を降りた事が時間の短縮となったのだろう?
身支度をして家を飛び出し、駅まで走って発車直前の電車に飛び乗ったが、このままでは間に合うかどうか分からない時間計算だった。
彼は少しでも時間の短縮ができないかと電車の中で考え、そして、いつも降りている駅とは違う駅で電車を降りる事にした。
その結果、何とかギリギリ始業時間に間に合ったという。
何故いつも降りている駅と違う駅で電車を降りた事が時間の短縮となったのだろう?
16年10月01日 00:31
【ウミガメのスープ】 [チピオ]
【ウミガメのスープ】 [チピオ]
解説を見る
彼が家から会社へ行くためには私鉄とJRを使う必要があった。
私鉄からJRに乗り換える時、駅の造りの関係で私鉄の1両目に乗ると一番早くJRに乗り換えできたのだが、この日はカメオは8両目に乗ってしまっていた。
1両目に移動しようにも、通勤ラッシュの人混みでとても電車内を動けるような状態ではなかった。
そこで彼はいつも降りる駅の手前の駅で電車を降りてから、先頭方向へ走って1両目へと移動し、もう一度同じ電車に乗ったのだった。
その結果、カメオは乗り換えをスムーズに行うことができ、またしも発車直前だったJRになんとか飛び乗る事ができた。
カメオ「危ない危ない、これで何とか間に合いそうだ…。」
JRを降りてから、また会社まで走り、カメオは何とか始業時間に間に合う事ができた。
カメオ「おはようございまーす!」
部長「おお、おはよう。ん?」
カメオ「どうかしましたか?」
部長「いや、確か、キミ今日休みだったんじゃ…。この前カメコくんの代わりに休みの日に来てくれたから、今日は振替休日だってこの前言ったような…」
カメオ「すっかり忘れてました(^q^)」
私鉄からJRに乗り換える時、駅の造りの関係で私鉄の1両目に乗ると一番早くJRに乗り換えできたのだが、この日はカメオは8両目に乗ってしまっていた。
1両目に移動しようにも、通勤ラッシュの人混みでとても電車内を動けるような状態ではなかった。
そこで彼はいつも降りる駅の手前の駅で電車を降りてから、先頭方向へ走って1両目へと移動し、もう一度同じ電車に乗ったのだった。
その結果、カメオは乗り換えをスムーズに行うことができ、またしも発車直前だったJRになんとか飛び乗る事ができた。
カメオ「危ない危ない、これで何とか間に合いそうだ…。」
JRを降りてから、また会社まで走り、カメオは何とか始業時間に間に合う事ができた。
カメオ「おはようございまーす!」
部長「おお、おはよう。ん?」
カメオ「どうかしましたか?」
部長「いや、確か、キミ今日休みだったんじゃ…。この前カメコくんの代わりに休みの日に来てくれたから、今日は振替休日だってこの前言ったような…」
カメオ「すっかり忘れてました(^q^)」
「時々ウミガメのスープ」「4ブックマーク」
ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文した。
男はそのスープを一口飲んだところで止め、シェフを呼んだ。
「これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。」
「…そうですか…」
男はスプーンを置き、代金を払って店を出ると、自殺した。
状況を解き明かしてください。
男はそのスープを一口飲んだところで止め、シェフを呼んだ。
「これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。」
「…そうですか…」
男はスプーンを置き、代金を払って店を出ると、自殺した。
状況を解き明かしてください。
15年12月14日 22:49
【ウミガメのスープ】 [えぜりん]
【ウミガメのスープ】 [えぜりん]
本当にゴメンナサイ。反省しています。(でも後悔はしていない)
解説を見る
男は、嗅覚を失って絶望し、自殺を考えている元料理人である。(多分味覚障害が先に出ると思うが、それでもOK。)
もう料理の美味しさがわからなくなり、死ぬ前に、ライバルの作るスープに「マズい!」と言いたくて来店した。
だが男は丁重にもてなされて充分満足してしまい、結局何も文句が言えなかった。
あとは予定通り自殺。
以下、無駄に長い解説です。途中放棄OKです。
反省しています。今後は自重します。
