男は町に向かう人を見かけると必ず、牛のはなわを買ってきて欲しいと頼む。
男は、町に牛のはなわが売っていないということを知っているし
そもそも牛のはなわなんて微塵も必要としていない。
では何故男は牛のはなわを買ってくるように頼むのだろうか?
14年04月18日 23:53
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[なさ]
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時代は江戸時代。
山から町まで続く道沿いの家に住んでいた男は、その道を行く人々皆に
「町で牛のはなわを買ってきてくれませんか?」と頼んだ。
誰もが快く引き受けてくれるものの、皆「すまんねぇ。どこにも売ってなかったよ。」と言って
なかなか手に入れることが出来なかった。
ところ変わって町の店屋。
店主は首をかしげている。
「しかしながら、近頃、はなわを買いにくる客が増えたもんだなぁ~。
なんでだ?ブーム?なににせよ、こんなに皆して買いにくるんだったら仕入れておけばよかったよ。
次はたくさん仕入れよう。しかし、はなわなんかどこで仕入れたらよいものやら....」
またところ変わって男の家。
「そろそろ頃合だな」と言って、男はもとから作ってあったはなわを大量に持って町に売りに行くのだった。
男「牛のはなわだよ~。さあ買った買った!!」
それを聞いた店主は「ちょうどいいところに来た。どこで仕入れようかと悩んでたんだ。とりあえず300個売ってくれ!」
と言って大量のはなわを買った。
しかし、それ以来店にはなわを買いにくる人はめっきりいなくなり
その日、他の店も回って全てのはなわを売り尽くした男ひとりだけが大儲けしたのだった。
※出典:きっちょむ噺
総合点:4票 納得感:2票 トリック:2票
納得感部門とかげ【
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「必要としていない上、売っていないことを知っているのに、色んな人に牛のはなわを買ってきて欲しいと頼む男。この明らかな矛盾に対し、過不足ない問題文のつくりと、それしかないと思わせる納得感抜群の解説がお見事です。」
2015年12月05日21時
納得感部門かきかき【
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「元ねたがあったとしても、ここまで納得感を出すのは難しく、すごい技術が必要だと思います。」
2015年05月08日19時
トリック部門牛削り【
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「解説を読むと、問題文にあった事象同士の逆説関係が瞬時にして順接関係に転換する。その瞬間の快感をぜひ味わってください。」
2015年12月08日12時
トリック部門tsuna【
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「アイデアが素晴らしいです」
2015年05月08日03時