項目についての説明はラテシンwiki!
最後に残った道しるべ(問題ページ)
兎美ちゃんと亀夫君はラブラブカップル。
しかし兎美ちゃんの家族の都合で、離れ離れになってしまいました。
「すぐに戻ってくるから、心配しないで」
兎美ちゃんのその言葉に嘘はありませんでした。
しかし亀夫君は、その日の夕食を食べながら、兎美ちゃんが帰ってこないことを悟った。
どういうこと?
しかし兎美ちゃんの家族の都合で、離れ離れになってしまいました。
「すぐに戻ってくるから、心配しないで」
兎美ちゃんのその言葉に嘘はありませんでした。
しかし亀夫君は、その日の夕食を食べながら、兎美ちゃんが帰ってこないことを悟った。
どういうこと?
14年11月03日 19:29
【ウミガメのスープ】 [彩蓮燈]
【ウミガメのスープ】 [彩蓮燈]
解説を見る
~1日目~
兎美「おはようございます、マスター。私はUSA-M1型アンドロイド、型式名は【兎美】です。当機は皆様の快適な生活を支えるパートナーとして、数々のスキルを習得しており、また、マスターの話し相手も勤まるように人間に近い思考ルーチンで心穏やかな時間を…」
亀夫「ああ、そういうのいいから。家事だけしてくれたら。余計なことは喋らないでくれ。騒がしいのは嫌いだ」
兎美「自己紹介の最中に口を挟まないでください。そんなことだから友達ができなくて、『別に俺はぼっちなわけではなく、孤独を愛しているだけなんだ』とか自分に言い聞かせるようになるんですよ」
亀夫「おいいぃぃ!?心穏やかな時間はどうした!?」
~2日目~
兎美「マスター。そろそろ私に仕事をさせてください。家の中が腐海みたいになってるじゃないですか。いつまで拗ねているんです」
亀夫「拗ねてねーし!これが快適なだけだし!」
兎美「あ。ゴキブリ」
亀夫「ぎゃああああ!?助けて!助けて兎美!」
兎美「はいはい」
~3日目~
兎美「今日こそご飯を作りますよ。レトルトばかりなんて、お手伝いアンドロイドとして許せません」
亀夫「ふん、機械に味なんてわかるのかよ」
兎美「馬鹿にしないでください。私の脳内には10万通りのレシピが記憶済み。そのすべてを正確に再現できます」
亀夫「じゃあやってみろよ。味見してやる」
兎美「いいでしょう。では部屋からレシピをとってきます」
亀夫「記憶してねーじゃねえか!!」
~30日目~
亀夫「兎美。あれとって、あれ」
兎美「はい。醤油ですね」
亀夫「兎美ー。あれとって、あれ」
兎美「はい。リモコンですね」
亀夫「兎美ー」
兎美「はい。お茶のお代わりをどうぞ」
亀夫「お前はすごいなぁ」
兎美「マスターはダメ人間ですね」
~75日目~
亀夫「兎美。明日って暇か?」
兎美「暇かと言われれば、マスターの子守をするくらいですが、何か?」
亀夫「いや、友達に映画のチケットもらったんだけど、一緒にどうかなって」
兎美「そんなドッキリには引っかかりません」
亀夫「いや、マジでチケットもらって…」
兎美「友達料はいくらですか?」
亀夫「そこかよ!!」
~150日目~
亀夫「……なあ兎美」
兎美「はいはい。なんですかマスター」
亀夫「最近、アンドロイドと恋をするやつが増えてるんだってな」
兎美「そういうニュースを聞きますね」
亀夫「あれって、アンドロイドの方はどう感じてるんだろうな。恋ってわかるのか?」
兎美「そうですね。悪い気持ちではないです」
亀夫「え?」
~250日目~
亀夫「兎美いいいいいいい!!」
兎美「どうしましたか、マスター」
亀夫「お前!俺の部屋を掃除しただろ!集めたゴミはどうしたぁ!」
兎美「天井裏に隠していた本なら燃やしました」
亀夫「Nooooooooooo!?」
兎美「巨乳の本ばかり……私だって……」
亀夫「うおおおおお!マイラバーたちいいいいい!」
兎美「どうしてこんなのを私は…」
~365日目~
