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あたしの友だちのレイナがおこられて、バイトをやめさせられそうなんです!
でも、どうしておこられたのか、ゼンゼンわかんないんです。
レイナはおちこんじゃうし、あたしもレイナがいないとこまるのです。
だれかたすけてください!!!!
相談者の名前は「チャコ」
彼女の相談に乗って、問題を解決する方法を考えてあげてください。
一応マルチエンドですが、Bad Endはありません。
15年12月28日 20:18
【亀夫君問題】
[えぜりん]
解説を見る
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FA条件①
仕事でレイナが怒られた状況と理由を明らかにし、誤解を解く方法を提示すること。
識字障害を持つ一方、数の把握能力が常人以上であるレイナの仕事ぶりは、「時間をかけて手元の紙の文字を読み、商品の数を『一瞬で』数え、また時間をかけて紙に書きこむ」というパターンである。
これは、普通の人の「手元の紙を一瞬見て、時間をかけて商品を数え、さっと手元に書き込む」というパターンとは真逆である。、
センター長から見ると、レイナの行動は「意味もなく紙を見つめた後、ろくに数えもせず、また意味もなく時間をかけて記録する」ように見えたので「マジメにやれ!」と叱りつけた。
誤解を解くために、レイナの特異な能力についてセンター長に説明する必要があることをチャコに教える。
FA条件② True End
FA条件①達成後、チャコの特性をも明らかにし、レイナとの協力を提案すること。
(①が達成される前にチャコの苦手分野を明らかにしておくと、②への道が開けるだろう。)
チャコの方は、文字の読み書きにはさほど支障はないが、数えたり計算したりするのは苦手である。
レイナのカウント能力が常人の数倍であることを考えると、レイナの「読むのが苦手」という部分をサポートするだけで、数人分の働きができることが充分考えられる。
数えるのにもたつくチャコに数えさせるより、はるかに効率が上がることは明白である。
したがって、次の棚卸(たなおろし)では、二人一組で「チャコが表を読み上げ、レイナが数える」という分業をすることが有効とチャコに教える。
以下ちょっと詳しい設定(読まなくても良いですよ☆)
今回登場するチャコとレイナは、同じ高校で知り合った同級生である。
共に学校の成績は芳しくなく、劣等意識も強い。
レイナは軽い識字障害を持ち、「自分の名前や住所などの頻繁に利用する文字列」以外の読み書きが苦手である。
仕事においては、とにかくその部分に時間を取られることおびただしい。
一方、数については常人をはるかに超える把握能力を持つ。
百近い個数の商品が乱雑に置いてあったとしても、一目見ただけで正確な個数がわかる。
実は計算能力も高い。
ただし、数学のテストの成績は悪かった。問題や数式がなかなか読めないためである。
一方チャコの方は、数が苦手ではあるが、読み書きに関しては単に「勉強不足」のレベルで仕事にほとんど支障はない。
今回の事件の解決を妨げている要因のひとつは、チャコがレイナの「すごさ」を正確に理解していないことにある。
チャコはレイナのことを「数えるのがスゴク速い」と思っているのだが、あくまでもそれは自分と比べて、なのである。
チャコから見れば、他の誰もが「数えるのがスゴク速い」のであり、レイナはその中の1人に過ぎない。
実際のレイナは「他の誰より数えるのが速い」という逸材であるにも関わらず、だ。
また、先入観も解決を妨害する。
レイナが怒られたとなれば、当然レイナに何か落ち度があったのではないかと誰もが考える。
レイナの悪い部分、レイナの劣っている部分を考え、原因を探ろうとする。
得意な部分、優れている部分に怒られる原因があったと想像するのはなかなか困難である。
ましてやチャコは、レイナが「優れ過ぎている」ことに気づいていない。
それは多分、レイナも同様であったろう。
ろくに事実関係を確かめもせずに怒鳴ったセンター長をなじるのは簡単だ。
だが、事実を知るのが難しいという側面も確かにある。彼だけを責めるのは気の毒だ。
