ここはとある飲食店、だが店内に居るのは亀夫と海子だけだった。
亀夫は海子の為にスープを作り運んだが、海子は運ばれて来たスープを見ると自殺した。
一体何故だろう。
12年10月05日 00:17
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[なさ]
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1945年8月6日、リトルボーイ投下直後のヒロシマは死の街と化していた。
何とか死は免れた亀夫と恋人の海子だったが、海子の顔は酷い火傷跡が出来ていた。
しかし海子自身はその事に気づいていなかった。
無理もない。ガラスは全て爆風で飛び、ましてや鏡なんかどこにもないのだ。
ところで海子の夢は歌手になるということだった。
海子はこの状況下でもその事だけを支えに生きていこうと決意していた。
亀夫は海子を気遣って、海子の顔のことを口に出すことはできなかった。
「綺麗だよ、海子。」そう海子に言ってきかせていた。
助けを求めて彷徨っていた2人だがついに体力の限界がきた。
そのとき亀夫は崩壊しかけた飲食店を見つける。
ガラスは全て吹き飛び屋根も崩れている。内部も爆風で酷い有様だったが、食料が見つかるかもしれないと思い2人は中へ入った。
海子を椅子に寝かせ、まだ余力が残っていた亀夫は食料を探し始めたる。しかし見つかったのは塩と飲み水程度。
亀夫は海子のために、塩水を沸騰させるだけの軽いスープを作ることにした。
スープが出来上がると亀夫は海子のところへそれを運んだ。
「わぁ、亀夫さんありがとう」そう言って笑みをこぼす海子だったが次第に顔色が絶望に染まってゆく。
透明で透き通ったスープの水面は海子の顔を映し出していたのだ。
海子は自分の焼けただれた顔を見て絶望し、夢も打ち砕かれ生きる希望を失い、店を飛び出し川に身を投げたのだった。
総合点:3票 トリック:1票 物語:2票
トリック部門春雨【
投票一覧】
「スープ自体が上手に料理されています。」
2015年07月12日12時
物語部門からてちょっぷ【
投票一覧】
「スープから始まる物語。納得感もおろそかになっておらず、ウミガメのスープとはまた違う物語性があります。」
2015年12月16日18時
物語部門牛削り【
投票一覧】
「ウミガメのスープの正統な後継となるべき問題。チュートリアルの例題として採用したい。」
2015年01月13日20時