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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

私をビーチへ連れてって(問題ページ

お願い,ビーチへ連れてって.」
女は男に頼んだ.
男はビーチが遠く,人でいっぱいだと知っていたので断った.
一週間後,男は女が別の男と一緒にビーチへ行ったことを知り,喜んだという.
状況を説明して下さい.
12年11月08日 00:15
【ウミガメのスープ】 [merrana]



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の日、豪華客船アルバトロス号は海の藻屑となった。乗客3000名に対して救命ボートはわずか250隻しかなく、我先と押し寄せた乗客により、ボートはあっという間に満員となってしまった。多くの人が海へ投げ出され、彼らもまた、アルバトロスと同じ運命を辿ろうとしていた。

綾子もそんな海に投げだされた1人だった。水は冷たく、浮かんでいることさえままならない。一刻の猶予も無い状況で彼女は遠くに1隻の救命ボートを見た。これが最後のチャンスとわずかな体力で叫んだ。

「お願い、私も乗せて、ビーチまで連れて行って。」

ボートの舵を取っていた水夫は憔悴した少女の姿を見て不憫に思ったが、既に5人乗りのボートは10人の人々で埋め尽くされており、もはや1人も乗る余裕は無かった。また難破した場所からビーチははるか遠く、ボートに乗っている人々すら助かるかわからないのだ。水夫は彼女の要求を断り、そのままボートは波に揺られて遠くへ行ってしまった。

終わった。このままこの冷たい海で死ぬのだ。生きることを諦めた途端に体中の力が抜けていく。綾子はそのまま気を失った。

その後、水夫の乗ったボートは救助に来た別の船に助けられ、水夫は家へ帰ることができた。自分が生きていることは嬉しいが、1人の少女を見殺しにした罪悪感は彼に重くのしかかった。ニュースでは連日のように事故のことばかり流している。もううんざりだ。テレビを消そうとしたその時、あるニュースが目に飛び込んだ。

”漂流した少女、漁船に救助され一命を取り留める”
それは紛れも無くあの助けを求めてきた少女だった。綾子が気を失ったその後、彼女は通りかかった漁師の船によって救助され、浜辺へ送り届けられたのである。水夫は彼女を救った神に感謝し、涙を流して喜んだという。
総合点:13票  トリック:8票  伏線・洗練さ:4票  物語:1票  


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トリック部門からす山
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「なんという高度な水平思考問題。ちょっとやそっとじゃその先入観を振り払って正解にたどり着くことなど出来ません。問題文のあらゆる箇所がトリックです。」
2017年10月18日20時
トリック部門蓮華
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「文句無く美しいトリックです。問題文から解答の雰囲気を想定できた人はいないでしょう。」
2016年06月01日22時
トリック部門エリム
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「『頭の体操』シリーズに登場しそうな、レベルの高い見事なスッキリトリックです。」
2016年04月22日00時
トリック部門孤石
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「問題文を一読して頭に思い浮かべた情景を、綺麗に捨て去る能力が必要です」
2016年04月19日06時
トリック部門ごがつあめ涼花
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「先入観が素晴らしいベールとなる問題でした。問題文から想像できるイメージは、【男が、自分の好きな女がビーチに行こうと言っているので断ったら、女は別の男とビーチに行った。】みたいな感じであると思います。しかし実際は、【救助船が人がいっぱいなので、男は女をビーチまで連れていくのを断り、運良く別の救助船が来て、女は救われた】というもの。伏せられた言葉のせいで想像できるものがかなり異なってくる、素晴らしい叙述トリックです。」
2016年03月19日13時
トリック部門SNC
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「上手い先入観トリックが使われています。問題文の三行目の記述がなんとも素晴らしい。」
2016年02月29日23時
トリック部門春雨
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「解説を読んだ後では、問題文を初めて見たとき浮かんだ情景を思い出せません」
2016年01月04日02時
トリック部門tsuna
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「先入観にしてやられました」
2015年04月23日01時
伏線・洗練さ部門からす山
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「解説を読んでいるうちに問題文の内容を忘れてしまう。それぐらいの濃密な解説。また、それだけ問題文と解説からそれぞれ受ける印象が違い、なのに同じ状況を見事に表しているということです。この状況を全く違う印象の解説と問題文にそれぞれ練り上げた手腕と文章力と努力に乾杯です。」
2017年10月18日21時
伏線・洗練さ部門bears
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「これは素晴らしい!」
2015年05月14日08時
伏線・洗練さ部門牛削り
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「問題文に仕掛けられた複数の叙述トリック。しかし無理やり感はまるでなく、真相を知ってから問題文を読めば真相の方の意味で解釈できてしまう。ここまで自然にトリックを織り込めたのは、言葉の組合せを何度も何度も試行錯誤した努力の成果なんだと思います。」
2015年04月28日20時
伏線・洗練さ部門プエルトリコ野郎
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「想像していたのと全然違う!これがギャップ萌え。」
2015年04月24日18時
物語部門からす山
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「解説を読み進めるうちに引き込まれて、問題文での結末を忘れてしまい、これはバッドエンドかなと思いながら解説を読んでいきましたが、ハッピーエンドで良かったです……。問題文が何だったかも忘れてしまう物語。」
2017年10月18日21時

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