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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

ウミガメのスープ ~Ratter版ver2~(問題ページ

る女の前に一人の料理人がスープを差し出した。
女はスープを一口飲んだところで止め、
料理人にこう言った。

女:「これはウミガメのスープ?」
料理人:「はい、おっしゃるとおりウミガメのスープです・・・」

料理人の答えを確認すると女は帰っていった。
その後、料理人が自殺した。

何故でしょう?
12年11月23日 23:52
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [Ratter]



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かしむかし、大陸の中央の山岳地帯にある王国に
一人の女王様がおった。

即位して数年の間はまじめに政治に励んでいたのだが
長年の平和に飽きてきたのか、だんだんと彼女は変わっていった。

贅沢な暮らしをするようになり、民に重税を課し、
逆らうものはためらいなく虐殺していくようになった。

もはや暴君となった彼女には誰も逆らうこともできなくなっていた。

そんな圧政が続いたある日、1人の宮廷料理人が女王に意見を述べた。

「女王様に申し上げます。民は重税に苦しんでおります。どうか昔の優しき女王様にお戻りいただけないでしょうか」

それに対し、女王はこう答えた。

「ほう。わらわに意見するともうすか。
本来ならば、この時点で一族郎党皆殺しにしてやるところであるが・・・
わらわはとてもとても優しき女王じゃ。
そなたにチャンスをくれてやろう。

わらわが、一度も食べたことのない料理を持ってまいれ。
わらわがその素材を当てることができなければ、ソナタの勝ちじゃ
願いを聞き届けてやろう。
だが、わらわが素材を言い当てたならばソナタの負け、
あるべき通り、一族郎党皆殺しじゃ。

チャンスは三度くれてやる。せいぜい励むが良い」

こうして、料理人は女王がまだ食したことのないであろう素材を探し求めることとなった。

1度目は、愛犬家である女王なら食べたことのないであろう犬肉料理を差し出した。
だが女王は答えた。

「ふむ。これは犬肉のステーキじゃな?はるか東方の国に出向いた時に食したことがある」

2度目は、山国であるこの国では食する機会もないであろう海亀を試してみた。
だが、やはり女王は答えた。

「これはウミガメのスープ?珍味ではあるがさして珍しいものでもないのぅ」

次に失敗すれば、自分のみならず一族が皆殺しにされてしまう。
困り果てた料理人は、首をつって自殺することにした。

梁からぶら下がる料理人の前には1通の手紙が置いてあった。

~~手紙の内容~~
親愛なる息子にして一番の弟子であるラテシンへ
力及ばずこのようなことになったことを許して欲しい。
だが、残されたお前に秘策を授ける。

いまお前の目の前にぶら下がっている肉塊をスープに仕立てるのだ
使う肉以外のレシピはウミガメのスープと同じで良い。
女王といえど、さすがに人肉を食したことはないだろう。

いや、もしあったとしても、家臣たちの前ではさすがに
【人肉を以前食したことがある】とは言うまい
~~~~~~~~~

料理人は女王に食されるために首をつったのだった。
総合点:18票  チャーム:2票  納得感:6票  トリック:1票  伏線・洗練さ:4票  物語:4票  その他:1票  


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チャーム部門からす山
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「本家のオマージュですが、料理人が自殺。このパターンは見たことがないし、誰がするにしても「自殺」というワードはチャームが高いですし、それが料理人という妙な立ち位置の人間であればなおさらです。」
2017年10月18日21時
チャーム部門とかげ
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「そもそもチャームの高い本歌取りの中でも、料理人が死ぬという、興味をそそられるパターン。解説の納得感も素晴らしいです。」
2015年02月10日00時
納得感部門からす山
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「なるほど、だからウミガメのスープのあとに料理人の自殺の順番なのですね。納得です。」
2017年10月18日21時
納得感部門かぼちゃグランド
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「感情の結果としてだけではなく論理で固められた「自殺」。元祖のオマージュは数多くありますが、この問題文の答えはこの解説ただ一つだと思えます」
2017年07月24日21時
納得感部門letitia
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「自殺や殺人の動機を解くべき謎にすることは、「感情」が因果関係に介在してしまうために、納得感の面でリスクが高いことです。しかしこの問題では、料理人のとるべき最善策が間違いなく自殺だったと言える鉄壁の論理構造があり、見事なクルーと合わせて納得感が非常に高いです。」
2015年12月13日20時
納得感部門牛削り
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「人はそう簡単には自殺なんてしません。どんなに悲しいことがあっても、たいていの人はなんとか生きているものです。自殺の理由を問う問題は、通常よりも納得感のハードルが高いと言えるでしょう。当問題も自殺の理由を問う形になっていますが、自ら押し上げたハードルを乗り越えるだけの説得力を持った事情が隠されていました。※ミスリード注意。」
2015年12月08日13時
納得感部門松神
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「本来死ぬはずのない人間の死...凝り固まった脳みそをほぐしてくれる問題です。」
2015年11月24日11時
納得感部門ruxyo
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「隠された背景を明らかにすることと、料理人が自殺した水平思考的な理由が同時に明らかになる、精密に作られた納得度の高い問題だと感じました。」
2015年04月27日02時
トリック部門からす山
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「本家と同じような状況にしか見えないよううまく偽装してありますが、実際は全然違いました。そこかしこの叙述でだますトリックが見事です。」
2017年10月18日21時
伏線・洗練さ部門からす山
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「この解説文の状況から、本家のオマージュっぽい問題文へと、非常にうまく状況が切り取られています。かなりの手腕と労力を感じさせますね。」
2017年10月18日21時
伏線・洗練さ部門az
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「本家ウミガメのスープの持つ要素を巧みに換骨奪胎した、本歌取りの最高峰。問題文のチャーム、及び解説のインパクトは、本家のそれに勝るとも劣りません。」
2017年01月26日00時
伏線・洗練さ部門春雨
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「本家同様の「問答」を含めた、一つ一つが「上手い」」
2016年01月04日02時
伏線・洗練さ部門letitia
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「少しベールをかけすぎただけで停滞してヒントを出すことになり、一つクルーを入れすぎただけて瞬殺される。問題文の難易度調整はおそらく永遠の課題でしょうが、この問題の言語化されていないクルーによる繊細で高度な調整は、一つの完成型だと思います。」
2015年12月13日20時
物語部門からす山
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「本家以上ではないかとも思える、巧みで隙の無い、内容的にも鬼気迫る物語。凄まじいです。世界設定も人物設定も経過も結果もこのあとどうなるかを気にさせる度合いも、すべてが高水準です。」
2017年10月18日21時
物語部門かもめの水平さん
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「本歌とりの中でもこの視点は心震えます。自殺するに足る素晴らしい理由がある物語です」
2015年12月28日23時
物語部門みん
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「本家のチャームとインパクトを活かしつつ、本家以上に納得感の得られるストーリーに仕上がっているのが素晴らしいです。」
2015年11月19日18時
物語部門からてちょっぷ
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「本家取りは二番煎じになることが多いですが、これは新たな可能性を探って、普段あまり焦点にならない料理人を取り上げています。解説も読み応えがあります。」
2015年11月15日11時
その他部門tsuna
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「【ネタバレ注意】ここまでの覚悟を持った料理人はいないでしょう」
2015年04月23日01時

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