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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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姉の愚行(問題ページ

は姉に虐待されていた。

昔は賢くて、優しかった、姉。
それが、いつからか、僕に虐待してくるようになった。

それでも、僕は姉のことが大好きだった。
たった一人の、大切な姉だから。

だけどある日、僕は刺された。
姉に、ナイフで───。

姉はすぐに警察に捕まった。

どうしてこんなことをするの?
僕はそう思いながら連れて行かれる姉を見つめると、姉は何かをつぶやいたような気がした。

後日、僕は姉の日記を見つけ、読んだ。
全てを理解して、泣き出した。

僕はこのとき初めて、姉を憎んだ。


姉が弟を虐待していた理由を答えてください。
13年01月20日 18:43
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [ノックスR]



解説を見る
たちの住む国は、他国と戦争をしていた。
この戦争は弟が小学六年生のときに始まった。

学者であった私たちの父は、この戦争が長期化、泥沼化することを予見し、戦争に反対をしていた。
それは看護師であった母親も同じであった。

ところがあるとき、両親は警察に捕らえられ、そのまま連れて行かれてしまった。
───姉である私と、弟を残して。
両親の稼ぎは良く、その貯金と、私の稼ぎで何とか生活は出来ていた。
しかし、要注意人物の家として、ひそかに盗聴器までつけられてしまった。私は偶然そのことを聞いたが、どうすることも出来なかった。

私は考えた。
おそらく父の言ったことはあっている。
───戦争は、長期化するだろう。

それならば、いつか弟が徴兵されてしまうかもしれない。
今、弟は小学六年生。
今すぐということはないだろうが、このままでは近いうちに・・・

私は、たいした訓練もつんでいない付け焼刃の兵士が戦ったところで、すぐに戦死するだろうと考えていたし、日々届く訃報を聞いていると実際にそうであるのだろう。

弟を戦争に行かせたくない・・・
私の、たった一人の大切な弟なんだ・・・
だからと言って、弟を初め、誰にも相談することは出来ない。
どこで盗聴されているか分からないから・・・

そう思い、考えた私は、ある計画を実行することを決めた。

だがそれには、弟を虐待、いじめなければならなかった。
これは、計画を実行するときに、怪しまれないためだった。

私は弟を虐待し始めた。
時には殴り、時には蹴り飛ばし、時には罵声を浴びせた。

弟にはもちろん疎まれた。
いじめるたび、身が張り裂けるくらい辛かったが、それでも我慢した。

心の中では何回も謝った。


そして、弟は十五歳になった。
案の定、戦争は泥沼化していた。
このままでは、弟がいつ徴兵されてもおかしくない・・・
そう思って私は、ついに計画を実行することにした。

看護師の母親が残した医学書で、人体の仕組みを確認し、ナイフで弟の足を突き刺し、特定の部分を切断した。

弟の足が動かなくなるように・・・
弟の足が動かなくなれば、徴兵されることはなくなる。
しかし、いきなり足を刺しても、思惑がばれて、「愛国心がない」だとかの理不尽な理由で弟まで両親と同じように逮捕されるかもしれない。

すると、どこからか警察が飛び込んでいた。
さすがに見逃せなかったのだろう。

───私は逮捕された。


連れて行かれる瞬間、私は弟の顔を見た。
とても痛そうな顔をしている弟を。

「───ごめんなさい」
私は最後にそうつぶやいた。

私の日記は、君が処分して。
読む読まないは任せるから。

私はどうなってもいい。
だから、どうか貴方だけは生きていてください。


***

「お姉ちゃん、バカだよ・・・僕はそんなこと、ちっとも望んでいなかった・・・ただ、お姉ちゃんが幸せに暮らしていてくれれば、それでよかったのに・・・」

僕はそうつぶやいて、家で足を引きずりながら、泣いた。

そして、戦争が終わった。
僕が徴兵されることはなかった。

僕は両親と姉が帰ってくるのを、今でも待っている。
総合点:7票  物語:7票  


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物語部門からす山
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ネタバレコメントを見る
「問題文以上に、重すぎる、深すぎる解説のストーリー。救いようがなさすぎる。心にずーんと重く響きます。最後にわずかな救いをかろうじて見せてくれたのが「救い」といえましょう。どちらにしても、凄まじい物語に1票です。」
2017年10月18日19時
物語部門ゴトーレーベル
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「問題文も解説も少々長いですが、この長さが必要でベストだと思います。隠されたものが現れた時、すべての情景が一変する。徹頭徹尾暗い話ですが、ほんのかすかな救いが残る結末です。」
2016年07月18日12時
物語部門フィーカス
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「ラテシンに置ける「物語部門に投票すべき問題の例題を一つ挙げよ」と問われれば、まずこの問題が挙げられるでしょう。解説と問題文を往復しているうちに、きっと目の前は大洪水に。」
2016年01月16日04時
物語部門からてちょっぷ
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「解説を読んでから問題文を読むと込み上げてくるものがあります。」
2015年11月14日08時
物語部門tsuna
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「解説の後の事まで想像してしまいます」
2015年05月21日00時
物語部門とかげ
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「弟を虐待する姉の本心とは? 非情な行為の背後に隠された、深く切ないストーリーに、引き込まれました。」
2015年05月20日19時
物語部門プエルトリコ野郎
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「謎としても面白いし、真相を知ると自然と解説を読みたくなる。正直に言って私は問題の解説をほとんど読みませんが、これは読みふけってしまいました。」
2015年04月24日18時

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