ある雨の日、太郎は傘を盗まれた。
翌日、太郎は傘から自分の名前をあわてて消した。
その場にいた次郎は笑い、花子は泣いた。
状況を説明してください。
13年05月11日 14:22
【ウミガメのスープ】
[3000才]
解説を見る
太郎はウミガメ小学校に通う小学3年生。
ある雨の放課後、太郎が家に帰ろうとすると、置いてあった傘がないことに気付いた。
どうやら誰かが持っていったらしい。
ぬれて帰るべきか、しばらく雨宿りするべきかと考えていたところ、
花子が傘を手に話しかけてきた。
「傘ないの?それなら、一緒に帰ろうよ」
花子の家は太郎と同じ方向だ。
太郎は、花子のピンク色の傘に入れてもらった。
雨の音と2人分の足音が聞こえる。
太郎はいつもよりもちょっぴりだけ浮き浮きしながら家に帰った。
翌日、太郎が登校すると、
教室の黒板に大きく相合傘のマークとともに花子と太郎の名前があった。
誰かが昨日の様子を見ていて、冷やかしに黒板に書いたのだ。
太郎は、あわてて、相合傘と太郎の名前、それから花子の名前を消した。
それを見た次郎は太郎を冷やかした。
全てを消し終え、太郎が教室にふり返ると、泣いている花子に気がついた。
花子の友達の葉子が、肩に手をやり、慰めていた。
花子が泣いていたのは、誰かがした相合傘の仕打ちのためだろうか。
それとも、あわてて消す僕が悪かったのだろうか。
とてもとても気まずくて、太郎は花子に話しかけることができなかった。
太郎は、それからしばらく、花子と目を合わせることができなかった。
「おはよう」も言えなかった。
「やあ」も言えなかった。
次郎が冷やかす気がしたから。
なんだか気まずい気がしたから。
でも。
ある日、いつかのような雨が降っていた。
太郎が帰ろうとすると、花子が傘を持たずに、空をながめていることに気がついた。
傘を持っていないみたいだった。
太郎は傘を手に花子に近づいた。
「これ、使って」
太郎は花子に無理やり傘を渡し、振り向きもせずに一目散に走った。
その夜、びしょぬれになって帰ってきたことを母親にこっぴどくしかられたが、太郎は平気だった。
明日は花子に「おはよう」と言おう。
そう思って太郎は布団についた。
外は静かで、雨はやっとやんだようだった。
総合点:11票 チャーム:1票 納得感:2票 トリック:1票 伏線・洗練さ:2票 物語:4票 言葉遊び:1票
チャーム部門tsuna【
投票一覧】
「問題文を観た瞬間、解きたくなりました」
2015年04月29日01時
納得感部門華【
投票一覧】
「物語りも素晴らしいのですが納得感も凄いです。」
2015年04月29日10時
納得感部門tsuna【
投票一覧】
「「問題を出題する前に確認すること」項のすべてを満たしていると思います」
2015年04月29日01時
トリック部門tsuna【
投票一覧】
「複数のトリックが組み合わされていて凄いです」
2015年04月29日01時
伏線・洗練さ部門牛削り【
投票一覧】
「傘というアイテムに内在する水平思考要素を余すところなく引き出した傑作です。テーマが一貫していて均整美を感じるためこの部門で。」
2015年04月29日03時
伏線・洗練さ部門tsuna【
投票一覧】
「問題文に一切の無駄がありません」
2015年04月29日01時
物語部門エリム【
投票一覧】
「ミステリアスな状況に隠された素晴らしい物語。ちょっとノスタルジィに浸りたくなります。」
2016年05月22日00時
物語部門蓮華【
投票一覧】
「幸せになれるといいですね。心温まるストーリーです。」
2016年05月21日23時
物語部門フィーカス【
投票一覧】
「「そういえばそういう意味もありますね」と、いろいろと考えさせられる問題でした。トリックと納得感で迷いましたが、解説の物語が素晴らしかったので物語部門に1票」
2015年05月26日09時