兎美「マスター。食事の支度ができましたよ」
亀夫「あ、あぁ。わかった、すぐにもらうよ、兎美」
兎美「なに隠してるんですか?」
亀夫「な、ななななにも隠して…ない、わけじゃないけど…」
兎美「私に隠し事なんてできるわけないでしょう。どんな悪巧みですか。白状してください」
亀夫「……わかった。白状する」
兎美「素直でよろし…」
亀夫「兎美。好きだ。結婚してくれ」
兎美「………は?」
亀夫「出会って一年。どんどんお前を好きになる。もう人間とかアンドロイドとかどうでもいい。お前と結婚したい」
兎美「ぁ、ちょ、ぇ?」
亀夫「俺は兎美と添い遂げる!!」
兎美「ちょっと黙ってください!」
亀夫「白状しろって言われたのに!?」
~366日目~
兎美「……マスターは変態です」
亀夫「いや、別に変態じゃないって。男はみんなこうだって」
兎美「裸で飽き足らず、コアエンジンまで見たがるなんて!」
亀夫「恥じらいポイントそこ!?なんでだよコアかっこいいじゃん!」
兎美「関節部だって他の機体より綺麗じゃないから隠していたのに!」
亀夫「ごめん、そこはちょっとマニアックだったと自覚してる」
~450日目~
亀夫「兎美。俺、真面目に働こうと思う」
兎美「ついにこの時が!」
亀夫「いつかお前のデータを継承した、子供のアンドロイドも欲しいし。そうなると定職につかないと」
兎美「愛は人を変えるのですね。感動しました」
亀夫「サッカーチーム作れるくらいほしいな!」
兎美「石油でも掘る気ですか」
~495日目~
TV『--この件を受けて、ウミガメ社では同機の回収作業を始め……』
兎美「…………っ」
亀夫「兎美?」
兎美「マスター!いつからそこに!?」
亀夫「え、さっきだけど…どうしたんだ。急にテレビ消して」
兎美「何でもないです」
亀夫「いや、でも…何か様子が変だぞ」
兎美「マスター」
亀夫「…なんだ」
兎美「愛してください」
~500日目~
-15:00 亀夫宅玄関-
黒服「大海亀夫さんですね。初めまして。私はウミガメ社の者です」
亀夫「ウミガメ社って、確か兎美の…」
黒服「はい。このたびは例の件で…」
兎美「お待ちしていました。早くいきましょう」
亀夫「え、ちょ、兎美!?どういうことだ!?」
兎美「ちょっとしたメンテナンスですよ。マスター」
亀夫「メンテナンスって…そんなのあったのか?俺は聞いてないぞ!」
兎美「…私の姉妹機にちょっと不具合があったんです。だから念のために同型機は全部、同じことが起きないように検査を行うことが決まったんですよ」
亀夫「そんな…でも、それじゃあ…!」
兎美「大丈夫ですよ。パフォーマンスとしての、簡単な検査ですから。明日には終わります」
黒服「…………」
亀夫「そう、なのか…?」
兎美「はい。ですから…だから、すぐに戻ってくるから、心配しないで」
亀夫「………わかった。すぐに戻ってくるんだな」
兎美「うん」
亀夫「早くしろよ。俺、家事とかなんにもできないからな」
兎美「知ってるよ。ずっと一緒だったんだから」
亀夫「あと、明日はクリスマスだし!それまでには帰ってこいよ!」
兎美「一人のクリスマスとか、寂しいもんね」
亀夫「そうだよ。すっげー寂しいんだ。今夜のイヴも泣きそうだ。だから…」
兎美「うん…約束するよ」
黒服「……そろそろ、よろしいでしょうか?」
兎美「はい。お願いします」
-16:00 移動中の車内-
黒服「……よかったのですか?本当のことを言わなくて…貴女の記憶は……」
兎美「いいんです。彼を悲しませたくないし、それに…」
黒服「それに…?」
兎美「私、諦めたわけじゃないですから」
-17:00 亀夫宅-
亀夫「………」
亀夫「…静かだな」
亀夫「…俺の家ってこんなに広かったっけ」
亀夫「…なんか腹減ったな」
亀夫「兎美…は、今日はいないんだっけ。じゃあレトルトで…」
