自分のシャツの袖口を掴んだリュウヤは、母の身体の衰えに気付いた。
上記事象は、今が夏だからこそ成立したのだが、さて一体どういうことだろう?
16年08月23日 21:28
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[牛削り]
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急に泣き出した母。
夏季休暇を実家で過ごし、東京に戻ろうとした玄関先でのことであった。
「ごめんね、最近涙腺が緩くてね」
そう言いながら、なおも涙を流し続ける母。
その震える肩を見て、俺は一歩進み出た。
そして、両手を母の背中に回した。
手のひらは、反対の腕の、半袖シャツの袖口を掴んだ。
自分の両手の作る小さな輪。そこにすっぽり収まる母の胴。
母の身体は、こんなにも小さかったのか。
こんなにも小さい身体で、ずっと俺を守ってくれていたのか。
いつしかその優しさが当たり前になっていた。
感謝しているつもりが、全然足りていなかった。
「母さん、俺は、幸せだよ」
そう言うのが精一杯だった。
これからは俺が母を守ろう。
遅まきながら、強く強く、そう思った。
【要約解説】
母の身体を抱きしめたリュウヤ。
背中に回した手のひらが半袖の反対側の袖口を掴めるほど、老いた母の身体は小さかった。
これはリュウヤが着ていたのが長袖ではなく半袖だからこそ成立した事象である。
総合点:1票 伏線・洗練さ:1票
伏線・洗練さ部門SoMR【
投票一覧】
「ウミガメ問題としての面白さを増すための仕掛けが物語としての繊細な描写を行う役割をも果たしている。」
2016年08月23日22時