美味しいウミガメのスープで有名な店の料理長であったその男は、非常に敏感で優れた感覚の持ち主で、的確な料理の評論家でもあった。
男は必要以上に正直であることでも知られていた。
本当は「嘘をつく能力が低かった」だけなのだが、他者には無遠慮で失礼なヤツだと思われていた。
男の辛辣な物言いは罵倒に等しく、通常の精神の持ち主には耐えられないほどで……それ故に、男は不幸になったのだ。
ある日、男は批判した相手に殴られ、転んだ拍子にしたたか頭を打ち付けた。
幸い命に別状はなかった…と普通なら言うべきところなのだろうが、男にとっては死んだ方がましだったのだろう。
男は軽い脳内出血が元で、完全に嗅覚を失ってしまったのだ。それは男に、常人の想像以上の絶望をもたらした。
実は嗅覚は味覚と密接な関係にある。味わいの大半は匂いであると言っても過言ではない。嗅覚が失われてしまうと、味は舌が感ずる五味だけになってしまう。
人間の嗅覚は他の動物の比較から鈍いと称されがちだなのだが、それでも一万種を嗅ぎ分ける奥深さを持つのだ。
男の損失はあまりにも大きかった。何を食べても味気なかった。
甘いとか、苦いとか、そういう本来の「味」はわかる。しかし白砂糖の甘味なのか穀物の甘味なのか、魚のわたの苦味なのか焦げ目の苦味なのか、どうしても区別することができないのだ。
もちろん男はもう料理人の仕事を続けることはできなかった。他人の料理を食して毒のような薬のような批評を吐き散らすこともできなくなった。
ここぞとばかりに反撃し始めた周囲の人間は、なけなしの男の生き甲斐をことごとく剥ぎ取った。
店も、瀟洒な豪邸もいつの間にか人手に渡っていた。
男の元に残っていたのは、少しばかりのカネと、小さな銀のティースプーンだけだった。
スプーンは料理人として初めての収入を得たときに買ったもので、それからというもの男は常にこれを持ち歩き、数限りない料理の味見をしたものだ。
だが、もうこのスプーンを使うこともない。
それでも男はどうしても手放すことができず、懐にしまいこんでいたのだ。
* * * * * * *
ある小雪のちらつく晩、男は海辺の街の道端に立っていた。
この冬一番の寒さが男の体を締め上げる。
今まで何とか生きてはきたが、経済的にも体力的にも、何より精神的に限界だった。何もかも終わりにしたかった。
最上級の味を知り尽くした男の、食に対する欲求と矜持はあまりに大きく、完全に男の生命力を押し潰してしまっていた。
わずかのうちにたちまち痩せ衰えた男を見て、かつて有名だったその名を思い出す者は誰もいない。
男はポケットの小銭を集めて手のひらの上で数えてみた。
「ああ、これは…」
男は自嘲気味にひとりごちた。
「ウミガメのスープ一杯分だな。」
そういえば、この近くに彼の店があったはずだと男は考えた。
若い頃から男が目標にし、後にライバルとして意識したが、ついぞ勝つことのできなかったシェフ。
男の夢は、シェフのウミガメのスープを飲んで「これではダメだ」と言ってやって、「俺のスープを飲んでみろ」と胸を張って差し出すことだった。
『もうそれも叶わない。』
そう思った時、ふと、男の情念に黒い炎が上がった。
『これはチャンスではないのか?』
料理を味わう能力を失った男だが、そんな今だからこそ心の底から言えるだろう。「このスープは不味い!」と。
「それを最後の晩餐としよう…」
男はつぶやき、件のレストランに向けて歩き出した。
* * * * * * *
雪は次第に激しさを増し、レストランに着く頃にはそこここに積もって宵闇を青く染めていた。
その中にぽっかりと、暖かな色のキャンドルライトが浮かんでいる。
男はあかぎれとしもやけで真っ赤になった手でドアを引いた。ふんわりとしたぬくもりが彼を包み、冷え切った体を潤した。
…以前の彼ならこの瞬間に店の客の食べている料理をすべて当てられたものだった。
ありとあらゆる素材の香りに包まれて、えも言われぬ至福を感じたのだ。
この店がスパイスの一つ一つまでこだわり、吟味しているということまでもが手に取るようにわかった。
でも今は何も感じなかった。
なめらかな身のこなしの給仕が、男を奥のテーブルに案内しようとした。男は首を横に降り、ドア横の小さなテーブルを指差した。
それは混んでいる時でも滅多に使われることのないテーブルだということを、男は知っていた。