亀夫「…いや、明日帰ってきたときに怒られるな…仕方ない。自分でやってみるか」
亀夫「えっと…確か兎美はこの辺に置いてたよな。レシピ本…あったあった」
亀夫「よーし、せっかくのイヴだし、好物のハンバーグでも作っちゃうぞー……って、うわなんだこれ、書き込みすごっ! …これ、全部俺の好みに合わせて直してるのか」
亀夫「…あいつ、簡単そうな顔して、結構頑張ってくれてたんだな…」
亀夫「…負けてられないな。俺もやってみるか」
-18:20 亀夫宅リビング-
亀夫「………(もぐもぐ)」
亀夫「不味い…」
亀夫「料理なんて本の通りに作れば簡単と思ってたけど…全然違うな…」
亀夫「…俺もこのレシピ全部作ったら、兎美くらいになれるのかな…(ぺらぺら)」
亀夫「……静かだな」
亀夫「テレビでもつけるか。そういえば兎美が来てからあんまり見てなかったな…」
TV『--原因不明の暴走を起こし、3名を殺傷したアンドロイド、USA-M1型の事件から一週間が過ぎようとしています。ウミガメ社が行っている同型機の回収はすでに完了しており……』
亀夫「……え?」
TV『ウミガメ社では同様の事故が起こらないようにシステム、ハード両面からの徹底的見直しを行うとともに、今回のきっかけとなったUSA-M1型の……』
亀夫「……いや、おい、待て。冗談だろ……」
―――全データの初期化が決定しました。
亀夫「…………なんで」
亀夫「…そうか。ウミガメ社の連中…検査とか嘘ついて兎美を…!(ガタンッ!…バサッ)」
亀夫「……あれ…なんだこの、レシピの最後のページ…何かびっしり書いて……」
亀夫「…これは」
《マスター。28歳。ぼさぼさの黒髪。身長173cm→175㎝。痩せ形。変態。捻くれ者の寂しがりや。家事能力なし。好物はハンバーグ。ピーマンが嫌い。ベタなロボが好き。虫が苦手。変態。猫よりは犬派(だけど本人は嫌われる)。巨乳好き(矯正中)。エロ本の隠し場所は机の後ろ、天井裏、クローゼットの中が多い。素直じゃない(ツンデレ?)。好みの髪型はポニーテール。メイドより女給派(矯正中)。好みのタイプはお姉さん系。コンビニでアルバイト中(正社員に昇格。やったね!)。関節フェチ。変態。目玉焼きには醤油派。変態。友達がいない(現在は5人)。雷が苦手。機械に強い。父、母、姉と死別。灯りがついていると眠れない。変態。etc…》
亀夫「俺の、記録…なんでこんなレシピの最後なんかに…え?」
《ここなら、どの私でも目を通すと信じて、メッセージを残します。
これを読んでいる私は、果たしてこれを書いている私でしょうか?
もしそうなら、それはとても幸福なことで、この記録は意味のないものと笑ってください。
けれど、もし、もし違う私なら。
どうか今、ここに記していることを心に刻んでください。
この手紙は…今の私が未来に託せる、最後に残った道しるべ。
願わくば…思い出してください。
彼と過ごした、馬鹿馬鹿しくも幸せな日々を。
私からの、初めてのお願いです。
…最後に。
もし他の全てを忘れても、これだけは忘れないでください。
私のマスターは、大海亀夫さん。
世界で一番大好きな…私の旦那様》
亀夫「………なんでだよ」
亀夫「俺に隠し事するなとか言ってて…これかよ…」
亀夫「全部知ってて…覚悟して…そのくせこんな手紙残して…!」
亀夫「どうして……」
亀夫「最後かもしれないのに…嘘つくんだよぉ…」
亀夫「……ちくしょぉ……!」
………BAD END。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
この後は問題とは関係のない、後日談となります。
バッドエンドは嫌だ!という方はお進みください。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
…NO! TO BE CONTINUED!!
