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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

クラスメイトの献身(問題ページ

もめ第三高校の同じクラスで勉強している勝男と若芽。

勝男は鞄の中身は常に空っぽ。机の中に勉強道具を全て置き勉している不真面目くん。
若芽は逆に机は使わず、授業の度に鞄から勉強道具を取り出し、キチンと家に持ち帰る真面目ちゃん。

ある日の一コマ目の授業は国語。勝男はアクビをしながら教科書とノートを広げる。
二コマ目で飽きた勝男はそのまま居眠りをした。

それを見た若芽は勝男に後で見せてあげるために、続きをノートに書いた。

その後も同じようなことが続き、勝男の居眠りの回数は減っていったが、そのせいで寝不足になってしまった。

そしてその寝不足を解消する為に勝男は夜の学校に忍び込んだ。

一体何故だろう?



【問題文のチェック:ディダムズさん】【挿絵:???】
13年05月06日 21:31
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [水上]



解説を見る
もめ第三高校に通う勝男は不真面目な男子生徒。

その日も一番最初の国語の授業も適当に聞き流し、ノートにペラペラ漫画を作成しようと隅っこの方に絵を描いていたが、たった2コマ目で飽きて、そのまま居眠りをした。

放課後まで眠り続けた彼は、大きなアクビを一つした後、机の中身はほったらかし。空っぽのカバンで家路についた。


その夜…


若芽はかもめ第三高校の夜間学校に通っている。

彼女と同じ席の高校生は置き勉をしているので机の中はパンパン。

いつもと同じように鞄から直接勉強道具を取り出した。

ふとその机からはみ出しているノートが気になり、中身を盗み見た。

ほとんど白紙だったが、隅っこの方に棒人間が描かれている。
しかも2ページだけ。多分パラパラ漫画を作成しようとしていて途中で飽きてしまったのだろう。

ふとイタズラ心が湧いて、彼女は適当にそのパラパラ漫画の続きを書き込み、ついでにノートの上にできていたヨダレのシミを赤ペンで丸く囲み、

「居眠りはダメだぞ」

と書き込んで、ノートを机の中にしまった。


翌日…


いつも通り机から教科書とノートを取り出し、一応開いてから居眠りをしようと思った勝男は昨日描いたパラパラ漫画に続きができていることに気づいた。

そして「居眠りはダメだぞ」のコメント。

彼はこの高校は夜、定時制の学校として使用されていることを知っていたので、犯人は夜の同席さんの仕業だろうと推測し、可愛らしい筆跡から女の人であることを判断した。

そして付け足されたパラパラ漫画にさらに続きを描いて反応を見てみることにした。


その夜…


若芽は昨日のノートのラクガキにどんな反応が返ってくるか凄く気になっていた。
自分の席に座ると早速件のノートを引っ張り出す。

するとパラパラ漫画に続きが付け足されていた。

最初は恋人に出会って手を繋いで歩き出すというストーリーだったものが、いきなりドラゴンが現れ、二人を引き離し、主人公がドラゴンに立ち向かうアクションに変わっていた。

彼女はそれを見て思わずニヤニヤしてしまい、クラスメイトに変な目で見られてしまった。

彼女は咳払いを一つした後、顔を引き締め、そしてまたノートにパラパラ漫画の続きを描き込んだ。

こうして二人の奇妙な文通(?)がスタートしたのだった。


この影響で勝男は授業中、パラパラ漫画制作に励み、居眠りすることが減っていった。

(彼女は一体どんな顔をしているんだろ?カトパン似?まさかの女の子っぽい字を書くオッサンだったりして…)

三冊目のノートが残り数ページになった時、彼女のことが気になって気になって夜も眠れなくなっていた。

その日、勝男は決心した。

「今、会いに行きます!」

決行は夜の7時。勝男ははやる気持ちを抑え、夜の学校に忍び込んだ。



若芽はいつも通り、授業が始まる30分前に登校し、パラパラ漫画を書いている。

物語の中の男女は長い旅を経て、二人で協力して、ドラゴンは遂に倒された。

そして三冊目の最後のページ。

最後の最後にパラパラ漫画の中の女は初めてセリフを喋った。


「今度の日曜日に会いませんか?」
総合点:10票  納得感:1票  トリック:5票  伏線・洗練さ:1票  物語:3票  


最初最後
納得感部門からす山
投票一覧
「こんなドラマティックなことがあれば、夜の学校に忍び込もうとする気持ちを抑えきれなくなるのも無理はありません。私だって、いけないと思ってても抑えきれるかどうか。カメオへの共感度高すぎ。」
2017年10月15日11時
トリック部門からす山
投票一覧
「まさか、まさかの……。このレベルのトリックはそうそうお目にかかれませんよ。ベールはかなり厚めです。」
2017年10月15日11時
トリック部門ゴトーレーベル
投票一覧
「「問題と解説の間の落差」は先入観問題の醍醐味です。しかしその落差は「明と暗」「希望と絶望」「平凡な現実と非日常」といった対照的なものに限られません。本作では「二つのほのぼの青春絵巻」。優れた叙述の手腕でつづられる二重写しの情景は、それを見た後とてもよい気分にさせてくれます。トリックと物語の幸福な結婚です。」
2015年11月07日18時
トリック部門えねこー☆
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「これぞ先入観!問題文との整合性が素晴らしい問題です。」
2015年03月05日23時
トリック部門kiraku
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ネタバレコメントを見る
「二段構えの叙述トリック。隙のない、お手本のようなトリックです。」
2015年01月15日23時
トリック部門牛削り
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「トリックにおいてこれを超えるものはないでしょう。そのまま短編の推理小説になりそうなくらい美しいトリックです。」
2015年01月13日19時
伏線・洗練さ部門からす山
投票一覧
「こんなに長い問題と解説なのに、非常に完成されています。解説の見事な物語。そしてそれをベールで見事に覆いつくした見事な問題文。洗練され過ぎです。脱帽。」
2017年10月15日11時
物語部門からす山
投票一覧
「なんだこれ。なんて素敵な青春ドラマなんだ。解説の続きが凄い気になります!」
2017年10月15日11時
物語部門上3
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「好きです。」
2017年08月19日16時
物語部門エリム
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「問題文だけでも十分にほのぼの青春感が伝わってくるんですが、背景を掘り下げると・・・うーん、ドラマで見たい」
2015年09月25日00時

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