だが、どうせスープだけ飲んで帰るのだ。そして、今から自分のしようとしていることを考えると…さすがに他の客の目を集めるような場所は避けたかった。
男はウミガメのスープを注文した。
ほどなくスープ皿が運ばれてきた。
いつも最高の香りで男を打ちのめしてきたスープが満たされている…はずだ。
スプーンを手に取ろうとして男は訝しんだ。それは木のスプーンだったのだ。
一瞬『俺には粗末な木のカトラリーで充分だと言いたいのか?』という台詞が浮かんだが、即時撤回した。
自分も料理人だったからわかる。これは明らかに、木製のスプーンの中では最も上等の代物だ。手入れも行き届いている。
持ってみると人肌程度のぬくもりが心地良い。太めの丸みを帯びた柄は、腫れて動かしにくい男の手にしっくり馴染み、また支えるのに苦労のいらぬ軽さであった。
スープに目をやると、白磁の器と澄んだ琥珀色のスープにキャンドルの灯りが揺れている。
添えられたハーブはすみずみまで張りつめ、あふれる生命力を感じさせる。
男は涙ぐんだ。こんな美しい料理は久しぶりだと思った。
いつも料理を前にすると香りと味とに全神経を集中させていた男は、今まで食器の手触りやスープの細かい見た目には気づかずにいたのだ。
この店は、料理の味以外でも一流のレストランだったのだと初めて気づいた。
だが味は。
スープを口に運んだ男の味蕾が捉えたのは、塩味とダシのうま味とわずかな甘味だけだった。
「これがあのウミガメのスープなのか?自分が目標とした最高級のスープなのか?」
たとえようもない寂しさが男を襲う。
しかしこのスープのなんと絶妙な温度だろう。
人の舌が耐えられるギリギリの熱さ。喉奥を温め、さらにじんわりと胸の下まで広がっていく温感に男は身をゆだねた。
男はしばし考えた。
自分の決心が揺らいでいるのを感じていたのだ。
だが思い切って給仕を呼んだ。
「シェフと話がしたいんだが。」
すぐに厨房からシェフが姿を見せ、男のテーブルにやって来た。なぜか歩き方がぎこちない。
「いらっしゃいませ。」
シェフはそれだけ言ってちょっと目をみはると、古い友人に微笑みかけるように目を細めた。男が誰なのか気付いたらしい。
「これは本当にウミガメのスープですか?」
固い声で男はたずねた。
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。」
シェフの自信に満ちた、しかし衒(てら)いのない声を聞いたとき、男は自らの完全なる敗北を悟った。
間違いなくこのスープは、今の男にとって最高に旨いスープなのだ…と。
男は自問する。
『嗅覚のあった頃の、最盛期の自分に、このスープが作れただろうか?』
『否。五感がすべて正常に機能していたにも関わらず、目や手や皮膚感覚で味わうスープの旨さをまるっきり見過ごしてきたのではなかったか?』
『これでは勝てる道理がない。』
それに気づいてしまったからには、もう男にはスープを罵倒することなどとてもできなかった。
男はかすれた声で言った。
「…そうですか…」
そしてシェフに向かって深々と頭を下げた。
その時、男はシェフの右足が奇妙な形態をしているのに気がついた。
先程の歩き方はこのためだったのだ。シェフの右足は義足だった。
よく見ると右手の様子もだいぶおかしい。
多分シェフにとっても、年月は決して優しいそよ風ばかりではなかったのだ。
利き腕の機能を損なった後の数多の戦いの中から、シェフはさらなるもてなしの極意を拾い上げてきたに違いない。
持ちやすい木のスプーンも、シェフが自ら選定したのだろう。
顔をゆがめ、再びシェフの顔を見た男に向かい、今度はシェフがゆっくりと、深々と、最敬礼をした。
「いつも御来店ありがとうございます。どうぞごゆっくりおくつろぎください。」
常に男より前を歩いていたシェフの心からの謝意に、男はもう何も返すことができなかった。
ただただ、ゆっくりと厨房へと戻っていくシェフの背中を見送るばかりだった。
男は静かにスープを飲み、ウミガメの肉の歯ごたえや煮込まれた野菜の舌触りを味わった。
スープを最後まで飲み干そうとして、男はふと手を止め、懐からナフキンに包まれた細長いもの…駆け出しの料理人だった頃からの相棒だった銀のティースプーンを取り出した。
男はくすんだスプーンでスープを口に運び、つぶやく。
「今までありがとう。」
