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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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それは「好き」というための旅(問題ページ

れは「好き」というための旅

少女は旅をした。
自分の家がつまらなかったから。
少女は家にもどって死んだ。

何故か。
11年02月14日 22:58
【ウミガメのスープ】 [ふわっふぁするよ]



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は元々病弱で、病院生活のせいで外に出たことはなかった。
そして突然言い渡される余命宣告。
抗生剤を飲めば、二、三年は生きられるらしい。
命だけは長くできるらしい。

私が生きた証とは何だったのだろう。

生まれた時、誕生日、クリスマス、大好きなおばあちゃんが死んだ日、どんな時も変わらずに私は病院のベットにいた。
同じ病室になった子と友達になるけれど、その子達はみんな死んでしまった。

私はお父さんとお母さん、おじいちゃん、病院の先生、看護婦さん、この小さい世界でしか生きてこなかった。

残された一年もここで過ごすの?
私は他人に生かされるためだけに生まれたの?
遊びたい。美味しいものを食べたい。綺麗なものを見たい。

恋がしたい。

まだ見ぬあなたに会いたくて、知らない世界が知りたくて、私は1人旅に出た。
私が私であった何かを探す旅に。
「好き」と言うための旅に。


たくさんの人に出会った。
お金をほとんど持たない私は、たくさんの善意ある人にご飯を食べさせてもらったり、泊めてもらったりした。
時には野宿したり、危ない目にあいそうになったり……。
でもどんなピンチの時も、誰かが助けてくれた。

時には甘酸っぱい片思いだってした。

三ヶ月が経った。
私は自由気ままに、美しい草原を歩いていた。
「今日はここで野宿かな……あ、あれ?」
鼻血が止まらない。
ここが限界のようだ。

火をおこし、野草を集め、寝床を作る。
旅を始めて最初に出会ったおじさんに教えてもらったことだ。
星空の下、野草のスープを飲みながらこの三ヶ月のことを思う。

悪い人間もいた。私は襲われそうになった。
でもそれ以上にこの世界は善意で溢れている。
最初は困った顔をするが、何だかんだで私を助けてくれて、最後は家族のように心配そうな顔で送り出してくれる。
みんなツンデレだなぁ。

エリック元気かな?私が最初に恋をした少年。
悪い人から助けてくれて、「また会おうね」って言ってくれた人。
そのままあそこにいればよかったかな。
あそこで最期の時を過ごせばよかったな。
私ってば欲張りだから、もっと素敵なことを探しに飛び出しちゃったな……。
幸せは、案外自分の近くにあるのかも……。

私は歩いてきた道を戻ることにした。
最期はやっぱり、好きな人のそばで。



頭が痛い。目が霞む。
意識が朦朧とする。
でも進まなきゃ。

意識が飛んでいた。
意識を失っても歩みは止めていなかった。
私の決心は硬いのだ。
絶対あの人のそばにいる。エリックの元に。
私はまた気を失った。

気がつくと、エリックの家を通り過ぎていた。
戻らなきゃ、「好き」って最期に言うんだ。
私の愛を、今まで貰うだけだった愛を、心を込めて伝えるんだ。

それでも私の足は、エリックの家の方には向かなかった。
……そういうことか。
ようやく私は、自分の生きた証に気がついた。
安心した私はまた気を失った。

その次に目を開けたのは、いつもの病院、いつものベット。
お父さんとお母さん、おじいちゃん、病院の先生、看護婦さん、この小さい世界。
全員の目に涙が溢れていた。

みんな何かを私に言っているけど、ごめんね。
もう何を言ってるのか聞こえないや。
そのうち視界がぼんやりして、よく分からなくなっちゃった。
でもみんながいることはわかるよ。

いっぱい伝えたいことあるんだ。
私恋したよ。いっぱいいろんなことした。たくさんのツンデレを見てきたよ。私はこんなに成長したよ!

でももう伝える時間がないみたい。
だから一言だけ、私の生きた証を伝えるね。

「好き」
総合点:8票  物語:8票  


最初最後
物語部門コウCHA
投票一覧
「サービス終了する前に出会えて良かった。と言える作品です。感動しました。」
2017年10月17日20時
物語部門オットセイ三世
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「不覚にも、グッときました。」
2017年10月17日13時
物語部門tsuna
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「目頭がぶわっと熱くなりました」
2016年02月27日08時
物語部門ツォン
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「その事実を目の当たりにしたとき、貴方はきっと泣いてしまう。」
2016年02月15日21時
物語部門桜小春
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「このくらい強い気持ちで誰かを好きになって、伝えてみたいなと思いました。」
2016年02月15日15時
物語部門緋色
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「はじめてよんだとき、ちょっとだけ泣きました」
2016年01月14日16時
物語部門春雨
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「タイトルが、問題文一行目が、全てです。」
2016年01月04日04時
物語部門ノックスR
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「これを見つけた時は本当に本屋で面白い短編小説を見つけた気分になりました^^」
2015年01月19日06時

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