亀夫「…舐めんじゃねーぞ」
亀夫「こんな手紙残して、取り繕って、騙せると思ってたのかよ!俺のためとか思ってたのかよ!ふざけんなっ!」
亀夫「俺は確かに兎美がいないと飯も作れないダメ人間だけど…」
亀夫「あいつ一人に全部任せて終われるほど、腐っちゃいねぇ!」
亀夫「みてろよ兎美…お前のメモにはなかったけどなぁ…」
亀夫「俺も諦めが悪いんだ!」
-22:15 ウミガメ社研究所入口-
ジングルベール…♪ ジングルベール…♪
警備A「ふぁ〜っ…イヴに仕事とか、ついてないよなぁ…」
警備B「いいじゃないか。どうせ彼女とも別れたばかりなんだろ?虚しさを忘れられるってもんだぜ?」
警備A「おまっ、なんでそれを!」
警備B「知ってるさ…ずっとお前を、見てきたから…」
警備A「えっ…!(ドキン)」
警備B「俺…お前のことが前から…」
亀夫「続きは夢の中でやれ」
警備A「な、なにっ…ぐわあ!」
警備B「き、貴様何者…ぎゃあ!」
亀夫「サンタクロースさ」
-22:20 ウミガメ社研究所最奥-
黒服「…貴女で最後。記憶処理を開始するわ」
兎美「約束通り…初期化されても、私を彼のところに届けてくださいね」
黒服「……ええ。どんな手を使っても」
兎美「ありがとう」
兎美「(…マスター。怒ってるかな…嘘ついちゃったからな…)」
兎美「(戻った時に…怒られないといいな…許してくれかな…)」
兎美「(……忘たくないよ)」
警備Z「黒服様!緊急事態です!」 バンッ
黒服「…何事なの。今ここは立入禁止よ」
警備Z「す、すみません!しかし、侵入者です!既に警備部隊の6割が継戦不能!」
黒服「そんな…賊は何人なの?」
警備Z「そ、それが…1人です!」
亀夫「兎美ぃぃぃ!!」 ガンッ!
警備Z「ぷべらっ!」
兎美「マスター!?」
-23:55 雪の降る道-
兎美「マスターは馬鹿です。大馬鹿です」
亀夫「なんでだよ!なんとかなったじゃん!覚醒した俺の愛の力で!」
兎美「何が覚醒ですか。結果的には、黒服さんに手引きしてもらって逃げられたにすぎません」
亀夫「あのお姉さん、絶対ラスボスと思ってたけどいい人だったな。びっくりした」
兎美「私の開発者ですから…お母さんみたいな人です」
亀夫「そっか、それでなんか嬉しそうだったのか」
兎美「…私は恩を仇で返すことしかできませんでした。今回の責任を取らされるのは明白なのに…」
亀夫「それを分かった上で、あの人はお前を助けたんだ。胸を張れよ」
兎美「マスター……私におんぶされていなければいい台詞なのに」
亀夫「仕方ないだろ!めちゃくちゃ体痛いの!一夜限りの奇跡だったの!あ、ちょ、やめてー!揺らさないでー!」
兎美「もう、本当に貴方は…それで、これからどうするんですか?これだけの騒ぎを起こした以上、本社も黙っていませんよ」
亀夫「そのことだけどさ、兎美。ハネムーンいこうぜ」
兎美「………はい?」
亀夫「だーかーらー、新婚旅行。まだ正式に行ってなかっただろ?貯金全部おろしてきたからさ。期限はほとぼりが冷めるまで」
兎美「………ぷっ……くくっ…あはは、本当にマスターは馬鹿です!」
亀夫「うるせー。嫌って言ってもついてこさせるぞ。俺はお前がいないとダメだからな!」
兎美「はいはい、わかりましたよマスター…私も貴方がいないと、ダメみたいですから」
亀夫「…兎美」
兎美「…なんですか?」
亀夫「メリークリスマス」
……HAPPY END!
