「玩具にかける情熱」「2ブックマーク」
カメオ君は同じ玩具をいくつもいくつも買っていた。
購入した玩具は全て誰かのためではなく、残らずカメオ自身が使うためであるという。
他の玩具を勧めても、これがいい、これでなくてはいけないと首を横に振るばかり。
何故カメオ君は同じ玩具にこだわり続けるのだろうか?
購入した玩具は全て誰かのためではなく、残らずカメオ自身が使うためであるという。
他の玩具を勧めても、これがいい、これでなくてはいけないと首を横に振るばかり。
何故カメオ君は同じ玩具にこだわり続けるのだろうか?
16年03月27日 17:31
【ウミガメのスープ】 [フィニティ]
【ウミガメのスープ】 [フィニティ]
27杯目
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カメオ君はブロック遊びを何より気に入っていて、家や船、動物などをブロックを組み合わせて何度も作るうちに、
少しずつより大きく、より精巧な作品を完成させたいと思うようになっていった。
しかしそのためには、今家にあるブロックだけでは数が足りないので同じブロックを買い足して増やす必要があった。
他社製品のブロックでは組み合わせようにも規格が合わないので、当然#b#同じブロックパーツの玩具を何十個、何百個という単位で沢山所持することになる#/b#わけである。
「目指せ、超大作!そうだなあ・・・いつか本物と同じ大きさの車とか作ってみたいな。ブロックだけで」
カメオ君はやがてブロックであらゆるものを表現するブロックアーティストとして大成するのだが、それはまだ誰も知らない未来の話である。
少しずつより大きく、より精巧な作品を完成させたいと思うようになっていった。
しかしそのためには、今家にあるブロックだけでは数が足りないので同じブロックを買い足して増やす必要があった。
他社製品のブロックでは組み合わせようにも規格が合わないので、当然#b#同じブロックパーツの玩具を何十個、何百個という単位で沢山所持することになる#/b#わけである。
「目指せ、超大作!そうだなあ・・・いつか本物と同じ大きさの車とか作ってみたいな。ブロックだけで」
カメオ君はやがてブロックであらゆるものを表現するブロックアーティストとして大成するのだが、それはまだ誰も知らない未来の話である。
「ハッピーエンドは笑えない」「2ブックマーク」
この日、全米が笑ったと評判のコメディ映画をカメオは観た。
物語は終始明るく、結末も文句なしのハッピーエンドだ。
しかしカメオは一度たりとも笑えなかった。
にもかかわらず、カメオは何度もこの映画を観た。
どうして?
物語は終始明るく、結末も文句なしのハッピーエンドだ。
しかしカメオは一度たりとも笑えなかった。
にもかかわらず、カメオは何度もこの映画を観た。
どうして?
16年03月18日 22:13
【ウミガメのスープ】 [ミリアム]
【ウミガメのスープ】 [ミリアム]
皆さんはどんな映画が好きですか?(問題とは関係ありません)
解説を見る
カメオは映画館のスタッフだ。
上映にミス、問題がないかをチェックしたり、お客様の様子を確認するために、スクリーンにはいるのも仕事のひとつである。
この日もそう。
チェックのためにお客様と一緒にコメディ映画を観ていた。
面白い。
すごく面白い。
でも、笑うわけにはいかないんだ……!
あくまでもカメオは仕事中。お客様の観賞の邪魔をしてはいけない。仕事に集中しなければいけない。
カメオは頑張った。
笑わないように。それはもう頑張った。
その努力の甲斐あって、カメオは一度たりとも笑わずに済んだ。
……その後、同じ映画を観ることもあったがカメオは見事に仕事をまっとうしたのだった。
上映にミス、問題がないかをチェックしたり、お客様の様子を確認するために、スクリーンにはいるのも仕事のひとつである。
この日もそう。
チェックのためにお客様と一緒にコメディ映画を観ていた。
面白い。
すごく面白い。
でも、笑うわけにはいかないんだ……!
あくまでもカメオは仕事中。お客様の観賞の邪魔をしてはいけない。仕事に集中しなければいけない。
カメオは頑張った。
笑わないように。それはもう頑張った。
その努力の甲斐あって、カメオは一度たりとも笑わずに済んだ。
……その後、同じ映画を観ることもあったがカメオは見事に仕事をまっとうしたのだった。
「書くまで死ねない」「2ブックマーク」
カメオは、21歳でデビューしてから、81歳になった今でも、毎年精力的に本を出し続ける小説家だ。
恋愛小説から戦記物まで、児童書から盆栽ミステリーまで幅広くこなす彼に、編集者は言った。
「もう、世の中のすべてのジャンルの小説を書きつくしてしまったのでは?」
すると、カメオはこう答えた。
「いいや、実はまだ、書いたことのない小説が、二種類あるんだ」
「そんなものですか?」
「そうなんだよ」
「ふーん、そんなもんですか。それはそうと、明日締め切りですから、よろしくお願いしますよ」
編集者は驚いたが、原稿の催促も忘れない。
「ああ、任せておきたまえ」
鷹揚に返事をすると、小説家は原稿の執筆に戻った。
そして、その日の晩。
カメオは、自身がいまだ書いたことのなかった二種類の小説を抱いて死んでいた。
なぜ、彼はその二種類の小説を抱いて死ぬことができたのだろう?
