「ダメだよ父ちゃん!そっちはちゃんと持って帰らないと!」
「ああ、ゴメンゴメン」 そう答えながら、父親は絶望した。
どういうことだろう?
13年03月09日 21:05
【ウミガメのスープ】
[yan]
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年老いた母を姥捨て山に連れて行くことになった亀造。
痩せこけた老婆とはいえ、一人で背負って行けるほど亀造も若くない。
そこで、母親をカゴに乗せ、息子の亀夫と二人で担いでいくことにした。
山奥へ分け入り、頃合のいい場所を見つけると、カゴを降ろす。
「すまねぇ、母ちゃん。これもしきたりだからよう…」
そして、そのまま背を向けて帰ろうとする父親を、息子は叱り付ける。
「ダメだよ父ちゃん!そっちはちゃんと持って帰らないと!」
そういって亀夫は、カゴを指差す。
「父ちゃんを捨てる時にまた必要になるから、カゴは持って帰ろうよ!」
「ああ…ゴメンゴメン」 そう答えながら、亀造は絶望した。
そう、自分もそう遠くないうちに、山に捨てられに来るのだ。
そして、幼い頃からこのしきたりに慣れている息子は、何のためらい無く
自分を捨てることだろう。
しかし現実、働けない老人を養えるような余裕は、うちの集落には無い。
受け入れるしかないのだ。 自らに待ち受ける、過酷な運命を…
総合点:1票 物語:1票
物語部門なさ【
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「よくあるテーマではありますが、こういう仕上げ方をするのはさすがyanさんと言ったところ。」
2015年04月25日01時