兎美「おはようございます、マスター。私はUSA-M1型アンドロイド、型式名は【兎美】です。当機は皆様の快適な生活を支えるパートナーとして、数々のスキルを習得しており、また、マスターの話し相手も勤まるように人間に近い思考ルーチンで心穏やかな時間を…」
亀夫「ああ、そういうのいいから。家事だけしてくれたら。余計なことは喋らないでくれ。騒がしいのは嫌いだ」
兎美「自己紹介の最中に口を挟まないでください。そんなことだから友達ができなくて、『別に俺はぼっちなわけではなく、孤独を愛しているだけなんだ』とか自分に言い聞かせるようになるんですよ」
亀夫「おいいぃぃ!?心穏やかな時間はどうした!?」
~2日目~
兎美「マスター。そろそろ私に仕事をさせてください。家の中が腐海みたいになってるじゃないですか。いつまで拗ねているんです」
亀夫「拗ねてねーし!これが快適なだけだし!」
兎美「あ。ゴキブリ」
亀夫「ぎゃああああ!?助けて!助けて兎美!」
兎美「はいはい」
~3日目~
兎美「今日こそご飯を作りますよ。レトルトばかりなんて、お手伝いアンドロイドとして許せません」
亀夫「ふん、機械に味なんてわかるのかよ」
兎美「馬鹿にしないでください。私の脳内には10万通りのレシピが記憶済み。そのすべてを正確に再現できます」
亀夫「じゃあやってみろよ。味見してやる」
兎美「いいでしょう。では部屋からレシピをとってきます」
亀夫「記憶してねーじゃねえか!!」
~30日目~
亀夫「兎美。あれとって、あれ」
兎美「はい。醤油ですね」
亀夫「兎美ー。あれとって、あれ」
兎美「はい。リモコンですね」
亀夫「兎美ー」
兎美「はい。お茶のお代わりをどうぞ」
亀夫「お前はすごいなぁ」
兎美「マスターはダメ人間ですね」
~75日目~
亀夫「兎美。明日って暇か?」
兎美「暇かと言われれば、マスターの子守をするくらいですが、何か?」
亀夫「いや、友達に映画のチケットもらったんだけど、一緒にどうかなって」
兎美「そんなドッキリには引っかかりません」
亀夫「いや、マジでチケットもらって…」
兎美「友達料はいくらですか?」
亀夫「そこかよ!!」
~150日目~
亀夫「……なあ兎美」
兎美「はいはい。なんですかマスター」
亀夫「最近、アンドロイドと恋をするやつが増えてるんだってな」
兎美「そういうニュースを聞きますね」
亀夫「あれって、アンドロイドの方はどう感じてるんだろうな。恋ってわかるのか?」
兎美「そうですね。悪い気持ちではないです」
亀夫「え?」
~250日目~
亀夫「兎美いいいいいいい!!」
兎美「どうしましたか、マスター」
亀夫「お前!俺の部屋を掃除しただろ!集めたゴミはどうしたぁ!」
兎美「天井裏に隠していた本なら燃やしました」
亀夫「Nooooooooooo!?」
兎美「巨乳の本ばかり……私だって……」
亀夫「うおおおおお!マイラバーたちいいいいい!」
兎美「どうしてこんなのを私は…」
~365日目~
兎美「マスター。食事の支度ができましたよ」
亀夫「あ、あぁ。わかった、すぐにもらうよ、兎美」
兎美「なに隠してるんですか?」
亀夫「な、ななななにも隠して…ない、わけじゃないけど…」
兎美「私に隠し事なんてできるわけないでしょう。どんな悪巧みですか。白状してください」
亀夫「……わかった。白状する」
兎美「素直でよろし…」
亀夫「兎美。好きだ。結婚してくれ」
兎美「………は?」
亀夫「出会って一年。どんどんお前を好きになる。もう人間とかアンドロイドとかどうでもいい。お前と結婚したい」
兎美「ぁ、ちょ、ぇ?」
亀夫「俺は兎美と添い遂げる!!」
兎美「ちょっと黙ってください!」
亀夫「白状しろって言われたのに!?」
~366日目~
兎美「……マスターは変態です」
亀夫「いや、別に変態じゃないって。男はみんなこうだって」
兎美「裸で飽き足らず、コアエンジンまで見たがるなんて!」
亀夫「恥じらいポイントそこ!?なんでだよコアかっこいいじゃん!」
兎美「関節部だって他の機体より綺麗じゃないから隠していたのに!」
亀夫「ごめん、そこはちょっとマニアックだったと自覚してる」
~450日目~
亀夫「兎美。俺、真面目に働こうと思う」
兎美「ついにこの時が!」
亀夫「いつかお前のデータを継承した、子供のアンドロイドも欲しいし。そうなると定職につかないと」
兎美「愛は人を変えるのですね。感動しました」
亀夫「サッカーチーム作れるくらいほしいな!」
兎美「石油でも掘る気ですか」
~495日目~
TV『--この件を受けて、ウミガメ社では同機の回収作業を始め……』
兎美「…………っ」
亀夫「兎美?」
兎美「マスター!いつからそこに!?」