なお、彼の筆は別に早くなく、一作品を一日で書き上げることは不可能である、ということを申し添えておこう。
恋愛小説から戦記物まで、児童書から盆栽ミステリーまで幅広くこなす彼に、編集者は言った。
「もう、世の中のすべてのジャンルの小説を書きつくしてしまったのでは?」
すると、カメオはこう答えた。
「いいや、実はまだ、書いたことのない小説が、二種類あるんだ」
「そんなものですか?」
「そうなんだよ」
「ふーん、そんなもんですか。それはそうと、明日締め切りですから、よろしくお願いしますよ」
編集者は驚いたが、原稿の催促も忘れない。
「ああ、任せておきたまえ」
鷹揚に返事をすると、小説家は原稿の執筆に戻った。
そして、その日の晩。
カメオは、自身がいまだ書いたことのなかった二種類の小説を抱いて死んでいた。
なぜ、彼はその二種類の小説を抱いて死ぬことができたのだろう?
なお、彼の筆は別に早くなく、一作品を一日で書き上げることは不可能である、ということを申し添えておこう。
16年03月09日 21:28
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]
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彼がいまだに書いたことがないと言っていた二つの小説とは、
「遺作」と「代表作」だ。
81歳のカメオは、自身の最後の原稿を書き上げ、感慨に耽っている内に、持病の発作で死んだ、と小説誌に追悼記事と共に発表された。
彼の遺作となった作品は、たちまち話題となり、多くの人の手に取られた。
彼の作品独特のふわりと包み込むような優しさはそのままに、鋭い感性は更に鋭さを増して人々の心の奥底まで照らし、手に汗握る冒険活劇も、頭を悩ませる謎も、心臓を高鳴らせるラブロマンスも、青春の悩みも煌めきもある、そんな作品だった。
数十年後
「はい、じゃあ、海原カメオの代表作が分かる人ー」
「はい! 『イシスの祈り』です!」
「正解です。海原カメオは、この作品を書き上げたすぐ後に亡くなったと言われているわ。最期まで、彼は小説を書き続けていたんですね」
先生の言葉を聞きながら、海原カメコは机の上の真っ白い原稿用紙に鉛筆を走らせる。自分とよく似た名前の小説家の伝説は、少女の書くことへの情熱を自然と高めていた。
「遺作」と「代表作」だ。
81歳のカメオは、自身の最後の原稿を書き上げ、感慨に耽っている内に、持病の発作で死んだ、と小説誌に追悼記事と共に発表された。
彼の遺作となった作品は、たちまち話題となり、多くの人の手に取られた。
彼の作品独特のふわりと包み込むような優しさはそのままに、鋭い感性は更に鋭さを増して人々の心の奥底まで照らし、手に汗握る冒険活劇も、頭を悩ませる謎も、心臓を高鳴らせるラブロマンスも、青春の悩みも煌めきもある、そんな作品だった。
数十年後
「はい、じゃあ、海原カメオの代表作が分かる人ー」
「はい! 『イシスの祈り』です!」
「正解です。海原カメオは、この作品を書き上げたすぐ後に亡くなったと言われているわ。最期まで、彼は小説を書き続けていたんですね」
先生の言葉を聞きながら、海原カメコは机の上の真っ白い原稿用紙に鉛筆を走らせる。自分とよく似た名前の小説家の伝説は、少女の書くことへの情熱を自然と高めていた。
「友達は魔法使い」「2ブックマーク」
私は魔法使いだ。
私が唯一使える魔法、それは、友達が増える魔法だ。
私が呪文を唱えると、相手は私と友達になりたくなる。
私は笑みを隠そうともせず、頭を下げて礼を言う。こんな私と友達になってくれてありがとう、と。
そして心の中で詫びた。
こんな呪文を唱えて悪かったと。
そして、私は相手が見えなくなったところでいつも泣くのだ。
何故だと思う?
私が唯一使える魔法、それは、友達が増える魔法だ。
私が呪文を唱えると、相手は私と友達になりたくなる。
私は笑みを隠そうともせず、頭を下げて礼を言う。こんな私と友達になってくれてありがとう、と。
そして心の中で詫びた。
こんな呪文を唱えて悪かったと。
そして、私は相手が見えなくなったところでいつも泣くのだ。
何故だと思う?
