都内某所。
大勢の観客がいる中で映画の撮影が行われていた。
大きな音を出さないように注意されている中、
観客の田中の携帯電話が大きな音を立てて鳴り響いた。
そのせいでカメラが撮影を止めたのだが、
女優のさしゃこはそのまま演技を続けている。
一体どういうことだろうか?
15年06月11日 21:41
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[水上]
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都内某所の映画館。
田中は今話題になっている映画「一億二千万回目のプロポーズ」を一人で見にきた。
話題作なだけはあり、映画館の中は観客で一杯である。
最新映画の予告が終わり、映画鑑賞中は
大きな音を出さないなどの諸注意のテロップも流れて、
いよいよ本編がスタートした。
その時田中はスクリーンに携帯電話のカメラを向けた。
携帯電話のカメラ機能で映画の内容を撮影しているのだ。
観客はスクリーンに集中しているので、
誰も田中の映画泥棒に気付かないまま
映画はクライマックスのシーンを迎えた。
ヒロインのさしゃこが断崖絶壁を
フリークライミングでよじ登っている。
さしゃこの足場が崩れ、観客全員がひやっとした時、
田中の携帯電話がけたたましく鳴り響いた。
迷惑そうな視線が田中に集中。
慌てて田中は着信を止め、携帯電話の電源を切り、
他の観客に軽く頭を下げ謝罪。
田中の携帯電話での撮影もここで止まった。
そんなこととは一切関係なく、スクリーンの中のさしゃこは
登りきった崖の上で一億二千万回目のプロポーズをしていた。
総合点:6票 トリック:5票 物語:1票
トリック部門YOUSUN【
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「ここに『NO MORE 映画泥棒』と書いちゃってもそれがネタバレだと気づかれないのでは(ちゃんとチェックはしますが)、というくらい緻密な文章。一億二千万回位ため息つきました。」
2017年07月15日13時
トリック部門ゴトーレーベル【
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「叙述問題の大傑作。題材の選び方、状況の切り取り方、言葉の選び方、すべてが超ハイレベル。解説を見て感嘆しない人はいないだろう。」
2016年06月28日00時
トリック部門アアア【
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「映画の撮影…、問題文を読んで解説とは全く違う情景を思い浮かべていました。見事な先入観だと思います。」
2015年08月13日11時
トリック部門牛削り【
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「解説を読むと、「え、こんなに認識と食い違う出来事が本当に問題文で語られていたか!?」という疑惑が湧くが、改めて見返せばアンフェアな部分など何も存在しない。ただ、ほんの少しだけ隠されているだけなのだ。表の意味と裏の意味はこの文章から同等に成立する。単純な二択でしかないのに、我々はそれに気付けない。我々がそれに気付けない、ということに気付いてしまう出題者の目は、寿命の半分を引き換えにしても手に入らないだろう。」
2015年08月12日23時
トリック部門春雨【
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「情景が浮かんだら、既に騙されている」
2015年08月12日10時
物語部門牛削り【
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「トリックのみで魅せられるくらいの素晴らしい問題でも、解説に笑いをいれることを忘れない。ここまでこだわってこそ本物の出題者だと思う。」
2015年08月13日00時