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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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【ラテクエ To Go!】 絶望の ピンチを救った 七面鳥(問題ページ

のちらつくクリスマスの夜、とある男がレストランに入店しました。
席に着いた男は、ウェイトレスに尋ねました。

「すみません。この店に七面鳥の丸焼きはありますか?」
「はい。 ございますよ。」

この返事を聞いた男は、自殺を思いとどまった。 一体、なぜ?
12年12月22日 22:33
【ウミガメのスープ】 [yan]



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メオはプロボウラー。一時期全世界に名を馳せていた彼だが、ここ数年は酷いスランプ続き。
蓄えも使い果たした彼は絶望し、自殺の名所であるウミガメ岬に向かい車を走らせていた。

しかし、考え事をしていたせいか、道中、レーンから外れて道路脇の側溝に脱輪してしまった。
どうにか溝からは脱したものの、タイヤはパンク。寒空の中、スペアタイヤに交換するハメに。

「ふう、車までガターとは… だがまぁ、かろうじて ”スペア” で挽回、ってところか」 とはいえ、
スペアタイアで長距離を走るわけにはいかない。彼は最寄の駅に車を止め、電車で行こうとした。

ところが、今度は鉄道会社がストライキ(strike) 中である。 
「ふう、ツイてないな… いや、ボウラーとしては、STRIKE なら大歓迎なんだが…」

もうこの際、飛行機にするか… 空港に行ってチケットを買い、いざ発券手続きに移ろうとすると…
「あら…? すみません! この座席、ダブルブッキングしてますわ。 機械の故障かしら…?」
何!? 今度はダブル(※1)だと…? …ガーター、スペア、ストライク(キ)、ダブルと来れば…!

カメオは空港から見える、一軒のレストランに足を運ぶと、席に着くなりウエイトレスに確認した。
「すみません。この店に七面鳥の丸焼きはありますか?」  「はい。 ございますよ?」

「兄ちゃん、運がいいね!この界隈じゃ、七面鳥(ターキー)を出す店はウチしかないぜ!」
厨房からマスターが顔を出し、愛想よく笑いかける。 カメオも、満面の笑みで笑い返した。

早速ターキー(※2)を注文すると、「食前酒にスプリッツァーは如何ですか?」 と聞かれる。
ここでスプリット(※3)か! とカメオは苦笑しかけたが、すぐに思い直して注文する。
スプリッツァーでもスピリット(火酒)でも、なんでも来やがれ! 一気に片付けてやるぜ!

店のテレビでは、ニュースが流れていた。「ウミガメ鉄道のストライキは、まだまだ続くようです」
「タートルズのトータス選手、パーフェクトゲーム達成!」 …もう間違いない。カメオは確信した。

これはきっと、神様からのクリスマスプレゼント。 諦めた自分に、「まだ頑張れ」と言っている。
そして、自殺の名所に行こうとした自分を、様々な手段で止めてくれた。

テーブルに来た七面鳥の丸焼きとスプリッツアーを平らげると、さっきのマスターがやってくる。
「いい食いっぷりだねぇ! これはワシからのおごりだよ」 と、ハムボーン(※4 骨付きハム)と、
5種類の具が入ったファイブバーガー(※5)と、パーフェクトレディーを持ってきた。

「あんた、プロボウラーのカメオだろ? ワシはずっとあんたのファンだったんじゃ! 最近調子を
落としちゃいるようだが、なぁに!ウチの料理を食べて、元気出しとくれよ!」 「…ありがとう!」

ホームから離れたこんな土地で、俺のファンに会えるなんてな… もういつでもレディー・ゴーだ!
…ふと、久しぶりにタバコが吸いたくなる。 きっと、アレも置いてあるだろう。

「…マスター、ここ、タバコは置いてあるかい?」  「ああ、銘柄は?」  「それは、もちろん…」

「「ラッキー・ストライク!」」


※1 ダブル … ボウリングで、ストライクが2回続くこと。
※2 ターキー … 同、3回続くこと。
※4 ハムボーン … 同、4回続くこと。
※5 ファイブバーガー … 同、5回続くこと。

※3 スプリット … 同、ピンが離れた状態で残ること。
総合点:5票  物語:2票  言葉遊び:3票  


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物語部門ゴトーレーベル
投票一覧
「言葉遊びと物語を融合させた、奇跡の一品。解説は最後の一行まで完璧。名匠たる作者しかたどり着きえない境地です。」
2016年06月11日13時
物語部門春雨
投票一覧
「『言葉遊び』こそが『物語』そのものなのです」
2016年01月04日02時
言葉遊び部門az
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「"言葉で遊ぶ"とはこういうことかと衝撃を受けた1問。徹底して遊び倒していながら、それが問題として、物語として、確かに意味のあるものになっている点が素晴らしい。まさに名人芸です。」
2017年01月22日00時
言葉遊び部門ゴトーレーベル
投票一覧
「実は言葉遊びは私の苦手分野です。それでも、これほどに密度の濃い、かつ単に言葉遊びにとどまらない、物語に深く関わる言葉遊びを披露されたら、心から感動せざるをえません。質・量ともにこの上ない、言葉遊びの金字塔の一つと言えるでしょう。」
2016年06月11日13時
言葉遊び部門春雨
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「『言葉遊び』こそが『物語』そのものなのです」
2016年01月04日02時

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