16年07月02日 16:17
【ウミガメのスープ】 [風木守人]
【ウミガメのスープ】 [風木守人]
解説を見る
私は恋多き男だった。
一度人を好きになると、告白せざるを得なくなるほどに情熱を注ぐ。
いや、わかっているのだ。私はきっと、周囲からは軽い男だと勘違いされているのだろう。
私が好意を持った女性に告白すると、皆このように答えるのだ。
「貴方のこと、友達以上には思えないわ」
「ごめんなさい、友達でいましょう?」
「いやー、驚いたな。嬉しいよ、でもごめんな。俺はお前を友達以上には見れない」
「あなた友達、私も友達。おっけー?」
彼女たちは呪文のようにこう告げた。
お前を友達以上には見れないと。
まるで魔法でも使ったかのように、私の友達は増えていく。
これからも、ずっと。
一度人を好きになると、告白せざるを得なくなるほどに情熱を注ぐ。
いや、わかっているのだ。私はきっと、周囲からは軽い男だと勘違いされているのだろう。
私が好意を持った女性に告白すると、皆このように答えるのだ。
「貴方のこと、友達以上には思えないわ」
「ごめんなさい、友達でいましょう?」
「いやー、驚いたな。嬉しいよ、でもごめんな。俺はお前を友達以上には見れない」
「あなた友達、私も友達。おっけー?」
彼女たちは呪文のようにこう告げた。
お前を友達以上には見れないと。
まるで魔法でも使ったかのように、私の友達は増えていく。
これからも、ずっと。
「掛け違えたボタン」「2ブックマーク」
ウミコと結婚式を挙げた翌日、道端でばったりカメコと出会った。
カメコは僕の昔の恋人。もうきっぱり別れたはずなのに、彼女は僕のことを今でも思っていたようだ。
別れ際、カメコが僕の第二ボタンを手放さずにいるのに気付いた僕は#red#ウミコのもとを離れる#/red#決心をした。
別にカメコのことなんてちっとも好きじゃないのに、なぜ?
カメコは僕の昔の恋人。もうきっぱり別れたはずなのに、彼女は僕のことを今でも思っていたようだ。
別れ際、カメコが僕の第二ボタンを手放さずにいるのに気付いた僕は#red#ウミコのもとを離れる#/red#決心をした。
別にカメコのことなんてちっとも好きじゃないのに、なぜ?
17年10月14日 22:17
【ウミガメのスープ】 [滝杉こげお]
【ウミガメのスープ】 [滝杉こげお]
解説を見る
「ずっと好きだったのに」
家へと続く細い路地で僕の前に立ちふさがったカメコは僕をその切れ長の目でじっと見つめていた。
「キミとはきっぱり別れたはずだよ」
「でも、それでもカメオ君が好きなんだもん」
僕にしがみつくカメコ。僕は彼女を振りほどこうと彼女を突き飛ばす。
――ゴンッ
耳に届いた嫌な音。恐る恐る僕が振り返ると、カメコのその切れ長の目は見開き、虚空を見つめていた。
後頭部から滴る血液に僕はしりもちをつく。
「う、わああああああ」
どうする?
脳裏をかすめるのは結婚したばかりの妻ウミコの姿。
いま彼女を一人にするわけには……僕はとりあえずウミコの声を聴こうと胸元の携帯電話に手を伸ばす。
けれどもそこで僕は気づく。#b#第二ボタン#/b#がとれていることに。
きっとさっきのもみ合いでとれてしまったのだろう。僕は無心でボタンのありかを探す。
「まさか……」
何所を探してもボタンは見当たらない。僕の目が最後に止まったのは#red#固く握られたカメコの手#/red#。
僕のボタンには当然指紋等、僕を特定できる情報が刻まれているだろう。
カメコの拳が死後硬直により開かないことを確認した僕は#red#逃げることをあきらめ、警察に自首をする#/red#決心をしたのだ。
#b#要約解説#/b#:
僕はカメコを殺してしまう。その手に僕のボタンが握られていることに気付いた僕は
逃げることをあきらめ、警察に捕まる覚悟を決めたのだ。
家へと続く細い路地で僕の前に立ちふさがったカメコは僕をその切れ長の目でじっと見つめていた。
「キミとはきっぱり別れたはずだよ」
「でも、それでもカメオ君が好きなんだもん」
僕にしがみつくカメコ。僕は彼女を振りほどこうと彼女を突き飛ばす。
――ゴンッ
耳に届いた嫌な音。恐る恐る僕が振り返ると、カメコのその切れ長の目は見開き、虚空を見つめていた。
後頭部から滴る血液に僕はしりもちをつく。
「う、わああああああ」
どうする?
脳裏をかすめるのは結婚したばかりの妻ウミコの姿。
いま彼女を一人にするわけには……僕はとりあえずウミコの声を聴こうと胸元の携帯電話に手を伸ばす。
けれどもそこで僕は気づく。#b#第二ボタン#/b#がとれていることに。
きっとさっきのもみ合いでとれてしまったのだろう。僕は無心でボタンのありかを探す。
「まさか……」
何所を探してもボタンは見当たらない。僕の目が最後に止まったのは#red#固く握られたカメコの手#/red#。
僕のボタンには当然指紋等、僕を特定できる情報が刻まれているだろう。
カメコの拳が死後硬直により開かないことを確認した僕は#red#逃げることをあきらめ、警察に自首をする#/red#決心をしたのだ。
#b#要約解説#/b#:
僕はカメコを殺してしまう。その手に僕のボタンが握られていることに気付いた僕は
逃げることをあきらめ、警察に捕まる覚悟を決めたのだ。