そして、わずかにスープの残った皿の中にスプーンをそっと横たわらせた。
男はポケットの中からすべての小銭を出し、スプーンを包んでいたナフキンに乗せてテーブルに置いた。
『これでもう、自分にはなにも残っていない。カネも未練も。なにもかも。』
来店前からボロボロだった男の自尊心はさらにすりつぶされてしまっていたが、細かい目のザルで丁寧に裏ごしされ、クリーミーなソースにしてもらえたような満足感があった。
* * * * * * *
男は扉を押し開け、店を出た。
雪はさらに激しく降り、男の髪に混じりこんだが、男は寒さを感じなかった。不思議な高揚感が男を包んでいる。
臓腑に収めたウミガメのスープも、中から男を温めてくれていた。
「今ならば。」
男は足元を見ながらつぶやく。
「今ならば笑って地獄に行けそうだ。」
人生の終着点でやっと自分の愚かさに気付いた男は、ただただ恥じ入るばかりであったが、それでもたったひとつだけ胸を張れることがあった。
『自分の目標としてあのシェフを選んだこと。結局足元にも及ばずに終わった自分だけど、彼を見出したことだけは褒められるべきだ。』
そう男は思った。
雪の積もった地面が途絶える。一歩先は崖の突端だ。
男は体ごと向き直り、もう遥か遠くなったレストランの明かりにもう一度深く頭を下げた。
顔をあげた時、男の顔は不思議と明るく、なごやかな笑みまで浮かべていた。
男は身を翻し、子どもが駆け出すような軽快な足裁きで、全く躊躇なく突端を越えた。
一瞬風が強くなる。
渦巻く雪と共に、男の体は暗い海面で消えた。
* * * * * * *
とある海の見えるレストランには、扉の横に小さなテーブルと椅子がある。
テーブルには、ちょっと擦り切れてはいるけれどパリッと糊の利いたナフキンが広げられ、その上にピカピカに磨かれたティースプーンがひとつ置いてある。
もう誰もその席に着くことはないのだが、なぜか時々、柔らかに湯気をたてるウミガメのスープが置かれているのだという。
【完】
もう料理の美味しさがわからなくなり、死ぬ前に、ライバルの作るスープに「マズい!」と言いたくて来店した。
だが男は丁重にもてなされて充分満足してしまい、結局何も文句が言えなかった。
あとは予定通り自殺。
以下、無駄に長い解説です。途中放棄OKです。
反省しています。今後は自重します。
美味しいウミガメのスープで有名な店の料理長であったその男は、非常に敏感で優れた感覚の持ち主で、的確な料理の評論家でもあった。
男は必要以上に正直であることでも知られていた。
本当は「嘘をつく能力が低かった」だけなのだが、他者には無遠慮で失礼なヤツだと思われていた。
男の辛辣な物言いは罵倒に等しく、通常の精神の持ち主には耐えられないほどで……それ故に、男は不幸になったのだ。
ある日、男は批判した相手に殴られ、転んだ拍子にしたたか頭を打ち付けた。
幸い命に別状はなかった…と普通なら言うべきところなのだろうが、男にとっては死んだ方がましだったのだろう。
男は軽い脳内出血が元で、完全に嗅覚を失ってしまったのだ。それは男に、常人の想像以上の絶望をもたらした。
実は嗅覚は味覚と密接な関係にある。味わいの大半は匂いであると言っても過言ではない。嗅覚が失われてしまうと、味は舌が感ずる五味だけになってしまう。
人間の嗅覚は他の動物の比較から鈍いと称されがちだなのだが、それでも一万種を嗅ぎ分ける奥深さを持つのだ。
男の損失はあまりにも大きかった。何を食べても味気なかった。
甘いとか、苦いとか、そういう本来の「味」はわかる。しかし白砂糖の甘味なのか穀物の甘味なのか、魚のわたの苦味なのか焦げ目の苦味なのか、どうしても区別することができないのだ。
もちろん男はもう料理人の仕事を続けることはできなかった。他人の料理を食して毒のような薬のような批評を吐き散らすこともできなくなった。
ここぞとばかりに反撃し始めた周囲の人間は、なけなしの男の生き甲斐をことごとく剥ぎ取った。
店も、瀟洒な豪邸もいつの間にか人手に渡っていた。
男の元に残っていたのは、少しばかりのカネと、小さな銀のティースプーンだけだった。
スプーンは料理人として初めての収入を得たときに買ったもので、それからというもの男は常にこれを持ち歩き、数限りない料理の味見をしたものだ。
だが、もうこのスプーンを使うこともない。