亀夫「え、さっきだけど…どうしたんだ。急にテレビ消して」
兎美「何でもないです」
亀夫「いや、でも…何か様子が変だぞ」
兎美「マスター」
亀夫「…なんだ」
兎美「愛してください」
~500日目~
-15:00 亀夫宅玄関-
黒服「大海亀夫さんですね。初めまして。私はウミガメ社の者です」
亀夫「ウミガメ社って、確か兎美の…」
黒服「はい。このたびは例の件で…」
兎美「お待ちしていました。早くいきましょう」
亀夫「え、ちょ、兎美!?どういうことだ!?」
兎美「ちょっとしたメンテナンスですよ。マスター」
亀夫「メンテナンスって…そんなのあったのか?俺は聞いてないぞ!」
兎美「…私の姉妹機にちょっと不具合があったんです。だから念のために同型機は全部、同じことが起きないように検査を行うことが決まったんですよ」
亀夫「そんな…でも、それじゃあ…!」
兎美「大丈夫ですよ。パフォーマンスとしての、簡単な検査ですから。明日には終わります」
黒服「…………」
亀夫「そう、なのか…?」
兎美「はい。ですから…だから、すぐに戻ってくるから、心配しないで」
亀夫「………わかった。すぐに戻ってくるんだな」
兎美「うん」
亀夫「早くしろよ。俺、家事とかなんにもできないからな」
兎美「知ってるよ。ずっと一緒だったんだから」
亀夫「あと、明日はクリスマスだし!それまでには帰ってこいよ!」
兎美「一人のクリスマスとか、寂しいもんね」
亀夫「そうだよ。すっげー寂しいんだ。今夜のイヴも泣きそうだ。だから…」
兎美「うん…約束するよ」
黒服「……そろそろ、よろしいでしょうか?」
兎美「はい。お願いします」
-16:00 移動中の車内-
黒服「……よかったのですか?本当のことを言わなくて…貴女の記憶は……」
兎美「いいんです。彼を悲しませたくないし、それに…」
黒服「それに…?」
兎美「私、諦めたわけじゃないですから」
-17:00 亀夫宅-
亀夫「………」
亀夫「…静かだな」
亀夫「…俺の家ってこんなに広かったっけ」
亀夫「…なんか腹減ったな」
亀夫「兎美…は、今日はいないんだっけ。じゃあレトルトで…」
亀夫「…いや、明日帰ってきたときに怒られるな…仕方ない。自分でやってみるか」
亀夫「えっと…確か兎美はこの辺に置いてたよな。レシピ本…あったあった」
亀夫「よーし、せっかくのイヴだし、好物のハンバーグでも作っちゃうぞー……って、うわなんだこれ、書き込みすごっ! …これ、全部俺の好みに合わせて直してるのか」
亀夫「…あいつ、簡単そうな顔して、結構頑張ってくれてたんだな…」
亀夫「…負けてられないな。俺もやってみるか」
-18:20 亀夫宅リビング-
亀夫「………(もぐもぐ)」
亀夫「不味い…」
亀夫「料理なんて本の通りに作れば簡単と思ってたけど…全然違うな…」
亀夫「…俺もこのレシピ全部作ったら、兎美くらいになれるのかな…(ぺらぺら)」
亀夫「……静かだな」
亀夫「テレビでもつけるか。そういえば兎美が来てからあんまり見てなかったな…」
TV『--原因不明の暴走を起こし、3名を殺傷したアンドロイド、USA-M1型の事件から一週間が過ぎようとしています。ウミガメ社が行っている同型機の回収はすでに完了しており……』
亀夫「……え?」
TV『ウミガメ社では同様の事故が起こらないようにシステム、ハード両面からの徹底的見直しを行うとともに、今回のきっかけとなったUSA-M1型の……』
亀夫「……いや、おい、待て。冗談だろ……」
―――全データの初期化が決定しました。
亀夫「…………なんで」
亀夫「…そうか。ウミガメ社の連中…検査とか嘘ついて兎美を…!(ガタンッ!…バサッ)」
亀夫「……あれ…なんだこの、レシピの最後のページ…何かびっしり書いて……」
亀夫「…これは」
《マスター。28歳。ぼさぼさの黒髪。身長173cm→175㎝。痩せ形。変態。捻くれ者の寂しがりや。家事能力なし。好物はハンバーグ。ピーマンが嫌い。ベタなロボが好き。虫が苦手。変態。猫よりは犬派(だけど本人は嫌われる)。巨乳好き(矯正中)。エロ本の隠し場所は机の後ろ、天井裏、クローゼットの中が多い。素直じゃない(ツンデレ?)。好みの髪型はポニーテール。メイドより女給派(矯正中)。好みのタイプはお姉さん系。コンビニでアルバイト中(正社員に昇格。やったね!)。関節フェチ。変態。目玉焼きには醤油派。変態。友達がいない(現在は5人)。雷が苦手。機械に強い。父、母、姉と死別。灯りがついていると眠れない。変態。etc…》
亀夫「俺の、記録…なんでこんなレシピの最後なんかに…え?」
《ここなら、どの私でも目を通すと信じて、メッセージを残します。
これを読んでいる私は、果たしてこれを書いている私でしょうか?
