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『鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰だい?』
白雪姫の読み聞かせをしている時、娘に
「ねえお母さん。鏡に映っているのは、だあれ?」
と尋ねられたのですが
私には、答えることが出来ませんでした。
いったい何故?
状況を解き明かして下さい
16年09月27日 21:00
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[ポトフ]
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「ママ、これ、なあに?」
娘が一本のビデオテープを手に、尋ねてきました
「それはね、ビデオっていって・・・・・・ほら、キョウコとママが一緒にいるところを
パパが後からテレビで観れるようにしているでしょ? それと同じようなものよ」
「じゃあ、これにも?」
「そうよ。ママの小さい頃が観れるわよ」
「ママの? ねえ、私みてみたい!」
「そう? それじゃ、観てみましょうか」
そうして私は、娘が持ってきたビデオを、再生しました
画面の中には、小さい頃の私と、母が遊んでいるところが映っています
『あはは!』
『ほらほら、お父さんの方向いてあげて』
「ママと・・・・・・おばあちゃん?」
「そうよ、ママにも、おばあちゃんにも、こんな頃があったのよ?」
暫くみている内に映像は切り替わり、母が私に絵本を読み聞かせているシーンになりました
『お妃さまは、魔法の鏡に尋ねます
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰だい?」
すると鏡は白雪姫を映しながら──』
「ねえお母さん。鏡に映っているのは、だあれ?」
「え? 白雪姫よ、お妃さまの娘の・・・・・・」
「でも、映っているのは男の人だよ?」
「・・・・・・?」
よくみると、娘が指し示しているのは、映像の中に映っている鏡でした
そこには、ビデオカメラを持ち、私と母を映している男性の姿がありました
「ねえ、この人は? おじいちゃん?」
────私には答えることが出来ませんでした
その鏡に映っている男性は、明らかに私を育ててくれた父とは違う人物でしたから
いったい、何故?────
※要約
私は娘と一緒に、自分が小さい頃に撮影されたホームビデオを見ていた。
ビデオの中で、自分の母親が幼い自分に白雪姫の読み聞かせをしているシーンがあったのだが
室内の鏡に撮影者が映りこんでいた。
その撮影者が、父と思っていた人物ではなく、知らない男であったため、私は娘の質問に答えることができなかった。
総合点:2票 伏線・洗練さ:1票 物語:1票
伏線・洗練さ部門エリム【
投票一覧】
「絶妙な状況描写の『ずらし方』も素晴らしいのですが、解説の余韻も素晴らしいです。トリックも見事ながら、様々な感情に解釈できる余地を残した物語も素晴らしいです。」
2016年10月10日12時
物語部門まきや【
投票一覧】
「何段構えにもなった叙述のトリックが、不思議な物語を紡ぎ上げます。さすがは猛者」
2016年10月09日17時