少年は、冬になっても半袖半ズボンという服装を続けた。
「寒くないの?」と友人に聞かれると、鼻や指先を赤くしたまま
「寒くないね」と返事した。
どうしてか?
15年07月08日 20:31
【ウミガメのスープ】
[ちくわさん]
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少年の友人は生まれつき体が弱く、ずっと入院しており、病院から外に出たことがなかった。
ある夏の日、少年がお見舞いに行くと、友人は担当の医師から「次の冬までもたない」と宣告されたことを告げる。
少年はその言葉を、『冬が来なければ友人は死なない』と解釈した。
それ以来、少年は友人のもとを訪れるときの服装を半袖半ズボンにするようになり、夏がまだ過ぎていないと嘘つくようになった。
「そろそろ冬でしょ? 半袖半ズボンで寒くないの?」
「寒くないね。むしろ昨日より暑いくらいだ。まだまだ夏は終わりそうにないよ」
けれど、少年の健気な行動も虚しく、友人は春が訪れる前に死んでしまう。
葬式のとき、少年は「まだ夏は終わってないのに、嘘つき」と半袖半ズボンの格好で涙した。
(要約)
担当の医師から、冬までもたないと余命宣告された友人に、夏が終わっていないと嘘をつくため。
総合点:6票 物語:6票
物語部門ひゅー【
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「寒い冬における問題の、心温まるストーリー。」
2017年07月15日22時
物語部門蓮華【
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「切ない物語です。タイトルをうまく活用しています。嘘つき……」
2016年05月27日21時
物語部門ゴトーレーベル【
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「「嘘つき」という言葉は解説に至ってその方向と意味を変える。美しく、そしてとても悲しい嘘の物語。」
2016年01月13日00時
物語部門牛削り【
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「タイトルの真の意味に気づいたとき、少年の切実な思いに心が揺すぶられます。」
2015年07月27日12時