結局、人と人とのトラブルは、その都度情報交換をして解決していくより仕方がない。
レイナとチャコがセンター長の誤解を解き、この先も楽しく仕事ができれば良いが、それも今後の対処次第である。
元ネタ
あるテレビ番組で紹介された、発達障害の方の体験談が元になっています。
自分は物の数がなぜか一瞬でわかってしまう。
でも一緒に働いている人に何度言っても信じてもらえない。
「ちゃんと数えろ」といつも怒られる。
だから、ゆっくり数えるフリをし、怒られないよう気を付けている
それを聞いたとき私が思ったのは「もったいないっ!」でありました。
迅速に仕事を片付ける能力があるのに、全然それを生かせない。生かしてもらえない。
時間の無駄にも程があるではありませんか。
本人が「一瞬でわかる」と言っているのを丸ごと信じろとは言いません。
それは一種の『超能力』であり、見ようによっては非現実的でもあるのですから。
でも、本人がそう言うなら、ちょっとテストでもしてみたらいいではありませんか。
何かをザラッと並べて、本当に一瞬で数を当てられるのかどうか試してみればいいのです。
結論を出すのはそれからでも遅くはないハズ。
たとえそれが自分の理解の外にあったとしても、事実ならばすべて受け入れなければならない。
自戒と共に記します。
なお、チャコ、レイナの名は、映画「レインマン」の登場人物、チャーリー、レイモンドが由来です。
(レイモンドが、床にばらまかれたつまようじの数を一瞬で当てるシーンがあります。)
総合点:5票 亀夫君部門5票
亀夫君部門牛削り【
投票一覧】
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「ラテシンの問題評価でよく使われる「先入観」という言葉。当問題は先入観をトリックではなくテーマとして掲げ、語り手とともに真相を探ることで、世に蔓延る先入観の根深さを参加者にも考えさせるという構成となっている。人が人を理解すること。そこにはきっと僕らが思うよりもずっと厄介な先入観が立ちはだかっているのだろう。そんなことに気付かせてくれる名作だ。」
2016年04月29日20時
亀夫君部門キュアピース【
投票一覧】
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「この亀夫君問題は、素晴らしい。人間が社会というコミュニティを作り、発展させていく上で、幾度となく立ちふさがる壁をどのようにして乗り越えてきたのか、数ある人類の歩みの一例がこの問題に凝縮されている気さえします。」
2016年04月29日19時
亀夫君部門低空飛行便【
投票一覧】
「作中の登場人物が思い込んでいること、そして参加者が思い込んでいること、それらを解きほぐすことによって分かってくる気づきは、謎解き問題の謎が解けたとき以上の「なるほど!」という感覚をもたらします。チャコもレイナもセンター長も参加者も出題者も、同等で対等の立場であると感じるのです。」
2016年04月15日23時
亀夫君部門エリム【
投票一覧】
「これは亀夫君問題にしないと成立しない。登場人物の設定がしっかり練り込まれており、問題としての完成度は高い。それに留まらず、非常に考えさせられる人間賛歌とも言うべき解説と問題のポイントの説明。本来、質疑応答で出なかったことをかくかくしかじか説明するのは好みではないのだが、この問題に関してはこの補足が欠かせない。熱意が伝わる1問。」
2016年01月06日21時
亀夫君部門からてちょっぷ【
投票一覧】
「問題文からは、相談者チャコの必死な思いが伝わってきて、参加者の解決意欲を高めます。相談者が自力で解決できないのか?という問題点に関しても、この問題はクリアしていると思います。水平思考的な発想も欠けることなく、亀夫君問題としては十分に成立していると言えるでしょう。綿密に練られた設定からは出題者の、この題材は絶対に良問にしようという思いが伝わってきます。そしてMVS投票の最大の理由。それは、解説の核心は、普段私たちが生きていく中で心に常に留めておくべきことであるからです。是非多くの人に読んで頂きたい問題です。」
2015年12月28日22時