動画内など、他所でラテシンの問題を扱う(転載など)際について
ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
いらっしゃいませ。ゲスト様 ログイン 新規登録
項目についての説明はラテシンwiki

わからない(問題ページ

は彼女の行動の理由がわからず悩んでいた。
友達に相談すると、「それは嫉妬させるためだ」と言われた。
でも、それが違うことは確実なんだ。

どういうことだろう?
14年06月06日 21:18
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [とかげ]



解説を見る
の心なんてわかるはずない。
 気まぐれで複雑で何の規則もない。自分の心さえあやふやでうまく表現できないときがあるくらいなのに、どうやって人の心を見分けろって言うんだ。

 立入禁止の学校の屋上で、友達と二人、俺はコンクリートに座り込んでいた。やたらと腹が立って、苛立ち紛れに足元の小石を蹴飛ばした。友達は転がる石を目で追いつつも、俺のイライラの理由を聞きたがっているようで、そわそわしている。
 俺も誰かにこのイライラを聞いてもらいたかったから、吐き出すように言った。

「嬉しそうに笑ってても内心は怒ってるとか、反則だろ? 嫉妬させるためにわざと他の男と仲良くするとかさ、見抜けるわけないっての」

「……あれ? お前、そういうこと悩んでるわけ?」

「そりゃ悩むだろ」

 溜息をつく俺に、友達は意外そうに目を丸くする。

「他の男と毎日一緒に帰る彼女の心境、とか、本当にわからないよ……」

「うわ、えげつないな。お前ってそんな苦労してたのか」

「ほんと、俺はどうしたらいいんだ?」

「まあ、女心は確かに難しい。しかしだ」

 こんなとき普段なら率先して俺のことを馬鹿にする友達が、今日は何故か優しくしてくれる。慰めるように俺の肩を軽く叩いた。

「落ち込むなよ。だってそれこそ、嫉妬させるためなんじゃないか? 頑張れよ」

「ああ、俺もそう思ったんだけどさ」

 だってもうそれしかないと思ったのに、違ったんだ。

「それは選択肢になかっただろ?」

「は?」

「それで俺、結局二番にしちゃったんだけど、お前は?」

「……ちょっと待て」

 突然友達が眉をひそめて真剣な顔をする。それから、納得したように膝を打った。

「それ、今日の国語のテストの話?」

「他に何があるんだよ」

 END

俺が彼女の行動の理由を相談した友人は、俺が恋愛で悩んでいると思って「(俺を)嫉妬させるためだ」と言ってくれた。俺は国語のテストの問題に悩んでいただけで、嫉妬は選択肢になかったので、それが彼女の行動の理由ではないことは確実だった。
総合点:9票  チャーム:1票  納得感:4票  トリック:3票  伏線・洗練さ:1票  


最初最後
チャーム部門蓮華
投票一覧
「それが違うのは確実です。解説文のみならず問題文の構成がお見事でチャームが高い問題に仕上がっていると思います。」
2016年06月04日20時
納得感部門からす山
投票一覧
ネタバレコメントを見る
「解説の終盤で全てがひっくり返り、納得します。そんなことだったとは。なんともまあ……確かに?そうですね。」
2017年10月21日21時
納得感部門ロゴス=バイアス
投票一覧
「非常に高い納得感を誇るこの一品。着想は意外にも身近で分かりやすいものなのだが上手く調理され絶妙の味わいを醸し出している。これほどの納得感を引き出せる水平思考能力に脱帽です。」
2017年05月18日20時
納得感部門アアア
投票一覧
ネタバレコメントを見る
「面白い、確かに選択肢にないなら違うことは確実ですね。」
2017年01月01日16時
納得感部門牛削り
投票一覧
「納得度が高く、とっかかりやすいので、何回か友人に出させてもらいました。」
2015年01月13日19時
トリック部門エリム
投票一覧
「実にフェアな問題文なんですが、ベールのかけ方が絶妙で、参加者の脳内で勝手にドラマが展開すること間違いなし、なんですが。違うと言い切れることへの違和感を糸口として残したバランスが絶妙です。」
2017年01月02日00時
トリック部門かもめの水平さん
投票一覧
「言い回しの妙と、材料の取り合わせが見事です」
2016年06月13日11時
トリック部門ゴトーレーベル
投票一覧
「問題文における言葉の選び方の技巧は最上、解説の読んで楽しい自然さとのびやかさは最高。作者の面目躍如たる名作。」
2016年01月13日00時
伏線・洗練さ部門松神
投票一覧
ネタバレコメントを見る
「この問題の素晴らしいところは敢えて問題文にツッコみやすい「状況の不足」を作り出すことでそこに突っ込ませる→その質問にひたすら冷たくノーを付ける→やっているうちに何処かがおかしいことに気が付く→という流れを作り出しているところです。重要な部分を不足させているように感じる問題文に、実は不足はなく、逆にその不足していると感じることこそが誘導であるのだと気が付いたとき、僕はどうしようもない悔しさに震えました。」
2017年03月04日01時

最初最後