それでも男はどうしても手放すことができず、懐にしまいこんでいたのだ。
* * * * * * *
ある小雪のちらつく晩、男は海辺の街の道端に立っていた。
この冬一番の寒さが男の体を締め上げる。
今まで何とか生きてはきたが、経済的にも体力的にも、何より精神的に限界だった。何もかも終わりにしたかった。
最上級の味を知り尽くした男の、食に対する欲求と矜持はあまりに大きく、完全に男の生命力を押し潰してしまっていた。
わずかのうちにたちまち痩せ衰えた男を見て、かつて有名だったその名を思い出す者は誰もいない。
男はポケットの小銭を集めて手のひらの上で数えてみた。
「ああ、これは…」
男は自嘲気味にひとりごちた。
「ウミガメのスープ一杯分だな。」
そういえば、この近くに彼の店があったはずだと男は考えた。
若い頃から男が目標にし、後にライバルとして意識したが、ついぞ勝つことのできなかったシェフ。
男の夢は、シェフのウミガメのスープを飲んで「これではダメだ」と言ってやって、「俺のスープを飲んでみろ」と胸を張って差し出すことだった。
『もうそれも叶わない。』
そう思った時、ふと、男の情念に黒い炎が上がった。
『これはチャンスではないのか?』
料理を味わう能力を失った男だが、そんな今だからこそ心の底から言えるだろう。「このスープは不味い!」と。
「それを最後の晩餐としよう…」
男はつぶやき、件のレストランに向けて歩き出した。
* * * * * * *
雪は次第に激しさを増し、レストランに着く頃にはそこここに積もって宵闇を青く染めていた。
その中にぽっかりと、暖かな色のキャンドルライトが浮かんでいる。
男はあかぎれとしもやけで真っ赤になった手でドアを引いた。ふんわりとしたぬくもりが彼を包み、冷え切った体を潤した。
…以前の彼ならこの瞬間に店の客の食べている料理をすべて当てられたものだった。
ありとあらゆる素材の香りに包まれて、えも言われぬ至福を感じたのだ。
この店がスパイスの一つ一つまでこだわり、吟味しているということまでもが手に取るようにわかった。
でも今は何も感じなかった。
なめらかな身のこなしの給仕が、男を奥のテーブルに案内しようとした。男は首を横に降り、ドア横の小さなテーブルを指差した。
それは混んでいる時でも滅多に使われることのないテーブルだということを、男は知っていた。
だが、どうせスープだけ飲んで帰るのだ。そして、今から自分のしようとしていることを考えると…さすがに他の客の目を集めるような場所は避けたかった。
男はウミガメのスープを注文した。
ほどなくスープ皿が運ばれてきた。
いつも最高の香りで男を打ちのめしてきたスープが満たされている…はずだ。
スプーンを手に取ろうとして男は訝しんだ。それは木のスプーンだったのだ。
一瞬『俺には粗末な木のカトラリーで充分だと言いたいのか?』という台詞が浮かんだが、即時撤回した。
自分も料理人だったからわかる。これは明らかに、木製のスプーンの中では最も上等の代物だ。手入れも行き届いている。
持ってみると人肌程度のぬくもりが心地良い。太めの丸みを帯びた柄は、腫れて動かしにくい男の手にしっくり馴染み、また支えるのに苦労のいらぬ軽さであった。
スープに目をやると、白磁の器と澄んだ琥珀色のスープにキャンドルの灯りが揺れている。
添えられたハーブはすみずみまで張りつめ、あふれる生命力を感じさせる。
男は涙ぐんだ。こんな美しい料理は久しぶりだと思った。
いつも料理を前にすると香りと味とに全神経を集中させていた男は、今まで食器の手触りやスープの細かい見た目には気づかずにいたのだ。
この店は、料理の味以外でも一流のレストランだったのだと初めて気づいた。
だが味は。
スープを口に運んだ男の味蕾が捉えたのは、塩味とダシのうま味とわずかな甘味だけだった。
「これがあのウミガメのスープなのか?自分が目標とした最高級のスープなのか?」
たとえようもない寂しさが男を襲う。
しかしこのスープのなんと絶妙な温度だろう。
人の舌が耐えられるギリギリの熱さ。喉奥を温め、さらにじんわりと胸の下まで広がっていく温感に男は身をゆだねた。
男はしばし考えた。
自分の決心が揺らいでいるのを感じていたのだ。
だが思い切って給仕を呼んだ。
「シェフと話がしたいんだが。」
すぐに厨房からシェフが姿を見せ、男のテーブルにやって来た。なぜか歩き方がぎこちない。
