とある町から近くの都市へは特急バスが出ている。
ところがある日、都市へ向かう途中でこのバスが急に停車してしまった。
運転手によると何かバスに異常があったらしい。
乗客達は不安そうにしていたが、なぜか皆微笑んで拍手をしていた。
いったいこのバスに何がおこったのだろうか?
10年09月05日 23:02
【ウミガメのスープ】
[ディダムズ]
解説を見る
特急バスが発車して少しすると、1人の老人が慌てて運転手に話しかけてきました。
「孫が事故にあったと聞いて、慌てて特急バスに乗ってしもうた。申し訳ないんじゃが、市立病院前で下ろしてもらえないじゃろうか?」
ところが運転手は困ってしまいます。
「そうして差し上げたいのですが、他のお客様からも"好きな場所で止めて"とおっしゃられた時にお断り出来なくなりますので、規定の場所以外でお停めするわけには…。」
「お願いじゃ、孫が心配で心配で…。」
運転手も他の乗客達も何とかできないものかと考えますが、どうすることもできず、バスはどんどん病院に近づいていきます。
あと少しで病院を通り過ぎてしまうというところで、運転手は閃きました。
「お客様に申し上げます。運転中異常を感じたため、ブレーキテストと、ドアの開閉チェックを行います。申し訳ありませんが、しばらくお待ちください。」
バスは病院の前に停止し、ドアが開きました。
不安そうにしていた老人はハッと気付くと、急いでバスを降りて行きます。
「ありがとう!ありがとう!」
お礼を繰り返しながら老人が去っていくと、ゆっくりとバスのドアが閉まりました。
老人の孫を心配しながらも、運転手の優しさと機転に大きな拍手が湧き起こります。
「ブレーキテスト終了、ドアの開閉チェック完了!お待たせ致しました、発車します。」
総合点:6票 物語:4票 言葉遊び:2票
物語部門エリム【
投票一覧】
「埋もれがちな初期問題から、登場人物の水平思考が見事な優しい物語を。」
2017年10月29日21時
物語部門とかげ【
投票一覧】
「途中で急に停車したバスの中で、なぜか笑顔で拍手する乗客……その真相が微笑ましいのは、運転手の粋な計らいのためだけではない。乗客達の拍手があるからこそ、これは物語なのだ。」
2016年09月28日07時
物語部門フィーカス【
投票一覧】
「心温まる物語でした。バスの運転手さんの機転に1票!」
2015年06月13日16時
物語部門牛削り【
投票一覧】
「拍手が起こるのであればきっと何の問題もない。解説を読んでしみじみとそう感じます。」
2015年06月03日21時
言葉遊び部門とむわん【
投票一覧】
ネタバレコメントを見る
「素敵すぎる。甘木さんと全く同じ意見ですが「運転手によると〜らしい」が本当にお見事です。匠の技。」
2017年10月01日13時
言葉遊び部門甘木【
投票一覧】
ネタバレコメントを見る
「運転手によると異常があった「らしい」、という言葉選びの上手さ!」
2017年09月05日19時