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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

ハロー、グッバイ。(問題ページ

行マンの父親をもつため頻繁に転校を繰り返してきたピロシ少年は、
いつしか新しい学校で自己紹介をする際、赤の他人の名前を使うようになった。
一体なぜそんなことをし始めたのだろう?
16年02月18日 21:28
【ウミガメのスープ】 [さるぼぼ]



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すまんピロシ……。また転勤になった」
申し訳なさそうにピロシの父さんが言う。

ケンカしたこともあったけれど、
仲良くなったゴンゾー君やサッカー部の仲間、
好きだったエリちゃんのかわいらしい笑顔、
優しい牛島先生の顔が次々とピロシの脳裏に浮かんだ。

「良いんだ、父さん。もう慣れちゃったよ」ピロシは精一杯笑って見せた。

せっかく仲良くなれたのに。

さよならだけが人生だって、そう物識顔で言う大人もいる。
でも僕はそんなに悲観してばっかりもいられないと思うんだ。
前を向いて生きていくために……!

せっかく仲良くなれたから。



…………



「はじめまして、静岡県から来ました、猿山ピロシといいます。
皆さんこれから宜しくお願いいたします。
特技はモノマネです。さっそくですが今から披露したいと思います!
『……こんばんはっ、ほりしんいちです……』
ピロシは有名な歌手の声マネを披露した

これには皆大爆笑だった。
スゲー!
似てる似てる!
他には?
静かだったクラスは一瞬にしてお祭り騒ぎになった。

これならすぐに友達が出来るかも知れないな。

「あっはは、ピロシ君は面白くて芸達者なんだなあ。うん、席はあそこへかけなさい」

のんびりとした物言いの緋村先生に指定された席は、エリちゃんにそっくりなかわいらしい女の子の隣だった。
彼女はよろしくね、と言って微笑んだ。



赤の他人でしかなかった人達が、ピロシの人生の中でゆっくりと「友達」に変わって行く。
「あのね、父さん!今日学校でね―――」
ピロシは心からの笑顔を父親に見せた。


例えすぐに別れてしまう運命だとしても、いや、
そんな運命“だからこそ”。
可能な限り早い段階でたくさんの友達を作ろうと
ピロシが考えた行為だった。
総合点:8票  チャーム:1票  納得感:1票  トリック:2票  伏線・洗練さ:1票  物語:3票  


最初最後
チャーム部門からす山
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「何やら犯罪もしくは病気の存在を感じさせる、どちらにしても深刻な感じの不可解な問題文です。「赤の他人」を赤くしているのも目を引きます。」
2017年10月09日16時
納得感部門とかげ
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「転校を繰り返す少年が、自己紹介の際赤の他人の名前を使うのはなぜ? なるほど、これは使えます! ただの手法にとどまらず、少年の心境までも含んだ理由だからこそ、納得感があります。」
2016年03月15日20時
トリック部門からす山
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「赤の他人の名前を言う前に、こんばんは、と言っているので、赤の他人の名で自己紹介をするという表現に間違いはありませんね。その表現の仕方、トリックが見事です。」
2017年10月09日16時
トリック部門牛削り
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「少年が自己紹介をする際、赤の他人の名前を使う理由を問う問題。そう思って問題文に臨んだあなたは、すでに騙されている。さりげない表現に仕込まれた、はち切れんばかりの鮮烈なトリックをご覧あれ。」
2016年02月26日15時
伏線・洗練さ部門az
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「見事なトリックに納得の真相。そして、少年の心情を丁寧に描き出した解説が、それらの価値を何倍にも跳ね上げています。」
2016年09月19日17時
物語部門からす山
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「ピロシ君はきっと、優しくて強い人になれるでしょう(もうなっている気もします)。そう感じさせてくれる、人間の強さ、絆の強さが込められた物語です。タイトルも素敵です。」
2017年10月09日16時
物語部門エリム
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「投票したつもりだったのに出来ていなかった1問です。『転校の繰り返し』設定が絶妙に生きています。真実がわかってから問題を読み返すと、『なった』『し始めた』の表現に、問題文から既に物語なのだとわかります。自分の置かれた環境で精一杯の思いを表現するピロシ少年に幸あれ」
2016年09月19日21時
物語部門牛削り
投票一覧
「トリックが解けたとき、もう一度問題文を読んでみてほしい。ピロシ少年は、いつしか赤の他人の名前を使うように「なった」のである。それ以前は赤の他人の名前は用いていなかったのだ。彼の心境を思い、解説の最後の段落を読めば、人間の大事なところに気付けるかもしれない。」
2016年02月26日15時

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