昔々、あるところに、大富豪がおりました。
大富豪は、その財産を投じて、巨大なお屋敷を作りました。
そのお屋敷には、奇妙なことに、十二角形の部屋がありました。
こじゃれた応接間、とか、広いダンスホールなら、まだその形も有り得なくはないでしょう。しかし、大富豪は偏屈で友達がいなかったので、そんなものはそのお屋敷にはありません。
では、大富豪は何のためにその部屋を作ったのでしょう?
上記の応接間、ダンスホールのように、部屋の使用目的に合わせた名称でお答えください。
16年02月26日 14:26
【20の扉】
[黒井由紀]
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書庫。(あるいは書斎。要するに本をいっぱい置く部屋)
「本棚に四方を囲まれた部屋」というのは、割とよくある表現と言えよう。
だがしかし、実際に「本棚に四方を囲まれた部屋」というものを作るのは、簡単ではない。なぜなら、本という物に幅がある以上、本棚という物には奥行きが必要だからだ。
四角い部屋の四辺に、その長さに合わせた本棚を配置しようとすると、四隅で重なりができてしまうし、とりあえず重ならないようにいくつかの本棚を短くしても、今度は本を取り出せないスペースができてしまう。人が入れるだけのスペースを本棚前に作れば、本は取り出せるが、今度は「本棚に四方を囲まれた」とは言いづらくなってしまう。(挿絵左側の3つの図参照)
そこで、大富豪は考えた。
ネックとなってしまう隅はこの際無視して、部屋の中にもう一つ部屋を作るような形に、本棚を並べれば良いのでは?(挿絵右上の図)
一見名案のようだが、四隅は完全なデッドスペースとなってしまうし、埃が溜まったり物をうっかり落としてしまった時の対処が面倒くさい。
そこで、その案を改良し、部屋から要らない四隅を落として、太めの十字架のような形にしまったのだ。(挿絵右下の図参照)これなら、デッドスペースの問題は存在しない。四隅に壁を作ってしまった分、ちょっと角は多いけど、これなら万事解決である。
そんな訳で、大富豪は角が12もある奇妙な部屋を作ったのだった。
総合点:5票 20の扉部門5票
20の扉部門かもめの水平さん【
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「想像を裏切る答え。12の角の使い方が実に水平思考的です」
2016年03月20日09時
20の扉部門とかげ【
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「十二角形の部屋をつくった大富豪。一体何のための部屋なのだろう? ただの物当てのような、けれど何かを隠した雰囲気を持つこの問題。たくさんの可能性が考えられるにも関わらず、この答えにきっと誰もが納得するはず。」
2016年03月19日21時
20の扉部門フィーカス【
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「物当てだけで終わらせるにはもったいない問題。ミステリアスな雰囲気から、「あ、なるほど」という日常の疑問点を解消する納得の解説文。これがウミガメのスープだと、多くの部門に投票されたことでしょう。」
2016年02月28日04時
20の扉部門甘木【
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「一見すると非常に不可思議な状況、しかし真実はこれ以上ないくらいの納得感。先入観要素、水平思考要素と20の扉問題の中でも「ラテシンらしさ」が光る名作です。」
2016年02月26日19時
20の扉部門牛削り【
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「自らの館に、十二角形の部屋を作る富豪。それは金持ちの戯れではなく、ある合理的な理由が存在するという。斬新かつ怪しげな雰囲気の問題文と、先入観トリックによって生み出されている偽りの光景とが、ミステリファンの心を掴んで放さない。ウミガメのスープジャンルで味わいたかった作品だ。」
2016年02月26日15時