もしそうなら、それはとても幸福なことで、この記録は意味のないものと笑ってください。
けれど、もし、もし違う私なら。
どうか今、ここに記していることを心に刻んでください。
この手紙は…今の私が未来に託せる、最後に残った道しるべ。
願わくば…思い出してください。
彼と過ごした、馬鹿馬鹿しくも幸せな日々を。
私からの、初めてのお願いです。
…最後に。
もし他の全てを忘れても、これだけは忘れないでください。
私のマスターは、大海亀夫さん。
世界で一番大好きな…私の旦那様》
亀夫「………なんでだよ」
亀夫「俺に隠し事するなとか言ってて…これかよ…」
亀夫「全部知ってて…覚悟して…そのくせこんな手紙残して…!」
亀夫「どうして……」
亀夫「最後かもしれないのに…嘘つくんだよぉ…」
亀夫「……ちくしょぉ……!」
………BAD END。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
この後は問題とは関係のない、後日談となります。
バッドエンドは嫌だ!という方はお進みください。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
…NO! TO BE CONTINUED!!
亀夫「…舐めんじゃねーぞ」
亀夫「こんな手紙残して、取り繕って、騙せると思ってたのかよ!俺のためとか思ってたのかよ!ふざけんなっ!」
亀夫「俺は確かに兎美がいないと飯も作れないダメ人間だけど…」
亀夫「あいつ一人に全部任せて終われるほど、腐っちゃいねぇ!」
亀夫「みてろよ兎美…お前のメモにはなかったけどなぁ…」
亀夫「俺も諦めが悪いんだ!」
-22:15 ウミガメ社研究所入口-
ジングルベール…♪ ジングルベール…♪
警備A「ふぁ〜っ…イヴに仕事とか、ついてないよなぁ…」
警備B「いいじゃないか。どうせ彼女とも別れたばかりなんだろ?虚しさを忘れられるってもんだぜ?」
警備A「おまっ、なんでそれを!」
警備B「知ってるさ…ずっとお前を、見てきたから…」
警備A「えっ…!(ドキン)」
警備B「俺…お前のことが前から…」
亀夫「続きは夢の中でやれ」
警備A「な、なにっ…ぐわあ!」
警備B「き、貴様何者…ぎゃあ!」
亀夫「サンタクロースさ」
-22:20 ウミガメ社研究所最奥-
黒服「…貴女で最後。記憶処理を開始するわ」
兎美「約束通り…初期化されても、私を彼のところに届けてくださいね」
黒服「……ええ。どんな手を使っても」
兎美「ありがとう」
兎美「(…マスター。怒ってるかな…嘘ついちゃったからな…)」
兎美「(戻った時に…怒られないといいな…許してくれかな…)」
兎美「(……忘たくないよ)」
警備Z「黒服様!緊急事態です!」 バンッ
黒服「…何事なの。今ここは立入禁止よ」
警備Z「す、すみません!しかし、侵入者です!既に警備部隊の6割が継戦不能!」
黒服「そんな…賊は何人なの?」
警備Z「そ、それが…1人です!」
亀夫「兎美ぃぃぃ!!」 ガンッ!
