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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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仏壇と罰当たり(問題ページ

A君は仏壇に供えられているご飯をむしゃむしゃ食べている。
しかし、両親にそれを咎められたりすることは一切無かったという。

一体どういう状況だろう?
16年07月13日 06:49
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [SoMR]



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A君は不良学生。
父親が亡くなってしまい、今は母親と二人で暮らしている。

「あんた未成年なのにタバコなんて吸って!」
「うるせえな!ババアには関係ないだろ!」
「……晩御飯用意しておいたから温めて食べてね」
「ババアの作った飯なんて不味くて食えねえよ!金よこしな」
A君は思春期になってから反抗心で母親の作った料理は一切手を付けない。
いつもお金をもらってコンビニや外食で済ませている。

父親が亡くなってから、
母親は作った夕飯を仏壇の前に置き、お父さんに供えることにした。
それに気付いたA君は
「死人に飯をやるなんて馬鹿なババアだ。だいたいお前(父親)が死にやがったから俺はこんなに苦労してるんだ。」と無性に腹が立っていた。
ある時A君は母親のいない隙に仏壇に供えられた夕飯を食べだした。
母親を困らせたかったのと、父親へのいら立ちの表現だろう、A君はわき目もふらずに米、味噌汁、煮物、焼き魚……汚くむしゃむしゃかきこんでいる。
と同時に彼の目から涙がポロポロこぼれ出てきた。
気付くとA君は母親の料理を食べるのは実に数年ぶりだったのだ。
お袋の料理はこんなにも美味しかったのか……

母親は仏壇の前の残骸に気づき、A君が食べた事が分かってはじめは驚くも、数年ぶりにA君が自分の料理を食べてくれた喜びが勝った。

それ以来、母親は毎日父親に供えるという体で仏壇の前に夕飯を用意した。
A君は反抗心の体現という名目でそれを毎日平らげた。
そうして2人の仏壇を経由した奇妙なコミニュケーションが始まった。
母親はA君がテスト期間の途中は夜中にうどん等をお供えしたり、誕生日には多少豪華な夕飯と、小さいケーキを供えたりした。
A君は仏壇にテスト結果や成績を供えるようになった。
自分の最近興味あるものを供えたりもしたので、母親はA君が今どういう事に興味を持っているのかを知ることが出来た。
仏壇を介して漫画やDVDを貸し借りしたこともあった。

A君は学校を卒業した。
卒業証書を仏壇に供えると同時に一通の手紙も供えた。
それには母親への今までの謝罪と感謝が短い言葉で述べられていた。
それを読んだ母親はいてもたってもいられず、
A君に直接謝罪と感謝の言葉を伝えた。

それ以来、仏壇にはこれまでのように沢山の物は供えられなくなった。
仏壇の父親の写真は少しだけ、寂しそう。
だけど、笑っていた。
総合点:3票  物語:3票  


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物語部門弐閃
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ネタバレコメントを見る
「死人への罰当たりを生きている者への愛情が上回る。そうなった背景も含めた物語が納得を生んでいます」
2017年08月28日02時
物語部門とかげ
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「仏壇に供えられているご飯を食べても、咎められない理由とは。なんとも罰当たりな行動の背後に、こんな物語が隠れていたなんて! 良い意味で読む人を裏切る、素敵なストーリーでした。」
2016年08月28日13時
物語部門エリム
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「日本のどこかで、こんな出来事が今起きていそうな。そんな身近な、短編ドラマで見たいようなお話です」
2016年07月15日01時

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