決してバスの来ないバス停が置いてある。
ただ、路線が廃止されて放置されたわけではない。
いったいなぜ、置いてあるのだろう?
16年05月21日 12:07
【ウミガメのスープ】
[東雲篠葉]
解説を見る
偽のバス停は老人介護施設の近くにある。
その介護施設にはアルツハイマーを患った老人たちも入居していた。
その老人たちは家に帰ろうと施設を飛び出し、結果迷子になり警察のご厄介になることが多々あった。
もちろん、閉じ込めておいたり拘束すれば解決するのだろうが、人権的に多大な問題がある。
そこで、『飛び出して自分の家に帰ろうとする老人たちは、公共交通機関を使う傾向があるという』ことに気付いた職員は、事態を打開するためにバス会社の協力の下『バスの来ないバス停』を置いたのだ。
アルツハイマーを患った老人は施設を飛び出し帰ろうとし、偽のバス停でバスを待つ。
老人はバスを待ってる間に自分がなぜバスを待っているのかも忘れるので、そのタイミングで施設のスタッフが
「バスは遅れているみたいですから、中でコーヒーでもいかがですか?」
と声をかけると、素直に誘いに応じて中に戻ってくるのだ。
総合点:3票 チャーム:1票 納得感:2票
チャーム部門牛削り【
投票一覧】
「バスが来るからバス停なのに、当問題のバス停にはバスが来ないという。「そのバス停にはバスが来ない」でもいいのだが、当問題では「バスの来ないバス停が置いてある」と表現することにより、不可思議なバス停の存在感をありありと浮き上がらせている。理屈に合わないはずの物が、何故そんなものが堂々と存在しているのだ、と、情景を想像した者は不安な気持ちを抑えられないだろう。」
2016年06月08日19時
納得感部門牛削り【
投票一覧】
ネタバレコメントを見る
「解説は「老人介護施設」等の具体的かつ現実的な言葉を用いて展開されているため、この真相が事実である、あるいは現実でも妥当しそうだ、という感想を得ることができる。しかし現実に成り立てば納得感が担保されるかといえば、そうではない。当問題の納得感を高めているのは、現実的妥当性に加え、その出来事の必要性であるように思う。問題文のような状況が、単に「成り立ちうる」だけでなく、「そうでなければならない」といえるような事情があったことが解説で明かされる。納得感にはこうしたプラスアルファが必要である。」
2016年06月08日20時
納得感部門エリム【
投票一覧】
「他者の視点に立って考えることの必要性がよくわかる1問。」
2016年06月05日19時