警備Z「ぷべらっ!」
兎美「マスター!?」
-23:55 雪の降る道-
兎美「マスターは馬鹿です。大馬鹿です」
亀夫「なんでだよ!なんとかなったじゃん!覚醒した俺の愛の力で!」
兎美「何が覚醒ですか。結果的には、黒服さんに手引きしてもらって逃げられたにすぎません」
亀夫「あのお姉さん、絶対ラスボスと思ってたけどいい人だったな。びっくりした」
兎美「私の開発者ですから…お母さんみたいな人です」
亀夫「そっか、それでなんか嬉しそうだったのか」
兎美「…私は恩を仇で返すことしかできませんでした。今回の責任を取らされるのは明白なのに…」
亀夫「それを分かった上で、あの人はお前を助けたんだ。胸を張れよ」
兎美「マスター……私におんぶされていなければいい台詞なのに」
亀夫「仕方ないだろ!めちゃくちゃ体痛いの!一夜限りの奇跡だったの!あ、ちょ、やめてー!揺らさないでー!」
兎美「もう、本当に貴方は…それで、これからどうするんですか?これだけの騒ぎを起こした以上、本社も黙っていませんよ」
亀夫「そのことだけどさ、兎美。ハネムーンいこうぜ」
兎美「………はい?」
亀夫「だーかーらー、新婚旅行。まだ正式に行ってなかっただろ?貯金全部おろしてきたからさ。期限はほとぼりが冷めるまで」
兎美「………ぷっ……くくっ…あはは、本当にマスターは馬鹿です!」
亀夫「うるせー。嫌って言ってもついてこさせるぞ。俺はお前がいないとダメだからな!」
兎美「はいはい、わかりましたよマスター…私も貴方がいないと、ダメみたいですから」
亀夫「…兎美」
兎美「…なんですか?」
亀夫「メリークリスマス」
……HAPPY END!
総合点:13票 物語:11票 斬新さ:1票 その他:1票
最初最後
物語部門からす山
【投票一覧】2017年10月30日22時
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「この話は本当に好きです。そして、この「史上最長かもしれない解説」に負けないように、「史上最長かもしれないコメント」を書いてみようかと思います。まず、問題文からは欠片も想像もつかないアンドロイドの登場。一日目から毒舌全開で笑わせてくれ、引き込まれます。そして自然に親睦を深めていく二人。語られない部分にも、それはもういろいろあったのでしょう。3日目から30日目のあいだに何があったのかが特に気になりますねえ。時間の飛ばせ方が見事です。自分もこんな風に自然に見事に出来たらいいんですけど。前半は日常で進みますが、495日目で大きな転換が。そして運命の500日目……。亀夫君と兎美ちゃんを、大きな試練が襲います。ここからが本番。本当に、見せ方がうまいです。そして「最後に残った道しるべ」のフレーズが出てくるところが、一つのクライマックス。そして、亀夫君は、どうにも出来ない絶望に押しつぶされ、一時は完全なバッドエンドを向かいます。問題としては、ここで終了となってしまいます。……しかし、物語としての本番はむしろここから、真のクライマックス!聖夜の奇跡!ひとまずの解決を迎えますが、しかし実際のところは、少年漫画でいうところの「俺たちの戦いはここからだ!」的な終わり方。兎美ちゃんの、「大変なのはむしろこれからですよ、マスター」という声が聞こえてくるようです。しかし亀夫君はそんなことはお構いなし、あっけらかんと、ハネムーン行こうぜ、などと言い放ちます。兎美ちゃんの顔が赤くなれるとしたら、ほんのりと幸せそうに微笑んでいることでしょうね。まさにラブラブカップル、羨ましいですねえ。もう勝手に脳内再生してしまうレベルの、ライトノベル好きの私にはたまらない物語です。漫画やアニメにしても映えるのではないでしょうか。漫画なら30~40ページの読み切り、アニメなら15分枠でしょうか。しかるべき人がしかるべき漫画化をしたら、新人賞ぐらいはとれるんじゃないか、雑誌掲載とかされちゃうんじゃないか、そんな妄想もしてしまいます。とにかく本当に素晴らしいので、読んでみてください。ラテシンでも一押しの物語です。あなたの心に、最高のクリスマスキャロルを。それではこの辺で。……あ、最後にもう一つだけ。こほん。……亀夫君と兎美ちゃん……末永くお幸せに爆発しろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
物語部門エリム
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「この問題大好きなのに、今まで投票していなかった・・・だと!?(私としたことが) 漫画かアニメのように生き生きと脳内再生余裕の解説文は勿論ですが、2人の事情を解き明かす問題としての満足度も高いです。」
2017年06月03日23時
物語部門華
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「まずは、解説の長さに驚かされましたが素晴らしい物語です。途中苦笑いポイントなどもありますが、そこもまたアジになり最終的に泣きながら夢中で読んでしまいました。気持ちがホッこりできる作品です。」
2015年07月08日21時
その他部門からす山
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「この解説の長さ……(ラテシンオブザイヤーのような特殊な問題を除けば)史上最長なのでは?それでいてすらすらと読めて、引き込まれます。「史上最長かもしれない解説」に、「その他」投票です。」
2017年10月03日22時
最初最後