「いらっしゃいませ。」
シェフはそれだけ言ってちょっと目をみはると、古い友人に微笑みかけるように目を細めた。男が誰なのか気付いたらしい。
「これは本当にウミガメのスープですか?」
固い声で男はたずねた。
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。」
シェフの自信に満ちた、しかし衒(てら)いのない声を聞いたとき、男は自らの完全なる敗北を悟った。
間違いなくこのスープは、今の男にとって最高に旨いスープなのだ…と。
男は自問する。
『嗅覚のあった頃の、最盛期の自分に、このスープが作れただろうか?』
『否。五感がすべて正常に機能していたにも関わらず、目や手や皮膚感覚で味わうスープの旨さをまるっきり見過ごしてきたのではなかったか?』
『これでは勝てる道理がない。』
それに気づいてしまったからには、もう男にはスープを罵倒することなどとてもできなかった。
男はかすれた声で言った。
「…そうですか…」
そしてシェフに向かって深々と頭を下げた。
その時、男はシェフの右足が奇妙な形態をしているのに気がついた。
先程の歩き方はこのためだったのだ。シェフの右足は義足だった。
よく見ると右手の様子もだいぶおかしい。
多分シェフにとっても、年月は決して優しいそよ風ばかりではなかったのだ。
利き腕の機能を損なった後の数多の戦いの中から、シェフはさらなるもてなしの極意を拾い上げてきたに違いない。
持ちやすい木のスプーンも、シェフが自ら選定したのだろう。
顔をゆがめ、再びシェフの顔を見た男に向かい、今度はシェフがゆっくりと、深々と、最敬礼をした。
「いつも御来店ありがとうございます。どうぞごゆっくりおくつろぎください。」
常に男より前を歩いていたシェフの心からの謝意に、男はもう何も返すことができなかった。
ただただ、ゆっくりと厨房へと戻っていくシェフの背中を見送るばかりだった。
男は静かにスープを飲み、ウミガメの肉の歯ごたえや煮込まれた野菜の舌触りを味わった。
スープを最後まで飲み干そうとして、男はふと手を止め、懐からナフキンに包まれた細長いもの…駆け出しの料理人だった頃からの相棒だった銀のティースプーンを取り出した。
男はくすんだスプーンでスープを口に運び、つぶやく。
「今までありがとう。」
そして、わずかにスープの残った皿の中にスプーンをそっと横たわらせた。
男はポケットの中からすべての小銭を出し、スプーンを包んでいたナフキンに乗せてテーブルに置いた。
『これでもう、自分にはなにも残っていない。カネも未練も。なにもかも。』
来店前からボロボロだった男の自尊心はさらにすりつぶされてしまっていたが、細かい目のザルで丁寧に裏ごしされ、クリーミーなソースにしてもらえたような満足感があった。
* * * * * * *
男は扉を押し開け、店を出た。
雪はさらに激しく降り、男の髪に混じりこんだが、男は寒さを感じなかった。不思議な高揚感が男を包んでいる。
臓腑に収めたウミガメのスープも、中から男を温めてくれていた。
「今ならば。」
男は足元を見ながらつぶやく。
「今ならば笑って地獄に行けそうだ。」
人生の終着点でやっと自分の愚かさに気付いた男は、ただただ恥じ入るばかりであったが、それでもたったひとつだけ胸を張れることがあった。
『自分の目標としてあのシェフを選んだこと。結局足元にも及ばずに終わった自分だけど、彼を見出したことだけは褒められるべきだ。』
そう男は思った。
雪の積もった地面が途絶える。一歩先は崖の突端だ。
男は体ごと向き直り、もう遥か遠くなったレストランの明かりにもう一度深く頭を下げた。
顔をあげた時、男の顔は不思議と明るく、なごやかな笑みまで浮かべていた。
男は身を翻し、子どもが駆け出すような軽快な足裁きで、全く躊躇なく突端を越えた。
一瞬風が強くなる。
渦巻く雪と共に、男の体は暗い海面で消えた。
* * * * * * *
とある海の見えるレストランには、扉の横に小さなテーブルと椅子がある。
テーブルには、ちょっと擦り切れてはいるけれどパリッと糊の利いたナフキンが広げられ、その上にピカピカに磨かれたティースプーンがひとつ置いてある。
もう誰もその席に着くことはないのだが、なぜか時々、柔らかに湯気をたてるウミガメのスープが置かれているのだという。
【完】